異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト

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四十四話 【友達】

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『そうか、そうか!ウルエと言うのか!覚えたぞ人間!ヴェッヘッヘ!』

「あの、ケインさんは一体どこから話しかけているのですか?」

 先ほどからずっと脳に直接響く声は一体どこから飛んできているのだろうかと
 疑問に思ったウルエはそんな質問を投げかけてみた。
 
『なんだ、そんなことも分からないのか!人間は愚かだな!ヴェッヘッヘ!
 俺様は一番高い所にいるぞ!これ以上は教えられないな、後は自分で考えるのだ人間!』

(一番高い所?迷宮の最上階って事かな?)

 一番高い所なら空とかを想像してケインと言う人物は
 神様なのではないかと思っても不思議ではないが、
 ウルエにとって神様は女神エミ意外認めないので、
 そんなことは考えずに、今の自分の居場所で一番高い位置を想像した。

「最上階にいるんですね」

『ヴェッヘッヘ!人間にわかるわけ――ってなんで正解するんだよ!人間!!!
 俺様が今までずっと考えていたプランが台無しじゃないか!!
 良いか人間、お前は俺様が最上階にいるってことは知らないことにするんだ!
 そして俺様が今から出すヒントを頼りに見事答えを導いて見せるのだ!』

「えぇ……」

『では、ヒントを出すぞ!
 この迷宮で一番偉いのはこの俺様なのだ!ヴェッヘッヘ!』

 ウルエの意思は置き去りにケインによるヒントが出されてしまった。
 その勢いに押されてしまいウルエは仕方がなく付き合うことにした。
 
「えっとつまり、創造主様って事ですか?」

 前にミア達が話していた創造主の事を思い出したウルエは
 この迷宮の最上階に居て一番偉い存在と言えばそれしかないと思い、
 そう発言したのだが――それは正解であって、

『人間!!何で正解するんだよ!!!!俺様のプランが台無しになってしまっただろ!!!
 この迷宮を創ってからずっと考えていたのだぞ!!もう少し続けさせてくれよ人間!!』

「えぇ、じゃあ、どうぞ……」

『ヴェッヘッヘ!そうこなくっちゃな人間!お前良い奴だな!
 ヒント2!この迷宮を自由に変えることの出来る存在が俺様なのだ!』

 これもまたケインがこの迷宮の創造主と言う事が
 直ぐにわかってしまうヒントであったが、
 流石に何だか正解を言ってしまうのはかわいそうに思えたウルエは
 敢えて間違えてあげることにした。

「ん~と、神様とか?」

『!!ヴェッヘッヘ!!人間!お前は莫迦だな!!
 ヒント3、この世界で最もカッコいいのは俺様!!』

 間違ってあげたことによって更に調子付いたケインは
 もはや訳の分からないヒントを出し始めたが、
 それでもウルエは付き合ってあげることにした。
 スライムをムニムニと抱きながら、迷宮の入り口に座る。

「ん~お義父さんかな」

『おい!!人間!!なんで間違うんだよ!!!そこは創造主様!って答えるとこだろ!!
 ヒント4、人間ではないのだ、ヴェッヘッヘ!』

 先ほどまでは正解するなと怒られ、次は正解しろと怒られてしまったウルエ。
 それでも尚まだ付き合ってあげるウルエ。
 それにはちゃんと理由がある。
 ケインが流れるように言った言葉だが、

『この迷宮を創ってからずっと考えていたのだぞ!!』

 その言葉の意味を考えると、流石に付き合わないのは
 可哀想だとウルエは思ってしまうのだ。
 何だか、女神エミと同じ感じがするとも思っている。

「え~じゃあやっぱ神様なんじゃ?」

『ヴェッヘッヘ!本当に愚かだな!人・間!!
 ヒント5――』

 それからウルエはケインが満足するまで付き合ってあげ、
 かれこれ数時間が経過しヒントは三桁に達していた。
 流石にそろそろ帰らないとフェルに怒られると思い出したウルエだったが、
 それよりも先にケインから声が掛かった。

『最後のヒントだ。人間……俺様は友達がいない』

 最後の最後でケインは物凄く悲しそうな声でウルエにそういった。
 それを聞いた彼はやはり彼女と同じタイプだと判断して、
 少し照れくさい方法だが、ケインと友達になる――
 いや、既に友達になっているつもりだと伝える。

「ん~誰だろうなぁ、今まではずっと創造主様だと思ってたけど、
 創造主様には俺と言う友達がいるはずだからなぁ――」

『人間、お前今……ヴェッヘッヘ!そうだよな!俺様と人間はもう友達だよな!
 いや~最後のヒントは無かったことにしてくれ!!正解だ!人間!いや、ウルエよ!
 俺様はこの迷宮の創造主だ!どうだ驚いただろう!!!ヴェッヘッヘッヘッヘ!!』

「お、驚いたぁ!」

『ふっ、お前は優しいな……また、話しかけても良いか?』

「うん、何時でもどうぞ」

『ヴェッヘッヘ!そうだよな友達だからな!ならば友達としてプレゼントをやろう!
 そのナーガを連れて行っても良いぞ!そいつの役目は俺様の友達を見つける事だったが、
 それはもう達成したからな、もう用済みなのだ!人間にやるとしよう!!』

「え!?本当に!!!!ありがとう!!」

 ナーガを貰えると聞き、ウルエは物凄く喜び、
 スライムの事を力強く抱くと、みるみる内にスライムが小さくなっていき、
 手のひらサイズまで縮小してしまった。

『その大きさなら問題ないだろう、人間?』

「うん!ありがとねケイン!!」

『っ!!ヴェッヘッヘ!』

 ウルエはスライムをポケットにしまい、
 新たに出来た友達に別れを告げて迷宮を後にした。
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