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第2章
41話
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もういいだろうって頃に、大広間を窺うようにそっと顔を覗かせたら、三人とニコラス、合わせて四人でお茶を飲んで和やかな雰囲気になっていた。
ほとぼりが冷めたかなぁ、と思ったので、神妙な顔をして近寄ると、みんなの目が冷たい。
まるで八本の冷凍ビームが出てるんですかってぇくらい、冷え冷えとした視線。
「こ、この度は命の危険を救っていただきまして、誠にありがとうございます」
ギュッと目を瞑って、一気に言ってから恐る恐る目を開けた。
なんでも、ジェイクとスレイ君が玄関先に着いた時、慌てて庭に駆けていくお父様を見かけたそうなんだ。目で追うと木に私が引っかかってて、二人も慌てて木の下に駆け込んで事なきを得たということだったらしい。
「姉上、みんなあなたが心配なんですよ? ここにいる私たちだけじゃなく、姉上に関わったみんなが悲しむのです。本気で自重してくださいね。まあ、静かな姉上ってのもかえって気持ち悪いんで、もう家には居なくていいですから、ジェイク様とデートでもしてきてくださいな」
あれ、もう怒られないのかなぁ。みんな、しょうがないって顔してる。よかった、んじゃ、せっかくなんでお出かけ準備して来ますか。
一旦部屋に戻り、お出かけする格好を整えて再びみなさんがいる大広間へと出向く。
ジェイクと二人、見送られて街デートに出かけた。出る前にニコラスから軽くお説教されたけど、出かけるための注意だったから長くもなく終わった。
ブンブンと思いっきり見送るみんなに手を振って、いい笑顔でデートにゴー。
テクテクと歩きながらジェイクに向かって話しかけた。なんであのタイミングで家に来てたか尋ねたら、口元隠してアッチ向いてしまった。
不思議な反応に私の頭が追いつかず、首を捻ってハテナマークを浮かべるだけになる。
「ねえ、ジェイク、どうしたの?」
「なんでもない、今俺の顔は見るな」
うーん、人間見るなと言われれば見たくなる生き物なのは、創世の神話から決まっていることですしね。
パッと素早く反対側に回りこんでグイッとジェイクの懐に入り込むと、真っ赤な顔した彼とのご対面。
「こら、だから見るなって……俺がお前に逢いたくて痺れ切らしたなんて……みんなの前じゃ恥ずかしくて言えないだろ」
そんなこと言われたら私までつられて赤くなっちゃう。ボボボッとゆでダコ状態で俯いて、二人で立ち止まったままになる。
「ああ、もう。ここで立ったままじゃ話しもできん、ちょっとあっち行くぞ」
手を引かれて遊歩道のベンチまで来て、二人並んで座ってひと息。
「ニコラスにはお前を内偵に使った件、謝っといた。やっぱり無謀だったからな。でもあれでアルベリアと貴族の癒着を未然に防ぐことや不穏分子の特定ができた。ありがとう」
思わず嬉しくなって、ジェイクに抱きついた。やったあ、私だって役に立つことできたんだ。私を信用してくれたからだよね、次はどんなことやらせてもらえるかなぁ。
ワクワクしながら次の言葉を待ってると「ただし今回で終わりだ」と言われてしまった。ガッカリした顔をしていたら、頰を優しく撫でられ、おデコに軽いキスが落ちてきた。
「今回は無事だったからよかったが、危険なんだ。お前に任せる仕事は別に探しておくから、潜入とかはナシだ。ロンダード子爵も証拠不十分で今のところ処罰されてない。お前がまたヤツと鉢合わせ、なんてことになったら危険なんだ」
ドキッとした。あの時の恐怖は二度と体験したくない。コクコクと無言で頷くとジェイクにすがって聞いてみた。
「危ないことしないから。あの人って普段は王宮なんだよね? なら王宮行かなきゃ平気でしょ、気をつけます」
「うん、そうだな。俺も明日から騎士団での仕事になるから、ある程度ニコルを守れる。ホントに目が離せないものな」
クスッと笑いながら今度は柔らかく抱きしめてくれた。私も安心してジェイクの顔をみて笑う。
すごく楽しくってあっと言う間に時間が過ぎ、家まで送られ幸せな気持ちのまま今日一日が終わった。
最高に爽やかな朝を迎え、いつもより早くに目覚めてしまった。普段ならサーラにたたき起こされている私なのだが、少しでも早く騎士団、というかジェイクに会いたくて身支度まで手早く済ませちゃいました。
「行ってきまーすっ」
スキップしたくなるようなウキウキした気分で家を出た。
通りを真っ直ぐ歩いて最初の曲がり角を曲がった時だった。
「はうっ」
鳩尾に衝撃が走った。
チカチカと星が見えたかと感じると、そのまま目の前が真っ暗になって意識がどこかに飛んでいった。
ほとぼりが冷めたかなぁ、と思ったので、神妙な顔をして近寄ると、みんなの目が冷たい。
まるで八本の冷凍ビームが出てるんですかってぇくらい、冷え冷えとした視線。
「こ、この度は命の危険を救っていただきまして、誠にありがとうございます」
ギュッと目を瞑って、一気に言ってから恐る恐る目を開けた。
なんでも、ジェイクとスレイ君が玄関先に着いた時、慌てて庭に駆けていくお父様を見かけたそうなんだ。目で追うと木に私が引っかかってて、二人も慌てて木の下に駆け込んで事なきを得たということだったらしい。
「姉上、みんなあなたが心配なんですよ? ここにいる私たちだけじゃなく、姉上に関わったみんなが悲しむのです。本気で自重してくださいね。まあ、静かな姉上ってのもかえって気持ち悪いんで、もう家には居なくていいですから、ジェイク様とデートでもしてきてくださいな」
あれ、もう怒られないのかなぁ。みんな、しょうがないって顔してる。よかった、んじゃ、せっかくなんでお出かけ準備して来ますか。
一旦部屋に戻り、お出かけする格好を整えて再びみなさんがいる大広間へと出向く。
ジェイクと二人、見送られて街デートに出かけた。出る前にニコラスから軽くお説教されたけど、出かけるための注意だったから長くもなく終わった。
ブンブンと思いっきり見送るみんなに手を振って、いい笑顔でデートにゴー。
テクテクと歩きながらジェイクに向かって話しかけた。なんであのタイミングで家に来てたか尋ねたら、口元隠してアッチ向いてしまった。
不思議な反応に私の頭が追いつかず、首を捻ってハテナマークを浮かべるだけになる。
「ねえ、ジェイク、どうしたの?」
「なんでもない、今俺の顔は見るな」
うーん、人間見るなと言われれば見たくなる生き物なのは、創世の神話から決まっていることですしね。
パッと素早く反対側に回りこんでグイッとジェイクの懐に入り込むと、真っ赤な顔した彼とのご対面。
「こら、だから見るなって……俺がお前に逢いたくて痺れ切らしたなんて……みんなの前じゃ恥ずかしくて言えないだろ」
そんなこと言われたら私までつられて赤くなっちゃう。ボボボッとゆでダコ状態で俯いて、二人で立ち止まったままになる。
「ああ、もう。ここで立ったままじゃ話しもできん、ちょっとあっち行くぞ」
手を引かれて遊歩道のベンチまで来て、二人並んで座ってひと息。
「ニコラスにはお前を内偵に使った件、謝っといた。やっぱり無謀だったからな。でもあれでアルベリアと貴族の癒着を未然に防ぐことや不穏分子の特定ができた。ありがとう」
思わず嬉しくなって、ジェイクに抱きついた。やったあ、私だって役に立つことできたんだ。私を信用してくれたからだよね、次はどんなことやらせてもらえるかなぁ。
ワクワクしながら次の言葉を待ってると「ただし今回で終わりだ」と言われてしまった。ガッカリした顔をしていたら、頰を優しく撫でられ、おデコに軽いキスが落ちてきた。
「今回は無事だったからよかったが、危険なんだ。お前に任せる仕事は別に探しておくから、潜入とかはナシだ。ロンダード子爵も証拠不十分で今のところ処罰されてない。お前がまたヤツと鉢合わせ、なんてことになったら危険なんだ」
ドキッとした。あの時の恐怖は二度と体験したくない。コクコクと無言で頷くとジェイクにすがって聞いてみた。
「危ないことしないから。あの人って普段は王宮なんだよね? なら王宮行かなきゃ平気でしょ、気をつけます」
「うん、そうだな。俺も明日から騎士団での仕事になるから、ある程度ニコルを守れる。ホントに目が離せないものな」
クスッと笑いながら今度は柔らかく抱きしめてくれた。私も安心してジェイクの顔をみて笑う。
すごく楽しくってあっと言う間に時間が過ぎ、家まで送られ幸せな気持ちのまま今日一日が終わった。
最高に爽やかな朝を迎え、いつもより早くに目覚めてしまった。普段ならサーラにたたき起こされている私なのだが、少しでも早く騎士団、というかジェイクに会いたくて身支度まで手早く済ませちゃいました。
「行ってきまーすっ」
スキップしたくなるようなウキウキした気分で家を出た。
通りを真っ直ぐ歩いて最初の曲がり角を曲がった時だった。
「はうっ」
鳩尾に衝撃が走った。
チカチカと星が見えたかと感じると、そのまま目の前が真っ暗になって意識がどこかに飛んでいった。
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