17 / 41
家族の朝食
しおりを挟む
「おはよう、キャロル。ブランドンさんも、おはようございます」
目を覚まして着替え、階段を下りてキッチンに向かう。
ちょっぴり眠気の残る挨拶に、ブランドンさんとキャロルの声が返ってくる。
「おはようございます、お兄さん」
「おう、起きたか、イオリ!」
俺――天羽イオリがグラント家の一員になってから、あっという間に半月が過ぎた。
ブリーウッズの森での一件を経て、俺達の間にあった「言葉で言い表せないしこり」みたいなのはすっかり消えて、普通の家族になれた。
こうしてキッチンでテーブルを囲み、朝食を食べるのもありふれた風景だ。
料理担当のブランドンさんが作ってくれる食事は、いつもワイルドで美味しい。
「今日の朝飯は~……じゃんっ! 超特大トースト&ハムエッグだ!」
そう、皿からはみ出すくらい、どれもこれもデカくてワイルドなんだよ。
「でっか! これ、何の卵ですか!?」
「ドードー鳥の卵だ! 昨日、町に寄った行商人が売ってたからよ、安かったしまとめ買いしちまったぜ!」
フライパンからハムエッグを皿に滑らせながら、ブランドンさんが言った。
「まとめ買いって、食べきれずに腐らせたらもったいないですよ」
「そりゃ心配ねえぜ! 俺っちとキャロルは、これだけ食べるからな!」
次いでグラント親子の皿に乗っかったのは、俺のと比べてふた回り以上大きな料理だ。
「でっっか!」
思わず声を漏らした俺を見て、ブランドンさんが大笑いした。
「がっはっは! いまさら何言ってんだ、いつもこれくらい食ってたろ!」
「そ、そうですけど……卵を4つも使ってるのは、流石に驚きますよ」
俺は呆れながらトーストをかじり、ハムエッグをナイフで切って口に運ぶ。
たわいもない話をしながら3人で朝食をとるのは、もはやこの家のルールにして常識だ。
普段の倍近く食べる、グラント親子に驚いてしまったってだけで。
「お兄さんは、いっぱい食べる子は嫌いですか?」
「いや、嫌いってわけじゃないぞ。むしろ大食いの方が元気があって、俺は好きだな」
フォークを置きそうになったキャロルを見て、慌てて俺はフォローする。
俺は寿司のシャリを捨てる子よりも、100皿食べる子の方が好きだ。
「……ふふっ、良かったです。お兄さんは、いっぱい食べる子が好きなんですね」
フォローになっているかは怪しいけど、キャロルは少し笑って、ハムエッグをひと口で半分ほど食べてしまった。
物凄い食べ方だ、とびっくりしていると、ブランドンさんが言った。
「俺っちからすりゃあ、イオリは食べなさすぎるぜ! もっと食べねえと、今日のトレーニングも途中でバテちまうぞ!」
そうそう、ブランドンさんとのトレーニングのおかげで、俺も異世界でやっていけるほどの体力はついてきた。
彼との訓練はかなりハードだけど、続けるのはちっともきつくない。
だってこっちは、1千年もスキルを強くする努力を続けたんだからな。
「でも、最近はちょっとだけマシになったでしょ? ブランドンさんとの腕相撲だって、10秒くらいは持ちこたえられるようになりましたし!」
「バーカ、キャロルを守るなら、俺っちを負かすくらい強くならねえといけねえぞ!」
ムキっと力こぶを作りながらブランドンさんが笑う。
天地がひっくり返っても、ブランドンさんに勝てる気はしないよなあ。
「そういえばお兄さん、農具小屋を造るお手伝いはもう終わったんですか?」
今度はキャロルが、トーストをかじりながら俺に話しかけた。
「昨日のうちに終わらせたよ。正確に言うと、カブトムシが手伝ってくれたんだ」
彼女が言っているのは、俺が昨日とある農家夫婦から相談された、ボロボロの小屋を修復してほしいって頼み事だ。
人手が足りない分、俺はその辺りにあった工具をカブトムシに変えて手伝わせた。
『このカブトムシ、とんでもないパワーね!』
『角が金槌になってるわ、おもしろーい!』
重い木材と鉄材を担いで働き、角でコンコンとくぎを打つ姿は、夫婦とそのひとり娘からもかなり好評だった。
昆虫のパワーは、人間と同じサイズになった時、俺達なんて比べ物にならない。
だからカブトムシをチョイスしたのは正解だったんだけど、まだまだポカもある。
「素材は全部、【生命付与】でアルマジロに変身させて運んだんだけど、あれだけは反省かな。道を転がりすぎて、町の外に出ていきそうになったよ」
俺の失敗談を聞いて、ブランドンさんとキャロルが笑う。
そうして3人の皿が空になれば、異世界での1日の始まりだ。
「うし、エネルギー補給完了だ! イオリ、今日は朝からランニングだぜ!」
「それじゃあお父さん、私は昨日買った素材を整理して――」
ところが、今日はいつもと少し違う始まり方をした。
「――イオリちゃん、いるかね?」
店のドアをノックして、お客さんが入ってきたんだ。
腰の曲がったこの女性なら知ってる。
『双角屋』から少し離れたところにある喫茶店、『猫のしっぽ』のおばあちゃんだ。
「喫茶のばあさん、どうしたんだ?」
「実はねえ、まぁた魔物が出たらしいのよぉ」
キッチンから出てきた俺達は、おばあちゃんの深刻そうな表情を見た。
俺やキャロル、ブランドンさんの間にも、ぴりりとした空気が奔る。
「またか……今週に入って、もう4匹目だな」
「それも今度は、おっきくて真っ黒なライオンが、バイコーンをむしゃむしゃ食べてたんだと。わしらも皆も、もう恐ろしくて、町の外にも出れないのよぉ」
実を言うと、オークの1件で魔物のトラブルは終わっていなくて、不定期的に何度か人に害を及ぼす魔物が現れるようになってた。
そんなバケモノを放っておくわけがない。
「……ブランドンさん。トレーニングは、昼からでもいいですか」
「もちろんだ! キャロルと一緒に、魔物に一発、ぶちかましてこいっ!」
「分かりました、ありが……え、キャロルと?」
魔物を倒しに行くとブランドンさんに告げると、いつもと違う返事が返ってきた。
彼の隣から、キャロルがおずおずと前に出てくる。
「イオリの役に立ちたいって、前からキャロルに相談されててな! 安心しな、ブリーウッズの森の時よりずっと強いぜ、この子はなっ!」
「よ、よろしくお願いします、お兄さん」
ぎゅっと胸の前で拳を握るキャロルに、俺は親指を立てて返した。
「……分かった。準備をして、すぐに出発だ!」
俺が町の外に出て魔物を退治するのも、もうすっかり慣れたもんだ。
ただし今回は――キャロルという頼もしい家族を連れて、だけどな。
目を覚まして着替え、階段を下りてキッチンに向かう。
ちょっぴり眠気の残る挨拶に、ブランドンさんとキャロルの声が返ってくる。
「おはようございます、お兄さん」
「おう、起きたか、イオリ!」
俺――天羽イオリがグラント家の一員になってから、あっという間に半月が過ぎた。
ブリーウッズの森での一件を経て、俺達の間にあった「言葉で言い表せないしこり」みたいなのはすっかり消えて、普通の家族になれた。
こうしてキッチンでテーブルを囲み、朝食を食べるのもありふれた風景だ。
料理担当のブランドンさんが作ってくれる食事は、いつもワイルドで美味しい。
「今日の朝飯は~……じゃんっ! 超特大トースト&ハムエッグだ!」
そう、皿からはみ出すくらい、どれもこれもデカくてワイルドなんだよ。
「でっか! これ、何の卵ですか!?」
「ドードー鳥の卵だ! 昨日、町に寄った行商人が売ってたからよ、安かったしまとめ買いしちまったぜ!」
フライパンからハムエッグを皿に滑らせながら、ブランドンさんが言った。
「まとめ買いって、食べきれずに腐らせたらもったいないですよ」
「そりゃ心配ねえぜ! 俺っちとキャロルは、これだけ食べるからな!」
次いでグラント親子の皿に乗っかったのは、俺のと比べてふた回り以上大きな料理だ。
「でっっか!」
思わず声を漏らした俺を見て、ブランドンさんが大笑いした。
「がっはっは! いまさら何言ってんだ、いつもこれくらい食ってたろ!」
「そ、そうですけど……卵を4つも使ってるのは、流石に驚きますよ」
俺は呆れながらトーストをかじり、ハムエッグをナイフで切って口に運ぶ。
たわいもない話をしながら3人で朝食をとるのは、もはやこの家のルールにして常識だ。
普段の倍近く食べる、グラント親子に驚いてしまったってだけで。
「お兄さんは、いっぱい食べる子は嫌いですか?」
「いや、嫌いってわけじゃないぞ。むしろ大食いの方が元気があって、俺は好きだな」
フォークを置きそうになったキャロルを見て、慌てて俺はフォローする。
俺は寿司のシャリを捨てる子よりも、100皿食べる子の方が好きだ。
「……ふふっ、良かったです。お兄さんは、いっぱい食べる子が好きなんですね」
フォローになっているかは怪しいけど、キャロルは少し笑って、ハムエッグをひと口で半分ほど食べてしまった。
物凄い食べ方だ、とびっくりしていると、ブランドンさんが言った。
「俺っちからすりゃあ、イオリは食べなさすぎるぜ! もっと食べねえと、今日のトレーニングも途中でバテちまうぞ!」
そうそう、ブランドンさんとのトレーニングのおかげで、俺も異世界でやっていけるほどの体力はついてきた。
彼との訓練はかなりハードだけど、続けるのはちっともきつくない。
だってこっちは、1千年もスキルを強くする努力を続けたんだからな。
「でも、最近はちょっとだけマシになったでしょ? ブランドンさんとの腕相撲だって、10秒くらいは持ちこたえられるようになりましたし!」
「バーカ、キャロルを守るなら、俺っちを負かすくらい強くならねえといけねえぞ!」
ムキっと力こぶを作りながらブランドンさんが笑う。
天地がひっくり返っても、ブランドンさんに勝てる気はしないよなあ。
「そういえばお兄さん、農具小屋を造るお手伝いはもう終わったんですか?」
今度はキャロルが、トーストをかじりながら俺に話しかけた。
「昨日のうちに終わらせたよ。正確に言うと、カブトムシが手伝ってくれたんだ」
彼女が言っているのは、俺が昨日とある農家夫婦から相談された、ボロボロの小屋を修復してほしいって頼み事だ。
人手が足りない分、俺はその辺りにあった工具をカブトムシに変えて手伝わせた。
『このカブトムシ、とんでもないパワーね!』
『角が金槌になってるわ、おもしろーい!』
重い木材と鉄材を担いで働き、角でコンコンとくぎを打つ姿は、夫婦とそのひとり娘からもかなり好評だった。
昆虫のパワーは、人間と同じサイズになった時、俺達なんて比べ物にならない。
だからカブトムシをチョイスしたのは正解だったんだけど、まだまだポカもある。
「素材は全部、【生命付与】でアルマジロに変身させて運んだんだけど、あれだけは反省かな。道を転がりすぎて、町の外に出ていきそうになったよ」
俺の失敗談を聞いて、ブランドンさんとキャロルが笑う。
そうして3人の皿が空になれば、異世界での1日の始まりだ。
「うし、エネルギー補給完了だ! イオリ、今日は朝からランニングだぜ!」
「それじゃあお父さん、私は昨日買った素材を整理して――」
ところが、今日はいつもと少し違う始まり方をした。
「――イオリちゃん、いるかね?」
店のドアをノックして、お客さんが入ってきたんだ。
腰の曲がったこの女性なら知ってる。
『双角屋』から少し離れたところにある喫茶店、『猫のしっぽ』のおばあちゃんだ。
「喫茶のばあさん、どうしたんだ?」
「実はねえ、まぁた魔物が出たらしいのよぉ」
キッチンから出てきた俺達は、おばあちゃんの深刻そうな表情を見た。
俺やキャロル、ブランドンさんの間にも、ぴりりとした空気が奔る。
「またか……今週に入って、もう4匹目だな」
「それも今度は、おっきくて真っ黒なライオンが、バイコーンをむしゃむしゃ食べてたんだと。わしらも皆も、もう恐ろしくて、町の外にも出れないのよぉ」
実を言うと、オークの1件で魔物のトラブルは終わっていなくて、不定期的に何度か人に害を及ぼす魔物が現れるようになってた。
そんなバケモノを放っておくわけがない。
「……ブランドンさん。トレーニングは、昼からでもいいですか」
「もちろんだ! キャロルと一緒に、魔物に一発、ぶちかましてこいっ!」
「分かりました、ありが……え、キャロルと?」
魔物を倒しに行くとブランドンさんに告げると、いつもと違う返事が返ってきた。
彼の隣から、キャロルがおずおずと前に出てくる。
「イオリの役に立ちたいって、前からキャロルに相談されててな! 安心しな、ブリーウッズの森の時よりずっと強いぜ、この子はなっ!」
「よ、よろしくお願いします、お兄さん」
ぎゅっと胸の前で拳を握るキャロルに、俺は親指を立てて返した。
「……分かった。準備をして、すぐに出発だ!」
俺が町の外に出て魔物を退治するのも、もうすっかり慣れたもんだ。
ただし今回は――キャロルという頼もしい家族を連れて、だけどな。
67
あなたにおすすめの小説
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる