裏切りの果て、愛と嘘の行方

第6章 優奈の選択

高橋優奈は、涼と過ごした夜以来、彼との関係が曖昧なままであることに苦しんでいた。翔太に対する思いが失望に変わり、美咲との友情も崩壊してしまった今、彼女は自分の心をどこに置けばいいのか分からなくなっていた。

ある日、涼から連絡が来た。「また会いたい」と言う彼の言葉に、優奈は迷った。彼を利用して自分の心を埋めようとしていたことは分かっていたが、それでも彼に心を寄せる自分がいた。

涼と会った優奈は、彼に真実を告げた。

「涼、あなたといると少しだけ心が楽になる。でも、私はあなたを本当に好きではない。私が翔太を忘れるために、あなたを利用していたの」

涼はその言葉を受け止めながら、苦笑いを浮かべた。「分かってたよ。でも、それでも君のことが気になってたんだ。俺も、翔太には負けたくなかったのかもしれない」

二人はお互いに対する期待を下ろし、静かに別れることを選んだ。涼は優奈を責めることなく、彼女の決断を受け入れた。

「ありがとう、涼。これからは自分の気持ちに正直に生きていくわ」

優奈はそう告げて、涼と別れを告げた。

第10章 美咲の覚悟

一方、美咲は優奈と疎遠になったことで心の重荷を感じていたが、翔太との関係を深めていた。彼女は脚本の執筆に集中し、映画制作を進めることで、自分を取り戻そうとしていた。

ある日、翔太が彼女に映画の進行状況を確認しに来た。

「美咲、最近、脚本が進んでるみたいだね。俺も手伝えることがあったら言ってくれ」

翔太の言葉に、美咲は微笑みながら答えた。「ありがとう、翔太。でも、この脚本は私一人で書きたいの。これが、私の気持ちを整理する唯一の方法だから」

翔太は彼女の決意を尊重し、そっと手を引いた。「分かった。でも、俺はいつでも君のそばにいるよ」

その言葉に、美咲は再び心が温かくなった。翔太の優しさが、彼女の傷を少しずつ癒してくれた。