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第1章
冒険者講習と一般常識~亜人の闇~
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冒険者初級講習・1日目……
ヒロシとミサエさんは、オカロダ町の冒険者ギルド指定の宿屋「髭の酒蔵亭」で朝食をとっていた。
この日の朝食は、店主が仕込んだ隠れた名物「ゴロゴロ野菜のスープ」。オーク肉の腸詰めから取った出汁に、ニンジン・ジャガイモ・玉ねぎがたっぷり入った、胃に優しいスープだった。
「ミサエさん、そろそろ冒険者ギルドに行こうか」
「そうね、急ぎましょう」
二人はチェックアウトを済ませ、通りを歩いてギルドへ向かった。朝のテンプル通りには、農産物を積んだ荷馬車が行き交い、活気に満ちていた。
二人は冒険者ギルドると、別館の教室に行くように案内された。
講師の先生は見た目はヒロシたちより少し年上に見えた。
女性冒険者は結婚、出産、育児で大変なので冒険者ギルドでは、引退した女性冒険者を講師として雇っていた。引退した男性冒険者は結婚後、Cランク以上の優秀な冒険者は貴族の護衛兼傭兵として活躍できたが、ほとんどはDランク止まりなので乗合馬車の御者、商人の護衛として雇われ、収入は安いなりにも安定がも込めた。
「それでは只今から、冒険者初級講習を始めます」
「私は講師のエレーナです。どうぞよろしくお願いします」
「エレーナ先生、よろしくお願いします!」
受講生はヒロシとミサエさんのほかに、12歳から15歳の少年少女が6人。近隣の村々から冒険者に憧れて集まっていた。
「では、講習を始めます」
冒険者初級講習とは、一般的な社会生活やルールついての一般常識に始まり冒険者レベルに応じた依頼の受け方、屋外活動する上でのキャンプ方法、緊急時の怪我の対処方法や野生動物から身を守る方法までサバイバル術のイロハを教えてもらえた。
子どもたちは少し退屈そうだったが、ヒロシとミサエさんは世界辞書のインストールのおかげで全て理解していた。
「では、次に生活魔法を教えます」
生活魔法とは、掃除《クリーン》、灯火《ライト》、清潔《ボデイ・クリーン》、飲水《ウォータ》などの普段の生活でも使える基本的な魔法だったが、生活を魔法を完全に覚え応用すれば攻撃魔法に使えると教わった。
ヒロシとミサエさんは世界辞書のインストールのお陰で生活魔法は既に習得が出来ていたのだった。
「では、実技指導を始めます」
最初に 狩猟ナイフの扱い方を教わり、案山子に向かって スライム・ゴブリンの倒し方を模擬戦形式学んだ。
講習は夕方まで続き、受講生全員が無事に初級講習を修了した。
では、本日の講習はこれで終了します。
「エレーナ先生、ありがとうございました!」
初日の冒険者講習が終わったので二人は通りを歩いていた。
オカロダの大通りはテンプル通りと呼ばれ、東西の二つの教会へ続く大通りに沿って多くの店が立ち並んでいた。
夕方になったので仕事帰りの職人と夕食を買い求める客でテンプル通りは多くの買い物客で賑っていた。
「ヒロシさん、ずいぶんとにぎやかだね」
「そうだね、ソタイン村の100倍はにぎやかだね」
「そうね」
「ミサエさん、一緒に受講した子どもたちは何処で食事をしているのだろうね」
「想像だけど、まかない食のような安いご飯を提供するお店が宿泊所の近くに有るのと違うかしら」
「そうかも知れないね」
髭の酒蔵亭に戻った二人は食堂の空いている席に着いた。
「おい、聞いたか、ダニヤ村ダンジョンの1階で子どもが死んだそうだ」
「そうなのか、ダンジョンの1階はスライムとホーンラビットだけだろ」
「そのホーンラビットが突進して角が子どもの腹に刺さったのさ」
「そうだったのか、監視の職員に落ち度は無いらしいから気の毒としか言いようがないな」
「死んだ子どもには不憫だが運が無かったとしか言いようがないな」
「そうだな」
二人の冒険者はしんみりとエールを飲んでいた。
「そう言えば、オカロダ町に新しいグループが誕生するって噂だな」
「その話、詳しく教えてくれよ」
「ああ、ダニヤ村から来た男女2組のグループだそうだ」
「そうなのか」
「この話はまだ内密にな」
「ああ、分かっているよ」
ヒロシとミサエさんは隅のテーブルが空いていたので椅子に座って店内の様子を伺っていた。
「ヒロシさん、『グループ』って何なの?」
「ミサエさん、急に聞かれても俺も分からないよ」
「そう言えば、昨日、壁際で大声で笑っていた男女二人がいたわね」
「そうだったかな」
「兄さんと姉さんたち、その話は人前では言っちゃいけないよ」
「ああ、壁に耳ありって言うからね」
「すみません、気をつけます」
「すみません、お二人にエール二つ」
「は~い」
「兄さん、たかったようで悪いな」
「いいえ、気にしないで下さい、俺たちソタイン村から出てきたので何も知らないので」
「それと、兄さんたち、『村から出てきた事も他人に言わないほう』がいいな」
「人によっちゃ村人の事を『ザリット』と呼んで差別対象にするかな」
「そうなのですか」
「分かりました、ご忠告ありがとうございます」
「いいってことよ、兄さんたちも気にするな」
「すみません、お二人にエールおかわり二つ」
「は~い」
エールのおかわりですっかり饒舌になった冒険者のアレクとエドマンは2年前に王都ケトマスからキント市に出稼ぎに来て1年前にオカロダ町に流れ着いたと教えてくれた。
来月にはナニサカ市に移ると教えてくれたのだった。
「兄さんと姉さんも早いこと他の町に引っ越しをしたほうがいいかもな」
「ここは壁に耳が有るから迂闊な事は言えないし余所者には優しくない町だからさ」
「まぁ、そういう事だ」
「エールごちそうさん」
客室に戻る前にアレクとエドマンが教えてくれたのは、オカロダ町ではクランが幅を利かせているのでクランを批判するような言動は影で冒険者が制裁を受けても誰も文句は言えなかったのだった。
クランに属していない他所から来た冒険者は一律亜人として見なされ、実力を低く見られるので、彼らの軽蔑対象となっていた。
クランも含めてイポニアの一般常識の事を何も知らないヒロシとミサエさんはオカロダ町独特の貴族至上主義のことを冒険者のアレクとエドマンから教わったのだった。
冒険者中級講習・2日目……
二日目の朝…… ヒロシとミサエさんは、朝食として「髭の酒蔵亭」の隠れた名物であるゴロゴロ野菜のスープを食べていた。
ゴロゴロスープとはオーク肉の腸詰めの出汁とニンジン、ジャガイモ、玉ねぎが入った野菜たっぷりのスープのことで酒を飲みすぎた冒険者たちには胃に優しいスープだったのだ。
「ミサエさん、そろそろ冒険者ギルドに行こうか」
「そうね、急ぎましょう」
二人はチェックアウトを済ませて髭の酒蔵亭を出た。冒険者たちは朝早くから隣のダニヤ村のダンジョンに行っているので通りを行き交う人たちは近隣の村々から農産物を積んだ荷馬車が多かった。
二人は通りを5分ほど歩いてオカロダ町の冒険者ギルドに到着した。受付で一人銀貨2枚を合計で銀貨4枚を払って別館に移動した。
「おはようございます」
「本日の講師を務めさせていただくロザンナです。よろしくお願いします」
「「「「ロザンナ先生、よろしくお願いします」」」」
受講生は元気よく朝の挨拶をした。受講生はヒロシとミサエさんの他に3組の男女のパーティがいた。
冒険者中級講習とは午前中が座学で屋外での基本的な身を守る方法と攻撃魔法の理論を学んだ。
ヒロシとミサエさんは世界辞書のインストールのお陰で攻撃魔法の座学も難なく理解が出来たのだった。
昼食を挟んで午後からは攻撃魔法の実践訓練が屋外の闘技場で行われた。
魔法剣士のブライアン先生が指導に加わった。
男性はヒロシだけが細身のレイピアで他の男性3人はバスターソードを使っていた。
女性は偶然にも全員が両手杖を使っていた。
闘技場は冒険者ギルドに併設されていて主に冒険者の訓練に使用される施設だった。
「「「「ブライアン先生、よろしくお願いします」」」」
「ヒロシ、キース、レオン、ビンセント、もっと魔力を練るんだ」
「「「「はい」」」」
ブライアン先生の実技指導は男性受講者には厳しかった。
「ミサエ、カーラ、ヘレン、マーサ、貴女たちも魔力を練って両手杖に集中するのよ」
「「「「はい」」」」
ロザンナ先生の先生の指導も女性受講者には厳しかった。
「次は実践だ。ヒロシ、キース、レオン、ビンセント、攻撃案山子に魔法を打ち込め」
「「「「はい」」」」
「サンダーボルト」 バリーン、ヒロシはレイピアから稲妻を放出した。
「ファイアーアロー」バシューン、キースはバスターソードから火炎矢を放出した。
「アイスランス」 バシューン、レオンはバスターソードから氷矢を放出した。
「ウインドカッター」 シューン、ビンセントはバスターソードから烈風を放出した。
「ミサエ、カーラ、ヘレン、マーサ、貴女たちも攻撃案山子に魔法を打ち込むよ」
「ファイアーアロー」 バシューン、ミサエさんは両手杖から火炎矢を放出した。
「アイスランス」 バシューン、カーラは両手杖から氷矢を放出した。
「ウインドカッター」 シューン、ヘレンは両手杖から烈風を放出した。
「ウインドカッター」 シューン、マーサは両手杖から烈風を放出した。
「では、最後に1組ずつペアで攻撃案山子に最大の魔法を打ち込んでくれ」
「二人合わせて300点以上出せば合格だ。ヒロシ、ミサエ」
「「はい」」 「サンダーボルト」「ファイアーアロー」 バリーン、バシューン 「点数は350点、合格」
パチパチパチパチ
「キース、カーラ」 「「はい」」 「ファイアーアロー」「アイスランス」 バシューン、バシューン、 「点数は390点、合格」
パチパチパチパチ 「レオン、ヘレン」 「「はい」」 「アイスランス」「ウインドカッター」
バシューン、シューン 「点数は380点、合格」パチパチパチパチ
「ビンセント、マーサ」 「「はい」」 「ウインドカッター」「ウインドカッター」 シューン、シューン 「点数は350点、合格」 パチパチパチパチ
「全員、合格だ、おめでとう」 「貴女たちもよく頑張ったわね」
「「「「ブライアン先生、ロザンナ先生、ありがとうございました」」」」
「ヒロシ、帰りにバスターソードを買って帰るといいよ」
「レオン、バスターソードは何処で買うのですか?」
「鍛冶町の刀剣屋、ベイツ親方の店だよ。但し、親方が打ったチーソ刀はもの凄く高いので普通は弟子が打ったお値打ち品を買うのさ」
「レオン、ありがとう」
こうして、ヒロシとミサエさんは皆と分かれ、受付でDランク冒険者カードを新しく貰ったのだった。他の受講生たちは既に全員がDランク冒険者として活躍しており、冒険者中級講習はCランク冒険者に上がるための講習だった。Cランク冒険者(銅)になるとベテラン冒険者として冒険者ギルド内でも一目置かれるのだった。
終り──
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ヒロシとミサエさんは、オカロダ町の冒険者ギルド指定の宿屋「髭の酒蔵亭」で朝食をとっていた。
この日の朝食は、店主が仕込んだ隠れた名物「ゴロゴロ野菜のスープ」。オーク肉の腸詰めから取った出汁に、ニンジン・ジャガイモ・玉ねぎがたっぷり入った、胃に優しいスープだった。
「ミサエさん、そろそろ冒険者ギルドに行こうか」
「そうね、急ぎましょう」
二人はチェックアウトを済ませ、通りを歩いてギルドへ向かった。朝のテンプル通りには、農産物を積んだ荷馬車が行き交い、活気に満ちていた。
二人は冒険者ギルドると、別館の教室に行くように案内された。
講師の先生は見た目はヒロシたちより少し年上に見えた。
女性冒険者は結婚、出産、育児で大変なので冒険者ギルドでは、引退した女性冒険者を講師として雇っていた。引退した男性冒険者は結婚後、Cランク以上の優秀な冒険者は貴族の護衛兼傭兵として活躍できたが、ほとんどはDランク止まりなので乗合馬車の御者、商人の護衛として雇われ、収入は安いなりにも安定がも込めた。
「それでは只今から、冒険者初級講習を始めます」
「私は講師のエレーナです。どうぞよろしくお願いします」
「エレーナ先生、よろしくお願いします!」
受講生はヒロシとミサエさんのほかに、12歳から15歳の少年少女が6人。近隣の村々から冒険者に憧れて集まっていた。
「では、講習を始めます」
冒険者初級講習とは、一般的な社会生活やルールついての一般常識に始まり冒険者レベルに応じた依頼の受け方、屋外活動する上でのキャンプ方法、緊急時の怪我の対処方法や野生動物から身を守る方法までサバイバル術のイロハを教えてもらえた。
子どもたちは少し退屈そうだったが、ヒロシとミサエさんは世界辞書のインストールのおかげで全て理解していた。
「では、次に生活魔法を教えます」
生活魔法とは、掃除《クリーン》、灯火《ライト》、清潔《ボデイ・クリーン》、飲水《ウォータ》などの普段の生活でも使える基本的な魔法だったが、生活を魔法を完全に覚え応用すれば攻撃魔法に使えると教わった。
ヒロシとミサエさんは世界辞書のインストールのお陰で生活魔法は既に習得が出来ていたのだった。
「では、実技指導を始めます」
最初に 狩猟ナイフの扱い方を教わり、案山子に向かって スライム・ゴブリンの倒し方を模擬戦形式学んだ。
講習は夕方まで続き、受講生全員が無事に初級講習を修了した。
では、本日の講習はこれで終了します。
「エレーナ先生、ありがとうございました!」
初日の冒険者講習が終わったので二人は通りを歩いていた。
オカロダの大通りはテンプル通りと呼ばれ、東西の二つの教会へ続く大通りに沿って多くの店が立ち並んでいた。
夕方になったので仕事帰りの職人と夕食を買い求める客でテンプル通りは多くの買い物客で賑っていた。
「ヒロシさん、ずいぶんとにぎやかだね」
「そうだね、ソタイン村の100倍はにぎやかだね」
「そうね」
「ミサエさん、一緒に受講した子どもたちは何処で食事をしているのだろうね」
「想像だけど、まかない食のような安いご飯を提供するお店が宿泊所の近くに有るのと違うかしら」
「そうかも知れないね」
髭の酒蔵亭に戻った二人は食堂の空いている席に着いた。
「おい、聞いたか、ダニヤ村ダンジョンの1階で子どもが死んだそうだ」
「そうなのか、ダンジョンの1階はスライムとホーンラビットだけだろ」
「そのホーンラビットが突進して角が子どもの腹に刺さったのさ」
「そうだったのか、監視の職員に落ち度は無いらしいから気の毒としか言いようがないな」
「死んだ子どもには不憫だが運が無かったとしか言いようがないな」
「そうだな」
二人の冒険者はしんみりとエールを飲んでいた。
「そう言えば、オカロダ町に新しいグループが誕生するって噂だな」
「その話、詳しく教えてくれよ」
「ああ、ダニヤ村から来た男女2組のグループだそうだ」
「そうなのか」
「この話はまだ内密にな」
「ああ、分かっているよ」
ヒロシとミサエさんは隅のテーブルが空いていたので椅子に座って店内の様子を伺っていた。
「ヒロシさん、『グループ』って何なの?」
「ミサエさん、急に聞かれても俺も分からないよ」
「そう言えば、昨日、壁際で大声で笑っていた男女二人がいたわね」
「そうだったかな」
「兄さんと姉さんたち、その話は人前では言っちゃいけないよ」
「ああ、壁に耳ありって言うからね」
「すみません、気をつけます」
「すみません、お二人にエール二つ」
「は~い」
「兄さん、たかったようで悪いな」
「いいえ、気にしないで下さい、俺たちソタイン村から出てきたので何も知らないので」
「それと、兄さんたち、『村から出てきた事も他人に言わないほう』がいいな」
「人によっちゃ村人の事を『ザリット』と呼んで差別対象にするかな」
「そうなのですか」
「分かりました、ご忠告ありがとうございます」
「いいってことよ、兄さんたちも気にするな」
「すみません、お二人にエールおかわり二つ」
「は~い」
エールのおかわりですっかり饒舌になった冒険者のアレクとエドマンは2年前に王都ケトマスからキント市に出稼ぎに来て1年前にオカロダ町に流れ着いたと教えてくれた。
来月にはナニサカ市に移ると教えてくれたのだった。
「兄さんと姉さんも早いこと他の町に引っ越しをしたほうがいいかもな」
「ここは壁に耳が有るから迂闊な事は言えないし余所者には優しくない町だからさ」
「まぁ、そういう事だ」
「エールごちそうさん」
客室に戻る前にアレクとエドマンが教えてくれたのは、オカロダ町ではクランが幅を利かせているのでクランを批判するような言動は影で冒険者が制裁を受けても誰も文句は言えなかったのだった。
クランに属していない他所から来た冒険者は一律亜人として見なされ、実力を低く見られるので、彼らの軽蔑対象となっていた。
クランも含めてイポニアの一般常識の事を何も知らないヒロシとミサエさんはオカロダ町独特の貴族至上主義のことを冒険者のアレクとエドマンから教わったのだった。
冒険者中級講習・2日目……
二日目の朝…… ヒロシとミサエさんは、朝食として「髭の酒蔵亭」の隠れた名物であるゴロゴロ野菜のスープを食べていた。
ゴロゴロスープとはオーク肉の腸詰めの出汁とニンジン、ジャガイモ、玉ねぎが入った野菜たっぷりのスープのことで酒を飲みすぎた冒険者たちには胃に優しいスープだったのだ。
「ミサエさん、そろそろ冒険者ギルドに行こうか」
「そうね、急ぎましょう」
二人はチェックアウトを済ませて髭の酒蔵亭を出た。冒険者たちは朝早くから隣のダニヤ村のダンジョンに行っているので通りを行き交う人たちは近隣の村々から農産物を積んだ荷馬車が多かった。
二人は通りを5分ほど歩いてオカロダ町の冒険者ギルドに到着した。受付で一人銀貨2枚を合計で銀貨4枚を払って別館に移動した。
「おはようございます」
「本日の講師を務めさせていただくロザンナです。よろしくお願いします」
「「「「ロザンナ先生、よろしくお願いします」」」」
受講生は元気よく朝の挨拶をした。受講生はヒロシとミサエさんの他に3組の男女のパーティがいた。
冒険者中級講習とは午前中が座学で屋外での基本的な身を守る方法と攻撃魔法の理論を学んだ。
ヒロシとミサエさんは世界辞書のインストールのお陰で攻撃魔法の座学も難なく理解が出来たのだった。
昼食を挟んで午後からは攻撃魔法の実践訓練が屋外の闘技場で行われた。
魔法剣士のブライアン先生が指導に加わった。
男性はヒロシだけが細身のレイピアで他の男性3人はバスターソードを使っていた。
女性は偶然にも全員が両手杖を使っていた。
闘技場は冒険者ギルドに併設されていて主に冒険者の訓練に使用される施設だった。
「「「「ブライアン先生、よろしくお願いします」」」」
「ヒロシ、キース、レオン、ビンセント、もっと魔力を練るんだ」
「「「「はい」」」」
ブライアン先生の実技指導は男性受講者には厳しかった。
「ミサエ、カーラ、ヘレン、マーサ、貴女たちも魔力を練って両手杖に集中するのよ」
「「「「はい」」」」
ロザンナ先生の先生の指導も女性受講者には厳しかった。
「次は実践だ。ヒロシ、キース、レオン、ビンセント、攻撃案山子に魔法を打ち込め」
「「「「はい」」」」
「サンダーボルト」 バリーン、ヒロシはレイピアから稲妻を放出した。
「ファイアーアロー」バシューン、キースはバスターソードから火炎矢を放出した。
「アイスランス」 バシューン、レオンはバスターソードから氷矢を放出した。
「ウインドカッター」 シューン、ビンセントはバスターソードから烈風を放出した。
「ミサエ、カーラ、ヘレン、マーサ、貴女たちも攻撃案山子に魔法を打ち込むよ」
「ファイアーアロー」 バシューン、ミサエさんは両手杖から火炎矢を放出した。
「アイスランス」 バシューン、カーラは両手杖から氷矢を放出した。
「ウインドカッター」 シューン、ヘレンは両手杖から烈風を放出した。
「ウインドカッター」 シューン、マーサは両手杖から烈風を放出した。
「では、最後に1組ずつペアで攻撃案山子に最大の魔法を打ち込んでくれ」
「二人合わせて300点以上出せば合格だ。ヒロシ、ミサエ」
「「はい」」 「サンダーボルト」「ファイアーアロー」 バリーン、バシューン 「点数は350点、合格」
パチパチパチパチ
「キース、カーラ」 「「はい」」 「ファイアーアロー」「アイスランス」 バシューン、バシューン、 「点数は390点、合格」
パチパチパチパチ 「レオン、ヘレン」 「「はい」」 「アイスランス」「ウインドカッター」
バシューン、シューン 「点数は380点、合格」パチパチパチパチ
「ビンセント、マーサ」 「「はい」」 「ウインドカッター」「ウインドカッター」 シューン、シューン 「点数は350点、合格」 パチパチパチパチ
「全員、合格だ、おめでとう」 「貴女たちもよく頑張ったわね」
「「「「ブライアン先生、ロザンナ先生、ありがとうございました」」」」
「ヒロシ、帰りにバスターソードを買って帰るといいよ」
「レオン、バスターソードは何処で買うのですか?」
「鍛冶町の刀剣屋、ベイツ親方の店だよ。但し、親方が打ったチーソ刀はもの凄く高いので普通は弟子が打ったお値打ち品を買うのさ」
「レオン、ありがとう」
こうして、ヒロシとミサエさんは皆と分かれ、受付でDランク冒険者カードを新しく貰ったのだった。他の受講生たちは既に全員がDランク冒険者として活躍しており、冒険者中級講習はCランク冒険者に上がるための講習だった。Cランク冒険者(銅)になるとベテラン冒険者として冒険者ギルド内でも一目置かれるのだった。
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