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連載
473 無駄にヤル気に満ちています
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2016. 8. 9
********************************************
風王達は、その正体を知ろうと躍起になっていたらしい。
それは女神サティアを騙る者。
ティアが女神だと知る風王や水王にとって許せない存在だった。
《現在、クィーグの者がウィスト内を調べております。あの忌々しい組織のアジトを見つけるのも時間の問題かと》
「最近、やる事早いよね……いや、うん。とっても有難いよ」
クィーグの優秀な諜報部隊と手を組んだ為か、前に比べて反応が良くなった。つまり、人としての感覚と精霊達とでは違う。その差が急激に詰められ、ティアが望むものの提示速度が上がっていたのだ。
《ありがとうございますっ。下っ端は適当にこちらで処理し、幹部達のみティア様に献上いたしましょう》
「え? そこまで気を遣ってもらわなくても……」
風王は鼻息荒く、ティアへ宣言してみせる。精霊王である風王は、これまでティアの敵となる者や邪魔者を見つけても手を出す事ができなかった。
それは、この世の理。守護する者や請願なく、無闇に力を行使する事ができないのだ。
しかし、クィーグという力の請願を許せる者達と行動する事で、間接的に敵を倒す事ができるのだ。
《理には触れておりませんのでご安心を》
「そう……けど、自分達を守る為ならいいけど、あまり力を乱用しないで。確実な情報を最速で届けてくれるのを最優先にお願い」
《ティア様っ。我らの身を思って……承知いたしました。戦闘行為で情報をお届けするのが遅れるようではいけませんので》
「それもあるね。クィーグの人達にもそう伝えて」
これで万が一、アジトを見つけたとしても、ティアのいない場所でいきなり奇襲
かけたりはしないだろう。
相手は神具を所有しているのだ。風王達も無理は出来ないだろうが、敵の数を減らすよりも、今は多くの情報を得る事の方が重要だった。
「それでティア。この後どうするんだ? こいつらの事もあるが、ウィストに行く気なんだろう?」
ルクスは、不安気にこちらの様子を伺っているウィストから来た者達へ視線を投げて尋ねる。
これに、ティアは考え込むように眉を寄せ、顎に手をやった。
「それなんだけどね。クィーグの部隊がウィストに入ってるなら、とりあえず情報は集まると思うんだ。あの人達をここへ向かわせた神官の居場所もすぐに突き止める」
彼らをどうにかしたとしても、また数日後、同じようにこうして国に入ってきて町を襲おうとする者が現れかねない。はっきりとした目的と理由を知らなければ、本当に対処した事にはならないだろう。
何より、ティアが男爵から受けた依頼の達成は、元を調べ、これを絶つ事だ。
「神官と話をして止めさせる。この人達は、男爵に任せよう。兵が来たみたいだしね」
丁度、町からティア達の様子を見に数人の兵が近付いてきていた。メリスラング男爵は察しがいい。
フラムに男爵へ姿を見せて行くようにと言い含めておいたのだ。国境の門での異変はもう報告が行っていた。早馬が町へ向かう気配は感じていたのだ。
そこでフラムが飛び去るのを見れば、ティアの方でも何かあったと分かる。有事の際の判断力は特に早いのが現役最強の騎士だ。すぐに兵を向かわせていた。
「君はどうしようね?」
《グルルル?》
マティは子犬の姿になれるので、連れて行くのに問題はないだろうが、フットウルフである神使獣は無理だ。
密かに神官との接触を望むティアとしては、大きな魔獣を連れて歩く事はできない。
「う~ん。だからって手放すのもな……確か騎獣用の登録プレートがあったはずだし、私が仮りで君の主人になってもいいかな」
《グルル》
《お願いしますって》
ティアの提案に、マティの通訳を聞くまでもなく、フットウルフは尻尾を振って喜んで同意した。
「なら名前だね。え~っと……銀……ゼブロでどうかな」
《グルルルっ》
《いいなぁ。なんかカッコイイ……》
「こらこら。マティの名前は、伝説の冒険者。マティアス・ディストレアからもらったんだからね?」
《そうだったっ。うん。マティもカッコイイ》
単純なマティは置いておいて、ティアは主のいる騎獣の証となるプレートを、ゼブロの首にかける。
無登録のプレートなのだが、これで一応は周りが安心するだろう。
「君には、私達が戻るまで国境の門を兵達と守っていて欲しいんだ。けど、敵と見ても、無闇に殺しては駄目だよ」
《グルっ》
《任せてくださいって》
「ありがとう。頼むよ」
そこに、男爵が派遣した兵達が到着する。事情を話し、彼らにウィストの者達を託すと、ティア達はウィストに向かったのだった。
◆◆◆◆◆
一方、王宮ではエルヴァストがサクヤとウルスヴァンを連れて戻って来た所だった。
************************************************
舞台裏のお話。
ラキア「……来ます」
ウル「どうしたのですか?」
サクヤ「あら。ホント。フラムちゃんとエル君?」
ウル「殿下がフラムさんと?」
ラキア「着きます」
サクヤ「庭ね」
ウル「やはり、中庭が広く取ってあるのはフラムさんが降りる為でしたか……」
ラキア「はい。緊急用にグリフォンが降りれますし、マティさんが本来の姿に戻ってお昼寝も出来るようにと、もう一つあった別館を壊して広さを確保しました」
サクヤ「フラムちゃんも余裕で着地できて良かったわね」
ラキア「ええ。ご近所の方々へ事情を説明しておりますので、少々失敗しても大丈夫です」
ウル「失敗するんですか⁉︎」
ラキア「たまにです。フラムさんだと……っ」
ドォン
サクヤ「……コレね……」
ラキア「コレです」
ウル「……凄い音がしましたよ……」
エル「こらこら、落ち込むな。町中は距離感が掴みにくいんだったよな」
フラム《キュ~……》
ラキア「いらっしゃいませ、エル様。お帰りなさいフラムさん」
エル「久しぶりだっ、ラキア」
フラム《キュ》
ラキア「ご用件をどうぞ」
エル「……もう少し何か……」
フラム《キュキュ》
エル「慰めてくれているのか? フラムは優しいな……」
ラキア「お早く願います」
エル「はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
近所迷惑もありますからね……。
クィーグと精霊王達のタッグは、有難いですが、好戦的な所が更に浮き彫りに……。
お互いの力を補い合う良い関係ではあります。
さて、王宮では?
では次回、一日空けて11日です。
よろしくお願いします◎
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風王達は、その正体を知ろうと躍起になっていたらしい。
それは女神サティアを騙る者。
ティアが女神だと知る風王や水王にとって許せない存在だった。
《現在、クィーグの者がウィスト内を調べております。あの忌々しい組織のアジトを見つけるのも時間の問題かと》
「最近、やる事早いよね……いや、うん。とっても有難いよ」
クィーグの優秀な諜報部隊と手を組んだ為か、前に比べて反応が良くなった。つまり、人としての感覚と精霊達とでは違う。その差が急激に詰められ、ティアが望むものの提示速度が上がっていたのだ。
《ありがとうございますっ。下っ端は適当にこちらで処理し、幹部達のみティア様に献上いたしましょう》
「え? そこまで気を遣ってもらわなくても……」
風王は鼻息荒く、ティアへ宣言してみせる。精霊王である風王は、これまでティアの敵となる者や邪魔者を見つけても手を出す事ができなかった。
それは、この世の理。守護する者や請願なく、無闇に力を行使する事ができないのだ。
しかし、クィーグという力の請願を許せる者達と行動する事で、間接的に敵を倒す事ができるのだ。
《理には触れておりませんのでご安心を》
「そう……けど、自分達を守る為ならいいけど、あまり力を乱用しないで。確実な情報を最速で届けてくれるのを最優先にお願い」
《ティア様っ。我らの身を思って……承知いたしました。戦闘行為で情報をお届けするのが遅れるようではいけませんので》
「それもあるね。クィーグの人達にもそう伝えて」
これで万が一、アジトを見つけたとしても、ティアのいない場所でいきなり奇襲
かけたりはしないだろう。
相手は神具を所有しているのだ。風王達も無理は出来ないだろうが、敵の数を減らすよりも、今は多くの情報を得る事の方が重要だった。
「それでティア。この後どうするんだ? こいつらの事もあるが、ウィストに行く気なんだろう?」
ルクスは、不安気にこちらの様子を伺っているウィストから来た者達へ視線を投げて尋ねる。
これに、ティアは考え込むように眉を寄せ、顎に手をやった。
「それなんだけどね。クィーグの部隊がウィストに入ってるなら、とりあえず情報は集まると思うんだ。あの人達をここへ向かわせた神官の居場所もすぐに突き止める」
彼らをどうにかしたとしても、また数日後、同じようにこうして国に入ってきて町を襲おうとする者が現れかねない。はっきりとした目的と理由を知らなければ、本当に対処した事にはならないだろう。
何より、ティアが男爵から受けた依頼の達成は、元を調べ、これを絶つ事だ。
「神官と話をして止めさせる。この人達は、男爵に任せよう。兵が来たみたいだしね」
丁度、町からティア達の様子を見に数人の兵が近付いてきていた。メリスラング男爵は察しがいい。
フラムに男爵へ姿を見せて行くようにと言い含めておいたのだ。国境の門での異変はもう報告が行っていた。早馬が町へ向かう気配は感じていたのだ。
そこでフラムが飛び去るのを見れば、ティアの方でも何かあったと分かる。有事の際の判断力は特に早いのが現役最強の騎士だ。すぐに兵を向かわせていた。
「君はどうしようね?」
《グルルル?》
マティは子犬の姿になれるので、連れて行くのに問題はないだろうが、フットウルフである神使獣は無理だ。
密かに神官との接触を望むティアとしては、大きな魔獣を連れて歩く事はできない。
「う~ん。だからって手放すのもな……確か騎獣用の登録プレートがあったはずだし、私が仮りで君の主人になってもいいかな」
《グルル》
《お願いしますって》
ティアの提案に、マティの通訳を聞くまでもなく、フットウルフは尻尾を振って喜んで同意した。
「なら名前だね。え~っと……銀……ゼブロでどうかな」
《グルルルっ》
《いいなぁ。なんかカッコイイ……》
「こらこら。マティの名前は、伝説の冒険者。マティアス・ディストレアからもらったんだからね?」
《そうだったっ。うん。マティもカッコイイ》
単純なマティは置いておいて、ティアは主のいる騎獣の証となるプレートを、ゼブロの首にかける。
無登録のプレートなのだが、これで一応は周りが安心するだろう。
「君には、私達が戻るまで国境の門を兵達と守っていて欲しいんだ。けど、敵と見ても、無闇に殺しては駄目だよ」
《グルっ》
《任せてくださいって》
「ありがとう。頼むよ」
そこに、男爵が派遣した兵達が到着する。事情を話し、彼らにウィストの者達を託すと、ティア達はウィストに向かったのだった。
◆◆◆◆◆
一方、王宮ではエルヴァストがサクヤとウルスヴァンを連れて戻って来た所だった。
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舞台裏のお話。
ラキア「……来ます」
ウル「どうしたのですか?」
サクヤ「あら。ホント。フラムちゃんとエル君?」
ウル「殿下がフラムさんと?」
ラキア「着きます」
サクヤ「庭ね」
ウル「やはり、中庭が広く取ってあるのはフラムさんが降りる為でしたか……」
ラキア「はい。緊急用にグリフォンが降りれますし、マティさんが本来の姿に戻ってお昼寝も出来るようにと、もう一つあった別館を壊して広さを確保しました」
サクヤ「フラムちゃんも余裕で着地できて良かったわね」
ラキア「ええ。ご近所の方々へ事情を説明しておりますので、少々失敗しても大丈夫です」
ウル「失敗するんですか⁉︎」
ラキア「たまにです。フラムさんだと……っ」
ドォン
サクヤ「……コレね……」
ラキア「コレです」
ウル「……凄い音がしましたよ……」
エル「こらこら、落ち込むな。町中は距離感が掴みにくいんだったよな」
フラム《キュ~……》
ラキア「いらっしゃいませ、エル様。お帰りなさいフラムさん」
エル「久しぶりだっ、ラキア」
フラム《キュ》
ラキア「ご用件をどうぞ」
エル「……もう少し何か……」
フラム《キュキュ》
エル「慰めてくれているのか? フラムは優しいな……」
ラキア「お早く願います」
エル「はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
近所迷惑もありますからね……。
クィーグと精霊王達のタッグは、有難いですが、好戦的な所が更に浮き彫りに……。
お互いの力を補い合う良い関係ではあります。
さて、王宮では?
では次回、一日空けて11日です。
よろしくお願いします◎
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