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第1章
ダンジョンに再挑戦~薙刀を作ってみた~
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スタシモスダンジョンに行った翌朝もマリオとリカコはいつも変わらずに依頼ボードを眺めていた。
昨日、二人でダンジョンに入ったのはよかったが、戦闘経験が浅いので1階で飽きて直ぐに帰ってきたのだった。
「マリオ、お前たちもう帰ってきたのか?」
「トビーさん、おはようございます」
「マリオ、お前たちダンジョンは一度潜ったら直ぐに帰らないのが鉄則なのを知っているか?」
「えっ、そうなんですか」
「そんなの知らなかったですよ」
「ダンジョンは魔物がお宝を落としてくれるまで粘るのがコツだ」
「初心者でも最低3日間はレベル上げを兼ねてダンジョンに潜っていないと入場料の事を考えたら割にあわないのさ」
「そういえば入場料は銅貨3枚でしたね」
「そうさ、贅沢しなければ1日分の食事代と同じだな」
「毎回入場料を払っていたら魔石を売ったとしても、結果として儲からないからな」
「おっしゃるとおりですね」
「お前ら、本当にダンジョンのコツを聞いて来なかったのか?」
「はい、田舎から出てきて間がないので誰も教えてくれなかったので……」
「それは、質問しなかったマリオも悪いのだ」
「それもそうですが……」
トビーは食堂でマリオたちと一緒に朝食を食べながらダンジョンに行く場合の装備を一から詳しく教えてくれた。ダンジョンは携行食料品とポーションを持っていくのが冒険者の定番だと教えてくれた。
「装備を揃えるにもお金がかかるからな」
「だから、冒険者は誰も彼もダンジョンに夢を追いかけけている訳さ」
「トビーさんありがとうございました」
「いいってことよ」
「それよりも、マリオ、もう一度ダンジョンに挑戦してみろよ」
「はい、ありがとうございます」
「俺たち、もう一度挑戦してみます」
「マリオ、朝飯ありがとうな」
トビーは礼を言うと受け付けカウンターの方に歩いて行った
「マリオさん、携行食料は何とかなるけどポーションはどうするのよ?」
「そうだね、ギルドの売店で下級ポーションの値段を見てみようよ」
マリオとリカコは冒険者ギルドの売店に並んでいる下級ポーションの値段が高いのに驚いてしまった。
「リカコ、下級ポーションで金貨15枚の値段がついているよ」
「そうね、元の世界だと150万円くらいの価値になるのかしら」
「ポーションって、随分と高い薬なんだね」
「そうね、売店で買うのはあきらめましょう」
「だって、私たちはそんなにお金持っていないよ」
「そうだね」
この時、二人は気付いていなかったが、リカコが持っている創薬スキルを発揮すれば下級ポーションは直ぐに出来るのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
マリオとリカコは冒険者ギルドを出て昨日と同じスタシモスダンジョンに来ていた。入場料の銅貨3枚を払って慎重に入っていった。
「マリオさん、気を付けて」
パシュッ、マリオの矢は真っ直ぐ飛んでホーンラビットに当たって干し肉の包みに変わっていた。
昨日は初めてのダンジョンだったのでホーンラビットに少し焦りもしたが、今日はボウガンであっさり仕留めた。
「リカコ、ホーンラビットが干し肉の包に変わったよ」
「マリオさん、こういう時は『干し肉ゲットだぜ』って言うのよ」
「そうだったな、リカコ、干し肉ゲットだぜ」
マリオはリカコの前で照れ笑いをした。
「リカコ、他の冒険者を観察しながら狩りをしようよ」
「そうね、その方がいいわ」
「マリオさん、ボウガンはしまっておいて」
「そうするよ」
「マリオさん、あの人たち狩猟ナイフを槍にして戦っているわ」
「本当だ、狩猟ナイフに柄を付けているね」
「ソフィア、大きな魔石が出たね」
「ロメオ、良かったね」
ロメオとソフィアの二人は魔石を拾って大事にバッグにしまった。
「リカコ、あの人たちが使っている槍みたいに薙刀を作ろうか?」
マリオはリカコの身長に合わせて150センチほどの薙刀を具現化で作った
「マリオさん、いい感じに出来たね」
「リカコ、ホーンラビット」
「エイッ」
シュッバッ、リカコはホーンラビットを薙刀で薙ぎ払ったのでホーンラビットは一瞬で魔石に変わった。
「リカコ、凄いな」
「ええ、久しぶりに使ったけど高校時代の記憶は体が覚えているものね」
「リカコの高校は薙刀部があったの?」
「ええ、私立高校だったから薙刀の実習があったのよ」
「俺も高校の剣道では散々しごかれたな」
マリオは腰の日本刀を抜いて中段のかまえをしてみせた。リカコも同じように薙刀で中段の構えをしたのだった。
「君たち、変わった得物を持っているね?」
「ええ、私たちがいた遠い国の武器です」
「奥さんの槍も変わっているね」
「薙刀です」
「ナギナタ???」
「君たちはダテホコからきたのかい?」
「もっと遠いところです」
「ふ~ん」
「俺はロメオ、こっちは恋人のソフィア」
「マリオとリカコです」
「ところで、君たちも1階でレベル上げかい」
「ええ、そうです」
「ここのホーンラビットは時々大きな魔石を落とすので貴重だからね」
「それとホーンラビットの皮はまとめて高く買ってもらえるのさ」
「そうなんですか」
「じゃぁ、マリオたちも頑張って」
「ロメオも頑張って」
一月前にマツイヨ市から来たロメオとソフィアの二人は簡易宿泊所で寝泊まりしながらダンジョンの1階で狩りをしていたのだった……
続く──
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昨日、二人でダンジョンに入ったのはよかったが、戦闘経験が浅いので1階で飽きて直ぐに帰ってきたのだった。
「マリオ、お前たちもう帰ってきたのか?」
「トビーさん、おはようございます」
「マリオ、お前たちダンジョンは一度潜ったら直ぐに帰らないのが鉄則なのを知っているか?」
「えっ、そうなんですか」
「そんなの知らなかったですよ」
「ダンジョンは魔物がお宝を落としてくれるまで粘るのがコツだ」
「初心者でも最低3日間はレベル上げを兼ねてダンジョンに潜っていないと入場料の事を考えたら割にあわないのさ」
「そういえば入場料は銅貨3枚でしたね」
「そうさ、贅沢しなければ1日分の食事代と同じだな」
「毎回入場料を払っていたら魔石を売ったとしても、結果として儲からないからな」
「おっしゃるとおりですね」
「お前ら、本当にダンジョンのコツを聞いて来なかったのか?」
「はい、田舎から出てきて間がないので誰も教えてくれなかったので……」
「それは、質問しなかったマリオも悪いのだ」
「それもそうですが……」
トビーは食堂でマリオたちと一緒に朝食を食べながらダンジョンに行く場合の装備を一から詳しく教えてくれた。ダンジョンは携行食料品とポーションを持っていくのが冒険者の定番だと教えてくれた。
「装備を揃えるにもお金がかかるからな」
「だから、冒険者は誰も彼もダンジョンに夢を追いかけけている訳さ」
「トビーさんありがとうございました」
「いいってことよ」
「それよりも、マリオ、もう一度ダンジョンに挑戦してみろよ」
「はい、ありがとうございます」
「俺たち、もう一度挑戦してみます」
「マリオ、朝飯ありがとうな」
トビーは礼を言うと受け付けカウンターの方に歩いて行った
「マリオさん、携行食料は何とかなるけどポーションはどうするのよ?」
「そうだね、ギルドの売店で下級ポーションの値段を見てみようよ」
マリオとリカコは冒険者ギルドの売店に並んでいる下級ポーションの値段が高いのに驚いてしまった。
「リカコ、下級ポーションで金貨15枚の値段がついているよ」
「そうね、元の世界だと150万円くらいの価値になるのかしら」
「ポーションって、随分と高い薬なんだね」
「そうね、売店で買うのはあきらめましょう」
「だって、私たちはそんなにお金持っていないよ」
「そうだね」
この時、二人は気付いていなかったが、リカコが持っている創薬スキルを発揮すれば下級ポーションは直ぐに出来るのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
マリオとリカコは冒険者ギルドを出て昨日と同じスタシモスダンジョンに来ていた。入場料の銅貨3枚を払って慎重に入っていった。
「マリオさん、気を付けて」
パシュッ、マリオの矢は真っ直ぐ飛んでホーンラビットに当たって干し肉の包みに変わっていた。
昨日は初めてのダンジョンだったのでホーンラビットに少し焦りもしたが、今日はボウガンであっさり仕留めた。
「リカコ、ホーンラビットが干し肉の包に変わったよ」
「マリオさん、こういう時は『干し肉ゲットだぜ』って言うのよ」
「そうだったな、リカコ、干し肉ゲットだぜ」
マリオはリカコの前で照れ笑いをした。
「リカコ、他の冒険者を観察しながら狩りをしようよ」
「そうね、その方がいいわ」
「マリオさん、ボウガンはしまっておいて」
「そうするよ」
「マリオさん、あの人たち狩猟ナイフを槍にして戦っているわ」
「本当だ、狩猟ナイフに柄を付けているね」
「ソフィア、大きな魔石が出たね」
「ロメオ、良かったね」
ロメオとソフィアの二人は魔石を拾って大事にバッグにしまった。
「リカコ、あの人たちが使っている槍みたいに薙刀を作ろうか?」
マリオはリカコの身長に合わせて150センチほどの薙刀を具現化で作った
「マリオさん、いい感じに出来たね」
「リカコ、ホーンラビット」
「エイッ」
シュッバッ、リカコはホーンラビットを薙刀で薙ぎ払ったのでホーンラビットは一瞬で魔石に変わった。
「リカコ、凄いな」
「ええ、久しぶりに使ったけど高校時代の記憶は体が覚えているものね」
「リカコの高校は薙刀部があったの?」
「ええ、私立高校だったから薙刀の実習があったのよ」
「俺も高校の剣道では散々しごかれたな」
マリオは腰の日本刀を抜いて中段のかまえをしてみせた。リカコも同じように薙刀で中段の構えをしたのだった。
「君たち、変わった得物を持っているね?」
「ええ、私たちがいた遠い国の武器です」
「奥さんの槍も変わっているね」
「薙刀です」
「ナギナタ???」
「君たちはダテホコからきたのかい?」
「もっと遠いところです」
「ふ~ん」
「俺はロメオ、こっちは恋人のソフィア」
「マリオとリカコです」
「ところで、君たちも1階でレベル上げかい」
「ええ、そうです」
「ここのホーンラビットは時々大きな魔石を落とすので貴重だからね」
「それとホーンラビットの皮はまとめて高く買ってもらえるのさ」
「そうなんですか」
「じゃぁ、マリオたちも頑張って」
「ロメオも頑張って」
一月前にマツイヨ市から来たロメオとソフィアの二人は簡易宿泊所で寝泊まりしながらダンジョンの1階で狩りをしていたのだった……
続く──
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