37 / 50
第2章
34話
しおりを挟む
羽交い締めしてめっちゃキスされるんかぁっ。
も、もしかして、恋愛小説のすんごいヤツっぽいのに発展する状況かぁーーっ!
あーーっ、にじり寄って来ないでーーっ。ニコルちゃん、朝からピーーンチ!
コンコンっ。扉をノックする音だ。
「おはようございます、ジェイク様。朝食はこちらにお持ちしてもよろしいでしょうか?」
礼儀正しい侍女の挨拶とともに、ジェイクがキリリとした王子顔で朝食の他、細かな指示を出していく。
私の方を振り向き、チッと小さく舌打ちして「時間切れだ」とボソッと呟いた。
ほうっ、と肩の力を抜いてひと安心する。
まあ、何と言いますか、心の準備してからでお願いしますよ。
それまでに恋愛偏差値、上げときますから。
「ほら、うかうかしてたら朝食運ばれてくるぞ。たぶんその後すぐにスレイが文句言いにくるはずだから。早く着替えろ」
ハッと自分を見ると、見事に下着だけだった。私ってば、こんな格好でひと晩、一緒に寝てたワケ?
「ふぎゃーーーーつ、無いわーーーーっ!」
真っ赤になりながら慌てて支度を済ます。
ジェイクに向かってギッと睨みを利かせ「見た?」と一言聞いた。向こうはニヤついた笑顔で「見てない、見てない」と言ってるが、こりゃ絶対見てるから。確信犯ってヤツですから。
ぷんっと膨れてそっぽを向いてとら「そんだけ元気になったんならもう大丈夫だ。よかったな」と頭をポンポンされた。まあ、迷惑かけたし、少しは許してやるか。ブスッとしながらも、もう一度身支度に乱れがないか確認を済ませた。
ひと息ついたら、素晴らしいタイミングで朝食が運ばれてきた。本来食堂に向かうべきところを、私の体調を考慮して、部屋食にしてくれたらしい。
もうすぐ食事が終わるという時間、ジェイクの予想通りスレイ君が飛び込んできた。
「団長ー、頼むから親父のとこの仕事は勘弁……ってお嬢? 何で朝食優雅にとってるんだ?」
「えっとですねぇ。昨夜はお泊まりさせていただきまして……」
「おまっ……えっ? マジっ?」
これでもかっていうくらいに目を剥いて、ジェイクと私を指差している。
「こらっ、人を指差すのは止めろ。変な想像もしなくていい。昨夜はニコルが熱出したんで未遂だ」
「へっ? 未遂って、団長が……ププッ」
何が可笑しかったのか、スレイ君はお腹に手を当てて、必死に笑いを堪えている。
対するジェイクはと言えば、さっきの表情とは打って変わって、すごく悪い笑顔になってる。スレイ君、マズいよ、それ以上は……
「……スレイ、お前、一ヶ月に延ばしてやろうか?」
おうっ、すっごい低い声。いかにも怒ってますって感じよ?
ほうら、やっぱりお怒りモードになってきてるじゃない。
ホント、スレイ君ってば、火に油注いじゃうってわかりきってるのに、どうして自ら深みにハマりにいくんだろか。それってどうよ? アンタはマゾ系人間かいっての。
「ひぇーーっ、お許し~。とりあえず一週間頑張ってきまーす」
逃げるように部屋を出ていったスレイ君を黙って二人で見送ると、コホンと咳払いしたジェイクが私をチラ見する。
何? え? ジェイク、スレイ君にイジられてそっち系のこと、したくなってきちゃったワケ? まだ気持ちの整理がついてないんだけど……
目が合った瞬間、マズいっていう顔したら「何もしないよ」と疲れた顔で言われてしまった。
何かちょっとだけ罪悪感……
せめても、と思って、椅子に座っているジェイクの後ろからキュッと抱きついた。手を後ろに回して頭を撫でてくれる彼。今はこの距離感のままでごめんね。
「今んとこニコルへの罰は保留だからな、いつ食らってもいいようにしっかり準備してろよ?」
うっ……何だよ、罰ゲームみたいなもんだったし、熱出したからそれで終わり、残念でした~風にしないのか? そこまでして楽しみたいんかいっ。
私の、この抱きつきご奉仕は、結局無駄だったんかいなっ。
ジェイクの黒い笑みを見てたら無性に腹が立ってきて、やっぱり今日も叫んでしまった。
「鬼ーーーーーーーーっ!」
も、もしかして、恋愛小説のすんごいヤツっぽいのに発展する状況かぁーーっ!
あーーっ、にじり寄って来ないでーーっ。ニコルちゃん、朝からピーーンチ!
コンコンっ。扉をノックする音だ。
「おはようございます、ジェイク様。朝食はこちらにお持ちしてもよろしいでしょうか?」
礼儀正しい侍女の挨拶とともに、ジェイクがキリリとした王子顔で朝食の他、細かな指示を出していく。
私の方を振り向き、チッと小さく舌打ちして「時間切れだ」とボソッと呟いた。
ほうっ、と肩の力を抜いてひと安心する。
まあ、何と言いますか、心の準備してからでお願いしますよ。
それまでに恋愛偏差値、上げときますから。
「ほら、うかうかしてたら朝食運ばれてくるぞ。たぶんその後すぐにスレイが文句言いにくるはずだから。早く着替えろ」
ハッと自分を見ると、見事に下着だけだった。私ってば、こんな格好でひと晩、一緒に寝てたワケ?
「ふぎゃーーーーつ、無いわーーーーっ!」
真っ赤になりながら慌てて支度を済ます。
ジェイクに向かってギッと睨みを利かせ「見た?」と一言聞いた。向こうはニヤついた笑顔で「見てない、見てない」と言ってるが、こりゃ絶対見てるから。確信犯ってヤツですから。
ぷんっと膨れてそっぽを向いてとら「そんだけ元気になったんならもう大丈夫だ。よかったな」と頭をポンポンされた。まあ、迷惑かけたし、少しは許してやるか。ブスッとしながらも、もう一度身支度に乱れがないか確認を済ませた。
ひと息ついたら、素晴らしいタイミングで朝食が運ばれてきた。本来食堂に向かうべきところを、私の体調を考慮して、部屋食にしてくれたらしい。
もうすぐ食事が終わるという時間、ジェイクの予想通りスレイ君が飛び込んできた。
「団長ー、頼むから親父のとこの仕事は勘弁……ってお嬢? 何で朝食優雅にとってるんだ?」
「えっとですねぇ。昨夜はお泊まりさせていただきまして……」
「おまっ……えっ? マジっ?」
これでもかっていうくらいに目を剥いて、ジェイクと私を指差している。
「こらっ、人を指差すのは止めろ。変な想像もしなくていい。昨夜はニコルが熱出したんで未遂だ」
「へっ? 未遂って、団長が……ププッ」
何が可笑しかったのか、スレイ君はお腹に手を当てて、必死に笑いを堪えている。
対するジェイクはと言えば、さっきの表情とは打って変わって、すごく悪い笑顔になってる。スレイ君、マズいよ、それ以上は……
「……スレイ、お前、一ヶ月に延ばしてやろうか?」
おうっ、すっごい低い声。いかにも怒ってますって感じよ?
ほうら、やっぱりお怒りモードになってきてるじゃない。
ホント、スレイ君ってば、火に油注いじゃうってわかりきってるのに、どうして自ら深みにハマりにいくんだろか。それってどうよ? アンタはマゾ系人間かいっての。
「ひぇーーっ、お許し~。とりあえず一週間頑張ってきまーす」
逃げるように部屋を出ていったスレイ君を黙って二人で見送ると、コホンと咳払いしたジェイクが私をチラ見する。
何? え? ジェイク、スレイ君にイジられてそっち系のこと、したくなってきちゃったワケ? まだ気持ちの整理がついてないんだけど……
目が合った瞬間、マズいっていう顔したら「何もしないよ」と疲れた顔で言われてしまった。
何かちょっとだけ罪悪感……
せめても、と思って、椅子に座っているジェイクの後ろからキュッと抱きついた。手を後ろに回して頭を撫でてくれる彼。今はこの距離感のままでごめんね。
「今んとこニコルへの罰は保留だからな、いつ食らってもいいようにしっかり準備してろよ?」
うっ……何だよ、罰ゲームみたいなもんだったし、熱出したからそれで終わり、残念でした~風にしないのか? そこまでして楽しみたいんかいっ。
私の、この抱きつきご奉仕は、結局無駄だったんかいなっ。
ジェイクの黒い笑みを見てたら無性に腹が立ってきて、やっぱり今日も叫んでしまった。
「鬼ーーーーーーーーっ!」
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
ガネット・フォルンは愛されたい
アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。
子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。
元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。
それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。
私も誰かに一途に愛されたかった。
❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。
❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる