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第3章

3-4 オカロダ町で偽勇者と偽聖女になりかけた件

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 オカロダ町の冒険者ギルドでヒロシとミサエさん、ダリナとサブローの4人は、本人の意思とは別に目立ち過ぎたようなので他の冒険者たちから大ブーイングを浴びてしまったのだった。


 タブレットの更新が終わった連絡を受けて急いでソタイン村の家に帰り、更新が終わったタブレットのラファエルから飛行テスト中にイポニアから神様がいなくなったという衝撃的な事実を4人は聞かされたのだった。

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「信心深き者たちよ」
 タブレットが金色に光って、3柱の神様が現れた。

「汝らは短期間に努力をし、ジェネオス、アギオスの粋までレベルを上げたことは大義であった」
「今後は更に努力をして亜神の領域までレベルを高めるのじゃ」

「プリアーポス様、ボナデア様、レート様、ラファエルが言っていたイポニアから神様が居なくなった話は本当なのでしょうか?」

「ゼウス様が神界の会議で決めことで有り、我々もゼウス様、ヘーラー様に従いエラーダ国に移動して世界を見守る事にしたのじゃ」

「では、イポニア国内において10000組の勇者と聖女が増えたのも本当の話なのですね」
「そうじゃ、最近ではナニサカの勇者と聖女がロキシア国に移住したが、その前はイチカ市の勇者と聖女じゃった」

「自称:○○町の勇者と聖女が増えてきておるのは事実で、土地神の加護をもらっておるのも事実なのじゃ」

「イポニアはオリンポスの神々の加護を受けもっと発展する予定であったが、妬みが招いた結果であるのじゃ」

「汝ら4人はオカロダの冒険者ギルドで経験したと思うが、自称:○○町の勇者と聖女は他所から来た強い者が現れると喧嘩の素になってしまうのじゃ」

「プリアーポス様、ボナデア様、原因は『妬み』なのですか?」
「ヒロシ、そのとおりよ、あなた達4人は既に偽勇者と偽聖女になっているのよ」

「そうだったんだ、ミサエさん、ダリナ、サブロー、オカロダ町の冒険者ギルドの赤マントの男が、俺たちを指さしてやたらでかい声を張り上げて噂話をしていた訳が分かったよ」

「ヒロシさん、今ごろ気付いたの?かなり遅れているわよ」

「ミサエさん、私とサブローは赤マントの男と横にいた女性がオカロダ町の勇者と聖女だと直ぐに気付きましたよ」
「そうね、私も直ぐに気付いたわ」

「プリアーポス様、ボナデア様、レート様、オカロダ町では、俺たち4人も『偽勇者と偽聖女』になった訳ですね」
「そうじゃ、これに領主の側近と教会の司祭が裏で絡んでいるので余計に厄介な事になっておるのじゃ」

「プリアーポス様、ボナデア様、レート様、我々も直ぐにエラーダ国に移住してよろしいでしょうか?」
「もちろん、その予定であるが、暫くの間は世界各地を周りながら各々の知識を深めるのじゃ」

「「「「はっ、仰せのままに」」」」

「こうして、ヒロシはオカロダ町で偽勇者と偽聖女になっていた事に気付いたのであった」

「ミサエさん、オカロダ町の勇者と聖女はそんなにまでして地位を守りたいの?」

「ヒロシさん、あの時、赤マントの勇者と聖女の4人が代表で倉庫に魔物を確認しに行ったのを覚えているでしょ」
「うん、はっきりと覚えているよ」

「ヒロシさんも逆の立場だったら文句を言いながら同じ事をしているはずよ」
「そうかなぁ?、俺はしないと思うけど」

「ただ、私たちがレベル70だったから、絡んで来なかっただけよ」
「そうだったんだ」

 ヒロシは今まで自分が好きな事だけをして生きる人生を送って来たため、地位や名誉を重んじる人生には全く縁の無い人間だった。だから他人を妬んだり貶めたりする意味が分からなかったのだった。

◇ ◇ ◇ ◇

 キャンピングカーはテスト飛行を終えて無事にソタイン村の家に帰ってきていた。

 ミサエさんは引っ越しをするにあたって他人から行き先を聞かれた時は『とりあえずは王都ケトマスに行く予定です』と、大まかなストーリーを仕立てたのだった。


 翌朝、ヒロシ達4人はソタイン村の家を元通りに戻してからソタイン村の商業ギルドに引っ越しの挨拶に行った。


「ゲオルクさん、エミリーさん、短い間でしたが色々とお世話になりありがとうございました」
「そうか、やっぱり4人で旅に出るのだな」

「昨夜遅くオカロダの冒険者ギルドからソタイン村の勇者と聖女の問い合わせが来ていたよ」
「お前たち、オカロダ町でマリティレスともめたのか?」

「いいえ、そんな事は有りませんが、オカロダの冒険者たちが俺たちが倒した魔物の事で騒ぎだしたのです」
 ヒロシは今までの家賃と村へのお礼として金貨10枚をゲオルクさんに渡した。

「お前たち、行き先は決めているのか?」

「はい、とりあえずは王都ケトマスに行く予定です」

「そうか、気が向いたら、アラゴト市からガレオン船でロキシア国に渡るといいよ」
「船賃は一人金貨10枚だが今のお前たちの稼ぎなら持っているだろう」

「えっ、どうしてですか?」

「俺たちは10年前にロキシア国からアラゴトを経由して商人として一旗揚げようと移住してきたが、お前たちが冒険者として成功したかったら逆にロキシア国に移住して名を売ることだ」

「ここと違ってロキシア国は人種差別が無いから冒険者が活躍できるからな」
「それと国土も広いから獲物も多いしな」

「やはりこの村は人種差別を受けていたのですね」

「ああ、大きな声では言えないが、ソタイン村はザリットと呼ばれる村人全員がロキシア国からの移住者なのさ」

「それと、オカロダ町の領主一族は土地の所有者だから誰も逆らえないのさ」

「それじゃぁ、マリティレスには誰も逆らえないのですか?」
「そういうことだ、何人も絶対に逆らえないのさ」

 ゲオルクさんはソタイン村とオカロダ町の関係を詳しく教えてくれたのだった。

「だから俺たちが目立ったので勇者と聖女が騒いだ訳だ」
「ヒロシさん、理解した。そういうことよ」

 4人はソタイン村の雑貨店で新鮮な野菜とチーズ、そしてミルクを多めに買った。村のおかみさんたちが焼いた田舎パンも1週間分を購入した。村人たちは食料品を腐らせないか心配していたが、ヒロシとサブローは食料品全て収納にしまったので問題は無かった。

 4人は村人に見送られて、獣人族の里を迂回しながら峠を超えるノーミ市に行く最短ルートを選んだ。そこから、キント市に出て魔導列車で王都ケトマスに出てアラゴト市からガレオン船でロキシア国に渡ると大まかに伝えた。

「ヒロシさん、ミサエさん、ダリナさん、サブローさん、路銀を稼ぐためにもう一つの峠で魔物を倒してから出発しましょう」

「ヒロシさん、旅を続けるには路銀が必要よ」
「そうだな」

「ダリナ、サブロー、魔物退治に行こうか」
「「は~い」」

「サブロー、またバギーに乗れるね」
「ダリナさん、何だか楽しそうですね」

(話終わり)
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