転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね

文字の大きさ
9 / 45

09 みんなでご飯

 僕とガルガルが巣に戻ると、ママは入り口にいた。

「ママ! まちょとれた!」
「がうがう!」
「うまいみもとれた!」
「わふわふ!」

 すると、ママは近寄ってきて、僕とガルガルを順番にペロリと舐める。
 僕が大きくなって皮膚が丈夫になったので、ママは僕も舐めてくれるようになったのだ。

「見事な魔猪ではないか。がんばったな」
「へへへー」「わふふ~」
「おお、これはうまい実だな」
「がうがうがう!」
「そうか。ガルガルが見つけたのだな。採ったのはノエルだろう? 二人ともよくやった」
「えへへ~」「わふふ~」

 魔猪を巣の中に運び入れると、僕とガルガルは、毛皮と肉、内臓に分けていく。

「ノエルもガルガルも、処理がうまくなったな」

 ママは見守りながら、優しく指導してくれるのだ。

「ノエル。小指の先ほど深くても良いぞ。その方が毛皮の処理が簡単になる」
「わかった!」
「ガルガルは魔力操作をもう少し丁寧にするとよいぞ。……ああ、そうだ」
「わうぅ~」
「ガルガルも歳の割にはとてもうまいぞ。頑張っているな」
「わふわふ」

 主に僕が毛皮を剥いだり、肉を切り分けたりする。
 そして、ガルガルは明日以降に食べるお肉を凍らせていくのだ。

 ガルガルは一瞬で、肉の塊を凍らせる。瞬間冷凍というやつだ。

「ガルガルの魔法は凄いなぁ」
「わふふ」

 細かい調整は苦手なガルガルだが、魔法の威力自体は僕より上かもしれなかった。

「まあ、得意分野ってのがあるからな?」

 僕は解体を終えると、魔法で毛皮をなめしていく。これはガルガルにはまだできない。

「ガルガル。兄の活躍をみるといい」
「わふ!」

 ガルガルの尊敬の視線を感じながら、生活魔法でなめしていく。

「人がなめす際はいろいろな道具や薬を使って時間がかかるらしいが猫には必要ないのだ」
「やっぱり、猫はすごいなぁ」

 毛皮をなめし終えると、お楽しみのご飯の時間だ。
 ママとガルガルが内臓を生のままおいしそうに食べている間に僕は肉を焼いていく。

 拾ってきた石を平になるように攻撃魔法で切った物の上に肉を並べる。

 肉の大きさは僕の分が二百グラムのステーキのぐらい。
 ガルガルとママの肉ははニキログラムぐらいの塊だ。

 肉を並べると、岩自体を生活魔法で熱していく。

「がう?」

 ガルガルが「ほんとに内臓いらないの?」と心配そうに尋ねてくる。

「のえるは肉のほうがすきだからな?」
「わふ~」

 ガルガルは「こんなにおいしいのに」と言っている。
 生前、瘴気に包まれていたおかげで寄生虫も細菌もないから生でも食べられるらしい。

 だが、ちょっと、食べる気にはならない。前世の記憶のせいかもしれなかった。

「それに肉がめちゃくちゃうまいからな! お、そろそろだな!」

 焼き終わった魔猪ステーキをばくりと食べる。
 僕の肉はガルガルの分より薄いので、早く焼けるのだ。

 フォークもナイフもないので、棒で突き刺して、がぶりとかみつく。

「肉汁が……うまい……脂もあまくて、しつこくなくて……うまい」

 焼き加減は絶妙なミディアムレア。
 僕はどんどんステーキを焼くのがうまくなっている気がする。

 本当にうまい。前世で食べたどのステーキよりうまい。

「肉のあじが濃くて……素材の良さが……うまい」

 むしゃむしゃ食べながら、ガルガルとママの分に焼き加減のチェックも忘れない。
 ガルガルとママの分は塊なので。岩だけでなく周囲全体を熱して火を通していく。

「ママ、ガルガル! 今がたべごろだよ」
「おお、ノエル、ありがとう」
「がふがふ!」

 ママとガルガルはおいしそうに肉を食べる。

「絶品だ……肉を焼く技術はノエルの方が我より上だな」
「そっかな? えへへ」
「がうがふ!」

 ガルガルは「おいしいおいしい」と尻尾を勢いよく振っている。

 そして、半分ぐらい食べた後、
「がう?」
 僕の方に自分のお肉を寄せてくる。

「それはガルガルが全部たべな?」
「がう~?」

 ガルガルは僕が自分より沢山食べていないことが、心配なのだ。

「のえるはおなかいっぱいだからな?」

 いつもそう言っているのだが、ガルガルはいつも心配するのだ。

「のえるよりガルガルのほうがでかいし?」
「わふ~」

 沢山食べないから小さいのではないかと心配しているらしい。

「のえるは……三歳だからなぁ。こんなものだよ」

 僕はガルガルの兄でしっかりしているのだが、三歳児なのだ。
 二百グラムのステーキを食べきれるだけでもたいしたものだと思う。

「ガルガル。ノエルは人族ゆえ、これも食べなければならないのだ」

 そういって、ママは茸や山菜を奥から持ってきた。
 山菜と言うが、トマトや玉葱、ジャガイモ、人参などの野菜にそっくりだ。

 それ以外にも、僕の知らない山菜やキノコもある。

「ありがと。ママ。焼いて食べる」

 僕は適当に野菜を焼いて食べていく。

「ノエル。好き嫌いしないで偉いぞ。子供は野菜を嫌うものだと聞いたがな」
「でも、これうまいよ?」

 人参もめちゃくちゃうまい。
 焼いたら柔らかいしほんのり甘いし。
 ジャガイモはほくほくだし、いくらでも食べられそうだ。
 玉葱も、キノコもトマトも、名前を知らない山菜も全部うまい。

「うまいうまいうまい」
「好き嫌いがないことはよい。好き嫌いしていたら大きくなれぬからな」
「肉もうまいけど、山菜もうまい。たべものぜんぶうまい」
「ノエルはガルガルと違って、人族ゆえに肉だけでは栄養が偏ってしまうからな」

 お肉と山菜を沢山食べた後にはデザートが待っている。


「うまい実をたべよう!」
「わうわふ!」

 お腹いっぱいでも、デザートは別腹である。

「はい、ママも。ガルガルもな?」
「おお、ありがとう。ノエル、ガルガル」
「わふわふ~」
「なー、うまいな~」

 ママとガルガルもお肉を食べ終わったので、みんなでうまい実を食べる。

「うまいうまい。甘くてうまい」

 うまい実の味は梨に似ている。
 しゃくしゃくしていて、甘くて、みずみずしい。

 ママとガルガルも、ゆっくり舐めるようにうまい実を味わっていた。

「これ……植えたら、はえてこんかな?」
「わふ? ……わぁぅわぁぅ!」

 ガルガルは凄く良い考えだとはしゃいでいた。
感想 5

あなたにおすすめの小説

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

最強魔導師は不毛の大地でスローライフを送る ~凶悪な魔物が跋扈し瘴気漂う腐界でも、魔法があれば快適です~

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 平民出身の最強の宮廷魔導師ティル・リッシュは貴族主義の宮廷魔導師長に疎まれ、凶悪な魔物がはびこり、瘴気漂う腐界の地の領主として左遷されることになった。  元々腐界の研究がしたかったティルはこれ幸いと辞令を受けて任地に向かう。  途中で仲間になった聖獣の子牛のモラクスと共に腐界で快適なスローライフを始めたのだった。  瘴気は自作の結界で完全に防ぎ、人族の脅威たる魔物はあっさり倒す。 「魔物の肉がうますぎる! 腐界で採れる野菜もうまい!」 「もっも~」 「建築も魔法を使えば簡単だし、水も魔法で出し放題だ」  病気になった聖獣の子狼がやってきたり、腐界で人知れず過ごしてきたエルフ族が仲間になったり。  これは後に至高神の使徒の弟子にして、聖獣の友、エルフの守護者、人族の救世主と呼ばれることになる偉大なるティル・リッシュの腐界開拓の物語である。 ※ネオページ、小説家になろう、カクヨムでも公開しています

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

追放された宮廷錬金術師、辺境で気ままに土いじりしてたら神獣や幼馴染の天才騎士が集まり最強国家に〜今さら戻れと言われても〜

黒崎隼人
ファンタジー
「そこにいたか、役立たずの錬金術師。今日限りでこの王城から出て行ってもらう」 王国の結界を維持し、枯れた大地を豊かにする「失われた古代錬金術」。 その使い手であるルークは、自分の価値を理解しない第一王子レオンによって、あっさりと宮廷を追放されてしまう。 しかし、長年の酷使から解放されたルークの心は晴れやかだった。 「これで、やっと静かに眠れる」 自由を求めて最果ての「死の荒野」へと旅立ったルーク。 そこへ、すべてを捨てて追いかけてきた幼馴染の天才騎士セリアが合流する。 二人は何もない荒れ地を錬金術で瞬く間に緑豊かな大地へと変え、泥の巨人グランやもふもふの神獣シロを家族に迎え、美味しいパンを焼く気ままなスローライフをスタートさせた。 一方、ルークを失った王国は、結界が崩壊し大地が枯れ果て、未曾有の危機に瀕していた。 焦った王子が軍を率いてルークを連れ戻しにやってくるが、ルークの作った最強のゴーレムと神獣の前に、手も足も出ずに逃げ帰ることに。 気づけばルークの開拓した村は、難民を救い、近隣諸国も一目置く「最強の独立国家」へと発展していて――!? これは、優しくて規格外な錬金術師が、大切な人たちと永遠の平穏を紡ぐ、最高に幸せな辺境スローライフ。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!