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18th ステージ
202 早かったなあ
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一週間という時間で、リンディエール達の言うことを信じずに、大厄災までに準備が整わなかった国は、軒並み更地になろうとしていた。
王侯貴族達が忠告を聞かなかったとして、民達に知らしめるため、避難所となった迷宮には、特大のスクリーンを用意していた。これに上手く行っている他国の様子と自分たちの国の様子を映している。
全ての国の迷宮にそうした外の様子を見られるようにした場所を用意したため、間に合わず避難するだけになった国の悲惨さを誰もが目にする事になった。
「いえが……なくなっちゃった」
「畑が……」
「あんなおおきな領主様のお屋敷まで……」
魔獣達の本気の突進は、凄まじい威力だった。更地になるだろうと聞いてはいても、それほど酷いものにはならないと思っていたのだろう。
しかし、時に魔獣達の諍いで破壊され、踏み潰され、本当に粉々になる家々を見て、恐怖していた。
「時計塔がっ!」
「ああっ!」
「私の店っ」
映像は適宜、場所を切り替えて見せている。リンディエールやヒストリアの使い魔となったものの目を通しており、二人で五千ほどの目を飛ばしていた。もちろん、映像だけでなく伝令も任せている。
これは、文官達が数人ずつ一日、四、五時間ずつの交代で二十四時間全ての映像を確認していた。とはいえ、五千ものモニターがあるわけではない。町や場所を指定すると、そこに一番近いものが移動して映像を届ける。それを民達に見せるかを判断し、編集しているのだ。
「ねえ。これ、本当に国が助けてくれるのかしら……」
「そうだよな……だって、国民全員の生活をってことだよな……」
「最初だけ良い顔しておいて、また高い税をかけるんだろうさ」
「他国の忠告を聞かなかったのはあいつらなのに……っ」
当然だが、理不尽に更地になっていく国の民達は、今にも暴動を起こしそうなほど、苛立ちと焦燥感を募らせていた。
「わ、我々だって、これほどのことになるとは知らなかった!」
「そうだっ! ここまでのものになるとは教えられていない! 悪いのは他国の者だ!」
貴族達が反発し、責任転嫁を試みる。だが、逃げる事は許さないと、国際会議で釘を刺していた。
目である使い魔が、ここにも居るのだ。すかさず映像が切り替わる。『これは半年前の会議の映像です』とのテロップ付きで。
「おい……こんなにはっきりと、対策をしなければ国が消えかねないなんて言ってるじゃないか!」
「く、国が消えるなど、普通あり得ないと思うだろうっ!」
「他の国は真剣に聞いて、対策を話し合ってるじゃないか! なぜ、あそこで王は他人事のような態度でいられるんだ!?」
「そ、それは……っ」
貴族の中にも、これはダメだろうと王の態度を見て、考えを切り替える者がいるようだ。
「王よ……貴身病の対策から、こんにちに至るまで、何一つ提案されたことをなさらなかった……それはなぜですっ」
「そ、それは……」
「我々は、こんな内容を伝え聞いておりません! リンディエール様がいらして、避難を呼びかけてくださらなければ、どうするおつもりだったのですか?」
「し、知らんっ……も、もとはといえば、教会が悪いのだろう! 聖女召喚などしなければ良かったのだ!」
きちんと教会は謝罪し、これにより氾濫の規模が大きくなり、大厄災と呼ばれるほどのものになってしまうと説明していた。
教皇や司教達が揃って頭を下げたのだ。
「事実そうでも、成ってしまったことはどうにもなりません! だからこそ、教皇様が頭を下げておられる! そして、誰よりも教会の者達が前線に出ています! ここでも、この下の階層に……今現在も潜ってくださっているっ……」
「「「「「え?」」」」」
これは、民達も知らなかった。突然の避難宣言。それに対応することに必死で、今もなお、攻略が進められているという話はされていなかったのだ。
「これも、本来でしたら、既に攻略が終わっていたはずでした……我々も参加し、力をつけ、あの他国の様に、国を守るために地上に出て戦っていた……」
「ふんっ。なぜ、我々が戦わなくてはならない! 冒険者を投入すれば良いのだっ。冒険者が弱いからいけないのだ!」
「「「「「はあ?」」」」」
ここで民衆達に火が付いた。当然の流れでしかないが、王やそれに近い高位貴族達は、危機感が薄かったようだ。
これはマズいと気付いてリンディエール達が駆け付けた時には、王達はボロボロになっていた。
「いつかやるとは思っとったが……早かったなあ」
「リン。呑気に見ていると死ぬぞ」
「しゃあないなあ」
仕方ないと肩をすくめながら怪我を治し、決めていた牢屋代わりの部屋に放り込む。そして、残る貴族達に声をかけた。
「ほれ。一日やるでな。代表を決めい。あ、三人から五人な。ほな、また明日~」
「「「「「え……」」」」」
リンディエールをはじめとして駆け付けた者達は、さっさと転移門に向かっていた。
「こっちも忙しいねん。見てみい」
「「「「「……」」」」」
指を差した先、スクリーンには、この国と同じ状態になっている国々の映像が映される。
「この国と同じようにバカな代表がおった国は他にもある。そういう国は、こっからが勝負やねん。こっちでも方針を詰めるでな。とりあえず代表決めてや?」
「で、ですがっ、三人や五人というのは……」
「あんなあ。一人やと意固地になられたら終わりやねん。こうやって暴動を起こすしかなくなる。何より、今の状況で一人に責任押し付けるんは怖いやろ?」
「は、はい……っ」
「納得したんなら、早う相談を始めなや。明日のこの時間にまた来るわ。気張りや~」
「「「「「……はい……」」」」」
ヒラヒラ手を振りながら、リンディエールは転移門を潜っていく。そして、門は消えた。
「っ……話し合いましょう」
「そうだな……」
「方針を決ると聞いたが……こちらの意向は決めておこう」
「それが良い」
そうして、民衆達も巻き込み、本当に国のことを考えて会議が開かれた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
王侯貴族達が忠告を聞かなかったとして、民達に知らしめるため、避難所となった迷宮には、特大のスクリーンを用意していた。これに上手く行っている他国の様子と自分たちの国の様子を映している。
全ての国の迷宮にそうした外の様子を見られるようにした場所を用意したため、間に合わず避難するだけになった国の悲惨さを誰もが目にする事になった。
「いえが……なくなっちゃった」
「畑が……」
「あんなおおきな領主様のお屋敷まで……」
魔獣達の本気の突進は、凄まじい威力だった。更地になるだろうと聞いてはいても、それほど酷いものにはならないと思っていたのだろう。
しかし、時に魔獣達の諍いで破壊され、踏み潰され、本当に粉々になる家々を見て、恐怖していた。
「時計塔がっ!」
「ああっ!」
「私の店っ」
映像は適宜、場所を切り替えて見せている。リンディエールやヒストリアの使い魔となったものの目を通しており、二人で五千ほどの目を飛ばしていた。もちろん、映像だけでなく伝令も任せている。
これは、文官達が数人ずつ一日、四、五時間ずつの交代で二十四時間全ての映像を確認していた。とはいえ、五千ものモニターがあるわけではない。町や場所を指定すると、そこに一番近いものが移動して映像を届ける。それを民達に見せるかを判断し、編集しているのだ。
「ねえ。これ、本当に国が助けてくれるのかしら……」
「そうだよな……だって、国民全員の生活をってことだよな……」
「最初だけ良い顔しておいて、また高い税をかけるんだろうさ」
「他国の忠告を聞かなかったのはあいつらなのに……っ」
当然だが、理不尽に更地になっていく国の民達は、今にも暴動を起こしそうなほど、苛立ちと焦燥感を募らせていた。
「わ、我々だって、これほどのことになるとは知らなかった!」
「そうだっ! ここまでのものになるとは教えられていない! 悪いのは他国の者だ!」
貴族達が反発し、責任転嫁を試みる。だが、逃げる事は許さないと、国際会議で釘を刺していた。
目である使い魔が、ここにも居るのだ。すかさず映像が切り替わる。『これは半年前の会議の映像です』とのテロップ付きで。
「おい……こんなにはっきりと、対策をしなければ国が消えかねないなんて言ってるじゃないか!」
「く、国が消えるなど、普通あり得ないと思うだろうっ!」
「他の国は真剣に聞いて、対策を話し合ってるじゃないか! なぜ、あそこで王は他人事のような態度でいられるんだ!?」
「そ、それは……っ」
貴族の中にも、これはダメだろうと王の態度を見て、考えを切り替える者がいるようだ。
「王よ……貴身病の対策から、こんにちに至るまで、何一つ提案されたことをなさらなかった……それはなぜですっ」
「そ、それは……」
「我々は、こんな内容を伝え聞いておりません! リンディエール様がいらして、避難を呼びかけてくださらなければ、どうするおつもりだったのですか?」
「し、知らんっ……も、もとはといえば、教会が悪いのだろう! 聖女召喚などしなければ良かったのだ!」
きちんと教会は謝罪し、これにより氾濫の規模が大きくなり、大厄災と呼ばれるほどのものになってしまうと説明していた。
教皇や司教達が揃って頭を下げたのだ。
「事実そうでも、成ってしまったことはどうにもなりません! だからこそ、教皇様が頭を下げておられる! そして、誰よりも教会の者達が前線に出ています! ここでも、この下の階層に……今現在も潜ってくださっているっ……」
「「「「「え?」」」」」
これは、民達も知らなかった。突然の避難宣言。それに対応することに必死で、今もなお、攻略が進められているという話はされていなかったのだ。
「これも、本来でしたら、既に攻略が終わっていたはずでした……我々も参加し、力をつけ、あの他国の様に、国を守るために地上に出て戦っていた……」
「ふんっ。なぜ、我々が戦わなくてはならない! 冒険者を投入すれば良いのだっ。冒険者が弱いからいけないのだ!」
「「「「「はあ?」」」」」
ここで民衆達に火が付いた。当然の流れでしかないが、王やそれに近い高位貴族達は、危機感が薄かったようだ。
これはマズいと気付いてリンディエール達が駆け付けた時には、王達はボロボロになっていた。
「いつかやるとは思っとったが……早かったなあ」
「リン。呑気に見ていると死ぬぞ」
「しゃあないなあ」
仕方ないと肩をすくめながら怪我を治し、決めていた牢屋代わりの部屋に放り込む。そして、残る貴族達に声をかけた。
「ほれ。一日やるでな。代表を決めい。あ、三人から五人な。ほな、また明日~」
「「「「「え……」」」」」
リンディエールをはじめとして駆け付けた者達は、さっさと転移門に向かっていた。
「こっちも忙しいねん。見てみい」
「「「「「……」」」」」
指を差した先、スクリーンには、この国と同じ状態になっている国々の映像が映される。
「この国と同じようにバカな代表がおった国は他にもある。そういう国は、こっからが勝負やねん。こっちでも方針を詰めるでな。とりあえず代表決めてや?」
「で、ですがっ、三人や五人というのは……」
「あんなあ。一人やと意固地になられたら終わりやねん。こうやって暴動を起こすしかなくなる。何より、今の状況で一人に責任押し付けるんは怖いやろ?」
「は、はい……っ」
「納得したんなら、早う相談を始めなや。明日のこの時間にまた来るわ。気張りや~」
「「「「「……はい……」」」」」
ヒラヒラ手を振りながら、リンディエールは転移門を潜っていく。そして、門は消えた。
「っ……話し合いましょう」
「そうだな……」
「方針を決ると聞いたが……こちらの意向は決めておこう」
「それが良い」
そうして、民衆達も巻き込み、本当に国のことを考えて会議が開かれた。
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