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第七章 第二の問題
イケメン教師、生徒に買春容疑をかけられ校長に笑われる
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校長は、じっと宮本の目を見て聞いた。
「昨日の話にでてきた、君の友人というのは、村田悪照のことだろう」
昨日、宮本は、友人が持っていた動画がどうのと言っていた。
「はい……」
宮本は、村田だと返事をするのに、躊躇するようすだった。
「昨日、彼、校長室に呼び出されていましたよね」
宮本は、観念したように、答えた。
「ああ、そうだね」
校長は、何もかも知っているというように、うなずいて見せた。そして、
「よく、話してくれた」
と宮本をねぎらった。
校長は、テーブルごしに、腕をのばして、宮本の肩をたたいた。前かがみになって、うつむいていた宮本は、身体を、びくっとさせた。
校長は、宮本を見て、口を開いた。
「では、いよいよ、二つ目の問題に移ろう」
宮本は、顔をあげた。緊張した顔つきだった。
「君のうったえによると、小坂先生が、生徒と関係しているという話だったな」
宮本の手は自分の膝がしらをつかみ、目は、じいっと、校長の口もとを見ていた。
「その生徒というのも、村田悪照のことか?」
校長の問いに、宮本は、答えた。
「そうです……」
宮本の、のどもとが動いた。宮本の手が、膝をつかんで制服にしわがよった。
宮本は、小坂の方を見ることは、なかった。
「そして、小坂先生が、村田悪照の保護者……と?」
校長は、テーブルの上に置いた報告書を手でめくって、目だけ宮本の顔を見て聞いた。
小坂は、緊張で胃がひきつるのを感じた。小坂は、報告書の中身は見せてもらっていなかった。
「はい、金銭的な関係にあるようです」
宮本は、身体をこわばらせたまま、答えた。
「つまり?」
校長が、先をうながした。
「お金を渡す代わりに……」
宮本は、言いにくそうにした。目をふせて、ちらっと小坂の、ひざのあたりに視線を走らせた。小坂のようすをうかがっているようだった。
小坂は、ひざの上で、こぶしを握りしめた。
校長が、宮本のことばを、引きついだ。
「小坂君が、買春をしていると」
校長のことばに宮本がうなずいた。
「買う方の」
校長は、たたみかけるようにたずねた。
「村田君から聞いた話によると、そのようです」
校長に確認されて、だんだん自信なさげになってきた宮本が、答えた。宮本の答えに、校長は、ついにというように、笑い出した。
「それは面白いね」
校長は、がまんしきれない、といったふうに笑った。
「いや、すまない、笑ったりして」
と宮本に謝っていたが、宮本は、下を向いて、怒ったように、口をとがらせて、顔を赤くしていた。
「だって、小坂君にそんな甲斐性があったなんてねえ」
校長は、ソファの背もたれに腕をかけて、小坂を振り返った。
「先生、つつしんでください。不謹慎です」
小坂は、校長の笑いをたしなめた。
「君、自分の非行を指摘されたわりには、いやに冷静だな。なにか言いたいことはないのか」
校長が、ニヤつきながら小坂に聞いた。
「ありますが、まずは宮本君の意見を聞きましょう」
小坂は、宮本の手前、つとめて冷静に答えた。
だが、校長は、くすくす笑いをやめてくれなかった。よほど、その話題が気に入ったのか、いつまでも、話題を引っ張る。
「小坂君が売る方の売春をしているというなら話は、わかるが」
校長は、ニヤニヤと嬉しそうに小坂を見て言った。
「いかにも、その方が、君に、似合うじゃないか」
「校長……!」
小坂は、校長を横目でにらんだ。
「昨日の話にでてきた、君の友人というのは、村田悪照のことだろう」
昨日、宮本は、友人が持っていた動画がどうのと言っていた。
「はい……」
宮本は、村田だと返事をするのに、躊躇するようすだった。
「昨日、彼、校長室に呼び出されていましたよね」
宮本は、観念したように、答えた。
「ああ、そうだね」
校長は、何もかも知っているというように、うなずいて見せた。そして、
「よく、話してくれた」
と宮本をねぎらった。
校長は、テーブルごしに、腕をのばして、宮本の肩をたたいた。前かがみになって、うつむいていた宮本は、身体を、びくっとさせた。
校長は、宮本を見て、口を開いた。
「では、いよいよ、二つ目の問題に移ろう」
宮本は、顔をあげた。緊張した顔つきだった。
「君のうったえによると、小坂先生が、生徒と関係しているという話だったな」
宮本の手は自分の膝がしらをつかみ、目は、じいっと、校長の口もとを見ていた。
「その生徒というのも、村田悪照のことか?」
校長の問いに、宮本は、答えた。
「そうです……」
宮本の、のどもとが動いた。宮本の手が、膝をつかんで制服にしわがよった。
宮本は、小坂の方を見ることは、なかった。
「そして、小坂先生が、村田悪照の保護者……と?」
校長は、テーブルの上に置いた報告書を手でめくって、目だけ宮本の顔を見て聞いた。
小坂は、緊張で胃がひきつるのを感じた。小坂は、報告書の中身は見せてもらっていなかった。
「はい、金銭的な関係にあるようです」
宮本は、身体をこわばらせたまま、答えた。
「つまり?」
校長が、先をうながした。
「お金を渡す代わりに……」
宮本は、言いにくそうにした。目をふせて、ちらっと小坂の、ひざのあたりに視線を走らせた。小坂のようすをうかがっているようだった。
小坂は、ひざの上で、こぶしを握りしめた。
校長が、宮本のことばを、引きついだ。
「小坂君が、買春をしていると」
校長のことばに宮本がうなずいた。
「買う方の」
校長は、たたみかけるようにたずねた。
「村田君から聞いた話によると、そのようです」
校長に確認されて、だんだん自信なさげになってきた宮本が、答えた。宮本の答えに、校長は、ついにというように、笑い出した。
「それは面白いね」
校長は、がまんしきれない、といったふうに笑った。
「いや、すまない、笑ったりして」
と宮本に謝っていたが、宮本は、下を向いて、怒ったように、口をとがらせて、顔を赤くしていた。
「だって、小坂君にそんな甲斐性があったなんてねえ」
校長は、ソファの背もたれに腕をかけて、小坂を振り返った。
「先生、つつしんでください。不謹慎です」
小坂は、校長の笑いをたしなめた。
「君、自分の非行を指摘されたわりには、いやに冷静だな。なにか言いたいことはないのか」
校長が、ニヤつきながら小坂に聞いた。
「ありますが、まずは宮本君の意見を聞きましょう」
小坂は、宮本の手前、つとめて冷静に答えた。
だが、校長は、くすくす笑いをやめてくれなかった。よほど、その話題が気に入ったのか、いつまでも、話題を引っ張る。
「小坂君が売る方の売春をしているというなら話は、わかるが」
校長は、ニヤニヤと嬉しそうに小坂を見て言った。
「いかにも、その方が、君に、似合うじゃないか」
「校長……!」
小坂は、校長を横目でにらんだ。
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