第三王子のお守り騎士団

しろっくま

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第2章

34話

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 羽交い締めしてめっちゃキスされるんかぁっ。
 も、もしかして、恋愛小説のすんごいヤツっぽいのに発展する状況かぁーーっ!

 あーーっ、にじり寄って来ないでーーっ。ニコルちゃん、朝からピーーンチ!

 コンコンっ。扉をノックする音だ。

「おはようございます、ジェイク様。朝食はこちらにお持ちしてもよろしいでしょうか?」

 礼儀正しい侍女の挨拶とともに、ジェイクがキリリとした王子顔で朝食の他、細かな指示を出していく。
 私の方を振り向き、チッと小さく舌打ちして「時間切れだ」とボソッと呟いた。

 ほうっ、と肩の力を抜いてひと安心する。
 まあ、何と言いますか、心の準備してからでお願いしますよ。
 それまでに恋愛偏差値、上げときますから。

「ほら、うかうかしてたら朝食運ばれてくるぞ。たぶんその後すぐにスレイが文句言いにくるはずだから。早く着替えろ」

 ハッと自分を見ると、見事に下着だけだった。私ってば、こんな格好でひと晩、一緒に寝てたワケ?

「ふぎゃーーーーつ、無いわーーーーっ!」

 真っ赤になりながら慌てて支度を済ます。

 ジェイクに向かってギッと睨みを利かせ「見た?」と一言聞いた。向こうはニヤついた笑顔で「見てない、見てない」と言ってるが、こりゃ絶対見てるから。確信犯ってヤツですから。

 ぷんっと膨れてそっぽを向いてとら「そんだけ元気になったんならもう大丈夫だ。よかったな」と頭をポンポンされた。まあ、迷惑かけたし、少しは許してやるか。ブスッとしながらも、もう一度身支度に乱れがないか確認を済ませた。

 ひと息ついたら、素晴らしいタイミングで朝食が運ばれてきた。本来食堂に向かうべきところを、私の体調を考慮して、部屋食にしてくれたらしい。

 もうすぐ食事が終わるという時間、ジェイクの予想通りスレイ君が飛び込んできた。

「団長ー、頼むから親父のとこの仕事は勘弁……ってお嬢?    何で朝食優雅にとってるんだ?」
「えっとですねぇ。昨夜はお泊まりさせていただきまして……」
「おまっ……えっ? マジっ?」

 これでもかっていうくらいに目を剥いて、ジェイクと私を指差している。

「こらっ、人を指差すのは止めろ。変な想像もしなくていい。昨夜はニコルが熱出したんで未遂だ」
「へっ?   未遂って、団長が……ププッ」

 何が可笑おかしかったのか、スレイ君はお腹に手を当てて、必死に笑いを堪えている。
 対するジェイクはと言えば、さっきの表情とは打って変わって、すごく悪い笑顔になってる。スレイ君、マズいよ、それ以上は……

「……スレイ、お前、一ヶ月に延ばしてやろうか?」

 おうっ、すっごい低い声。いかにも怒ってますって感じよ?
 ほうら、やっぱりお怒りモードになってきてるじゃない。

 ホント、スレイ君ってば、火に油注いじゃうってわかりきってるのに、どうして自ら深みにハマりにいくんだろか。それってどうよ?    アンタはマゾ系人間かいっての。

「ひぇーーっ、お許し~。とりあえず一週間頑張ってきまーす」

 逃げるように部屋を出ていったスレイ君を黙って二人で見送ると、コホンと咳払いしたジェイクが私をチラ見する。

 何? え? ジェイク、スレイ君にイジられてそっち系のこと、したくなってきちゃったワケ? まだ気持ちの整理がついてないんだけど……

 目が合った瞬間、マズいっていう顔したら「何もしないよ」と疲れた顔で言われてしまった。

 何かちょっとだけ罪悪感……
 せめても、と思って、椅子に座っているジェイクの後ろからキュッと抱きついた。手を後ろに回して頭を撫でてくれる彼。今はこの距離感のままでごめんね。

「今んとこニコルへの罰は保留だからな、いつ食らってもいいようにしっかり準備してろよ?」

 うっ……何だよ、罰ゲームみたいなもんだったし、熱出したからそれで終わり、残念でした~風にしないのか?    そこまでして楽しみたいんかいっ。
 私の、この抱きつきご奉仕は、結局無駄だったんかいなっ。

 ジェイクの黒い笑みを見てたら無性に腹が立ってきて、やっぱり今日も叫んでしまった。

「鬼ーーーーーーーーっ!」
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