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第5章

5-11 海の怪物モビュラ3

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「ヒロシさん、サブローさん、キャンピングカーにヒッチキャリアを取り付けましょう」
 ラファエルはロケットランチャーを撃つための銃座ヒッチキャリアをキャンピングカーの前後に確保してくれたのだった。

 ヒロシは具現化で前後2セットのヒッチキャリアを作ったのだった。

「サブローもヒッチキャリアを作ってくれ」
「了解です」

「じゃあ、キャンピングカーに今からヒッチキャリアを取り付けるよ」

「「インストール・ヒッチキャリア」」

「サブロー、タブレットに赤い点が出て魔物反応しているよ」
 ダリナは西の海域にモビュラの反応が有った事を皆んなに伝えた。

「ヒロシさん、ミサエさん、僕たちは西の海域に先に向かいます」

「ミサエさん、今から囮作戦開始だ。俺たちも急いで西の海域に向かうよ」
「ヒロシさん、了解よ」


「サモンゴーレム・イワン、ベッキー」
 サブローは、ゴーレムのイワンとベッキーを召喚して二体のゴーレムを背中合わせにATVに乗せた。イワンがトローリングの釣り竿を握って囮のトノスを泳がせる役で、ベッキーがATVの操縦をする役だった。その後をサブローたちのキャンピングカーが追いかけていた。

「ミサエさん、俺たちもゴーレムをATVに乗せて囮のトノスを泳がせよう」
「ヒロシさん頑張って」

「サモンゴーレム・アラン、エレナ」

「ヒロシさん、海面を見て」
 海面には30メートルを超えるモビュラが囮のトノスを飲み込んで間近に浮かび上がってきていた。

「サブロー、ダリナ、対魔物ミサイル発射準備」

「サブロー、ゴーレム送還、急いで」
「レパトリエーション・イワン、ベッキー」

「構え、撃て!!」
 バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、サブローが撃った4発の対魔物ミサイルはモビュラに全て命中していた。

「サブロー、倒したモビュラは収納にしまってくれ」
「了解です」

「サブロー、ちょっと怖かったね」
「ダリナさん、ちょっと漏らしましたか?」
「うん」

「ヒロシさん、東の海域に赤い点が光っているわ」
(サブロー、東の海域に向ってくれ)

(ヒロシさん、了解です)

「ヒロシさん、南の海に赤い点の反応」
「ミサエさん、俺たちは南の海域に先行しよう」
「レパトリエーション・アラン、エレナ」

 数分後……ヒロシとミサエさんは目的の南の海域に到着していた。

「サモンゴーレム・アラン、エレナ」
「レパトリエーション・アラン、エレナ」

 囮のトノスを海面に泳がす暇もなくモビュラが海水面下から急に飛び出してゴーレムに襲いかかってきた。バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、ヒロシはモビュラに向かって対魔物ミサイルを撃った。


「ふう、危なかった。ミサエさん、モビュラを仕留めたね」
「もう大丈夫ね」
 ヒロシは倒したモビュラを収納にしまった。

 その頃、サブローとダリナは東の海域でモビュラを仕留めていた。

 シューン、バシューン
「ダリナさん、モビュラを仕留めたね」
「サブロー、もう大丈夫ね」
 ダリナは安全になったので予備の魔女服に着替えをしたのだった。

(ヒロシさん、そっちはどうですか?)
(ああ、南の海もモビュラを仕留めて収納したよ)

「ヒロシさん、北の海で光っているわ」
(サブロー、俺たちは北の海に向かうよ)
(了解です)

「サブローさん、西の海域に再び赤い点が現れました」
「ヒロシさん、西の海域に再び赤い点」
 ミサエさんとダリアが同時に叫んだ


「サブロー、西の海を頼むね」
「俺とミサエさんは北の海に向かうね」

「ヒロシさん、終わりました」
「サブロー、ダリナ、こっちも終わったよ」

「ミサエさん、モビュラの赤い点はまだ光っているの?」
「もう大丈夫のようね」

「サブロー、ダリナ、お疲れ様、漁業ギルドに報告に行こうよ」
「了解です」

 モビュラは全部で5体を仕留めて、ヒロシたち4人は漁業ギルドに報告をした。

「お前ら、水柱が5本も上がったから化け物を全部仕留めて来たんだな」
「はい、モビュラは5体討伐完了です」

「水柱は改良した雷魔法です」

「それにしても規格外だ」
「とりあえず領主にモビュラ討伐の報告を上げておくので後で報奨金が出るだろう」
「モビュラは値段が付くか分からないが、全て漁業ギルドで預からせてくれ」

「それから、一週後にもう一度来てくれ、その時に報奨金と一緒に渡すよ」
「わかりました、よろしくお願いします」

「皆の衆、海の魔物の危険は去った」
「「「「「「うぉ~~~~~」」」」」」

「さあ、ヒロシさん、サブローさん、どうぞ、どうぞ」
 ヒロシとサブローは島民から古酒を勧められた。
「ミサエさん、ダリナさんも、どうぞ、どうぞ」

(4人にお酒に対する状態異常無効化を発動します)

「ヒロシさん、古酒はまろやかですね」
「サブロー、飲みすぎると足をとられるぞ」

「ミサエさん、このエールあっさりして飲みやすいです」
「本当ね、でも飲みすぎないでね」

 ♫ ホイサおじん ホイサおじん ホイサおじん ホイサおじん ♫
 アイヤ、ソイヤ、ペンペペン ペぺンペペン、アイヤ、ソイヤ、ペンペペン ペぺンペペン

 ♫ サーユイユイ マタデアイニ アスニハカミサマヨ~ ♫

 ドドン、ドドン、ドドン、アイヤ、ソイヤ、ドドン、ドドン、アイヤ、ソイヤ、

 三線と太鼓のリズムに合わせて島民全員が輪になって踊りだした。

「ヒロシさん、何処かで聞いた民謡だよね」
「ミサエさん、安里屋ユンタだよ」

「そうね」

「ダリナさん、ヒロシさんとミサエさんはラブラブですよ」

「そうね、私たちはラブラブよりラフテーよね」
「そうです、ダリナさん、デビチ食べますか?」
「サブロー、ソーキそばも美味しいよ」


 皆んなはパラチ島の海に本当に平和が訪れたと確信したのだった。


 モビュラの退治の次の日……島の人達は昼間は漁に出て働くが、夜は昨晩と同じように大宴会になっていた。

「島の人達は本当にお酒が好きなんですね」
「神への感謝も込められています」
 サミール司祭は古酒を飲みながら理想郷ニライカナイ について熱っぽく説明してくれた。


「サミール司祭、じゃぁ、ここの湾が理想郷ニライカナイなのですか?」
「そうです」

 ヒロシは酒に酔ってはいなかったが、理想郷ニライカナイという言葉に惹かれたのだった。

 こうして、島の夜はふけていった。

 ◇ ◇ ◇ ◇


「ヒロシさん、サブローさん、今日は漁業ギルドに報奨金をもらいに行きませんか?、モビュラの退治から1週間が経ちましたよ」

「そう言えば毎晩宴会だったのですっかり忘れていたよ」

 ヒロシたち4人は漁業ギルドに行き、この前のモビュラ退治の報奨金が出ていないか聞いてみた。

「まぁ、掛けてくれ」

「ヒロシさん、サブローさん、この前のモビュラ退治はありがとう。おかげであれからは船の被害は出ていないよ」
「領主から預かった報奨金だ、金貨100枚だ、それと、モビュラの代金だが薬になるらしく、キナ国の商人が高値で買ってくれたので5匹で金貨1000枚だ。合計で金貨1100枚だ」

「ありがとうございます」

 ヒロシは領主のお礼は金貨100枚は漁業ギルドに寄付をした。また、サミール司祭に滞在費と教会へのお礼として金貨100枚を寄付したのだった。

「ミサエさん、この島全体が島民も含めて理想郷ニライカナイだと思うよ」
「ヒロシさん、その事に気付いただけでも偉いわ」
「そうだね」

「ダリナさん、見てください。ヒロシさんとミサエさんがラブラブですよ」

「サブロー、こんなに素敵な星空を見ながら美味しいお酒が飲めるのよ」
「ダリナさん、そうですね」

「あれ~」
「あれ~」

「サブロー、私たちも真面目にラブラブしていたわ」
「そうですね」


 ヒロシたち4人はパラチ島で討伐報酬を受け取ったあと夜遅くに転移門でタイバン島横の無人島チェロナ島に帰ってきたのだった。 

 夜遅くになった訳は、漁業ギルドにヒロシたちから金貨100枚が寄付されたのでまたいつものように酒盛りが始まって島民全員が飲めや歌えで酔いしれたのであった。

(話終わり)
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