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田舎
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「はあ、早くこんなところから出たいな~」
俺の名前は『北上 修也』。
今は学校の帰りで、広い田んぼ畑を歩いている。
大きなため息をしながら、田んぼの畦道を歩いていく。
ここはド田舎だ。学校に行くのに片道2時間半かかる。
誰もいないので、大きな声で独り言を言っても頭のおかしな奴だと思われる心配もない。
「そもそも何で全校生徒が二人だけの学校なんて続いてるんだよ。廃校になるだろ普通。」
今の不満を吐き出した。
ガサガサッ!!
山の中から音が聞こえた。
ガサガサッ!! ガサガサッ!! ガサガサッ!!
さらに激しい音が聞こえ、背の高い草が揺れるのが見える。
修也が草をかき分けのぞき込むと、雪のように真っ白いウサギがいた。
「めっちゃ可愛い、い、い、いっ!!」
酷く心にダメージを与えられた。
ウサギは交尾中だったのだ。
修司の表情には覇気がなく、醜い憎悪が見て取れる顔だった。
「動物って法律とかなくていいよな……俺も……」
修也の頭に危ない考えがよぎった。
これはまずい。
俺は人間。俺は人間。俺は人間。
心に何度も何度も唱え続ける。
ふぅ。落ち着いた。
ウサギたちは修也に気づいたのか、一目散と逃げていく。
というか、逃げるのが遅い。
修也がアホなことしている間もヤってたのが丸分かりである。
「もーーーーーー。何でこんな所見ちゃうかなーーーー」
頭を抱えてうずくまる。
すると、後ろから声が聞こえる。
「おーい、修也。東京行くぞ!」
父さんだ。
父さんはここで、警察官をしている。
息を切らしながらこっちに向かてくる
それにしても今さっき、夢のような言葉が聞こえた気がするな。
もう一度聞いてみることにしよう。
「もう一回言ってくれ!」
お互いの毛穴が見えるくらいの距離まで顔を近づけた。
父さんはびっくりして後ろへ数歩下がる。
「耳の穴かっぽじってよく聞けよ!」
少しの沈黙の後に口を開く。
「東・京・へ・行・く・ん・だ・よ」
なんて嬉しい言葉だろう。
さっきまで早くここから出たいと言ったばかりなのに。
嬉しさで、体が震える。
「いつ行くんだ?」
俺は食い気味に聞いた。
「4月からだ。お前も高校生になるしいいタイミングだろう?今のうちに美成(みなり)ちゃんと遊んでおけよ」
加納美成は俺の幼馴染だ。
今までいつも一緒に過ごしてきたけど、なんだか最近妙に避けてしまっている。
すると、後ろから美成が歩いてきた。
「お、一緒に帰るんだぞ。くくく」
父さんの顔には楽しげな表情が広がっている。
俺を置いて全力ダッシュで帰ってしまった。
「あの……しゅうくん」
体をもじもじさせながら聞いてくる。
顔も若干赤いような気がする。
「な、なんだよ」
俺は少し突き放すように返事してしまった。
こんなのはだめだってわかっているはずなのに。
「今、何の話してたの?」
「東京に行くんだ。高校生の初めからな」
美成の顔が固まる。
どうしたんだ?
あ、一人になるのが寂しいんだな。
「心配するな。高校に入るまでは一緒だ。高校生からは別々になると思うが」
美成は何も言わずに家に帰っていった。
「何か言ってもいいだろ……」
俺もモヤモヤしたまま家に帰った。
俺の名前は『北上 修也』。
今は学校の帰りで、広い田んぼ畑を歩いている。
大きなため息をしながら、田んぼの畦道を歩いていく。
ここはド田舎だ。学校に行くのに片道2時間半かかる。
誰もいないので、大きな声で独り言を言っても頭のおかしな奴だと思われる心配もない。
「そもそも何で全校生徒が二人だけの学校なんて続いてるんだよ。廃校になるだろ普通。」
今の不満を吐き出した。
ガサガサッ!!
山の中から音が聞こえた。
ガサガサッ!! ガサガサッ!! ガサガサッ!!
さらに激しい音が聞こえ、背の高い草が揺れるのが見える。
修也が草をかき分けのぞき込むと、雪のように真っ白いウサギがいた。
「めっちゃ可愛い、い、い、いっ!!」
酷く心にダメージを与えられた。
ウサギは交尾中だったのだ。
修司の表情には覇気がなく、醜い憎悪が見て取れる顔だった。
「動物って法律とかなくていいよな……俺も……」
修也の頭に危ない考えがよぎった。
これはまずい。
俺は人間。俺は人間。俺は人間。
心に何度も何度も唱え続ける。
ふぅ。落ち着いた。
ウサギたちは修也に気づいたのか、一目散と逃げていく。
というか、逃げるのが遅い。
修也がアホなことしている間もヤってたのが丸分かりである。
「もーーーーーー。何でこんな所見ちゃうかなーーーー」
頭を抱えてうずくまる。
すると、後ろから声が聞こえる。
「おーい、修也。東京行くぞ!」
父さんだ。
父さんはここで、警察官をしている。
息を切らしながらこっちに向かてくる
それにしても今さっき、夢のような言葉が聞こえた気がするな。
もう一度聞いてみることにしよう。
「もう一回言ってくれ!」
お互いの毛穴が見えるくらいの距離まで顔を近づけた。
父さんはびっくりして後ろへ数歩下がる。
「耳の穴かっぽじってよく聞けよ!」
少しの沈黙の後に口を開く。
「東・京・へ・行・く・ん・だ・よ」
なんて嬉しい言葉だろう。
さっきまで早くここから出たいと言ったばかりなのに。
嬉しさで、体が震える。
「いつ行くんだ?」
俺は食い気味に聞いた。
「4月からだ。お前も高校生になるしいいタイミングだろう?今のうちに美成(みなり)ちゃんと遊んでおけよ」
加納美成は俺の幼馴染だ。
今までいつも一緒に過ごしてきたけど、なんだか最近妙に避けてしまっている。
すると、後ろから美成が歩いてきた。
「お、一緒に帰るんだぞ。くくく」
父さんの顔には楽しげな表情が広がっている。
俺を置いて全力ダッシュで帰ってしまった。
「あの……しゅうくん」
体をもじもじさせながら聞いてくる。
顔も若干赤いような気がする。
「な、なんだよ」
俺は少し突き放すように返事してしまった。
こんなのはだめだってわかっているはずなのに。
「今、何の話してたの?」
「東京に行くんだ。高校生の初めからな」
美成の顔が固まる。
どうしたんだ?
あ、一人になるのが寂しいんだな。
「心配するな。高校に入るまでは一緒だ。高校生からは別々になると思うが」
美成は何も言わずに家に帰っていった。
「何か言ってもいいだろ……」
俺もモヤモヤしたまま家に帰った。
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