海鳴り

野瀬 さと

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暗くなるまで、待って?

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深夜2時

海鳴りを聞きながら起きる。
あけぼの荘の中は寝静まっている。
隣で眠ってる直也なおやくんを起こさないようにそっと寝床を出た。

台所に行くと、優也ゆうやが朝飯の支度をしていた。

「おはよ」
「おはよ。秋津あきつさん。今日は天気いいよ」
「そか」

お客さんが多い時は、漁は休んで民宿や釣り船のほうが忙しい。
今はシーズンオフで、漁に出る日のほうが多い。

「海、静かだな」
「天気がいいからね。船が扱いやすくっていいや」

お客さんもいないから、俺達の分と直也くんとチビどもの飯も一緒に作っておいて、俺達は先に食って家を出た。

「さあ、頑張ろうねぇ!」
「おお」

漁の準備をして、船を出す。
まだ日の昇らないうちに近海に出て、魚を取ってくるのが最近の日常だ。

今の時期はイサキ漁。
小さい船だから、大掛かりな漁ではないので二人で十分だった。

漁を終えて、漁協に魚を預けて帰ると、もう昼。

あけぼの荘に帰ると、直也くんがお昼ごはんを準備していた。

「おかえり!お風呂沸いてるから入ってきて!」
「ただいま。ありがとう」

優也の目を盗んで、そっと腰を抱き寄せてキスする。
直也くんは頬を染めて極上に笑う。

それだけで、漁の疲れなんか吹っ飛ぶんだ。

優也と直也くんと3人で厨房で昼飯を済ませてしまうと、あけぼの荘の中を掃除して回る。
最近、暖かくなってきたからそろそろ釣り船の営業も再開しようかって話で。
そしたら民宿も再開だから、家中掃除して回る必要があった。

チビどもが帰ってきたらそれどころじゃなくなるから、みんな必死だった。

「チビどもいつ帰ってくるんだっけ?」
「んー、今日は給食食べたら終わりのはずだから…もうそろそろ帰ってくるんじゃないかな。今日は学童ないし」

チビたちは、この春から小学校に通っている。
早いもので、ここに来てから2年の歳月が流れていた。

直也くんはあれから入院まですることはなかったけど、でも病気は治らないから、全くの健康ってわけじゃなくて…
時々寝込んだりもしてる。

それでもなんとか、家族で支え合って…


俺達は生きている。


掃除をある程度済ませて、網の補強を裏の作業場でする。
民宿の裏手には船が停泊できるようになっていて、海が近い。

潮風が温かくなってきているのを感じながら、優也とふたりで黙々と網を直していると、チビどもが帰ってきた。

「秋津あんちゃーん!ただいまー!」
駿しゅんあんちゃん!ただいまあー!」

チビどもは俺の周りに纏わりついて、ニヤニヤしている。

「おいっ!お前ら!実のにいちゃんにあいさつは!」
「あ、いたの~」
「いたんだ~」
「おまえらああ!」
「きゃー!怒った!」
「怒った怒ったー!」

バタバタと追っかけっこを始めるのを見て、昔見たネズミとネコのアニメを思い出した。
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