イケメン教師陵辱調教

リリーブルー

文字の大きさ
86 / 475
第六章 調教師とイケメン教師

イケメン教師、調教師に電話で誘惑される

しおりを挟む
 職員室に戻っても、もう誰もいない。小坂は、鞄を持って電気を消し、職員室をあとにした。
 教員用の昇降口で革靴に履き替えて、外へ出た。外は暗くなっていた。靴裏で砂利が踏みしめられ、ザクッザクッと軋んだ音を立てた。砂利は、小坂の足もとを不安定にし、歩みを妨げる。小坂は、開錠し、セダンに乗りこんだ。助手席に鞄を投げ出すと、ふうっとため息をついた。

 鞄から飛び出たスマホが、助手席で振動しているのに気づいた。手に取って見てみると、着信履歴が連なっていた。麓戸からだった。

 小坂は、あわてて折り返しの電話をした。数度の呼び出し音のあと、すぐに麓戸の声がした。
「何をしていた」

小坂は息を飲む。
「すみません。会議があって」
とっさに嘘を言った。

「すぐに来い。報告は、店で聞く」
あたりまえのように、麓戸は命ずる。

 小坂は、ためらいののちに、答えた。
「今日は、行けないんです。ちょっと、体調が悪くて」
あながち、嘘ではない。村田とも、校長ともしたのだ。

「どうした。やりすぎでアナルでもいためたか?」
嘲るような調子で麓戸が聞いてきた。

「そんなところです……」

「いい機会だ。今日は口淫だけでイかせよう」
小坂の答えを、麓戸は鼻で笑って、そう言った。

「いえ……」

「唇も腫れているのか? だったら、ニップルクリップでいためつけてやろう」

「それも……」

「イくのが嫌なのか。貴様はすでに、乳首だけでイく身体だからな」

「はい……」
小坂は、麓戸に調教しつくされていた。

「だったら、拘束して、鞭で撫でまわして焦らしてやるよ」

「いや……それも……」

「鞭がほしいと言いだすんだろうな」

「はい……」
がまんできるわけがなかった。

 麓戸とは、もう、会えないのだ。
「あの、麓戸さん……」
小坂は、思いきって告げた。
「生徒に、バレました……。僕が、麓戸さんの店を利用してることが……」

「なんだって」
麓戸は、何も、知らないようだった。

「生徒が、校長に告げ口して、僕は、校長から叱られました」

「それで、今日、来られないというんだな?」
小坂は、黙った。苦しかった。

「校長には、だいぶいためつけられたのか」
麓戸の声が聞いた。

「はい……」
結局、ほんとうのことを言わされていた。

「そうか。校長にやられて嬉しかったんだろう」
麓戸の声は笑っていたが、本当は怒っているのがわかった。

「違います……!」
小坂は即座に否定した。

「会議だなどと見えすいた嘘を言って。ついに、あの、変態校長とやったのか」

「ちがいます……」

「嘘を言っても無駄だ。動画の提出もしないで。今度会うときは、たっぷりお仕置きだ」

「お仕置き……ですか」
小坂は、つばを飲みこんだ。

「されたいんだろう」

「いえ……」
もう、望んではいけないことだった。

「それとも、甘いささやきでも、ほしくなったのか?」
電話の向こうで麓戸が皮肉な笑いを浮かべているのが想像できる。

「いいえ……」

「愛しているよ、愛出人……。愛出人に会いたくてたまらない。愛出人を思いきり喘がせてやりたい。なのに、会えないなんて」
受話口から聞こえる、麓戸の甘いささやきは、悪魔の誘惑だった。小坂は、よろめいた。

「すみません……」

「そうか、そんなに体調がよくないのか。心配だな……。大丈夫か?」

「はい……」

「愛出人は、一人暮らしだろう?」
麓戸の声は、いつになく優しかった。

「はい……」

「本当に具合が悪いようだったら、俺を呼ぶんだぞ」

小坂は麓戸に命を助けられたのだ。それからいつも、麓戸は小坂を気にかけてくれていた。ほかの男たちをも飼いながら、小坂は特別だと、麓戸は小坂に何度もささやいた。その言葉を小坂は信じたかった。
「わかってます」

「勝手に死ぬんじゃないぞ」
まるで、助けられたあの日のように、麓戸は言った。

「大丈夫です」
小坂は自分に言い聞かせるように答えた。

「心配だな……。ちゃんと食べてるのか?」
麓戸の声は、本当に小坂を思っているように聞こえた。疑いたくはなかった。

「職場に学食がありますから」
小坂は、麓戸の優しさに負けまいとした。

「夕飯は」

「食べなくても平気です」
小坂は強がった。

「平気じゃない。そんなんだから……。よし、飯でも行くか?」
麓戸は、フランクな調子で言った。

「え?」
小坂は驚いた。

「連れてってやる」
そんなことを言われたのは、麓戸と関係ができてから初めてのことだった。麓戸が食事に誘ってくれるだなんて。

「でも……」
信じられなかった。正直、嬉しかった。

「遠慮するな。新しい店だ。愛出人を連れていってやりたい」
いつも冷たい麓戸の声が、今日は明るく優しかった。そして、自分を店に連れていきたいと言うのだ。

「そうですか……」
心ひかれる誘いだが、ついさっき、校長と、もう麓戸とは会わないと約束したばかりなのだ……。

「今日は具合が悪いなら、明日でもいい。明日だったら、来れそうか?」
麓戸が、小坂を気づかうように聞くのも珍しかった。

「それが……」
言葉を濁してばかりの小坂に、業を煮やしたように、麓戸は聞いた。

「校長に、俺と会うなと言われたのか?」

「はい……」
結局、小坂は、麓戸に、正直なところを、全て答えさせられていた。

 麓戸の舌打ちが聞こえた。麓戸の苦虫を噛み潰したような表情が目に浮かぶ。
「そうか。そういうことか」
麓戸が、深いため息をついた。沈鬱な沈黙が続いた。
「つまり、『俺とは、もう会わない。別れる』ということだな?」
それなら仕方ない。麓戸がそう言って電話を切る気配がした。

 小坂は追いすがった。
「……麓戸さん……! 僕は……僕は、やっぱり、麓戸さんに、もう一度、会いたいです……!」
麓戸と、もう会わないなど、やっぱり、無理だと思った。せめてもう一度だけ。

あらざらん この世のほかの思い出に 今ひとたびの あうこともがな

 電話は、切れていた。

今はただ 思い耐えなん とばかりを 人づてならで 言うよしもがな

 今なら、まだ間に合う。もう後悔したくなかった。ただ、会って、別れの言葉を告げるだけ……。それだけでいいから……。せめて、それだけ。それくらい、許されるはずだ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

お兄ちゃん大好きな弟の日常

ミクリ21
BL
僕の朝は早い。 お兄ちゃんを愛するために、早起きは絶対だ。 睡眠時間?ナニソレ美味しいの?

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

処理中です...