326 / 457
連載
473 無駄にヤル気に満ちています
しおりを挟む
2016. 8. 9
********************************************
風王達は、その正体を知ろうと躍起になっていたらしい。
それは女神サティアを騙る者。
ティアが女神だと知る風王や水王にとって許せない存在だった。
《現在、クィーグの者がウィスト内を調べております。あの忌々しい組織のアジトを見つけるのも時間の問題かと》
「最近、やる事早いよね……いや、うん。とっても有難いよ」
クィーグの優秀な諜報部隊と手を組んだ為か、前に比べて反応が良くなった。つまり、人としての感覚と精霊達とでは違う。その差が急激に詰められ、ティアが望むものの提示速度が上がっていたのだ。
《ありがとうございますっ。下っ端は適当にこちらで処理し、幹部達のみティア様に献上いたしましょう》
「え? そこまで気を遣ってもらわなくても……」
風王は鼻息荒く、ティアへ宣言してみせる。精霊王である風王は、これまでティアの敵となる者や邪魔者を見つけても手を出す事ができなかった。
それは、この世の理。守護する者や請願なく、無闇に力を行使する事ができないのだ。
しかし、クィーグという力の請願を許せる者達と行動する事で、間接的に敵を倒す事ができるのだ。
《理には触れておりませんのでご安心を》
「そう……けど、自分達を守る為ならいいけど、あまり力を乱用しないで。確実な情報を最速で届けてくれるのを最優先にお願い」
《ティア様っ。我らの身を思って……承知いたしました。戦闘行為で情報をお届けするのが遅れるようではいけませんので》
「それもあるね。クィーグの人達にもそう伝えて」
これで万が一、アジトを見つけたとしても、ティアのいない場所でいきなり奇襲
かけたりはしないだろう。
相手は神具を所有しているのだ。風王達も無理は出来ないだろうが、敵の数を減らすよりも、今は多くの情報を得る事の方が重要だった。
「それでティア。この後どうするんだ? こいつらの事もあるが、ウィストに行く気なんだろう?」
ルクスは、不安気にこちらの様子を伺っているウィストから来た者達へ視線を投げて尋ねる。
これに、ティアは考え込むように眉を寄せ、顎に手をやった。
「それなんだけどね。クィーグの部隊がウィストに入ってるなら、とりあえず情報は集まると思うんだ。あの人達をここへ向かわせた神官の居場所もすぐに突き止める」
彼らをどうにかしたとしても、また数日後、同じようにこうして国に入ってきて町を襲おうとする者が現れかねない。はっきりとした目的と理由を知らなければ、本当に対処した事にはならないだろう。
何より、ティアが男爵から受けた依頼の達成は、元を調べ、これを絶つ事だ。
「神官と話をして止めさせる。この人達は、男爵に任せよう。兵が来たみたいだしね」
丁度、町からティア達の様子を見に数人の兵が近付いてきていた。メリスラング男爵は察しがいい。
フラムに男爵へ姿を見せて行くようにと言い含めておいたのだ。国境の門での異変はもう報告が行っていた。早馬が町へ向かう気配は感じていたのだ。
そこでフラムが飛び去るのを見れば、ティアの方でも何かあったと分かる。有事の際の判断力は特に早いのが現役最強の騎士だ。すぐに兵を向かわせていた。
「君はどうしようね?」
《グルルル?》
マティは子犬の姿になれるので、連れて行くのに問題はないだろうが、フットウルフである神使獣は無理だ。
密かに神官との接触を望むティアとしては、大きな魔獣を連れて歩く事はできない。
「う~ん。だからって手放すのもな……確か騎獣用の登録プレートがあったはずだし、私が仮りで君の主人になってもいいかな」
《グルル》
《お願いしますって》
ティアの提案に、マティの通訳を聞くまでもなく、フットウルフは尻尾を振って喜んで同意した。
「なら名前だね。え~っと……銀……ゼブロでどうかな」
《グルルルっ》
《いいなぁ。なんかカッコイイ……》
「こらこら。マティの名前は、伝説の冒険者。マティアス・ディストレアからもらったんだからね?」
《そうだったっ。うん。マティもカッコイイ》
単純なマティは置いておいて、ティアは主のいる騎獣の証となるプレートを、ゼブロの首にかける。
無登録のプレートなのだが、これで一応は周りが安心するだろう。
「君には、私達が戻るまで国境の門を兵達と守っていて欲しいんだ。けど、敵と見ても、無闇に殺しては駄目だよ」
《グルっ》
《任せてくださいって》
「ありがとう。頼むよ」
そこに、男爵が派遣した兵達が到着する。事情を話し、彼らにウィストの者達を託すと、ティア達はウィストに向かったのだった。
◆◆◆◆◆
一方、王宮ではエルヴァストがサクヤとウルスヴァンを連れて戻って来た所だった。
************************************************
舞台裏のお話。
ラキア「……来ます」
ウル「どうしたのですか?」
サクヤ「あら。ホント。フラムちゃんとエル君?」
ウル「殿下がフラムさんと?」
ラキア「着きます」
サクヤ「庭ね」
ウル「やはり、中庭が広く取ってあるのはフラムさんが降りる為でしたか……」
ラキア「はい。緊急用にグリフォンが降りれますし、マティさんが本来の姿に戻ってお昼寝も出来るようにと、もう一つあった別館を壊して広さを確保しました」
サクヤ「フラムちゃんも余裕で着地できて良かったわね」
ラキア「ええ。ご近所の方々へ事情を説明しておりますので、少々失敗しても大丈夫です」
ウル「失敗するんですか⁉︎」
ラキア「たまにです。フラムさんだと……っ」
ドォン
サクヤ「……コレね……」
ラキア「コレです」
ウル「……凄い音がしましたよ……」
エル「こらこら、落ち込むな。町中は距離感が掴みにくいんだったよな」
フラム《キュ~……》
ラキア「いらっしゃいませ、エル様。お帰りなさいフラムさん」
エル「久しぶりだっ、ラキア」
フラム《キュ》
ラキア「ご用件をどうぞ」
エル「……もう少し何か……」
フラム《キュキュ》
エル「慰めてくれているのか? フラムは優しいな……」
ラキア「お早く願います」
エル「はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
近所迷惑もありますからね……。
クィーグと精霊王達のタッグは、有難いですが、好戦的な所が更に浮き彫りに……。
お互いの力を補い合う良い関係ではあります。
さて、王宮では?
では次回、一日空けて11日です。
よろしくお願いします◎
********************************************
風王達は、その正体を知ろうと躍起になっていたらしい。
それは女神サティアを騙る者。
ティアが女神だと知る風王や水王にとって許せない存在だった。
《現在、クィーグの者がウィスト内を調べております。あの忌々しい組織のアジトを見つけるのも時間の問題かと》
「最近、やる事早いよね……いや、うん。とっても有難いよ」
クィーグの優秀な諜報部隊と手を組んだ為か、前に比べて反応が良くなった。つまり、人としての感覚と精霊達とでは違う。その差が急激に詰められ、ティアが望むものの提示速度が上がっていたのだ。
《ありがとうございますっ。下っ端は適当にこちらで処理し、幹部達のみティア様に献上いたしましょう》
「え? そこまで気を遣ってもらわなくても……」
風王は鼻息荒く、ティアへ宣言してみせる。精霊王である風王は、これまでティアの敵となる者や邪魔者を見つけても手を出す事ができなかった。
それは、この世の理。守護する者や請願なく、無闇に力を行使する事ができないのだ。
しかし、クィーグという力の請願を許せる者達と行動する事で、間接的に敵を倒す事ができるのだ。
《理には触れておりませんのでご安心を》
「そう……けど、自分達を守る為ならいいけど、あまり力を乱用しないで。確実な情報を最速で届けてくれるのを最優先にお願い」
《ティア様っ。我らの身を思って……承知いたしました。戦闘行為で情報をお届けするのが遅れるようではいけませんので》
「それもあるね。クィーグの人達にもそう伝えて」
これで万が一、アジトを見つけたとしても、ティアのいない場所でいきなり奇襲
かけたりはしないだろう。
相手は神具を所有しているのだ。風王達も無理は出来ないだろうが、敵の数を減らすよりも、今は多くの情報を得る事の方が重要だった。
「それでティア。この後どうするんだ? こいつらの事もあるが、ウィストに行く気なんだろう?」
ルクスは、不安気にこちらの様子を伺っているウィストから来た者達へ視線を投げて尋ねる。
これに、ティアは考え込むように眉を寄せ、顎に手をやった。
「それなんだけどね。クィーグの部隊がウィストに入ってるなら、とりあえず情報は集まると思うんだ。あの人達をここへ向かわせた神官の居場所もすぐに突き止める」
彼らをどうにかしたとしても、また数日後、同じようにこうして国に入ってきて町を襲おうとする者が現れかねない。はっきりとした目的と理由を知らなければ、本当に対処した事にはならないだろう。
何より、ティアが男爵から受けた依頼の達成は、元を調べ、これを絶つ事だ。
「神官と話をして止めさせる。この人達は、男爵に任せよう。兵が来たみたいだしね」
丁度、町からティア達の様子を見に数人の兵が近付いてきていた。メリスラング男爵は察しがいい。
フラムに男爵へ姿を見せて行くようにと言い含めておいたのだ。国境の門での異変はもう報告が行っていた。早馬が町へ向かう気配は感じていたのだ。
そこでフラムが飛び去るのを見れば、ティアの方でも何かあったと分かる。有事の際の判断力は特に早いのが現役最強の騎士だ。すぐに兵を向かわせていた。
「君はどうしようね?」
《グルルル?》
マティは子犬の姿になれるので、連れて行くのに問題はないだろうが、フットウルフである神使獣は無理だ。
密かに神官との接触を望むティアとしては、大きな魔獣を連れて歩く事はできない。
「う~ん。だからって手放すのもな……確か騎獣用の登録プレートがあったはずだし、私が仮りで君の主人になってもいいかな」
《グルル》
《お願いしますって》
ティアの提案に、マティの通訳を聞くまでもなく、フットウルフは尻尾を振って喜んで同意した。
「なら名前だね。え~っと……銀……ゼブロでどうかな」
《グルルルっ》
《いいなぁ。なんかカッコイイ……》
「こらこら。マティの名前は、伝説の冒険者。マティアス・ディストレアからもらったんだからね?」
《そうだったっ。うん。マティもカッコイイ》
単純なマティは置いておいて、ティアは主のいる騎獣の証となるプレートを、ゼブロの首にかける。
無登録のプレートなのだが、これで一応は周りが安心するだろう。
「君には、私達が戻るまで国境の門を兵達と守っていて欲しいんだ。けど、敵と見ても、無闇に殺しては駄目だよ」
《グルっ》
《任せてくださいって》
「ありがとう。頼むよ」
そこに、男爵が派遣した兵達が到着する。事情を話し、彼らにウィストの者達を託すと、ティア達はウィストに向かったのだった。
◆◆◆◆◆
一方、王宮ではエルヴァストがサクヤとウルスヴァンを連れて戻って来た所だった。
************************************************
舞台裏のお話。
ラキア「……来ます」
ウル「どうしたのですか?」
サクヤ「あら。ホント。フラムちゃんとエル君?」
ウル「殿下がフラムさんと?」
ラキア「着きます」
サクヤ「庭ね」
ウル「やはり、中庭が広く取ってあるのはフラムさんが降りる為でしたか……」
ラキア「はい。緊急用にグリフォンが降りれますし、マティさんが本来の姿に戻ってお昼寝も出来るようにと、もう一つあった別館を壊して広さを確保しました」
サクヤ「フラムちゃんも余裕で着地できて良かったわね」
ラキア「ええ。ご近所の方々へ事情を説明しておりますので、少々失敗しても大丈夫です」
ウル「失敗するんですか⁉︎」
ラキア「たまにです。フラムさんだと……っ」
ドォン
サクヤ「……コレね……」
ラキア「コレです」
ウル「……凄い音がしましたよ……」
エル「こらこら、落ち込むな。町中は距離感が掴みにくいんだったよな」
フラム《キュ~……》
ラキア「いらっしゃいませ、エル様。お帰りなさいフラムさん」
エル「久しぶりだっ、ラキア」
フラム《キュ》
ラキア「ご用件をどうぞ」
エル「……もう少し何か……」
フラム《キュキュ》
エル「慰めてくれているのか? フラムは優しいな……」
ラキア「お早く願います」
エル「はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
近所迷惑もありますからね……。
クィーグと精霊王達のタッグは、有難いですが、好戦的な所が更に浮き彫りに……。
お互いの力を補い合う良い関係ではあります。
さて、王宮では?
では次回、一日空けて11日です。
よろしくお願いします◎
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。