ふざけてやがる

むらじ

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久しぶり 前編

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人が苦手だ。コミュニケーション障害、という訳では無いが人と話しにくい。自分から話しかけるだなんて論外だ。

そんな私も高校生になり、仲の良い友達とも離れ新しい環境に身を置くことになった。


不安しかない。

やはり予想通り知らない人とは話しにくく、ずっとスマホのアプリで遊んでいた。ただひたすらものを選別するゲーム。ストーリーなんてない。

かわいいロボットが、ずっとずっと、失敗するまで選別を続ける。

このゲームをしていると、なぜか今の私と他の女の子とで選別いるように感じる。

なのにゲームを止めない。どんなゲームをしてたって、自ずと劣等感を感じるだけだ。




そんなことをしているうちに、夏になった。


未だに友達はできない。私と時々話してくれる子はいるが淡々とただ返事だけするとつまらないのかすぐどこかへ行ってしまう。

だって仕方が無い。話すだけで精一杯なのだ。脳だって相手の質問に答えようとするだけでぎりぎりなのだ。


こんな自分に嫌気がさす。いっそ本当の障がい者にでもなれたらよかったのだろうか。

普通の人とは違うのだ、ハンデがあるのだと認められる。



自殺でもしようか。いや無理だ。リストカット、飛び降り自殺、首吊り、どんな手段だって必ず死ねるとは限らないしそんな勇気なんてない。

それに、同じクラスの子や家族に迷惑がかかる。私はみんなに辛い思いをさせたいわけじゃない。


消えられたら。存在そのものが消滅して、誰の記憶からも私がいなくなったら。


そんな現実的なこと叶わないだなんて知ってる。けど、願わずにはいられない。



そしてついに冬になった。

私につきまとう変な人が現れた。黒くて、背が高くて、顔が見えない人。



「私は死神というものです」

「あなたがこの世への執着がないとのことで、お話をしに参りました」



どうやら、あまりにも私がこの世から消えたい、と思ったので、本来は長生きするところを、急遽予定を変更して早死にさせてくれるそうだ。


「そして私たちの世界ではただで寿命を頂くということはできないので、幻術で相手の夢を叶えるなどといったことで等価交換をさせて頂いております」


早く死なせてくれる上にいい夢を見させてくれるのだ。これに乗らない手はない。


「友達が、ほしい。いっぱい。私と会話、してくれる人」


「かしこまりました」


死神はなにか棒のようなものをくるくるとまわすと辺りが暗くなった。
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