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海鳴り
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急に風が出てきて、窓を鳴らした。
遠くから、海鳴りの音が聴こえてくる。
俺の目の前にいる極上の…いや、綺麗な真剣な顔。
俺もそれに答えるべく、真剣な顔をした。
「直也くん…俺もだよ…?」
「駿さん…」
「あの時思ったこと、嘘じゃない」
「ほんとに…?」
「うん。ホント…だよ…?」
ぎゅっと握る手に力が入った。
「直也くんのこと…好きだ…」
「駿さんっ…」
直也くんが俺の胸に飛び込んできた。
ぎゅっと抱きしめて、直也くんの顎をくいっと持ち上げた。
「キス…したい…」
そういうと、直也くんはゆっくり目を閉じた。
ほっぺたが今までみたことがないくらい、赤い。
かわいい。
可愛すぎる。
唇が、触れ合うその瞬間。
「なーあんちゃーん!」
ガションと不穏な音を立てて、食堂の戸が開けられた。
「うおおおおっ…」
慌てて離れた俺たちの間に、海人が飛び込んでくる。
「陸人が、僕のプリン食べたー!」
泣きながら直也くんの胸に縋った。
「ああー!海、言いつけんなよ!」
陸人が部屋に飛び込んできて、海人の頭を小突く。
「やあああっ!やめろおお!」
頭の上でぶんぶん手を振り回しながら、海人がわんわん泣く。
「てめえらうるせぇんだよ!」
優也まで食堂に乱入してくる。
ああ…もう…
食堂の畳の上でバタバタとじゃれあう兄弟を、俺は呆然と眺めた。
なぜだか、笑いがこみ上げてきた。
「な、何笑ってんのさ!秋津さん!」
優也がムキになって叫んでる。
ありがとう…
ありがとうな…
お前たちが居てくれたから、俺、生きている。
まだこころの目、開いてないけど…
でも、俺…
なんで生きているのか、わかったよ。
「直也…」
「え…?」
「ずっと、一緒に居ような…」
襟足まで真っ赤になる直也くんを見て、俺は満足した。
「ああー!秋津あんちゃん、秘密のお話、俺もー!」
「ずるい!駿あんちゃん、俺もー!」
「しょうがねえなあ…」
海人と陸人を抱き上げて、耳元で囁いた。
「海、陸、大好きだぞっ」
「わーい!俺もー!」
「俺も俺もー!」
「ちぇ、なんだよ…」
優也が直也くんの横で拗ねてる。
「優也も大好きだぞ!」
「えっ…ちょっ…やめてよぉ!」
真っ赤になりながら直也くんの背中に隠れた。
そのまま俺たちは、海鳴りの響く中、いつまでも食堂でじゃれあってた。
直也くんも、優也も、海人も、陸人も…
俺と一緒に笑ってる。
こんな美しい風景に、俺が入ってる…
俺もいつか、この美しい人たちのように…
精一杯、日々を生きていこう。
胸を張って…
俺という人間が生きてきた軌跡を誇れるように
【海鳴り・終】
遠くから、海鳴りの音が聴こえてくる。
俺の目の前にいる極上の…いや、綺麗な真剣な顔。
俺もそれに答えるべく、真剣な顔をした。
「直也くん…俺もだよ…?」
「駿さん…」
「あの時思ったこと、嘘じゃない」
「ほんとに…?」
「うん。ホント…だよ…?」
ぎゅっと握る手に力が入った。
「直也くんのこと…好きだ…」
「駿さんっ…」
直也くんが俺の胸に飛び込んできた。
ぎゅっと抱きしめて、直也くんの顎をくいっと持ち上げた。
「キス…したい…」
そういうと、直也くんはゆっくり目を閉じた。
ほっぺたが今までみたことがないくらい、赤い。
かわいい。
可愛すぎる。
唇が、触れ合うその瞬間。
「なーあんちゃーん!」
ガションと不穏な音を立てて、食堂の戸が開けられた。
「うおおおおっ…」
慌てて離れた俺たちの間に、海人が飛び込んでくる。
「陸人が、僕のプリン食べたー!」
泣きながら直也くんの胸に縋った。
「ああー!海、言いつけんなよ!」
陸人が部屋に飛び込んできて、海人の頭を小突く。
「やあああっ!やめろおお!」
頭の上でぶんぶん手を振り回しながら、海人がわんわん泣く。
「てめえらうるせぇんだよ!」
優也まで食堂に乱入してくる。
ああ…もう…
食堂の畳の上でバタバタとじゃれあう兄弟を、俺は呆然と眺めた。
なぜだか、笑いがこみ上げてきた。
「な、何笑ってんのさ!秋津さん!」
優也がムキになって叫んでる。
ありがとう…
ありがとうな…
お前たちが居てくれたから、俺、生きている。
まだこころの目、開いてないけど…
でも、俺…
なんで生きているのか、わかったよ。
「直也…」
「え…?」
「ずっと、一緒に居ような…」
襟足まで真っ赤になる直也くんを見て、俺は満足した。
「ああー!秋津あんちゃん、秘密のお話、俺もー!」
「ずるい!駿あんちゃん、俺もー!」
「しょうがねえなあ…」
海人と陸人を抱き上げて、耳元で囁いた。
「海、陸、大好きだぞっ」
「わーい!俺もー!」
「俺も俺もー!」
「ちぇ、なんだよ…」
優也が直也くんの横で拗ねてる。
「優也も大好きだぞ!」
「えっ…ちょっ…やめてよぉ!」
真っ赤になりながら直也くんの背中に隠れた。
そのまま俺たちは、海鳴りの響く中、いつまでも食堂でじゃれあってた。
直也くんも、優也も、海人も、陸人も…
俺と一緒に笑ってる。
こんな美しい風景に、俺が入ってる…
俺もいつか、この美しい人たちのように…
精一杯、日々を生きていこう。
胸を張って…
俺という人間が生きてきた軌跡を誇れるように
【海鳴り・終】
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