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愛猫日記
彼女のコウゲキ彼のロウバイ⑥
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孝一は、向かい合った形で彼の上に腰を下ろしている真白をきつく抱き締める。そうして、何度もキスを繰り返して腫れている彼女の唇を、更に貪った。
真白の中に深々と埋められている彼の昂ぶりは、彼女の口内を彼の舌が探る度、締め付けられる。
緩やかに訪れる快楽の波に身を委ねながら、孝一は真白の身体に回した腕に力を込めた。
「ふぁ」
息を切らしながら孝一のキスから逃れて顔を反らした真白の首筋に、彼は唇を寄せる。
真白の中に彼が身を沈めてから彼女はもう何度も達していたが、孝一はほとんど動いていない。むしろ、動きそうになる彼女を押しとどめているといってもいい。
孝一自身も何度か果てそうになっていたが、今のところは辛うじてとどまっていた。だが、時間の問題かもしれない。
不意に、彼の肩にチクリと小さな痛みが走った。
真白の爪だ。
硬い皮膚に食い込むほどに爪を立てていることに、彼女は気付いていないようだった。
「コウ、わたし、もう……ダメ……」
「なんだよ、俺は何もしてないだろう?」
真白の耳元でくすくすと笑いながら、そのすぐ下に口付け、火照った耳朶を甘噛みする。
「や……それ、ダメ――んぁ」
ふるふると震える真白に、孝一は唇でのいたずらをやめると、顎を彼女の肩に乗せてよりぴったりと身体を密着させた。
「あ……ぁ」
今度こそ、本当に何もしていない。
けれど、特段攻め立てずとも、ただこうやって抱き締めているだけで、さながら潮が満ちてくるように、彼女の中で快感がせり上がってくるのが孝一には感じられた。
「いや……ぁ」
何かを振り払おうとするように、真白が幾度も首を振る。
これ以上の快楽を貪るまいとしているのに、抑えられない。
そんな真白の葛藤が、伝わってくる。
「シロ、可愛いよ、お前は」
囁いて、孝一は震える背中を撫で下ろす。
「ん……く、ぅ」
小さな声を漏らして、真白が腰を揺らした。とは言え、彼女をがっしりと捉えている孝一の腕のせいで、ほとんど動くことはできない。もそもそと身じろぎをして、自分の中の孝一の存在を少しでも強く感じようとしているかのように、内部を収縮させる。
「ぁ……コウ、コ、ウ……」
熱に浮かされたように彼の名を呼ぶ、真白の声。
切羽詰まったその声に、背筋にゾクゾクと快感が走る。
「ゃ……あん、ぁ、く」
縋り付いてきた真白が孝一の肩口に顔を埋めたかと思ったら、そこに痛みが走った。悲鳴じみた嬌声をかみ殺そうと、彼の肩と首の境目辺りに歯を立てたのだ。
浮きそうになった真白の腰を、孝一はグッと引き寄せる。
「ふ、ぅ……」
歯の食い込みがきつくなり、孝一に噛み付いたままの真白の口から声が漏れる。身震いと共に、彼はいっそう強く、腰を押し付けた。
孝一は、彼の先端が真白の奥深くにこすり付けられるのを感じる。
「真白」
吐息混じりに名を呼んで、きつく抱き締めたまま届く限りにキスを落とす。
「やぁ、ゃぁあ」
のけ反った真白の口からこぼれるあえかな声に孝一の強張りが増し、張り詰める。圧迫が強まったのは、質量が増したからか、それとも真白の中が締め付けてくるからか。
「真白……真白、お前を俺にくれ。お前の、全てを」
囁きながら、彼女の唇を奪う。舌をさらい、絡め、強く吸い上げる。
途端、腕の中の華奢な身体が強張り、彼の背中に回されている腕と腰に絡んでいる脚が渾身の力でしがみ付いてくる。
孝一は、唇を離して真白を抱き締め返した。強く、強く。
「ふぁ、ぁあん」
耳元で甘い声が上がり、それと同時に彼女の中が激しく蠕動した。
真白の中に満ちた悦楽が一気に溢れ出し、孝一にも伝播する。
それが、物理的な締め付けの為か、それとも快楽に震える真白を感じた為だったのかは、判らない。
どちらであるにしても、孝一に訪れた解放は突然で強烈だった。彼の中で何かがせり上がり、そして破裂する。
「くぅ」
気付けば、止めようがなく真白の中に彼の全てを解き放っていた。果てしなく続く快感に、孝一は目がくらみそうになる。
「あ、ぅ、コウ、コウ……ッ」
真白の中で激しく躍動する彼自身に、達したばかりの彼女が再びビクビクと痙攣した。閉じた眦から、ほろほろと涙がこぼれていく。
「や、ぁ、もう、もう――ぁく、ぅ」
小さな悲鳴を漏らし、次の瞬間真白の全身から力が抜けた。ぐったりともたれかかってきた身体を、孝一は受け止める。
脱力しながらも時折ひくつく彼女を抱き締めているうちに、ようやく彼の昂ぶりも鎮まってくる。だが、それからも息が整うのには、少なからぬ時間を要した。
力のない真白の身体を抱き締め、孝一は仰向けに倒れ込む。
彼の荒い息で真白の身体が上下するけれど、彼女自身は指一本動かさない。
「……真白?」
ようやく息が整い、声が出せるようになって、孝一はそっと真白に呼びかけた。
反応が無い。
重ね合わせた胸から伝わってくる呼吸と鼓動は、穏やかなものだ。
肩の辺りにある真白の顔に被さっている髪をそっとよけると、涙の痕が残る上気した頬が現れた。目蓋は閉じられているが、唇はほんの少し開かれている。
孝一はその唇に指を這わせた。
と、真白の目蓋が震え、ゆっくりと持ち上がる。
一度、二度瞬きをして、視線がさまよい、見つめていた孝一と合った。
「大丈夫か?」
「ん……うん」
頷いて、真白は小さく微笑んだ。どこか無防備な風情のその笑みに、孝一の胸が疼く。
「真白」
名を呼び、顔を上げさせて、そっと唇を重ねた。そうしながら、くるりと身体を回転させて上下を入れ替える。
「え……ぁ、の、コウ……?」
仰向けになった真白に覆いかぶさった孝一は、小さく身体を揺すった。それだけで、彼女にも状況が理解できたようだ。
呆然と見上げてくる真白に優しく微笑み、また一つキスを落とす。
「良かったな、明日休みで」
「なん、で……?」
恐る恐る訊いてきたということは、真白にも答えは判っていたのだろう。
孝一は、その期待を裏切らない答えを返す。
「たっぷり、お前を可愛がってやれるからだよ」
「や、もう、充分――」
「お前は充分でも、俺はまだ足りない」
「でも――」
真白があげた悲鳴じみた抗議の声は、途中で孝一の口の中に消える。
彼女の口からこぼれる声が別のものに変わるのには、そう時間はかからなかった。
真白の中に深々と埋められている彼の昂ぶりは、彼女の口内を彼の舌が探る度、締め付けられる。
緩やかに訪れる快楽の波に身を委ねながら、孝一は真白の身体に回した腕に力を込めた。
「ふぁ」
息を切らしながら孝一のキスから逃れて顔を反らした真白の首筋に、彼は唇を寄せる。
真白の中に彼が身を沈めてから彼女はもう何度も達していたが、孝一はほとんど動いていない。むしろ、動きそうになる彼女を押しとどめているといってもいい。
孝一自身も何度か果てそうになっていたが、今のところは辛うじてとどまっていた。だが、時間の問題かもしれない。
不意に、彼の肩にチクリと小さな痛みが走った。
真白の爪だ。
硬い皮膚に食い込むほどに爪を立てていることに、彼女は気付いていないようだった。
「コウ、わたし、もう……ダメ……」
「なんだよ、俺は何もしてないだろう?」
真白の耳元でくすくすと笑いながら、そのすぐ下に口付け、火照った耳朶を甘噛みする。
「や……それ、ダメ――んぁ」
ふるふると震える真白に、孝一は唇でのいたずらをやめると、顎を彼女の肩に乗せてよりぴったりと身体を密着させた。
「あ……ぁ」
今度こそ、本当に何もしていない。
けれど、特段攻め立てずとも、ただこうやって抱き締めているだけで、さながら潮が満ちてくるように、彼女の中で快感がせり上がってくるのが孝一には感じられた。
「いや……ぁ」
何かを振り払おうとするように、真白が幾度も首を振る。
これ以上の快楽を貪るまいとしているのに、抑えられない。
そんな真白の葛藤が、伝わってくる。
「シロ、可愛いよ、お前は」
囁いて、孝一は震える背中を撫で下ろす。
「ん……く、ぅ」
小さな声を漏らして、真白が腰を揺らした。とは言え、彼女をがっしりと捉えている孝一の腕のせいで、ほとんど動くことはできない。もそもそと身じろぎをして、自分の中の孝一の存在を少しでも強く感じようとしているかのように、内部を収縮させる。
「ぁ……コウ、コ、ウ……」
熱に浮かされたように彼の名を呼ぶ、真白の声。
切羽詰まったその声に、背筋にゾクゾクと快感が走る。
「ゃ……あん、ぁ、く」
縋り付いてきた真白が孝一の肩口に顔を埋めたかと思ったら、そこに痛みが走った。悲鳴じみた嬌声をかみ殺そうと、彼の肩と首の境目辺りに歯を立てたのだ。
浮きそうになった真白の腰を、孝一はグッと引き寄せる。
「ふ、ぅ……」
歯の食い込みがきつくなり、孝一に噛み付いたままの真白の口から声が漏れる。身震いと共に、彼はいっそう強く、腰を押し付けた。
孝一は、彼の先端が真白の奥深くにこすり付けられるのを感じる。
「真白」
吐息混じりに名を呼んで、きつく抱き締めたまま届く限りにキスを落とす。
「やぁ、ゃぁあ」
のけ反った真白の口からこぼれるあえかな声に孝一の強張りが増し、張り詰める。圧迫が強まったのは、質量が増したからか、それとも真白の中が締め付けてくるからか。
「真白……真白、お前を俺にくれ。お前の、全てを」
囁きながら、彼女の唇を奪う。舌をさらい、絡め、強く吸い上げる。
途端、腕の中の華奢な身体が強張り、彼の背中に回されている腕と腰に絡んでいる脚が渾身の力でしがみ付いてくる。
孝一は、唇を離して真白を抱き締め返した。強く、強く。
「ふぁ、ぁあん」
耳元で甘い声が上がり、それと同時に彼女の中が激しく蠕動した。
真白の中に満ちた悦楽が一気に溢れ出し、孝一にも伝播する。
それが、物理的な締め付けの為か、それとも快楽に震える真白を感じた為だったのかは、判らない。
どちらであるにしても、孝一に訪れた解放は突然で強烈だった。彼の中で何かがせり上がり、そして破裂する。
「くぅ」
気付けば、止めようがなく真白の中に彼の全てを解き放っていた。果てしなく続く快感に、孝一は目がくらみそうになる。
「あ、ぅ、コウ、コウ……ッ」
真白の中で激しく躍動する彼自身に、達したばかりの彼女が再びビクビクと痙攣した。閉じた眦から、ほろほろと涙がこぼれていく。
「や、ぁ、もう、もう――ぁく、ぅ」
小さな悲鳴を漏らし、次の瞬間真白の全身から力が抜けた。ぐったりともたれかかってきた身体を、孝一は受け止める。
脱力しながらも時折ひくつく彼女を抱き締めているうちに、ようやく彼の昂ぶりも鎮まってくる。だが、それからも息が整うのには、少なからぬ時間を要した。
力のない真白の身体を抱き締め、孝一は仰向けに倒れ込む。
彼の荒い息で真白の身体が上下するけれど、彼女自身は指一本動かさない。
「……真白?」
ようやく息が整い、声が出せるようになって、孝一はそっと真白に呼びかけた。
反応が無い。
重ね合わせた胸から伝わってくる呼吸と鼓動は、穏やかなものだ。
肩の辺りにある真白の顔に被さっている髪をそっとよけると、涙の痕が残る上気した頬が現れた。目蓋は閉じられているが、唇はほんの少し開かれている。
孝一はその唇に指を這わせた。
と、真白の目蓋が震え、ゆっくりと持ち上がる。
一度、二度瞬きをして、視線がさまよい、見つめていた孝一と合った。
「大丈夫か?」
「ん……うん」
頷いて、真白は小さく微笑んだ。どこか無防備な風情のその笑みに、孝一の胸が疼く。
「真白」
名を呼び、顔を上げさせて、そっと唇を重ねた。そうしながら、くるりと身体を回転させて上下を入れ替える。
「え……ぁ、の、コウ……?」
仰向けになった真白に覆いかぶさった孝一は、小さく身体を揺すった。それだけで、彼女にも状況が理解できたようだ。
呆然と見上げてくる真白に優しく微笑み、また一つキスを落とす。
「良かったな、明日休みで」
「なん、で……?」
恐る恐る訊いてきたということは、真白にも答えは判っていたのだろう。
孝一は、その期待を裏切らない答えを返す。
「たっぷり、お前を可愛がってやれるからだよ」
「や、もう、充分――」
「お前は充分でも、俺はまだ足りない」
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