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第七章 マコちゃん
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「どれも甘くて美味しい…」
「よかった…」
微笑むとグラスを磨き出す。
動きに無駄が一切ない。
その姿は男の俺から見ても、本当に格好良くて…
また見惚れてしまう。
店内にはジャズが小さく流れていて、静かな雰囲気。
ガヤガヤしたのが嫌いだから、これも心地よかった。
「あ…あの…」
「はい?」
程よく酒が回ってきたところで、勇気を振り絞った。
多分、一目惚れだったんだと思う。
こんなこと、初めてだった。
会社の先輩に連れられてきたこのお店で、カウンターの中にいるこの男に目が釘付けになった。
最初はこの気持ちがなんだかわからなかった。
だって、俺は男で…
今までの恋愛は、全部女性が相手だった。
俺はノンケでストレートってやつなんだ。
なのに…俺、惚れちゃったんだよね…
美しく妖しい、この男に
「杉岡さんの後輩…ですか」
先輩は得意げに頷いてみせると、親指で俺を指差した。
「ああ。こいつ、煩いところが嫌だって言うから、連れてきたんだ」
「そうですか…ありがとうございます」
その男は、名刺を差し出してきた。
「J's Barの店主、枩田と申します」
慌てて俺も名刺ケースを取り出して、名刺交換した。
「新見です。よろしく」
「新見…真さんとお読みするのですか?」
「あっ…はいっ…マコトです」
そう言うと、本当に綺麗な笑顔を見せてくれた。
「…これからもどうぞ、ご贔屓に」
その笑顔も、また俺を釘付けにした。
家に帰って名刺をテーブルに出して、いつまでも眺めた。
「枩田…純人…」
それから葛藤した。
俺はゲイじゃない。
ホモでもない。
だけど、忘れられなかった。
次の週、もう一度自分の気持ちを確認しようと店を訪れた。
「いらっしゃいませ、新見様」
俺のこと、覚えててくれた。
あんな短い時間しか居なかったのに。
そりゃ、客商売だし名刺だって渡していたから当然かもしれないけど…
でも、思わずにやけてしまうほど嬉しかった。
「また来てくれたんですね」
妖艶に笑いかけてくる純人さんを見たら、もう駄目だった。
やっぱり、俺…惚れたんだ
そう確信してからは、迷いがなかった。
だけど、線を引くことだけは忘れない。
俺は、男
純人さんも、男
一方通行だったけど、顔が見られるだけで充分だった。
この前の正月。
会社の新年会の余興で、女装をして女性アイドルグループの曲を踊った。
毎年の恒例で、係長クラスがやらされる。
9月にあった昇任試験に通ってしまった俺は、早速洗礼を受けた。
他の二人の新人係長は、散々な言われようだったが…
なんと俺の女装は大好評で。
「いやあ…マジで、真…いや、マコちゃんとなら俺、寝れるわ」
同期の湯本が気持ち悪いことを言った。
こいつ、結構なイケメンで女には不自由してないはずなのに…
スタイルもいいし、足も俺より10センチくらい長く見える。
「マコ、キレイな男じゃないと嫌」
気持ち悪いから突き放すように言ったら、湯本は身体を捩って喜びだした。
「っか~!堪んねえ!一晩でいいから、相手して?」
「…キモチワル…」
「マコちゃんさあ!そこは可愛く恥じらえよ!」
「うっさい変態」
新卒から5年以上付き合いがあるが、湯本がツンデレ好きとは知らなかった。
まあ、厳しいと評判の女性課長によくシバかれに行ってるから、ドMなんだろう。
「よかった…」
微笑むとグラスを磨き出す。
動きに無駄が一切ない。
その姿は男の俺から見ても、本当に格好良くて…
また見惚れてしまう。
店内にはジャズが小さく流れていて、静かな雰囲気。
ガヤガヤしたのが嫌いだから、これも心地よかった。
「あ…あの…」
「はい?」
程よく酒が回ってきたところで、勇気を振り絞った。
多分、一目惚れだったんだと思う。
こんなこと、初めてだった。
会社の先輩に連れられてきたこのお店で、カウンターの中にいるこの男に目が釘付けになった。
最初はこの気持ちがなんだかわからなかった。
だって、俺は男で…
今までの恋愛は、全部女性が相手だった。
俺はノンケでストレートってやつなんだ。
なのに…俺、惚れちゃったんだよね…
美しく妖しい、この男に
「杉岡さんの後輩…ですか」
先輩は得意げに頷いてみせると、親指で俺を指差した。
「ああ。こいつ、煩いところが嫌だって言うから、連れてきたんだ」
「そうですか…ありがとうございます」
その男は、名刺を差し出してきた。
「J's Barの店主、枩田と申します」
慌てて俺も名刺ケースを取り出して、名刺交換した。
「新見です。よろしく」
「新見…真さんとお読みするのですか?」
「あっ…はいっ…マコトです」
そう言うと、本当に綺麗な笑顔を見せてくれた。
「…これからもどうぞ、ご贔屓に」
その笑顔も、また俺を釘付けにした。
家に帰って名刺をテーブルに出して、いつまでも眺めた。
「枩田…純人…」
それから葛藤した。
俺はゲイじゃない。
ホモでもない。
だけど、忘れられなかった。
次の週、もう一度自分の気持ちを確認しようと店を訪れた。
「いらっしゃいませ、新見様」
俺のこと、覚えててくれた。
あんな短い時間しか居なかったのに。
そりゃ、客商売だし名刺だって渡していたから当然かもしれないけど…
でも、思わずにやけてしまうほど嬉しかった。
「また来てくれたんですね」
妖艶に笑いかけてくる純人さんを見たら、もう駄目だった。
やっぱり、俺…惚れたんだ
そう確信してからは、迷いがなかった。
だけど、線を引くことだけは忘れない。
俺は、男
純人さんも、男
一方通行だったけど、顔が見られるだけで充分だった。
この前の正月。
会社の新年会の余興で、女装をして女性アイドルグループの曲を踊った。
毎年の恒例で、係長クラスがやらされる。
9月にあった昇任試験に通ってしまった俺は、早速洗礼を受けた。
他の二人の新人係長は、散々な言われようだったが…
なんと俺の女装は大好評で。
「いやあ…マジで、真…いや、マコちゃんとなら俺、寝れるわ」
同期の湯本が気持ち悪いことを言った。
こいつ、結構なイケメンで女には不自由してないはずなのに…
スタイルもいいし、足も俺より10センチくらい長く見える。
「マコ、キレイな男じゃないと嫌」
気持ち悪いから突き放すように言ったら、湯本は身体を捩って喜びだした。
「っか~!堪んねえ!一晩でいいから、相手して?」
「…キモチワル…」
「マコちゃんさあ!そこは可愛く恥じらえよ!」
「うっさい変態」
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まあ、厳しいと評判の女性課長によくシバかれに行ってるから、ドMなんだろう。
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