改訂版 愛のエキスと聖女さま

にしのみつてる

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第3章

カタパルト製作と4組の無効化~西海岸は今日もぬるかった~

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 翌朝……

 ピピピ、ピピピ、ピピピ――。ベッドサイドに置いたタブレットからいつものように目覚まし音が鳴り響き、ラファエルはヒロシとミサエさんを起こした。

「ミサエさん、おはよう」
「ヒロシさん、おはよう」

「ミカエル、今日はどうしたの?」
「ヒロシさん、おはようございます。残りの『ワイバーン型無人機』7機が完成しています」

「今日からは『ワイバーン型無人機』を飛ばし、残りの『堕天使・ルシファーが召喚した勇者・聖女』を無力化しましよう」


「そうだね……『堕天使・ルシファーが召喚した勇者・聖女』の波動を追跡するしか方法がないのかな~」
「ヒロシさん、おはようございます。朝から難しい顔していますね」

「サブロー、ダリナ、おはよう。二人は朝からニコニコだね」
「はい、コーラを手に入れたので昨夜はダリナさんと飲み明かしました」
「それに、ドーナッツも器具を具現化で作ったので試食したのです」

「はぁ~?」
「サブロー、ダリナ、あなたたち、おデブになりたいの?」
「ミサエさん、ごめんなさい」

「コーラとドーナッツは一日1本と1個よ」
「は~い」

 朝食後……4人と4体は作戦会議中だった。
「ヒロシさん、サンフランシスキとニューヨーキの中間はどのあたりですか?」

「イワン、どうした?」

 イワンは地図でサンフランシスキとニューヨーキの中間に赤い駒を置いた。そして、赤い駒から更に半分の距離に青い駒を置いた。

「あっ、ここって僕たちが飛空石を採掘したサンフランシスキとです」
「ヒロシさん、サンフランシスキと鉱山を結ぶ線で南北に分けるのはどうですか?」
「とりあえず、1機を放出しよう」

「カタパルト準備完了」
「『ワイバーン型無人機』射出準備完了」
「方位 0度、打ち上げ角、15度」
「3,2,1……」
「発射」チューン
「射出成功」

「アラン、イワン、いつの間にカタパルトを作ったの?」
「はい、ヒロシさんたちが寝ている間です」

「ヒロシさん、諦めましょう。アランもイワンも『自重しないバトル執事』ですから、24時間戦えるのは当たり前です」
「アラン、イワン、よく頑張ったね」

「『ワイバーン型無人機1号』規定高度に達しました。現在、北部を旋回中」
「了解、先行して警戒していた『ワイバーン型無人機』はコードナンバーを『ワイバーン型無人機2号』に変更」
「南部に飛行コースを変更」
「コース変更完了」

「アラン、イワン、今の声は誰が喋っているの?」
「はい、自動管制システムAIクリスタル脳です」
「今は仮でログハウスに設置していますが、アメリキ国の中心の高い山か空中に浮かべるつもりです」

「サブロー、アランとイワンは”航空交通管制システム”まで自動化したのか?」
「ヒロシさん、『自重しないバトル執事』ですから、当たり前です」

「ヒロシさん、サブロー、お茶にしましょ」
「は~い」

「ミサエさんたちは何をしていたの?」
「エレナとベッキーに手伝ってもらってミシンの改良よ」

「改良したミシンは神界に転送したわ」
「ミサエさん、オリジナルのミシンは何処か不具合があったの?」

「ええ、ボビンケースが舟形だったから、かなり古い時代のミシンなので垂直釜にボビンケースを新しく作り変えたの」

「ヒロシさん、精密な縫製は垂直釜のミシンです」
「エレナとベッキーはミシンに詳しいの?」
「はい、ヨダシステムからミサエさんが学生の頃に習った足踏みミシンの構造を引っ張ってきました」

「ヒロシさんに買っていただいた足踏みミシンが普及しなかったのは糸絡みが原因だったのでより使いやすくしたのです」

「ひょっとして、金貨5枚の全自動ミシンの情報も調べたの?」
「はい、足踏み式を魔導モーターで無理やり回しているだけなので糸絡みは依然と同じです」

「エレナ、ベッキー、ありがとう」


「ヒロシさん、サブローさん、西部地域に反応はゼロです。これより南部地域への移動を提案します」
「アラン、イワン、ログハウスの移動と『ワイバーン型無人機』の射出は任せた」

「了解しました」
「コース110度(東南東)、目的地ニーリンズに決定」
「目的地をニーリンズに設定、オートパイロット作動、視界クリアー、コース障害無し」

「ヒロシさん、サブローさん、目的地はニーリンズですが、工業都市のヒーストンも可能性はあります」
「あとは、勇者と聖女の行動パターンから推測するとリゾート地の半島のオランドです」

「ちなみに代表都市は、ヌーリンズ、ヒーストン、ナシベル、アトランボ、オランドです」

ヒーストンとヌーリンズ通過時に『ワイバーン型無人機』を放出するのはどうかな?」
「はい、その案で間違いないと思います」

「たぶん、勇者と聖女はオランドの遊戯施設で遊び呆けている可能性が高いかと思いますが……」
「俺もハンバーガーとコーラ、ボウリング場から考えると、勇者と聖女は『遊ぶことしか考えていない』と思っているよ」

 ポーン、ポーン、「まもなく、ヒーストン手前1000キロ地点です。カタパルト準備をしてください」

「カタパルト準備完了」
「『ワイバーン型無人機』射出準備完了」
「方位 0度、打ち上げ角、15度」
「3,2,1……」
「発射」チューン
「射出成功」

「『ワイバーン型無人機3号』規定高度に達しました。現在、ヒーストンを旋回中」
「アラン、イワン、続けて2機放出は可能か?」
「はい、連続では出来ませんが間を置けば可能です」

「4号はヌーリンズへ向けて射出、5号はオランドへ向けて射出」
「了解しました」

「カタパルト準備完了」
「『ワイバーン型無人機4号』射出準備完了」
「方位 0度、打ち上げ角、15度」
「3,2,1……」
「発射」チューン
「射出成功」

「『ワイバーン型無人機4号』現在、ヌーリンズに向けて上昇中」
「ブースター作動、ヌーリンズ到着は2時間後です」

「カタパルト準備完了」
「『ワイバーン型無人機5号』射出準備完了」
「方位 0度、打ち上げ角、15度」
「3,2,1……」
「発射」チューン
「射出成功」

「『ワイバーン型無人機5号』現在、オランドに向けて上昇中」
「ブースター作動、オランド到着は4時間後です」

プープー、「『ワイバーン型無人機3号』より感知あり」

「敵・悪魔の反応あり、90度方向、距離2万9000メートル。魔力レベル150、対象は堕天使・ルシファーが召喚している悪魔と認定、これより無力化します」

「迎撃モード移行」

 機体の腹部が開き、魔核エネルギーを収束した光の矢『ルミナスの矢』が生成された。これは殺傷ではなく、対象のスキルを全て封印し、レベルを永久に10に封印する神の呪いだった。

「『ルミナスの矢』発射まで3、2、1…」

 ズドンッ!
 光の矢が空を裂き、悪魔の胸に当たり周囲に目に見えない魔法陣が展開された。

「悪魔の消滅を確認」
「通常モードに移行」


「ヒロシさん、『ルミナスの矢』も進化したのでしょうか?」
「サブロー、深く考えないでアランとイワンと全て任せておこう」


(話終わり)
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