最強魔導師は不毛の大地でスローライフを送る ~凶悪な魔物が跋扈し瘴気漂う腐界でも、魔法があれば快適です~

えぞぎんぎつね

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47 再会

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 最後の弁当を食べてから、探索を再開した。
 探索を始めて二時間後、魔導具を操作していたカトリーヌが言う。

「魔導具が示すエリアにはいりました」
「確かもっとも精度を高めた状態で半径百メートルだったか?」
「はい。ですが、持続時間の関係で、今は半径一キロで探索しています」

 どうやら半径百メートルまで精度を高めると、回路負荷が高すぎて数分しか持たないらしい。
 半径百メートルの森の中から、数分で幼子を探すのは大変だ。

「なるほど。じゃあ、この付近一キロ以内から探し出すか。モラクス、ペロ。鼻の出番だ」
『まかせて。においかぐのとくい』「わふわふ!」

 モラクスとペロは、フィロの匂いを嗅いで、次にカトリーヌの匂いを嗅ぐ。
 ノエルの匂いは知らなくても、親の匂いに似ているに違いないという判断だろう。

 フィロ夫妻の匂いを嗅いだ後、モラクスとペロは鼻をクンクンとさせる。

『もらくすわかった。あっち』「ばうばう!」

 モラクスは西の方を向き、ペロは東を向いた。

「もー『む? あっち』」「がうがう! うー」

 モラクスとペロの意見が分かれる。

「モラクスとペロはどうしたんだ? うなりあってるが」
「どちらにノエルがいるかの意見が分かれたんだよ」
「そうか。まあノエルも動いているだろうしな」

 二秒だけ考えて、フィロが言う。

「よし、ならば二手に分かれよう。ティルとモラクスはカトリーヌを頼む」
「…………まあ、その方が良いか」

 フィロは強いが剣士だ。人をかばいながら戦うのは剣士より魔導師の方が向いている。
 魔導師ならば、攻撃を避けずに魔法障壁などで防御できるからだ。

「フィロ。やばそうなのがいたら、無理せず退いてくれ」
「ああ、わかってる。カトリーヌ。ティルから離れるな」
「わかってるわ。いってらっしゃい」
「ああ。ペロ。案内してくれ」
「がう!」

 そしてフィロとペロは東に向かって走り出す。

「やっぱり速いな」

 フィロはカトリーヌの歩調に合わせてゆっくり歩いていたのだろう。
 凄い勢いで駆けていった。

「モラクスこっちも負けてられないな。いくよ」
『まかせて。こっちがせいかい』

 モラクスを先頭にして、俺とカトリーヌは進んでいく。
 モラクスは風の匂いを嗅ぐようにクンクンしたり、地面や木をクンクンしながら進む。

「どうだ、モラクス?」
『ちかい』
「そっか、近いか。カトリーヌ、魔導具の範囲は?」
「範囲内です。一応中心に近づいてはいますが……」
「まあ、精度が半径一キロだもんな」

 半径一キロの範囲の中のどこか、というところまでしかわからない。

 しばらく静かに歩いていると、
「おい! おまえ!」
 突然、真後ろから幼い声がして、俺は心底驚いた。
 気配を感じなかったからだ。

 気配を感じないということは、魔力隠しと音を出さずに動くのがうまいということ。
 つまり魔力制御と身体制御がうまいということだ。

(……恐ろしい子供だ)

 声からして子供。恐らくノエルだ。
 これほど気配消しがうまい相手が魔物だったら苦戦は免れないだろう。

 俺はノエルを怯えさせないよう、警戒されないよう、ゆっくりと振り返ろうとしたが、
「ふりかえるな!」
 警告されて、動きを止めた。

「何しにきた? もし、わるいことを考えているなら、こうかいすることになる」

 背後のノエルはそういいながら、火球の魔法を無詠唱で発動させた。
 見ずとも魔法の魔力密度の高さがわかる。精度も素晴らしい。
 腐界の中で五年生き延びただけのことはある。

 というか、本当に五歳なのか?

 俺が内心で畏れているのに、モラクスは気にせずに、振り返って「も?」といっている。
 モラクスはリラックスしており、首をかしげて尻尾を振っていた。

 カトリーヌも振り返り、
「ふりかえるな――」
「ノエル!」
「え?」
「ノエル……ああ、ノエル」
 呼びかけながら、駆けよっていく。

「仮面は取るな! 瘴気が濃い!」

 俺が制止してもかまわずに仮面を取ると、
「ああ、ノエル……よくぞ無事で……」
 ノエルを抱きしめている。
「……かあ……さま」
「ええ、ええ、かあさまですよ。遅くなってごめんなさい」 

 俺も振り返ってノエルとカトリーヌをみた。
 カトリーヌは地面にひざをついて、ノエルを抱きしめている。

 五歳のノエルは魔獣の毛皮を加工した猫の着ぐるみのような物を着ていた。
 手には強力な力を持つ杖を持っている。 

「かあさま、かあさま……ふえええええええ」
 母に抱きしめられたノエルは五歳らしく泣きじゃくっている。

「よかった、よかった……私の可愛いノエル」
 カトリーヌも泣いている。

 そんな母子を俺とモラクスは大人しく見守ったのだった。
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