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八話 【ベッド】
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外に出て軽く夕食を済ませ、
ウルエたちは明日に向けて早めに寝ることにした。
ベッドのペアはウルエとベアデ、エデルとデヌ爺ちゃんとなった。
ウルエとしては体が小さいのと大きい同士が
ペアになれば良いと思っていたのだが
ベアヌが男と寝るのは嫌だと言って聞かず、
じゃあ、三人で一つのベッドを使うのかと思っていたら、
まだ幼いウルエとなら良いと言い出し、
今回はこのペアになったのだ。
ウルエはもう十歳になった訳だし、
幼い訳でも無い。
しかも男と寝るのは嫌だと言ったのにもかかわらず
男であるのにウルエとなら良いと言われ少し男としての自信を無くす。
だが、確かに数百年生きているベアデからしたら
ウルエはまだ十年間しか生きていない幼子なのだ
そんな事を自分に言い聞かせて
ウルエはベッドの中に入った。
「ウルエぇ、学園は楽しみぃ?」
皆ベッドに入り寝ようかと思っていたら、
横にいるベアデがすり寄って来て小声でそう聞いてきた。
幾らウルエが幼く見えるからと言って耳元で呟くのはやめてほしい。
ドキリとしてしまう。
「うん、楽しみだよ」
(久々にお姉ちゃんとも会えるし、友達も一人や二人欲しいと思ってたから。
でも、厄介ごとに巻き込んでくるような人はお断り)
「そっかぁ、でも気を付けてねぇ。
世の中には怖い人達が沢山いるからぁ」
「うん、分かってるよ」
勿論そんな事言われなくても分かってる。
そういう人とは一切関わらない様にしているのだが、
残念ながらウルエは既に最も怖い人と一緒に暮らしてきていたのだ。
「ウルエは寂しいぃ?」
「んー、寂しくないって言ったら嘘になっちゃうけど、
学園にはお姉ちゃんがいるし、きっと友達も出来ると思うから
そこまで寂しくはないよ」
「そっかぁ、私たちは少し寂しいなぁ、
あまり関わってないけどぉ、ウルエは皆の家族だからねぇ」
「家族……」
お義母さんやお義父さんとは結構話したりしていたが、
ベアデ達以外の悪魔とはあまり関わっていない。
ウルエは出来るだけみんなと仲良くしたいのだが、
どうしても悪魔達の顔を見ると怖気づいてしまう。
エデルと話してみて外見で判断してはいけない
ということは分かったのだが、どうしてもあと一歩が足りない。
学園から戻ったらその一歩が踏み出せると願う。
「あぁ、そうだぁ」
「ん?」
ベアデは何かを思い出し、
空間に手を突っ込んだ。
そして、ペンダントらしきものを取り出した。
電気を消しているためハッキリとは確認できない。
「これぇ、あげるよぉ」
そういって寝ているウルエの首に手を回して、
ペンダントを付けてくれた。
「ありがと」
「困ったときはねぇ、そのペンダントに助けを求めると良いよぉ
私が昔ペットにした魔物が出てくるからぁ。
勿論ウルエには被害加えないから安心してねぇ」
何だか随分と凄い物を貰ってしまった。
と思ったウルエだが、魔物など見たことも無いので、
どれほど凄い物なのかは想像できないでいた。
(少し楽しみだがこれを使う日が来ない様に願ってるよ)
「それじゃぁ、明日もがんばろぉーおやすみぃ」
「うん、おやすみ」
ウルエは貰ったペンダントを触りながら
目を瞑り眠りについた。
翌日朝食を済ましてからヘンリ王国を出て
小さな砂漠を越え再び森の中へと入って行った。
大きな木々が生い茂っており太陽の光を遮断し、
昼間にも関わらず森の中は薄暗くじめじめとしていた。
足場が悪いため体力が倍奪われていき、
初日よりも多くの休憩を取りながらも
無事森を抜けだすことが出来た。
森を抜けてからは平原が続いており、
魔物が出ることもなく夜を迎えた。
エデルが火を焚き、明かり替わりにして夕食を頂く。
夕飯は爺が所有空間からほかほかのスープとパンを取り出してくれて、
それをみんなでおいしく頂いた。
所有空間とは不思議なものだとウルエは改めて思った。
一体どういう仕組みでホクホクのスープとパンが出てくるのだろうか。
魔法というのはつくづく不思議なものだ。
夕食を終え、ウルエたちはその場で眠りについた。
一応魔物を警戒してだろうか、
ベアデ達は交代交代で見張りをしてくれていた。
ウルエはまだ子供という訳でずっと寝かせてくれた。
翌日、ウルエたちは早速学園に向けて歩き出していた。
予定では今日の昼でリーゼイ王国に着く。
入学式は明日なので半日はゆっくりと出来る。
「そろそろだな。どうだ、ウルエ。
緊張してきたか?」
歩きながらエデルが笑顔をウルエに向けてそう言ってきた。
「少しね……」
ヘンリ王国でも結構な人を見てきたが、
リーゼイ王国は学園もあるためヘンリ王国よりも人口が多いらしい。
ヘンリ王国ではあまり表情には出さなかったが、人が恐ろしい。
十年間も城に籠っていた影響だろうか、
ウルエは結構な人見知りになってしまったらしい。
と言ってもそこまで重症なものではなく、
話そうと思えば話せる……と思いたいウルエだった。
「おお、そうかそうか。
そんなウルエに緊張を和らげる技を教えてやる」
前々から準備していたのだろうか、
エデルは物凄い嬉しそうな顔をしながらそういった。
「あぁーウルエぇ、そんなの信じちゃだめだからねぇ」
「何だと!つか、俺はまだ何も言ってねえぞ!
せめて言ってからにしろ、結構傷つくんだぞ」
「はいはいぃ、ウルエぇ、
緊張するときはねぇ、これを使うと良いよぉ」
ベアデはそう言って近づいて来て
小さく真ん中が膨らんでいる袋を渡してきた。
「なんだそれは」
ウルエが聞こうと思っていたが、
エデルに先を越されてしまった。
「見ての通りぃ、飴ちゃんよぉ」
「飴!」
久しぶりに聞いたぞ飴なんて言葉。
一体何味なのだろうな、楽しみだ。
ちなみにウルエが一番好きな味はイチゴ味だ。
ウルエはワクワクしながら袋から飴を取り出し、
口の中に放り込んだ。
味は無味だった。
「ベアデ、その飴って確か――ってああああ!!」
「うるさいなぁ、どうしたのぉああああああああ!」
「ん?」
二人は口を大きく開け目を見開き、
物凄い顔で此方を見て来ていた。
爺は表情一つ変えずに只々前を向いて淡々と歩き続けている。
「な、なに?」
「う、ウルエ……なんともないか?」
「え?」
「ごめんねぇ、説明不足だったけどぉ、
さっきの飴はねぇ、緊張を和らげる訳じゃないんだよぉ。
本当はぁ精神が物凄く強くなる飴なんだよねぇ」
精神が強くなる飴か……凄いな。
でもなんでこんなに二人は驚いているんだ?
「それがどうしたの?」
「精神が強くなる変わりにねぇ、
物凄く好戦的になっちゃうんだけどぉ……
ってぇ、なんともなさそうだね」
「安心するのは早いぞ、ウルエ、
俺の事殴りたいとか思わないか?」
「全然思わないよ、そんな事したくないしね」
平和に生きていきたいのに
そんな自分からそれを崩すような行動はしない。
何が何でも自ら壊すような真似はしない。
これは絶対だ。
「そうか……なんともなさそうだな」
「不思議な事もあるもんだぁ」
「二人とも盛り上がるのは良いのですが、
そろそろ着くので恥をかかない程度にしてください」
「はい」
「はいぃ」
どうやらもうすぐリーゼイ王国に着くらしい。
楽しみだけど少し不安だ。
・・・・
リーゼイ王国、外見はヘンリ王国と同じように見えるが、
大きさが桁外れだ、まだリーゼイ王国まで少し距離があるが、
此処からでも大きな城がハッキリと見えている。
門には商人らしき人々が忙しそうに馬車らしきものに乗り
行ったり来たりしている。
それを見るだけでリーゼイ王国が栄えている
ということがわかる。
今からそんな大王国に自分が行かなくてはならない、
しかもそこの学園に……と思うと思わず身震いしてしまう。
ベアデからもらった飴で精神が強くなっているらしいが、
まだ効いていないのだろうか全く効き目が出ていない。
だが、ここまで来てしまった以上覚悟を決めなくては行けない。
ウルエは大きく深呼吸をして心を整えた。
「今回は確りと手続きをして入るので少々お待ちください」
門に近づくと爺がそう言ってきた。
確かに今回はヘンリ王国の様に騙して入国する訳には行かない。
此処の学園に通う以上、確りの手続きをしないと色々と問題になるからだ。
ウルエたちは商人の馬車と馬車の間に挟まれる形で列に並び順番を待った。
落ち着かなく周りをきょろきょろとしてしまう。
そんな事をしているとある事に気が付いた。
先ほどから馬車だとばかり思っていたのだが、
馬などではなく、トカゲの様な生き物だった。
この場合なんといえば良いのだろうか、
蜥蜴車……いや、蜥蜴って竜みたいながら竜車的な?
「ねぇ、エデル」
「ん、どうした」
「この蜥蜴みたいなのって何?」
ウルエは後ろにいる蜥蜴の方を見てそう尋ねた。
「ああ、それはパロメットだ」
「パ、パロメット?」
ウルエは聞いたこともない名前を聞き
思わず困惑してしまった。
「そうか、ウルエは知らなくて当然だよな、
パロメットというのは――」
「パロメットはねぇ、簡単に言うとぉ
翼が付いていない竜の事だよぉ」
エデルの言葉を遮りベアデが簡単に教えてくれた。
「俺の台詞だぞ!」
「知らないぃー」
(本当に二人は仲が良いんだな。それにしてもパロメットか……
学園に入ったら生き物について詳しく調べてみたいな)
「次、」
どうやらウルエたちの出番が来たようで、
門兵の下に爺ちゃんが歩いて行った。
何を話しているのかは分からないが、
爺ちゃんの事だから心配はいらないだろう。
爺ちゃんが門兵と話しているのにもかかわらず、
エデルとベアデの二人は相変わらず言い合っていた。
周りの商人らしき人々から視線が集まり非常に恥ずかしい。
「二人とも、ちょっと恥ずかしい」
何だか二人を見ていると緊張している自分がばかみたいになり、
ウルエの緊張は徐々に解れて行った。
「おっと、すまなかった」
「ごめんねぇ~」
一言掛けるだけで二人は争いをやめてくれた。
こんなにもあっさりとやめるのならば
最初から言い合いなんてしなければ良いのに……
そんな事を思っていると爺ちゃんが戻ってきた。
「手続きが完了しました、行きましょうか」
もっと時間がかかるものだと思っていたが
手続きは意外と早く終わるらしい。
爺ちゃんの後に続きウルエは遂にリーゼイ王国に足を踏み入れた。
ウルエたちは明日に向けて早めに寝ることにした。
ベッドのペアはウルエとベアデ、エデルとデヌ爺ちゃんとなった。
ウルエとしては体が小さいのと大きい同士が
ペアになれば良いと思っていたのだが
ベアヌが男と寝るのは嫌だと言って聞かず、
じゃあ、三人で一つのベッドを使うのかと思っていたら、
まだ幼いウルエとなら良いと言い出し、
今回はこのペアになったのだ。
ウルエはもう十歳になった訳だし、
幼い訳でも無い。
しかも男と寝るのは嫌だと言ったのにもかかわらず
男であるのにウルエとなら良いと言われ少し男としての自信を無くす。
だが、確かに数百年生きているベアデからしたら
ウルエはまだ十年間しか生きていない幼子なのだ
そんな事を自分に言い聞かせて
ウルエはベッドの中に入った。
「ウルエぇ、学園は楽しみぃ?」
皆ベッドに入り寝ようかと思っていたら、
横にいるベアデがすり寄って来て小声でそう聞いてきた。
幾らウルエが幼く見えるからと言って耳元で呟くのはやめてほしい。
ドキリとしてしまう。
「うん、楽しみだよ」
(久々にお姉ちゃんとも会えるし、友達も一人や二人欲しいと思ってたから。
でも、厄介ごとに巻き込んでくるような人はお断り)
「そっかぁ、でも気を付けてねぇ。
世の中には怖い人達が沢山いるからぁ」
「うん、分かってるよ」
勿論そんな事言われなくても分かってる。
そういう人とは一切関わらない様にしているのだが、
残念ながらウルエは既に最も怖い人と一緒に暮らしてきていたのだ。
「ウルエは寂しいぃ?」
「んー、寂しくないって言ったら嘘になっちゃうけど、
学園にはお姉ちゃんがいるし、きっと友達も出来ると思うから
そこまで寂しくはないよ」
「そっかぁ、私たちは少し寂しいなぁ、
あまり関わってないけどぉ、ウルエは皆の家族だからねぇ」
「家族……」
お義母さんやお義父さんとは結構話したりしていたが、
ベアデ達以外の悪魔とはあまり関わっていない。
ウルエは出来るだけみんなと仲良くしたいのだが、
どうしても悪魔達の顔を見ると怖気づいてしまう。
エデルと話してみて外見で判断してはいけない
ということは分かったのだが、どうしてもあと一歩が足りない。
学園から戻ったらその一歩が踏み出せると願う。
「あぁ、そうだぁ」
「ん?」
ベアデは何かを思い出し、
空間に手を突っ込んだ。
そして、ペンダントらしきものを取り出した。
電気を消しているためハッキリとは確認できない。
「これぇ、あげるよぉ」
そういって寝ているウルエの首に手を回して、
ペンダントを付けてくれた。
「ありがと」
「困ったときはねぇ、そのペンダントに助けを求めると良いよぉ
私が昔ペットにした魔物が出てくるからぁ。
勿論ウルエには被害加えないから安心してねぇ」
何だか随分と凄い物を貰ってしまった。
と思ったウルエだが、魔物など見たことも無いので、
どれほど凄い物なのかは想像できないでいた。
(少し楽しみだがこれを使う日が来ない様に願ってるよ)
「それじゃぁ、明日もがんばろぉーおやすみぃ」
「うん、おやすみ」
ウルエは貰ったペンダントを触りながら
目を瞑り眠りについた。
翌日朝食を済ましてからヘンリ王国を出て
小さな砂漠を越え再び森の中へと入って行った。
大きな木々が生い茂っており太陽の光を遮断し、
昼間にも関わらず森の中は薄暗くじめじめとしていた。
足場が悪いため体力が倍奪われていき、
初日よりも多くの休憩を取りながらも
無事森を抜けだすことが出来た。
森を抜けてからは平原が続いており、
魔物が出ることもなく夜を迎えた。
エデルが火を焚き、明かり替わりにして夕食を頂く。
夕飯は爺が所有空間からほかほかのスープとパンを取り出してくれて、
それをみんなでおいしく頂いた。
所有空間とは不思議なものだとウルエは改めて思った。
一体どういう仕組みでホクホクのスープとパンが出てくるのだろうか。
魔法というのはつくづく不思議なものだ。
夕食を終え、ウルエたちはその場で眠りについた。
一応魔物を警戒してだろうか、
ベアデ達は交代交代で見張りをしてくれていた。
ウルエはまだ子供という訳でずっと寝かせてくれた。
翌日、ウルエたちは早速学園に向けて歩き出していた。
予定では今日の昼でリーゼイ王国に着く。
入学式は明日なので半日はゆっくりと出来る。
「そろそろだな。どうだ、ウルエ。
緊張してきたか?」
歩きながらエデルが笑顔をウルエに向けてそう言ってきた。
「少しね……」
ヘンリ王国でも結構な人を見てきたが、
リーゼイ王国は学園もあるためヘンリ王国よりも人口が多いらしい。
ヘンリ王国ではあまり表情には出さなかったが、人が恐ろしい。
十年間も城に籠っていた影響だろうか、
ウルエは結構な人見知りになってしまったらしい。
と言ってもそこまで重症なものではなく、
話そうと思えば話せる……と思いたいウルエだった。
「おお、そうかそうか。
そんなウルエに緊張を和らげる技を教えてやる」
前々から準備していたのだろうか、
エデルは物凄い嬉しそうな顔をしながらそういった。
「あぁーウルエぇ、そんなの信じちゃだめだからねぇ」
「何だと!つか、俺はまだ何も言ってねえぞ!
せめて言ってからにしろ、結構傷つくんだぞ」
「はいはいぃ、ウルエぇ、
緊張するときはねぇ、これを使うと良いよぉ」
ベアデはそう言って近づいて来て
小さく真ん中が膨らんでいる袋を渡してきた。
「なんだそれは」
ウルエが聞こうと思っていたが、
エデルに先を越されてしまった。
「見ての通りぃ、飴ちゃんよぉ」
「飴!」
久しぶりに聞いたぞ飴なんて言葉。
一体何味なのだろうな、楽しみだ。
ちなみにウルエが一番好きな味はイチゴ味だ。
ウルエはワクワクしながら袋から飴を取り出し、
口の中に放り込んだ。
味は無味だった。
「ベアデ、その飴って確か――ってああああ!!」
「うるさいなぁ、どうしたのぉああああああああ!」
「ん?」
二人は口を大きく開け目を見開き、
物凄い顔で此方を見て来ていた。
爺は表情一つ変えずに只々前を向いて淡々と歩き続けている。
「な、なに?」
「う、ウルエ……なんともないか?」
「え?」
「ごめんねぇ、説明不足だったけどぉ、
さっきの飴はねぇ、緊張を和らげる訳じゃないんだよぉ。
本当はぁ精神が物凄く強くなる飴なんだよねぇ」
精神が強くなる飴か……凄いな。
でもなんでこんなに二人は驚いているんだ?
「それがどうしたの?」
「精神が強くなる変わりにねぇ、
物凄く好戦的になっちゃうんだけどぉ……
ってぇ、なんともなさそうだね」
「安心するのは早いぞ、ウルエ、
俺の事殴りたいとか思わないか?」
「全然思わないよ、そんな事したくないしね」
平和に生きていきたいのに
そんな自分からそれを崩すような行動はしない。
何が何でも自ら壊すような真似はしない。
これは絶対だ。
「そうか……なんともなさそうだな」
「不思議な事もあるもんだぁ」
「二人とも盛り上がるのは良いのですが、
そろそろ着くので恥をかかない程度にしてください」
「はい」
「はいぃ」
どうやらもうすぐリーゼイ王国に着くらしい。
楽しみだけど少し不安だ。
・・・・
リーゼイ王国、外見はヘンリ王国と同じように見えるが、
大きさが桁外れだ、まだリーゼイ王国まで少し距離があるが、
此処からでも大きな城がハッキリと見えている。
門には商人らしき人々が忙しそうに馬車らしきものに乗り
行ったり来たりしている。
それを見るだけでリーゼイ王国が栄えている
ということがわかる。
今からそんな大王国に自分が行かなくてはならない、
しかもそこの学園に……と思うと思わず身震いしてしまう。
ベアデからもらった飴で精神が強くなっているらしいが、
まだ効いていないのだろうか全く効き目が出ていない。
だが、ここまで来てしまった以上覚悟を決めなくては行けない。
ウルエは大きく深呼吸をして心を整えた。
「今回は確りと手続きをして入るので少々お待ちください」
門に近づくと爺がそう言ってきた。
確かに今回はヘンリ王国の様に騙して入国する訳には行かない。
此処の学園に通う以上、確りの手続きをしないと色々と問題になるからだ。
ウルエたちは商人の馬車と馬車の間に挟まれる形で列に並び順番を待った。
落ち着かなく周りをきょろきょろとしてしまう。
そんな事をしているとある事に気が付いた。
先ほどから馬車だとばかり思っていたのだが、
馬などではなく、トカゲの様な生き物だった。
この場合なんといえば良いのだろうか、
蜥蜴車……いや、蜥蜴って竜みたいながら竜車的な?
「ねぇ、エデル」
「ん、どうした」
「この蜥蜴みたいなのって何?」
ウルエは後ろにいる蜥蜴の方を見てそう尋ねた。
「ああ、それはパロメットだ」
「パ、パロメット?」
ウルエは聞いたこともない名前を聞き
思わず困惑してしまった。
「そうか、ウルエは知らなくて当然だよな、
パロメットというのは――」
「パロメットはねぇ、簡単に言うとぉ
翼が付いていない竜の事だよぉ」
エデルの言葉を遮りベアデが簡単に教えてくれた。
「俺の台詞だぞ!」
「知らないぃー」
(本当に二人は仲が良いんだな。それにしてもパロメットか……
学園に入ったら生き物について詳しく調べてみたいな)
「次、」
どうやらウルエたちの出番が来たようで、
門兵の下に爺ちゃんが歩いて行った。
何を話しているのかは分からないが、
爺ちゃんの事だから心配はいらないだろう。
爺ちゃんが門兵と話しているのにもかかわらず、
エデルとベアデの二人は相変わらず言い合っていた。
周りの商人らしき人々から視線が集まり非常に恥ずかしい。
「二人とも、ちょっと恥ずかしい」
何だか二人を見ていると緊張している自分がばかみたいになり、
ウルエの緊張は徐々に解れて行った。
「おっと、すまなかった」
「ごめんねぇ~」
一言掛けるだけで二人は争いをやめてくれた。
こんなにもあっさりとやめるのならば
最初から言い合いなんてしなければ良いのに……
そんな事を思っていると爺ちゃんが戻ってきた。
「手続きが完了しました、行きましょうか」
もっと時間がかかるものだと思っていたが
手続きは意外と早く終わるらしい。
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何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。
生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。
果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!?
「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」
そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?
自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!
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