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第六章 調教師とイケメン教師
イケメン教師、調教師に校長の秘密を聞かされる
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呼び鈴を押すと、麓戸の店の無機質なドアが内側から、ゆっくりと開かれた。
「来たのか。ここに来たら、だめだと言われたのだろう?」
麓戸の瞳が、小坂の気持ちを確かめるように、じっと小坂を見つめ返していた。
「はい。でも……」
来てしまった……。来てしまったのだ。
「来たかったのか?」
麓戸は、視線で小坂をとらえたまま聞いた。
「はい」
麓戸が、黙って小坂の背を抱いた。これを、望んでいたのだ、と小坂は思う。
「今日は、帰りなさい」
麓戸は小坂の身体を放して静かに言った。
小坂は、帰ろうとしなかった。
麓戸は、動こうとしない小坂を見て、ため息をついた。
「愛出人は、校長のことが好きだったんだろう?」
校長を、好きだなどと、麓戸に言った覚えはない。小坂は、顔を熱くした。
「昔から、好きだったんだろう? 神崎のことを」
小坂は、麓戸の顔を、まじまじと見返した。神崎という名が、麓戸の口から出たことに、小坂は驚きを隠せなかった。今まで、その名を、麓戸に告げたことはなかったのだ。なのに、なぜ。
「神崎先生を、知っているんですか?」
小坂は性急に問い返した。
「ああ。言わなかったか?」
小坂は、麓戸のことを、何も知ってはいなかった。
麓戸は、小坂を店内に招き入れ、椅子に座らせた。
「神崎の秘密を知っているか?」
麓戸は、落ち着かなさげに店内を歩きまわった。
小坂は、麓戸の姿を目で追って、答えた。
「実は、男が好き、とか?」
小坂の答えに、麓戸は、笑った。
「さんざん抱かれておいて、今さら、何を言っているんだ」
「それも、そうですね……」
小坂は、麓戸に笑われて、恥ずかしくなってそう応じた。だが、小坂にとっては、あたりまえのことではなかったのだ。
なにしろ、神崎校長には、れっきとした、きちんとした、正式な妻子がいる。神崎先生は、威風堂々とした立派な尊敬すべき男の中の男なのだ。
それに、神崎先生は、かつて、小坂の高校時代、はっきりと、自分を拒んだのだから。
たぶん、校長となった今の神崎先生は、自分を利用しているのだろう、と小坂は思っていた。男として、もう一度、自分に自信をつけるため、だとか、そんな理由で。男らしく、いつも自信たっぷりの校長のことだ。それに彼は、自慢の美人妻をもった愛妻家だ。夫婦生活ができないことを、残念に思っていて、なんとか復活したいと考えているのだろう。
小坂は、腹心の部下だから、弱みも見せて、小坂を利用するのだろう。小坂は、そんな風に思っていた。
麓戸が、重そうに、口を開いた。
「生徒が二人、死んでいるんだよ」
「え?」
そういえば、高校時代、そんな噂を耳にしたことがあった。そんなうわさ、嘘だと思っていた。
「まあ、そのことは、今日、話すつもりはない」
麓戸は、口を閉じた。
「来たのか。ここに来たら、だめだと言われたのだろう?」
麓戸の瞳が、小坂の気持ちを確かめるように、じっと小坂を見つめ返していた。
「はい。でも……」
来てしまった……。来てしまったのだ。
「来たかったのか?」
麓戸は、視線で小坂をとらえたまま聞いた。
「はい」
麓戸が、黙って小坂の背を抱いた。これを、望んでいたのだ、と小坂は思う。
「今日は、帰りなさい」
麓戸は小坂の身体を放して静かに言った。
小坂は、帰ろうとしなかった。
麓戸は、動こうとしない小坂を見て、ため息をついた。
「愛出人は、校長のことが好きだったんだろう?」
校長を、好きだなどと、麓戸に言った覚えはない。小坂は、顔を熱くした。
「昔から、好きだったんだろう? 神崎のことを」
小坂は、麓戸の顔を、まじまじと見返した。神崎という名が、麓戸の口から出たことに、小坂は驚きを隠せなかった。今まで、その名を、麓戸に告げたことはなかったのだ。なのに、なぜ。
「神崎先生を、知っているんですか?」
小坂は性急に問い返した。
「ああ。言わなかったか?」
小坂は、麓戸のことを、何も知ってはいなかった。
麓戸は、小坂を店内に招き入れ、椅子に座らせた。
「神崎の秘密を知っているか?」
麓戸は、落ち着かなさげに店内を歩きまわった。
小坂は、麓戸の姿を目で追って、答えた。
「実は、男が好き、とか?」
小坂の答えに、麓戸は、笑った。
「さんざん抱かれておいて、今さら、何を言っているんだ」
「それも、そうですね……」
小坂は、麓戸に笑われて、恥ずかしくなってそう応じた。だが、小坂にとっては、あたりまえのことではなかったのだ。
なにしろ、神崎校長には、れっきとした、きちんとした、正式な妻子がいる。神崎先生は、威風堂々とした立派な尊敬すべき男の中の男なのだ。
それに、神崎先生は、かつて、小坂の高校時代、はっきりと、自分を拒んだのだから。
たぶん、校長となった今の神崎先生は、自分を利用しているのだろう、と小坂は思っていた。男として、もう一度、自分に自信をつけるため、だとか、そんな理由で。男らしく、いつも自信たっぷりの校長のことだ。それに彼は、自慢の美人妻をもった愛妻家だ。夫婦生活ができないことを、残念に思っていて、なんとか復活したいと考えているのだろう。
小坂は、腹心の部下だから、弱みも見せて、小坂を利用するのだろう。小坂は、そんな風に思っていた。
麓戸が、重そうに、口を開いた。
「生徒が二人、死んでいるんだよ」
「え?」
そういえば、高校時代、そんな噂を耳にしたことがあった。そんなうわさ、嘘だと思っていた。
「まあ、そのことは、今日、話すつもりはない」
麓戸は、口を閉じた。
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