瞳の奥に潜む野獣 

果汁さん

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 長い行列を並ぶ三人と一匹。
 高台から見下ろす饅頭の屋台『不死鳥の真心の湯店』は繁盛している。ユグドラ、駅の名だ。『白虎の都』にも線路があり列車が運行している。貴乃里の受付嬢も此処から降りてきている。東に一回と西に二回か。順路はその時の流れで違う。線路がない線路なのだ。
 魔航路、世界的に有名なバッハ マルケントン伯爵が魔力の組み込みにより魔順路を開発し転移しながら発車できるという。
 駅は変わらないが線路は順路による。白虎の都、最高峰インディア王国その他諸々。
 魔力が滑る開発は多くの技術者が蔓延りルクシーヌ王国はその中で飛び級で高い評価を持っている。伯爵家代々から継がれる焜炉はその線路を順路を補っている。魔焜炉は抜殻なしには、、、。
「しかし、並ぶよな」
「不死鳥の饅頭、、、まだかな」
 大通りの有楽町、その上位互換に並ぶアキルノ シエバシは饅頭の店が並ぶ。
 ルクシーヌ王国の魔焜炉開発によって世界の均衡の7割が維持されている。大国だ。
「野獣の毛皮暖かそうね」
「今は人間だ、誤解を招く言葉には気をつけろ」
「はい、そんなのは私だってね」
「、、、気づいてない?」
 バモスの姿は青年に変わったのに気づかない。
「バモスはなんで居ないんだよ」
「此処にいるって!」
「あれ、青年バモス」
「驚く?」
 受付嬢マリアは驚いた。
「野獣はバモスもだよ」
「そう、野獣は多すぎるのよ」
「確かに多いよな、少々話題が危険だから『防音魔法』を付けといた。隠蔽の印というやつだ」
 隠蔽の印は直伝の技だ。野獣しか使えない。便利な技、人には使えない。
「印を結ぶのは凄いけど旗から見れば口パクで喋っていない?」
 知るか『白虎の都』は伐虎種が多いから伐虎種酔いが絶えない。
 『伐虎種酔い』
 酔いの一つ。船酔い、酒酔い様々な酔いがある中、種族が異なる物を見過ぎると死ぬ程、酔う代物。
「伐虎種酔いは、人間の出入りが禁じられているから無いわよ」
「伐虎種酔い、恐るべし」
「恐るべしじゃないへんわ」
「方言?」
 伐虎種の方言、初めて聞いた。
「それはともかく」
「伐虎種凄い並ぶね、行列、、腹減った」
 伐虎種はフードを被り対策を練って不死鳥饅頭を欲する。白い浴衣を着た『忘却の狼』と思われる格好をした白髪の人が大蛇の列にひっそりと紛れ込んでいた。振袖に薔薇をつけ飾りにしている。
「世界は広いなぁ、不死鳥饅頭食べたい」
「あれ、忘却の狼」
 見間違いだろうと述べていいのだろうか。マリアは知らない振りをした。『白虎の都』は忘却の狼の滞在場所として認識されやすくそう思わしき風貌の人が居るから多くの声は仮説を立てる。不死鳥の店から「長らくお待たせしました!」と店主が声を掛けると一斉に客が流れ込んでいく。
「ユグドラから遥々来たのだ」
「不死鳥饅頭、有名だな」
 通りすがりの伐虎種が並んでいる人を見て魂消ていた。持ち帰りだから大丈夫だと受付嬢マリアは言う。
 お持ち帰り専用の窓で俺とバモスとマリアは無事、買い物を成し遂げる。
「やったー! 買えた」
「凄い、あの大蛇の列でよく買えたな」
「やったね」
 不死鳥饅頭を風呂で食べる。その想像をしただけで目が眩む。
 不死鳥風呂はあと少し。落とさず零さずゆっくりと運ぶ受付嬢マリアとその一行だった。
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