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「……それは、つまり君は、その」
マーガレットはゴクリと唾を飲む。
アレクサンダーは非常に困惑した様子で、聞いた話を頭の中で咀嚼しているようだった。真面目で、理知的で、頭のいい男である。荒唐無稽なこの話をきちんと理解しようとしているのはマーガレットにもわかった。
その上で彼がどう思うかは、やはり答えを聞くまで緊張する。
ほとんど全てを打ち明けた。
以前のマーガレットがどんな人間だったのかも、彼に死の運命が待ち受けているかもしれないことも。
ただ、恋心の部分だけを省いて。
アレクサンダーとハンナには幸せになって欲しいけれど、これを他人が告げるのは違う気がしたから。
「今回の事件でも……僕がハンナと踊ったせいで、君が疑われることになったんだな」
「アレクは悪くないわ。貴方はハンナを助けただけ。船でのことで前科があると思われているのに、怪しい行動を取ったわたくしに非があるのだから」
「それにしたって、僕は滑稽に踊らされすぎているよ」
「わたくしだってそうですわ」
「本当に、すまなかった。何と謝ればいいか」
「もう謝らないで。貴方は以前のわたくしが、どんなに横暴でわがままなやつだったか、きちんと想像できていないのよ」
「それにしたって、二度も死を経験しなければならないほどの悪人ではなかったはずだ」
「まぁ、そこに関しては大いに理不尽ですわね。でも貴方も理不尽に死んでいますから」
「僕は覚えていないし。君の恐怖とは比べ物にならないだろう」
「まぁそこは……忘れられていて幸せよ、貴方は」
マーガレットはニコリと笑う。かのアレクサンダーにマウントが取れて、少し楽しいのだ。
「強いなぁ、君は」
「伊達に長生きはしていませんから」
「あぁそうか、君は全ての人生を合わせると五十……」
「いいえ! お黙りなさい!」
即座に計算するアレクサンダーに、マーガレットは食い気味で迫る。
「わたくし、若い時代しか体験しておりませんの。ですからまだ若者よ。よろしくて? 次にそれを言ったら、王太子殿下でも踏んづけますわよ!」
マーガレットはお得意のきつい顔で、アレクサンダーに警告する。
「……承知した。レディーに年齢の話はタブーだな」
「タブーも何も、わたくしと貴方は同級よ」
何とか収まった様子のマーガレットを見て、アレクサンダーは目を細める。
「今の僕は、横暴でわがままな君も、可愛らしく見えるのになぁ」
「なっ……!」
しみじみと言うアレクサンダー。天然凶器の発動である。マーガレットは一瞬で顔が真っ赤に変わる。
「……敵いませんわね、アレクには」
平静を装おうと、後ろ髪をかきあげるが、心臓はバクバクと音を立てているマーガレットであった。
***
「ギル! 足は平気!?」
「ギル様!」
次の日も変わらず校門前で待っていたギルバートに、マーガレットとハンナが駆け寄る。
昨日の事件で有名人なのか、周りには人だかりができている。
しかし、マーガレットが近づくと途端に遠巻きになる。散れ、というオーラが出ているのだ。
「平気じゃないですよ。めちゃくちゃ痛かったです。こう、傷口を針で縫うのは」
針を持つ仕草をしてクルクルと手を回しながらギルバートが説明する。
ひっ、とハンナが青ざめた。
「痛み止めや麻酔はないのかしら。……傷がふさがってから、糸を抜くのがまた痛そうよね」
「うえ。今から想像させないでくださいよ」
二度も死んで痛みに慣れているマーガレットである。どれだけ痛いかよりむしろ、この世界の治療方法の方に興味がある。
「やはり、私が治しておくべきでした」
「駄目よ」
「駄目ですよ」
マーガレットとギルバートが同時に言う。
「まぁ、安静にしてたらすぐ治るみたいですんで、俺のことはご心配なく。今日は俺だけ事情聴取があるみたいなんで、お嬢様を送ったら行きます」
「そう。ではその後に、わたくしとも話しましょう。あなたに聞きたいことがありますの」
マーガレットがギルバートを睨みつけるように見ると、彼は一瞬ハンナへ目線を向けた。
「ごめんなさ、」
「いや、わかってます」
謝ろうとするハンナを静止して、ギルバートは言った。
「俺がナタリー様となぜ踊ったかですよね。お嬢様にはお話しますよ、のちほど」
ギルバートはそう言って、分かれ道で去って行った。
***
『愛する魔女を守りたいのだろう? 呪いの子よ』
ハンナに耳打ちされた内容である。
授業終わりに色んな人間をかき分けながら、ギルバートを捕まえに行ったマーガレット。
いつもの中庭で、話を聞く。
「何なのよ、呪いの子って」
「……俺のことですよ」
ヤケクソ気味に、ギルバートが答えた。
「そんな呼ばれ方、初耳ですわ」
「そりゃあそうです。母さんの故郷の話ですし。俺たち家族には、もうほとんど関係ない事ですから」
「お母様の故郷? 確か……」
「クロノスより少し東にある、ルルストラです」
「ルルストラ国……。エキゾチックで、謎めいた印象の国ですわね。よく知りませんけれど」
マーガレットは学園で習うことと、王妃教育で習っていた以上の知識は無い。双方であまり重視されない国のことは、正直よく分からなかった。
「マイナーな国家ですよ。対外的には、天然石が豊富に採れるのが特徴ですかね……。この国みたいな貴族の代わりに、シャーマンが権力を持ってます」
「シャーマン?」
響きが怪盗の名前に似ていて、少し反応するマーガレット。立花メグの知識として、小説や漫画なんかでも聞いたことのあるものだが、定義ははっきりしない。
「まじない師ですね。ほとんどが占いとか、祈祷とか、そういうことをするみたいなんですけど、時々神の加護を受けた者がいます」
「ハンナみたいな?」
「そうですね。あそこまで強力で便利な力は聞いたことがないですが、その代わりこの国ほど珍しくは無い、という感じです」
「なるほど。興味深い国だわ!」
ワクワクする話である。マーガレットはクロノスから出たことがないが、いつかは行ってみたいと思ってしまう。
「で、母さんはその、元シャーマンで」
「あぁ。なんだか納得できますわ。夫人はミステリアスな雰囲気がありますもの」
「俺はその子供なので」
「うん」
「呪いの子です」
「うん?」
「以上です」
「…………ん?」
話を終わらそうとするギルバートに、マーガレットが頭を抱える。
「いえいえ、全然分からなかったわ。端折りすぎよ」
「あんまり詳しく話したくないんですが」
「駄目よ。話しなさい」
「ざっくりでもいいですか」
「内容によるわ」
「……母さんの力は、生まれた子供にちょっとした祝福を授けるものなんですが」
「あら素敵」
「代償が、術者がこれから生む子供に向くもので。生まれないと祝福された子に災いが起きます。まぁ、高貴な身分の方が生まれた時に、使ったみたいなんですよね。で、その代償を受けた子供を、ルルストラでは呪いの子、と呼ぶらしいです」
「それって、ギルや、その兄弟たちに?」
「いえそれが、なかなか発現しなかったらしくて。貧しい俺の家が子沢山なのは、両親が仲が良いと言うだけでなく、それが理由ですね。最も、発現した俺の後で弟も生まれてますから、仲は良いんですけど」
「……知らなかったわ。それってどんな代償?」
「大したことないです。普通に生きて行く分には、まぁ少し面倒なことがあるくらいですね」
「そんなわけないでしょう。貴方が言いましたのよ。代償は、軽くないと」
「自分の業が子供に行くんです。母さんにとってはかなり重たい代償みたいですよ」
「あぁ。それは確かに、そうかもしれませんわね……」
「なので、俺自身になにか特別な力があるとかはないんですよ。母さんも、もう力を失ってます」
「で、どんな代償ですの?」
「聞きますそれ?」
「当たり前よ」
ギルバートは、観念したように頭をかいた。
「……夜が更けると、強制的に寝てしまうんですよ。それだけです」
「……本当に?」
マーガレットは疑いの目線を向ける。
「なにか?」
「ギルが、夜な夜な抜け出しているという噂があるのですけれど?」
「なんですかそれ。知りませんよ」
「大丈夫? 夢遊病とか発症してませんこと?」
「少なくとも朝はベッドで目覚めてますよ」
釈然としないマーガレットであったが、これ以上聞いても本当に知らないか、はぐらかされるだけだろうと思う。
「……今まで、言ってくれたら良かったですのに」
「呪いの件はあまり人に話すなと、母さんに言われているので。祖国では迫害を受けるらしいです」
「なるほど。それでお母様はこちらに嫁いできたのかしらね」
「そうみたいですね」
「……全然気づきませんでしたわ。ギルのおうちも複雑でしたのね」
「でも、それだけなので。カイロスの姫様が気にするようなことは何も」
「ナタリー様の言動は不審よね……。では、“愛する魔女”と言うのは」
「母さんのことか、或いは……」
ギルバートはマーガレットを見た。
「愛する……?」
マーガレットはつい頬が赤くなる。
「お嬢様の事だとしたら、かなりキナ臭いと思いまして。……そもそも、あの死体は」
「あ。その話、もう1人混じえてお話しましょう」
「もう1人?」
「アレクですわ」
「あ」
ギルバートはぽかんと口を開けた。
「……あー、打ち明けたんですか? 殿下に?」
「ええ。舞踏会の後に、お話を」
「あー……。そう、ですか……」
ギルバートは歯切れ悪く言いながら、口元に手を当てた。
「……信じて貰えました?」
「うん」
「それは良かったです」
マーガレットから目線を逸らし、ギルバートはほんの少しだけ、目を細めた。
マーガレットはゴクリと唾を飲む。
アレクサンダーは非常に困惑した様子で、聞いた話を頭の中で咀嚼しているようだった。真面目で、理知的で、頭のいい男である。荒唐無稽なこの話をきちんと理解しようとしているのはマーガレットにもわかった。
その上で彼がどう思うかは、やはり答えを聞くまで緊張する。
ほとんど全てを打ち明けた。
以前のマーガレットがどんな人間だったのかも、彼に死の運命が待ち受けているかもしれないことも。
ただ、恋心の部分だけを省いて。
アレクサンダーとハンナには幸せになって欲しいけれど、これを他人が告げるのは違う気がしたから。
「今回の事件でも……僕がハンナと踊ったせいで、君が疑われることになったんだな」
「アレクは悪くないわ。貴方はハンナを助けただけ。船でのことで前科があると思われているのに、怪しい行動を取ったわたくしに非があるのだから」
「それにしたって、僕は滑稽に踊らされすぎているよ」
「わたくしだってそうですわ」
「本当に、すまなかった。何と謝ればいいか」
「もう謝らないで。貴方は以前のわたくしが、どんなに横暴でわがままなやつだったか、きちんと想像できていないのよ」
「それにしたって、二度も死を経験しなければならないほどの悪人ではなかったはずだ」
「まぁ、そこに関しては大いに理不尽ですわね。でも貴方も理不尽に死んでいますから」
「僕は覚えていないし。君の恐怖とは比べ物にならないだろう」
「まぁそこは……忘れられていて幸せよ、貴方は」
マーガレットはニコリと笑う。かのアレクサンダーにマウントが取れて、少し楽しいのだ。
「強いなぁ、君は」
「伊達に長生きはしていませんから」
「あぁそうか、君は全ての人生を合わせると五十……」
「いいえ! お黙りなさい!」
即座に計算するアレクサンダーに、マーガレットは食い気味で迫る。
「わたくし、若い時代しか体験しておりませんの。ですからまだ若者よ。よろしくて? 次にそれを言ったら、王太子殿下でも踏んづけますわよ!」
マーガレットはお得意のきつい顔で、アレクサンダーに警告する。
「……承知した。レディーに年齢の話はタブーだな」
「タブーも何も、わたくしと貴方は同級よ」
何とか収まった様子のマーガレットを見て、アレクサンダーは目を細める。
「今の僕は、横暴でわがままな君も、可愛らしく見えるのになぁ」
「なっ……!」
しみじみと言うアレクサンダー。天然凶器の発動である。マーガレットは一瞬で顔が真っ赤に変わる。
「……敵いませんわね、アレクには」
平静を装おうと、後ろ髪をかきあげるが、心臓はバクバクと音を立てているマーガレットであった。
***
「ギル! 足は平気!?」
「ギル様!」
次の日も変わらず校門前で待っていたギルバートに、マーガレットとハンナが駆け寄る。
昨日の事件で有名人なのか、周りには人だかりができている。
しかし、マーガレットが近づくと途端に遠巻きになる。散れ、というオーラが出ているのだ。
「平気じゃないですよ。めちゃくちゃ痛かったです。こう、傷口を針で縫うのは」
針を持つ仕草をしてクルクルと手を回しながらギルバートが説明する。
ひっ、とハンナが青ざめた。
「痛み止めや麻酔はないのかしら。……傷がふさがってから、糸を抜くのがまた痛そうよね」
「うえ。今から想像させないでくださいよ」
二度も死んで痛みに慣れているマーガレットである。どれだけ痛いかよりむしろ、この世界の治療方法の方に興味がある。
「やはり、私が治しておくべきでした」
「駄目よ」
「駄目ですよ」
マーガレットとギルバートが同時に言う。
「まぁ、安静にしてたらすぐ治るみたいですんで、俺のことはご心配なく。今日は俺だけ事情聴取があるみたいなんで、お嬢様を送ったら行きます」
「そう。ではその後に、わたくしとも話しましょう。あなたに聞きたいことがありますの」
マーガレットがギルバートを睨みつけるように見ると、彼は一瞬ハンナへ目線を向けた。
「ごめんなさ、」
「いや、わかってます」
謝ろうとするハンナを静止して、ギルバートは言った。
「俺がナタリー様となぜ踊ったかですよね。お嬢様にはお話しますよ、のちほど」
ギルバートはそう言って、分かれ道で去って行った。
***
『愛する魔女を守りたいのだろう? 呪いの子よ』
ハンナに耳打ちされた内容である。
授業終わりに色んな人間をかき分けながら、ギルバートを捕まえに行ったマーガレット。
いつもの中庭で、話を聞く。
「何なのよ、呪いの子って」
「……俺のことですよ」
ヤケクソ気味に、ギルバートが答えた。
「そんな呼ばれ方、初耳ですわ」
「そりゃあそうです。母さんの故郷の話ですし。俺たち家族には、もうほとんど関係ない事ですから」
「お母様の故郷? 確か……」
「クロノスより少し東にある、ルルストラです」
「ルルストラ国……。エキゾチックで、謎めいた印象の国ですわね。よく知りませんけれど」
マーガレットは学園で習うことと、王妃教育で習っていた以上の知識は無い。双方であまり重視されない国のことは、正直よく分からなかった。
「マイナーな国家ですよ。対外的には、天然石が豊富に採れるのが特徴ですかね……。この国みたいな貴族の代わりに、シャーマンが権力を持ってます」
「シャーマン?」
響きが怪盗の名前に似ていて、少し反応するマーガレット。立花メグの知識として、小説や漫画なんかでも聞いたことのあるものだが、定義ははっきりしない。
「まじない師ですね。ほとんどが占いとか、祈祷とか、そういうことをするみたいなんですけど、時々神の加護を受けた者がいます」
「ハンナみたいな?」
「そうですね。あそこまで強力で便利な力は聞いたことがないですが、その代わりこの国ほど珍しくは無い、という感じです」
「なるほど。興味深い国だわ!」
ワクワクする話である。マーガレットはクロノスから出たことがないが、いつかは行ってみたいと思ってしまう。
「で、母さんはその、元シャーマンで」
「あぁ。なんだか納得できますわ。夫人はミステリアスな雰囲気がありますもの」
「俺はその子供なので」
「うん」
「呪いの子です」
「うん?」
「以上です」
「…………ん?」
話を終わらそうとするギルバートに、マーガレットが頭を抱える。
「いえいえ、全然分からなかったわ。端折りすぎよ」
「あんまり詳しく話したくないんですが」
「駄目よ。話しなさい」
「ざっくりでもいいですか」
「内容によるわ」
「……母さんの力は、生まれた子供にちょっとした祝福を授けるものなんですが」
「あら素敵」
「代償が、術者がこれから生む子供に向くもので。生まれないと祝福された子に災いが起きます。まぁ、高貴な身分の方が生まれた時に、使ったみたいなんですよね。で、その代償を受けた子供を、ルルストラでは呪いの子、と呼ぶらしいです」
「それって、ギルや、その兄弟たちに?」
「いえそれが、なかなか発現しなかったらしくて。貧しい俺の家が子沢山なのは、両親が仲が良いと言うだけでなく、それが理由ですね。最も、発現した俺の後で弟も生まれてますから、仲は良いんですけど」
「……知らなかったわ。それってどんな代償?」
「大したことないです。普通に生きて行く分には、まぁ少し面倒なことがあるくらいですね」
「そんなわけないでしょう。貴方が言いましたのよ。代償は、軽くないと」
「自分の業が子供に行くんです。母さんにとってはかなり重たい代償みたいですよ」
「あぁ。それは確かに、そうかもしれませんわね……」
「なので、俺自身になにか特別な力があるとかはないんですよ。母さんも、もう力を失ってます」
「で、どんな代償ですの?」
「聞きますそれ?」
「当たり前よ」
ギルバートは、観念したように頭をかいた。
「……夜が更けると、強制的に寝てしまうんですよ。それだけです」
「……本当に?」
マーガレットは疑いの目線を向ける。
「なにか?」
「ギルが、夜な夜な抜け出しているという噂があるのですけれど?」
「なんですかそれ。知りませんよ」
「大丈夫? 夢遊病とか発症してませんこと?」
「少なくとも朝はベッドで目覚めてますよ」
釈然としないマーガレットであったが、これ以上聞いても本当に知らないか、はぐらかされるだけだろうと思う。
「……今まで、言ってくれたら良かったですのに」
「呪いの件はあまり人に話すなと、母さんに言われているので。祖国では迫害を受けるらしいです」
「なるほど。それでお母様はこちらに嫁いできたのかしらね」
「そうみたいですね」
「……全然気づきませんでしたわ。ギルのおうちも複雑でしたのね」
「でも、それだけなので。カイロスの姫様が気にするようなことは何も」
「ナタリー様の言動は不審よね……。では、“愛する魔女”と言うのは」
「母さんのことか、或いは……」
ギルバートはマーガレットを見た。
「愛する……?」
マーガレットはつい頬が赤くなる。
「お嬢様の事だとしたら、かなりキナ臭いと思いまして。……そもそも、あの死体は」
「あ。その話、もう1人混じえてお話しましょう」
「もう1人?」
「アレクですわ」
「あ」
ギルバートはぽかんと口を開けた。
「……あー、打ち明けたんですか? 殿下に?」
「ええ。舞踏会の後に、お話を」
「あー……。そう、ですか……」
ギルバートは歯切れ悪く言いながら、口元に手を当てた。
「……信じて貰えました?」
「うん」
「それは良かったです」
マーガレットから目線を逸らし、ギルバートはほんの少しだけ、目を細めた。
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