イケメン教師陵辱調教

リリーブルー

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第二十一章 麓戸の追憶(麓戸視点) 

麓戸、追憶から戻り、小坂と語る

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「麓戸さん?」
小坂の声が麓戸の意識を現在に呼び戻した。

「ああ、悪い。昔のことを思い出していた」
麓戸はコーヒーカップを手に取ってごくりと飲み干した。コーヒーは冷めきっていた。

「大丈夫ですか?」
心配そうに小坂が麓戸を見た。

「オデトに初めて会った時のことを思い出していたんだ」
麓戸は答えた。

「ああ、そうだったんですか」
小坂は困ったような顔をした。

「すまない。オデトは、そんなこと思い出したくなかったよな?」
麓戸は手を伸ばして小坂の頭を撫でた。

小坂はプイと頭をよけるようにした。
「そうでもないですよ」
挑戦的な目つき。
この目つきにやられるのだ。と麓戸は思う。

「僕だって、もう平気ですから。あんなこと。もう、なんとも思ってないです。あんなこと、なんともない」
小坂が繰り返し強がりを口にすればするほど痛々しくて麓戸は見ていられなかった。

 麓戸は小坂の側に行って、小坂を抱きしめてやった。
「無理するな。いつでも俺が側にいる。頼ってほしい。いつでも頼ってくれ。オデトの側にいてオデトの助けになりたいんだ」

 小坂は、麓戸の抱擁を居ごこち悪そうに振り解いた。
「麓戸さんは最初から、僕のことを助けてくれましたよね。どうして僕を見つけたんですか?」
小坂が挑むような目つきで麓戸を見た。

「最初の頃に話したよな? あのビルを買う予定で内部を見て回っている時に偶然、オデトを見かけたんだ」
話したはずだが、覚えていないのだろうか。小坂が混乱していた頃だから、よく聞いていなかったのかもしれない。余裕がなかったのかもしれない。

「僕が襲われているところを?」
詰問するように小坂が尋ねた。

「そうだよ。それで俺が警察に通報したんだ」
麓戸は事実を伝えた。
 小坂を助けたのは自分なのだと。恩を着せるつもりはなかった。だが、麓戸のことを疑っている小坂に、もう少し信頼してほしかった。信頼できる人を得られることで、小坂に、少しでも安心して楽になってほしかったからだ。

 すると小坂は、不快そうな顔になって、麓戸に言った。
「僕が襲われているのを黙って覗いていた?」


 そうきたか。
 麓戸は案に相違した小坂の反応に内心がっかりした。麓戸は説明した。
「違うよ。びっくりして動けなかっただけだ。そういうプレイかもしれないとも思った。それにしてもあんな場所ですることではなかったし」


 わかってくれただろうか。
 もっとしつこく責められるかと思ったが、小坂は案外すんなり引いた。
 その代わり、怯えたような表情になって、
「あの場所でよかった。他なら見つけてもらえなかった」
と、不安を口にした。


 麓戸も、
「見つけてよかった」
と、小坂が安心するように、同意して頷いてみせた。
 そして、
「もっと早く助けてやれればよかったと思う」
と、また非難されないように予防線を張った。実際、麓戸の後悔するところでもあった。
 後悔は、何度も、ちくちくと麓戸の胸を刺した。
「ただ状況が良く飲み込めなかったんだ。それに相手が大勢いたし。オーナーや店長が渋っていて」
麓戸は言い訳を言った。そう何度も自分で自分をなだめてきたのだ。

 小坂は、言い訳する麓戸を冷たい目で見ていた。
「そう。でも僕はその間、地獄のような時間でした。それは今も終わっていない」
小坂は麓戸を恨むような口調で言った。


「ああ、俺は言い訳ばかりしてる。オデトをもっと助けたいのに、どうしていいかわからないんだ」
麓戸は頭を抱えた。
「俺はオデトの望むようにできているだろうか?」
麓戸は問いかけた。
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