時空を超えてキスをする

６章 見習いの青年

6-11

「お願い……挿れて？」

　我ながら信じられないようなセリフが口をついて出た。だけど欲しくて堪らない。無自覚な色香が悪魔的に蓮也を魅了する。
　目を見張った彼が、喉の奥をぐっと鳴らした。

「あ……と、十羽さん、俺……！」

　蓮也が猛然と服を脱ぎ捨てて全裸になった。彼の中心ははちきれんばかり。十羽のそれより立派で凶暴に見える。

　蓮也は十羽を仰向けにして膝を抱え上げ、ぬめりを帯びた後孔に自身の切っ先をあてがった。躊躇いなく、ぐっと中に押し入る。

「あああっ！」

　さすがに痛みを感じて叫ぶような声が出た。しかし痛みだけではない。欲していた愉悦も同時に感じ、体が甘さと喜びで震えた。

「大丈夫か？」
「平気……」

　熱塊が奥へと達する。

「十羽さん、好きだ」

　強く抱きしめられ、繋がりが深くなった。

「僕も、好き」

　十羽も彼の背中に腕を回す。嬉しくて涙が出そうになる。

「動くよ？」
　問われ、小さく頷くと、熱塊が半分ほど引き抜かれ、一番感じる場所を擦りながら再び奥を突いた。

「はあんっ」
　あられもない声が出た。甘い痺れが濁流のように全身を駆け巡るのだ。抑えたくても抑えられない。悶える十羽の声は艶に満ち、火照った体は強烈な色香を放ちながら蓮也を呑み込む。
　蓮也が堪らないとばかりに唸った。

「マジで、やばい……！　優しくしたいのに、わけがわからなくなりそうで怖いよ」
「僕なら、大丈夫だから」

　だからもっと、求めてほしい。
　情欲に濡れた瞳で見つめると、蓮也が我慢できないとばかりに注挿を速めた。

「と、十羽さ……はあっ……くっ」

　突かれるたびに後孔の入り口が擦れ、中も刺激され、蜂蜜のような甘さが体をとろけさせる。

「ああっ、蓮也く……ああっ、ああっ」

　彼に抱かれている多幸感が脳内までも痺れさせた。繋がる喜びに目覚めた心と体が、一心に彼を感じている。

　蓮也は熱に浮かされたように腰を使い、十羽の体を貪るように抱く。
　奥で熱塊を感じるたびに、十羽の体は快楽に酔う。

「ああっ、すごい……！」
「も、もう、これ以上は……！」

　耐えきれないとばかりに強く穿たれ、目の前が一瞬白くなった。

「はうっ……！」

　頂点に達した愉悦が一点に集まり、吐精する。同時に蓮也も吐精し、体内に熱いものが流れ込んだ。脱力した彼が十羽を抱きしめる。二人ともいつの間にか汗だくだ。

「し、死ぬかと思った……っ」

　耳元で蓮也が荒い呼吸を繰り返した。

「ぼ、僕も」

　十羽も同じく、ハアハアと胸で呼吸を繰り返す。初めてなのに思いきり感じてしまい、今さらながら羞恥が込み上げる。

「僕、変じゃなかった？」
「全然。エロすぎてやばかった」
「恥ずかしい。初めてなのに」

　蓮也が仰天した。

「えぇっ!?　ほんとに初めて!?」
「もちろんだよ！」
「それにしてはめちゃくちゃ感じてたよな？　初めてでもあんなになるものなのか？」
「だって……蓮也君に抱かれるなんて、嬉しすぎて」
「ちょっ、煽るの禁止！　またしたくなる」

　ぎゅうっと抱きしめられた。

「また……する？」

　半分冗談、半分本気で問いかけると「う……ごめん。今日はもう無理。俺も初めてだったし……余裕、ない」と言われて驚いた。
「蓮也君も？」
「ま、まあな。言っただろ。子どもの頃から十羽さんのことが好きだったって。よそ見なんかしたことない。俺はマジで重いやつなんだよ」

　十羽の胸がキュンキュン鳴る。本気でもう一度抱かれたくなり、思いきり抱きついた。
　見つめ合い、甘いキスを交わす。今はただただ幸せだ。