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5th ステージ
044 ウチに聞くん?
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クイント達が帰る日がやって来た。
見送りをしようと、屋敷の前に集まっているのだが、なぜか目の前では黒い笑みを浮かべ合っているクイントとフィリクスがいる。
黒さはまあまあ良い勝負だ。
「ふふふ。ようやく食事を一緒にできて良かったですね?」
「宰相様のお陰です。これからはず~っと、毎日一緒にできますから」
あの次の日から、兄のフィリクスはとにかくリンディエールに関わろうと必死だった。
先ずは明けた次の日の朝食。
いつものようにグランギリアを連れて使用人達の食堂に向かったリンディエールは、ヘルナとファルビーラの隣にフィリクスの姿を見つけて驚いた。
その斜め前にはクイント。なぜか和やかに笑いながら睨み合っている。フィリクスの前は一つ空いており、その隣に魔法師長とファシードが座っているのを見ると、どうやらその空いている席がリンディエールの座る所らしい。
リンディエールは立ち止まった。後ろのグランギリアに確認する。
「なあ、グラン。ウチの気のせいか? なんやあの辺、空気悪ない?」
「そうですねえ。この辺りに座りましょうか」
「そうしよかなあ」
これが聞こえたらしい。クイントは思わず立ち上がり、フィリクスは泣きそうな顔をしていた。
ヘルナとファルビーラが間に入る。
「ふふ。リンちゃん。意地悪しないでやって」
「面倒だからこっち来てくれ~」
「……しゃあないな……」
そんな感じで非常に鬱陶しいことになったのだが、見送りの場でも、それは変わらなかったというわけだ。
「まだまだご両親との仲は進展しなさそうですし、リン、養女としてでも引き取りますからね? もちろん、妻でも構わないですし。いつでも連絡ください」
「っ、リンはやりませんよ!」
「リンの自由を奪う気ですか? 嫌われますよ?」
フィリクスはまだまだ経験が足りない。クイントにからかわれっぱなしだ。
そして暴走する。
「くっ……リン! 父上や母上が嫌いなら関わらなくて良いから、出て行くのだけはやめて!」
「リン、屋敷が欲しかったら買ってあげますよ? あ、リンの場合は土地だけでいいですね。好きに作って構いません」
「え……リン? 家まで作れるの?」
「おや、知らなかったのですか? ふふふ」
「っ……」
クイントが非常に楽しそうだ。
多分、フィリクスのことをクイントは意外にも気に入っているのだろう。
「それくらいにしといてや宰相さん。せめてあとニ・三年するまでからかって遊ぶのはナシや」
「ふふふ。まあ、十五くらいになれば、落ち着きも出るでしょうからね。分かりました。おもちゃにするのは、あと三年我慢しましょう」
「え……」
フィリクスがわけが分からず目を瞬かせる。
「なんちゅう顔しとるん……良かったやんか。宰相さんの覚えもめでたくなったんよ?」
「どうゆう……」
意味が分からんとしきりに目を泳がせるフィリクス。これに、クイントが笑う。
「ふふふ。息子もこれくらい可愛げがあると良いんですけどねえ」
「ああ、よお似てそうな長男か」
「似てませんって」
「いや、絶対似とるて……せや、次男はどんなんや? 素直なあの子は三男やったろ?」
図書館で出会ったレングは確か三男と名乗ったはずだ。
「次男は私の子ではないですからね。一応は子として認めてましたけど、妻だった女が他で作ってきた子どもです。レングよりも遥かにおバカですよ。恐らく、元妻と一緒に長男が始末しているはずです」
「……そのサラっと裏の事情話すのやめてんか……びっくりするわ……」
両親も、ヘルナやファルビーラたちも絶句していた。国の重鎮なのにオープンすぎる。
「ああ、ご不快でしたか。すみません。ですが、これで私の身辺も綺麗になりましたよと伝えたかったので」
「さよか……綺麗にするんは良いことやで……」
「ですよねっ」
褒めたことになったかもしれない。クイントは物凄い笑顔だった。
そして、忘れていたというように更なる爆弾発言をする。
「あ、そうだ。リン、伯爵領空きましたけど、どうします? 全部辺境伯領にしますか?」
「……なんで今ここで、ウチに聞くん?」
普通は個室で、当主であるディースリムや国王と話すべきことだろう。なぜにこの見送りのタイミングなのか。もういつでも出発できるよと、馬車の前で姿勢を正す護衛たちまでも目を剥いていた。
「失礼しました。そうですね……一応、参考までに」
「その間が気になんねんけど……まあいいわ。せやな……森に接しとる所はこっちで管理するべきや思うわ。あとはそれこそ、リフス伯爵に任せてええ思うで?」
「伯爵に治めきれると?」
クイントは首を傾げる。当然だろう。リフス伯爵は戦うことにしか興味がないと思われているのだから。
「あそこの男はただの脳筋やないで? 頭を使い分けられる特殊な脳筋や。剣持っとる時は直感だけで動けるから好きなだけやて。あれや、脳筋になるんが気分転換なんよ」
「……まさか……あの提出書類、全部きちんとやっている?」
クイントは、これまでリフス伯爵から提出された書類を思い浮かべているらしい。ずっと部下にやらせていると思っていたその書類が、もしかしたら当主自身の手によるものかもしれないと思うと驚愕する。
「ベンちゃんの字綺麗やろ」
「ベンちゃ……んとは……まさか、ベンディ・リフスのこと……ですか?」
「せやで? 友達やねん。戦いっぷりはどこからどう見ても脳筋なんやけどなあ。書類仕事も好きなんやって、真面目にやりおるよ」
集中するということについては一緒だからと、別人のように真剣に時間をきめて書類仕事に向き合う様は、見てるとちょっと不気味だ。
夫人達も脳筋と思い込んでバカにしているので、対外的にもそう思い込まされてしまうのだ。そう思わせようと考えている節もあるので、これは構わない。
「その上、見た目からは全く想像できんくらい字が上手あてな……手合わせする代わりに手習いの見本をもらったんよ。ほれ、これや」
「っ……これが……」
見せたのは、手紙の書き方や書類の定型文をまとめたものだ。書類仕事が出来るというだけあり、よくまとめてある。
「せやから、丁寧な仕事すんで。手のかかる領地が増えたら、喜んで開拓にも出向くやろな」
「……なるほど。前向きに検討してみます」
「そうしてや」
思わぬ収穫だとクイントは満足気に頷いた。
「ほんなら、繋げるで」
時間だ。
転移門を発動する。出発した時に使った訓練場に繋げたのだ。すると、そこから逆に王が飛び出してきた。
「やっと来た! クイント! 早く帰ってこいよ! もう護送車は着いたぞ」
「……王様……もうちょい警戒した方がええで……」
「なんでだよ。こんな事できるの、リン嬢ちゃんだけだろ」
「分からんやん」
「この門もリン嬢ちゃんのイメージだろ? ならリン嬢ちゃんだって分かる」
ちょっと口が尖っている。完全に言い訳だ。
「真似されるかもしれへんし。今後は無闇に近付くんもあかんで? 王様や自覚せえ」
「うっ……分かった……」
一応納得したらしい。
「まったく、こんな子どもみたいな大人ばっかで大丈夫かいな。ケンじいちゃん、長生きしてや」
もうここは『大人』に頼るしかない。魔法師長ケンレスティンはため息をつく。
「努力します。たまにこちらのような場所で過ごせると良い気がしますね。師匠も居ますし」
「ん~……ティン、また会いたぁい……」
「はい。休みの日はこちらに伺えるといいなと」
「「えっ、ズルイ」」
大人気ない大人達が同時に吠えるが、リンディエールは無視だ。
「連絡くれたら迎えに行くわ。まあ、毎回は無理かもしれへんけど」
「なるべくお願いします」
「「……」」
地味にクイントと王は落ち込んでいた。そこに、向こう側からまた一人やってくる。メイドだ。切り揃えられた前髪は目を隠している。大人しそうな見た目の小柄な少女。
「失礼いたします」
「シュラか。ご苦労やったなあ」
「いえ、良い経験をさせていただきました」
ほんのわずかに微笑みながら、シュラは答えた。
「せや、宰相さんが拷問も許可してくれたで。上手くやりや」
「ありがとうございます。必ずや全て白状させてみせます」
「きっちり搾り取りい」
「お任せください」
これには全員絶句した。
************
読んでくださりありがとうございます◎
次回は三日空きます!
よろしくお願いします◎
見送りをしようと、屋敷の前に集まっているのだが、なぜか目の前では黒い笑みを浮かべ合っているクイントとフィリクスがいる。
黒さはまあまあ良い勝負だ。
「ふふふ。ようやく食事を一緒にできて良かったですね?」
「宰相様のお陰です。これからはず~っと、毎日一緒にできますから」
あの次の日から、兄のフィリクスはとにかくリンディエールに関わろうと必死だった。
先ずは明けた次の日の朝食。
いつものようにグランギリアを連れて使用人達の食堂に向かったリンディエールは、ヘルナとファルビーラの隣にフィリクスの姿を見つけて驚いた。
その斜め前にはクイント。なぜか和やかに笑いながら睨み合っている。フィリクスの前は一つ空いており、その隣に魔法師長とファシードが座っているのを見ると、どうやらその空いている席がリンディエールの座る所らしい。
リンディエールは立ち止まった。後ろのグランギリアに確認する。
「なあ、グラン。ウチの気のせいか? なんやあの辺、空気悪ない?」
「そうですねえ。この辺りに座りましょうか」
「そうしよかなあ」
これが聞こえたらしい。クイントは思わず立ち上がり、フィリクスは泣きそうな顔をしていた。
ヘルナとファルビーラが間に入る。
「ふふ。リンちゃん。意地悪しないでやって」
「面倒だからこっち来てくれ~」
「……しゃあないな……」
そんな感じで非常に鬱陶しいことになったのだが、見送りの場でも、それは変わらなかったというわけだ。
「まだまだご両親との仲は進展しなさそうですし、リン、養女としてでも引き取りますからね? もちろん、妻でも構わないですし。いつでも連絡ください」
「っ、リンはやりませんよ!」
「リンの自由を奪う気ですか? 嫌われますよ?」
フィリクスはまだまだ経験が足りない。クイントにからかわれっぱなしだ。
そして暴走する。
「くっ……リン! 父上や母上が嫌いなら関わらなくて良いから、出て行くのだけはやめて!」
「リン、屋敷が欲しかったら買ってあげますよ? あ、リンの場合は土地だけでいいですね。好きに作って構いません」
「え……リン? 家まで作れるの?」
「おや、知らなかったのですか? ふふふ」
「っ……」
クイントが非常に楽しそうだ。
多分、フィリクスのことをクイントは意外にも気に入っているのだろう。
「それくらいにしといてや宰相さん。せめてあとニ・三年するまでからかって遊ぶのはナシや」
「ふふふ。まあ、十五くらいになれば、落ち着きも出るでしょうからね。分かりました。おもちゃにするのは、あと三年我慢しましょう」
「え……」
フィリクスがわけが分からず目を瞬かせる。
「なんちゅう顔しとるん……良かったやんか。宰相さんの覚えもめでたくなったんよ?」
「どうゆう……」
意味が分からんとしきりに目を泳がせるフィリクス。これに、クイントが笑う。
「ふふふ。息子もこれくらい可愛げがあると良いんですけどねえ」
「ああ、よお似てそうな長男か」
「似てませんって」
「いや、絶対似とるて……せや、次男はどんなんや? 素直なあの子は三男やったろ?」
図書館で出会ったレングは確か三男と名乗ったはずだ。
「次男は私の子ではないですからね。一応は子として認めてましたけど、妻だった女が他で作ってきた子どもです。レングよりも遥かにおバカですよ。恐らく、元妻と一緒に長男が始末しているはずです」
「……そのサラっと裏の事情話すのやめてんか……びっくりするわ……」
両親も、ヘルナやファルビーラたちも絶句していた。国の重鎮なのにオープンすぎる。
「ああ、ご不快でしたか。すみません。ですが、これで私の身辺も綺麗になりましたよと伝えたかったので」
「さよか……綺麗にするんは良いことやで……」
「ですよねっ」
褒めたことになったかもしれない。クイントは物凄い笑顔だった。
そして、忘れていたというように更なる爆弾発言をする。
「あ、そうだ。リン、伯爵領空きましたけど、どうします? 全部辺境伯領にしますか?」
「……なんで今ここで、ウチに聞くん?」
普通は個室で、当主であるディースリムや国王と話すべきことだろう。なぜにこの見送りのタイミングなのか。もういつでも出発できるよと、馬車の前で姿勢を正す護衛たちまでも目を剥いていた。
「失礼しました。そうですね……一応、参考までに」
「その間が気になんねんけど……まあいいわ。せやな……森に接しとる所はこっちで管理するべきや思うわ。あとはそれこそ、リフス伯爵に任せてええ思うで?」
「伯爵に治めきれると?」
クイントは首を傾げる。当然だろう。リフス伯爵は戦うことにしか興味がないと思われているのだから。
「あそこの男はただの脳筋やないで? 頭を使い分けられる特殊な脳筋や。剣持っとる時は直感だけで動けるから好きなだけやて。あれや、脳筋になるんが気分転換なんよ」
「……まさか……あの提出書類、全部きちんとやっている?」
クイントは、これまでリフス伯爵から提出された書類を思い浮かべているらしい。ずっと部下にやらせていると思っていたその書類が、もしかしたら当主自身の手によるものかもしれないと思うと驚愕する。
「ベンちゃんの字綺麗やろ」
「ベンちゃ……んとは……まさか、ベンディ・リフスのこと……ですか?」
「せやで? 友達やねん。戦いっぷりはどこからどう見ても脳筋なんやけどなあ。書類仕事も好きなんやって、真面目にやりおるよ」
集中するということについては一緒だからと、別人のように真剣に時間をきめて書類仕事に向き合う様は、見てるとちょっと不気味だ。
夫人達も脳筋と思い込んでバカにしているので、対外的にもそう思い込まされてしまうのだ。そう思わせようと考えている節もあるので、これは構わない。
「その上、見た目からは全く想像できんくらい字が上手あてな……手合わせする代わりに手習いの見本をもらったんよ。ほれ、これや」
「っ……これが……」
見せたのは、手紙の書き方や書類の定型文をまとめたものだ。書類仕事が出来るというだけあり、よくまとめてある。
「せやから、丁寧な仕事すんで。手のかかる領地が増えたら、喜んで開拓にも出向くやろな」
「……なるほど。前向きに検討してみます」
「そうしてや」
思わぬ収穫だとクイントは満足気に頷いた。
「ほんなら、繋げるで」
時間だ。
転移門を発動する。出発した時に使った訓練場に繋げたのだ。すると、そこから逆に王が飛び出してきた。
「やっと来た! クイント! 早く帰ってこいよ! もう護送車は着いたぞ」
「……王様……もうちょい警戒した方がええで……」
「なんでだよ。こんな事できるの、リン嬢ちゃんだけだろ」
「分からんやん」
「この門もリン嬢ちゃんのイメージだろ? ならリン嬢ちゃんだって分かる」
ちょっと口が尖っている。完全に言い訳だ。
「真似されるかもしれへんし。今後は無闇に近付くんもあかんで? 王様や自覚せえ」
「うっ……分かった……」
一応納得したらしい。
「まったく、こんな子どもみたいな大人ばっかで大丈夫かいな。ケンじいちゃん、長生きしてや」
もうここは『大人』に頼るしかない。魔法師長ケンレスティンはため息をつく。
「努力します。たまにこちらのような場所で過ごせると良い気がしますね。師匠も居ますし」
「ん~……ティン、また会いたぁい……」
「はい。休みの日はこちらに伺えるといいなと」
「「えっ、ズルイ」」
大人気ない大人達が同時に吠えるが、リンディエールは無視だ。
「連絡くれたら迎えに行くわ。まあ、毎回は無理かもしれへんけど」
「なるべくお願いします」
「「……」」
地味にクイントと王は落ち込んでいた。そこに、向こう側からまた一人やってくる。メイドだ。切り揃えられた前髪は目を隠している。大人しそうな見た目の小柄な少女。
「失礼いたします」
「シュラか。ご苦労やったなあ」
「いえ、良い経験をさせていただきました」
ほんのわずかに微笑みながら、シュラは答えた。
「せや、宰相さんが拷問も許可してくれたで。上手くやりや」
「ありがとうございます。必ずや全て白状させてみせます」
「きっちり搾り取りい」
「お任せください」
これには全員絶句した。
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読んでくださりありがとうございます◎
次回は三日空きます!
よろしくお願いします◎
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