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第6章

6-10 カレー料理を食べ比べてみた

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 ヒロシたち4人はキーナ国でワイバーンに遭遇したが、討伐後に着陸した美しいブルーポピーの花畑を見学した後で再びログハウスで飛び上がり1時間後にブータニ国に到着した。

 ブータニ国はチベッタ山脈の麓にある標高2000メートルの美しい景色と豊かな文化で有名な小さな王国だった。

「ヒロシさん、大きな風車だね」
「皆さん、あれは神様に風の力で祈りを捧げるマニ車ですよ」
 ラファエルが観光ガイドよろしくブータニ国の教会について教えてくれた。

「サブロー、教会が崖に沿って建っているよ、行こうか?」
「ダリナさん、急に走っては駄目です」

 サブローが言い終わる前にダリナは高山病を発症して岩の上にへたり込んでいた。
「ミサエさん、マンドラゴラポーションを飲ませよう」
「ヒロシさん、パーフェクトヒールが先よ」

「パーフェクトヒール」

「ヒロシさん、ミサエさん、もう大丈夫です」
「ダリナ、高い山の上では急に走り出すとさっきみたいに気持ち悪くなるから、薄い空気に徐々に体を慣らしていくのよ」

「ミサエさん、強化魔法をかけたら駄目でしょうか?」
「多分、後で反動が来るはずだから、余計に気持ち悪くなると思うわ」
「ミサエさん、そうなんですね」

「ミサエさん、ダリナ、サブロー、食堂があるけど入ってみる?」
「「「は~い」」」
 ヒロシたちは食堂に入っていった。ラファエルが教えてくれたブータニの激辛料理を試すことにしたのだった。

「ダリナさん、辛い、でも美味しいです」
「サブロー、不思議な味だね」

 ブータニ国の代表料理、エマ・ダツィは唐辛子とチーズを主な材料とした料理で、辛さの中にチーズのコクが特徴だった。一緒に注文した赤米は赤いお米で、ブータニ国では一般的な食べ物だと店の店員から教えられた。


「ヒロシさん、それにしても美しい山だね」
「ミサエさん、来てよかったね」

「ダリナさん、美しい山だね」
「サブロー、急にどうしたの?」

「ダリナさん、今いい雰囲気なのシーンですよ、僕に合わせてくださいよ」
「サブロー、そうだったの、ゴメン、ゴメン」
 4人は青々とした谷々に囲まれた素晴らしい景色に見とれ、暫くの間感動をしていたのだった。

「世界はやっぱり広いね、さぁ次はカレーを食べに行こうよ」
「「「はい」」」

 ネパリ国へはイベット中央山脈を避けるように飛行して450キロだった。中央山脈の上を飛ばなかったのは、この前みたいにワイバーンの攻撃を避けるためだった。

 ポーン、ポーン、
「まもなく、ネパリ国首都カツマンズです」

「ラファエル、街道の外で着陸してくれ」
「了解しました」

 ネパリ国首都カツマンズは1000人の聖者が修行をしているポトル宮と呼ばれる一大宗教都市だった。

「ヒロシさん、巡礼者が多い街ですね」
「そうみたいだね」

「宗教都市でも強盗に遭うといけないから気をつけよう、絶対防御魔法3重展開・ココラリホー発動」
「「「はい」」」

「ヒロシさん、ミサエさん、カレーのお店です」
 サブローは言い終わるとダリナと一緒に入っていった。

「ダルバート、4つ」
「は~い」

 店内は巡礼者でごった返していた。ダルバートはネパリ国の家庭料理でどの食堂でも提供されていた。ダルは豆、バートはご飯を意味していた。

「ヒロシさん、豆のカレーライスですね」
「サブロー、あっさりして美味しいな」

「ダリナ、あまり辛くないね」
「ミサエさん、先程のエマ・ダツィは辛くて半分残してしまいました……」

 (皆さん、ポトル宮は近寄らない方がいいでしょう、他宗教は関わらずにマーケットでダラムマサラを買っていけば元の世界のカレーライスに似た味になると思われます)

(ラファエル、わかったよ、マーケットに案内してくれ)

「皆んな、お金を払ったら、市場に行こうよ」
「「「はい」」」

 市場でカレーの元になるダラムマサラを扱う店は数店舗あった。どの店も甲乙付け難かったのでミサエさんとダリナは相談して3店舗のダラムマサラをかなりの量を仕入れた。

「ヒロシさん、サブロー、これからはカレーが食べられるわよ」

「ミサエさん、期待しています」
「ダリナさん、美味しいカレーお願いします」

 4人は不用意に犯罪に巻き込まれるのを避けるため転移魔法でログハウスに戻ったのだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 翌朝……

 ピピピ、ピピピ、ピピピ、ラファエルは朝6時の定刻にアラームでヒロシとミサエさんを起こしてきた。

「ミサエさん、おはよう」
「ヒロシさん、おはよう」

「ヒロシさん、ミサエさん、おはようございます。昨夜の内にヒロシさんとミサエさんの脳はAIクリスタル脳に移植されました」

「はい、昨日他のジェネオスとアギオスにウイルス感染が見つかり緊急措置で神の脳に近いAIクリスタル脳に作り替える事が決定したのです」

「ミサエさん、ダリナとサブローを起こして、ステータスの確認だ」
 サブローとダリナはまだ寝ていたらしく目を擦って起きてきた。

「「「「ステータスオープン」」」」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】ヒロシ・ミラタ
【種族】人族
【年齢】22
【称号】大錬金術師/神の御使い《亜神》
【スキル】
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
 創造・創薬・具現化、鑑定、転移、収納、料理人、隠蔽、AIクリスタル脳、思念伝達、魔法付与、不老不死、従魔、召喚、ゴーレムマスター

【LV】1530
【MP】1530000

【名前】ミサエ・ミラタ
【種族】人族
【年齢】22
【称号】大魔女/神の御使い《亜神》
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
【スキル】
 創造・創薬・具現化、鑑定、転移、収納、料理人、隠蔽、AIクリスタル脳、思念伝達、魔法付与、不老不死、従魔、召喚、ゴーレムマスター

【LV】1530
【MP】1530000

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】ダリナ・サナダ
【種族】人族
【年齢】21
【称号】大魔女/神の御使い《亜神》
【スキル】
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
 創造・創薬・具現化、鑑定、転移、収納、料理人、隠蔽、AIクリスタル脳、思念伝達、魔法付与、不老不死、従魔、召喚、ゴーレムマスター

【LV】1530
【MP】1530000

【名前】サブロー・ヤマシタ
【種族】人族
【年齢】20
【称号】大錬金術師/神の御使い《亜神》
【スキル】
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
 創造・創薬・具現化、鑑定、転移、収納、料理人、隠蔽、AIクリスタル脳、思念伝達、魔法付与、不老不死、従魔、召喚、ゴーレムマスター

【LV】1530
【MP】1530000

 ◇ ◇ ◇ ◇

「ミサエさん、レベルが1530になって凄いことになっているけど、もうどうでもいいね」
「そうね、気にしていないわ」

「プリアーポス様、ボナデア様、レート様、聞こえていますか?」
「おお、久しぶりじゃ、どうしたのじゃ」

「AIクリスタル脳って何ですか?」
「それは話すと長くなるのじゃが……」
 プリアーポスはヒロシたち4人にヨーヘーとアッコの高速ピストンのシーンを転送した。

「では、この勇者と聖女は地球でウイルス感染して脳がおかしくなったのですか?」
「そういうことじゃ、それでゼウス様の怒りが爆発し、14万光年離れた快楽だけの星に飛ばされたのじゃ」

「そうじゃ、忘れておった、ダラムマサラはオリンポスの宮殿でも大いに受けたのじゃ」
「プリアーポス様、もう試されたのですか?」

「そうよ、私とレートでムサカにこっそり入れたのよ。ムサカはお好み焼きに似た食べ物よ」
「分かりました、カレーが受けたので今後も食の旅を続けます」

「それと、ミサエさんとダリナが考えたスムージーも女神たちには好評よ、美容に効果があるそうでヘーラー様から褒められたわ」

 プリアーポス様とボナデア様、レート様3柱は消えていかれた。

「ヒロシさん、良かったじゃない」
「ミサエさん、俺何か疲れた」

「ダリナさん、もう一度寝ましょうよ」
「サブロー、駄目よスムージーよ」

「ヒロシさんもスムージよー」

 この後、ザクロのスムージーを飲まされたヒロシとサブローだったが、ザクロの効果で腹の調子が良くなったのだった。

(話終わり)
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