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第3章
100年先の技術を教えたのは誰? 前編
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ニューヨーキー市立図書館の一角。ヒロシたちは、魔法工学、工業技術、薬学、化学などの分野に分類された蔵書を勝手に次々とスキャンしていた。
ラファエルが操る隠蔽魔法付きドローンは、静かに書架の間を飛び回り、タイトルと目次を読み取り、ヨダシステムへと転送していく。
「ヒロシさん、こちらに『魔導モーターの基礎理論』という本がありました」
「サブロー、よく見つけたね。魔導モーターはこの世界の動力の要だから、原理が分かれば応用できるはずだ」
ヒロシはAIクリスタル脳を起動し、魔導モーターの構造図を解析し始めた。
「ふむ……魔力を圧縮して回転力に変換する構造なのか。コイルの代わりに魔力導管を使ってるし」
「ヒロシさん、魔力導管って、何ですか? 魔鉱石から加工したものですよね?」
「そのようだね。しかもこの図では、魔力の流れを制御するために“魔導制御石”が使われてる。これはかなり新しい発見だよ」
「ヒロシさん、サブローさん、魔導制御石は、神界でも未解析の素材です。これを神界に転送すれば、魔導技術の進化に貢献できるでしょう」
「じゃあ、魔導モーターの構造と制御理論をまとめて転送しよう。転送開始」
ピピピ……
図書館の静寂の中、ドローンが魔導モーター関連の資料を次々と読み取り、神界へと送信していった。
一方、ミサエさんとダリナは料理関連の棚を探索していた。
「ミサエさん、こちらに『アメリキ国の家庭料理』って本がありました」
「ありがとう、ダリナ。どれどれ……」
ページをめくると、そこには“焼いた肉に塩を振る”“ジャガイモを潰してバターを乗せる”など、極めてシンプルな調理法ばかりが並んでいた。
「えっ?、ダリナ、これだけなの?」
「ミサエさん、素材そのままって感じですね」
「スパイスの使い方も、ほとんど“塩と胡椒”だけみたい」
「お菓子も“砂糖をかけたパン”って……」
ミサエさんは肩を落とした。
「せっかく新大陸に来たのに、料理だけは進化してないのね……」
「ミサエさん、ダリナ、どうだった?」 ヒロシが声をかけた。
「料理は……ちょっと残念だったわ」
「でも、ミシンの本はすごかったです!」
「そうか、じゃあ料理は後回しだけど……ミサエさん、この本はアンギリア国の人が書いた本だよ」
「あら、うっかりしてたわ」
「やさしい、かていりょうり」
「ダリナ、この本よ」
「本当ですね、マカロニチーズ、ミートローフ、フライドチキン、アップルパイ……どれも私たちが知っているメニューです」
その後、ヒロシたちは銀貨4枚を払って図書館の奥にある“研究者専用閲覧室”に案内された。
そこには、より高度な技術書が保管されており、魔導飛空艇の設計図、薬草の精製法、化学反応を利用した爆薬の製造法などが並んでいた。
「ヒロシさん、これ全部スキャンして神界に送るんですか?」
「もちろん。ここは宝の山だよ」
ラファエルがドローンを追加起動し、複数の書架を同時にスキャンし始めた。
「転送速度を上げます。神界の技術班がリアルタイムで解析を始めています」
「サブロー、薬学の棚を見てくれる?」
「はい!こちらに『万能薬の調合法』という本があります!」
「ダリナ、化学の棚をお願い」
「了解です!『魔力と化学反応の融合』という本を見つけました!」
「ラファエル、この高度な技術は転生者か?」
「そのようですね……」
「著者の名前はヨダシステムでもわからないのか?」
「はい、地球からの転生者はほぼ網羅出来ていますが……」
「ヒロシさん、文明が相当進んだ国から宇宙人が大昔の地球人に知識を教えたのがありましたよね」
「サブローもその本を読んだのか?」
「はい、読みました」
「「あっ、アヌンナキ」」
「サブロー。100年先の未来の技術は遺伝子操作かも知れないな」
「どうういうことですか?」
「ヒロシさん、神界で文明の進んだ星からの介入がないか調べてもらっています」
「それと、バビロニアの神々に問い合わせをしています」
「了解、たぶん、バビロニアの神が濃いと思うよ」
こうして、ヒロシたちはニューヨーキー市立図書館の蔵書をほぼすべてスキャンし終わり、神界へと転送した。
工業、建築、化学、薬学等、ヒロシたちの既存の知識では理解できない内容だったが、神界で解読が終われば結果がフィードバックされると思った。
続く──
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ラファエルが操る隠蔽魔法付きドローンは、静かに書架の間を飛び回り、タイトルと目次を読み取り、ヨダシステムへと転送していく。
「ヒロシさん、こちらに『魔導モーターの基礎理論』という本がありました」
「サブロー、よく見つけたね。魔導モーターはこの世界の動力の要だから、原理が分かれば応用できるはずだ」
ヒロシはAIクリスタル脳を起動し、魔導モーターの構造図を解析し始めた。
「ふむ……魔力を圧縮して回転力に変換する構造なのか。コイルの代わりに魔力導管を使ってるし」
「ヒロシさん、魔力導管って、何ですか? 魔鉱石から加工したものですよね?」
「そのようだね。しかもこの図では、魔力の流れを制御するために“魔導制御石”が使われてる。これはかなり新しい発見だよ」
「ヒロシさん、サブローさん、魔導制御石は、神界でも未解析の素材です。これを神界に転送すれば、魔導技術の進化に貢献できるでしょう」
「じゃあ、魔導モーターの構造と制御理論をまとめて転送しよう。転送開始」
ピピピ……
図書館の静寂の中、ドローンが魔導モーター関連の資料を次々と読み取り、神界へと送信していった。
一方、ミサエさんとダリナは料理関連の棚を探索していた。
「ミサエさん、こちらに『アメリキ国の家庭料理』って本がありました」
「ありがとう、ダリナ。どれどれ……」
ページをめくると、そこには“焼いた肉に塩を振る”“ジャガイモを潰してバターを乗せる”など、極めてシンプルな調理法ばかりが並んでいた。
「えっ?、ダリナ、これだけなの?」
「ミサエさん、素材そのままって感じですね」
「スパイスの使い方も、ほとんど“塩と胡椒”だけみたい」
「お菓子も“砂糖をかけたパン”って……」
ミサエさんは肩を落とした。
「せっかく新大陸に来たのに、料理だけは進化してないのね……」
「ミサエさん、ダリナ、どうだった?」 ヒロシが声をかけた。
「料理は……ちょっと残念だったわ」
「でも、ミシンの本はすごかったです!」
「そうか、じゃあ料理は後回しだけど……ミサエさん、この本はアンギリア国の人が書いた本だよ」
「あら、うっかりしてたわ」
「やさしい、かていりょうり」
「ダリナ、この本よ」
「本当ですね、マカロニチーズ、ミートローフ、フライドチキン、アップルパイ……どれも私たちが知っているメニューです」
その後、ヒロシたちは銀貨4枚を払って図書館の奥にある“研究者専用閲覧室”に案内された。
そこには、より高度な技術書が保管されており、魔導飛空艇の設計図、薬草の精製法、化学反応を利用した爆薬の製造法などが並んでいた。
「ヒロシさん、これ全部スキャンして神界に送るんですか?」
「もちろん。ここは宝の山だよ」
ラファエルがドローンを追加起動し、複数の書架を同時にスキャンし始めた。
「転送速度を上げます。神界の技術班がリアルタイムで解析を始めています」
「サブロー、薬学の棚を見てくれる?」
「はい!こちらに『万能薬の調合法』という本があります!」
「ダリナ、化学の棚をお願い」
「了解です!『魔力と化学反応の融合』という本を見つけました!」
「ラファエル、この高度な技術は転生者か?」
「そのようですね……」
「著者の名前はヨダシステムでもわからないのか?」
「はい、地球からの転生者はほぼ網羅出来ていますが……」
「ヒロシさん、文明が相当進んだ国から宇宙人が大昔の地球人に知識を教えたのがありましたよね」
「サブローもその本を読んだのか?」
「はい、読みました」
「「あっ、アヌンナキ」」
「サブロー。100年先の未来の技術は遺伝子操作かも知れないな」
「どうういうことですか?」
「ヒロシさん、神界で文明の進んだ星からの介入がないか調べてもらっています」
「それと、バビロニアの神々に問い合わせをしています」
「了解、たぶん、バビロニアの神が濃いと思うよ」
こうして、ヒロシたちはニューヨーキー市立図書館の蔵書をほぼすべてスキャンし終わり、神界へと転送した。
工業、建築、化学、薬学等、ヒロシたちの既存の知識では理解できない内容だったが、神界で解読が終われば結果がフィードバックされると思った。
続く──
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