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遭遇
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って、そんなの許せるかー!!
絶対…ぜーったいに、ハーレム無双するんだい!
俺は心の中で叫ぶと、取り敢えず自分の気持ちを落ち着かせて、アイテムボックスに何か使える物は無いかを探ってみる。
俺は基本的にケチだ…だから、アイテムは山程残ってる。
…筈。
そしてそれは、ゲーム内での課金も一緒で、俺のプレイスタイルは移動補助アイテムとかには、殆ど金を掛けない派なのだ。
移動速度2倍とかの、魔法の絨毯なんか無視して、必死にマラソンしてたしな…
…ふっ。
若干虚しくはなったが、今は、そんな事を言ってる場合じゃない!
暗くなりかけた俺は、ガサゴソとバッグを漁る。
…ん?
おっ!?
これは…
ー防御の宝珠ー
・敵の攻撃を三回まで無効化する
おぉ!役に立つ物あった!
取り敢えず、これは使っておこう。
首輪型のアイテムを着ける。
……リロードオン!(やけくそ
宝石は淡く光ると、落ち着いた。
おぉ!凄い、丁寧なエフェクトだな。
画面越しのゲーム時代には、考えられ無いような進化だ。
このアイテムは回数消化で、効果が消えてしまう筈なので、受けた攻撃の数を管理しないとな。
……よし、次だ。
ー帰還の魔灯ー
・ダンジョン入り口まで瞬時に移動出来る
カンテラ形のアイテムで、灯火の代わりに紫の魔石が淡く光ってる。
…これを使って、ダンジョン入り口に着いたら、
ソッコー敵に会うとか…あり得るな。
俺は、意地の悪い運営対策に攻撃用のアイテムも用意しておく事にする。
…ガサゴソ
……ほじほじ
これかなぁ~
ー炎龍の牙ー
・広範囲の対象に火属性のブレスダメージ
確か、ここのダンジョンでも、入り口のレベル帯なら、こいつで一撃だろう。
範囲アイテムだから、囲まれてても何とかなるしな…
……
ケチ根性で下位互換の、
ー火竜の牙ー
に変えようかと思って、思いとどまる。
ミスは許されないからな…
……よし。
いくか、
ー帰還の魔灯ー リロードオン!
次の瞬間、目の前が一瞬にして切り替わる。
これはまさしく、竜のボールを集める漫画で、
幼い頃に、皆一度は挑戦するであろう……
瞬間移動!
ってやつだな。
ちなみに、敵は居なかった…
用意した攻撃アイテムは無駄になったが、懐にしまっておく。
さて、ここからの移動は、どうするかな…
ダンジョンの周りは大森林に囲まれてて、敵に会うと簡単に逝ける。
そう考えて、一つのアイテムを思いつく。
「…はぁ~、これ高かったんだけどなぁ」
ー召喚笛ー
・モンスターを召喚し使役出来る。一定時間で消滅する
見た目がカッコよかったので購入した、移動系の召喚笛(ワイバーン)を見つめる。
…ええい!ままよ!
リロードオン!
笛が光って爆発するかと思って、めちゃくちゃ焦ったけど、普通に砕けて消え、目の前に中型の飛龍(ワイバーン)が現れた。
「…すげーカッコイイ。」
俺の呟きを聞いてか、早く乗れと言わんばかりに翼を地面に降ろして、乗りやすいようにしてくれる。
カッコ良く、颯爽と騎乗しようと思ったんだけど、身体が小さくて、必死によじ登る…しか無かったのは内緒だ!
……バウン!バスンッ!
ワイバーンは、俺がちゃんと鞍に乗ったのを確認すると、飛び上がった!
「うわー!スゲー!なんかスッゲー!」
「すっげー怖い…」
すげーしか言えない、自分の語彙の無さと、かなりの高所まで飛び上がるワイバーンに、ダブルで恐怖する俺
……旋回とかは絶対にヤメテね?
遠くの方の空に鳥形のモンスターも見えたけど、俺の騎乗するワイバーン相手には襲ってこないだろう。
…向かって来たらブレス吐いちゃる!
最初は怖かったけど、飛ぶのにも少し慣れてきたので、景色を楽しむ余裕が出来て…
今までの自分の人生観なんて、ぶっ飛ぶ位の光景だった。
「俺は、『真人間』になる!」
とか、叫んでみた。
海族の王様じゃないよ?
その後もハイテンションで、10分位は飛んでいただろうか?
子供の体には、風が結構キツくなってきた…
ふと、地面の方に目をやると砂埃が見える。
「あれは…追われてるのか?」
少し小さいので見えにくいが、馬に乗った騎士達に護衛されて、全力疾走する馬車を発見した。
結構、切羽詰まってる感じがするな、と思ったら…後ろから追いかけてるのって悪魔(デーモン)だ!
悪魔は基本的にダンジョンなんかに籠ってて、ボスキャラ扱いなのに…こんな平原で、手下を連れて疾走してるなんてゲームでは見た事無いぞ?
この位置関係なら、俺と同じで終焉の塔から街の方向に向かって逃げてる感じか…
…どうしよう。
助けるべきか?でも、危ないし…
せっかく塔ではモンスターに出会わなかったのに、ここで危ない橋を渡るなんて…
それに、俺なんてレベル1しか無いんだ、わざわざ調子に乗って助けに向かった所で、何かやれる事があるのか?
屈強そうな護衛もいるし大丈夫なんじゃ…
護衛では悪魔に恐らく勝てそうに無いと、心の中では理解していても、俺は自分の弱い心に助けに行く踏ん切りがつかず、そのまま上空で旋回しながら様子を見ていると…悪魔の攻撃で馬車の車輪が破壊された!?
そして…
中から…美少女が出てきた!!
「…今いくぞぅ!」
明確な助ける理由を得た俺は、心に闘志を燃やし飛龍を操る!
「リロードオン!」
ー六創の聖槍ー
・六種の力が込められた、破魔の槍 (悪魔系にダメージアップ)
アイテムを発動させると、俺は周りに展開している光り輝く六本の槍を、今にも騎士を殺そうと迫る、手下っぽい悪魔達に投げつけた。
…
…ザンザンザッ!…グギャァア!!
三匹いたエイリアンみたいな悪魔達は、俺の放った槍に貫かれて消え去る。
「なっ、なんだ?!…あれはっ!」
「味方?…竜騎士だ!」
俺を見て護衛の騎士達が騒ぎ出す。
そのまま騎士達の前に躍り出て、飛龍から羽を使って滑り降りると、モンスターの親玉悪魔の前に立ちはだかった。
「こ…子供?」
俺の後ろ姿を見て、後ろから落胆とも、疑問ともとれる落胆の声が聞こえる。
…俺だって好きで子供のナリしてる訳じゃないやい!
「我が配下達を…あなた、なんなのでしょう…カッ!?」
「…正義の…味方?」
悪魔が邪魔そうに俺を見てくる…顔コエー。
「お呼びでは無いんです…ナッ!」
「せっかくレアアイテム使ったんだし、遊んでいけよ…なっ!」
俺は奴の声真似をしながら、残り三本している槍の内、二本を奴に向かって放つ!
…器用に避けてはいるが、自動追尾の槍からは逃げられんぞ!
…ドス、ドスッ!
「グゥ…ハッ!」
…よしっ、体を貫いた!なのに、あれだけの攻撃を受けても平気そうにしてるやがる
「…このイウェルト様に、傷…ヲッ!」
イウェルトと名乗る悪魔は、槍が体に刺さったまま両手を広げると、広範囲スキルのソニックブラストを放ってくる。
「リロードオン、静寂のベール!…うわっ!?」
俺は、精神にも風属性にも防御効果のあるアイテムを使うが、威力を殺しきれず壊れた馬車に叩きつけられる。
「聖女様ぁぁ!!」
「…きゃあっ!」
俺の周りにいた人達も、スキルの影響を受けて吹き飛ばされるけど、『聖女』と呼ばれた少女は騎士が庇っていて、何とか無事のようだ…良かった。
俺も、防御の宝珠が発動してくれたから無傷で済んだけど、これアイテム無かったら死んでたよな?
…怖っ!
「くそっ!行っけぇぇ!」
俺達を殺せるだけのスキルを放ったのに、誰も殺せていない事に驚いている悪魔へ、慌てて最後の聖槍を放つ!
…グザシュッ!
「グゥオォ…オッ…」
…よしっ!さっきまでより、効いてきてる!
「オマケだ!リロードオン、ゼギスの雷槍!!」
俺はトドメを刺すために、全十位まである内の、第八位相当の魔力が篭った槍を召喚し、動きの鈍くなった悪魔へ投げつけて畳み掛ける。
「ぐっ…」
…槍の重さに体がグラついてる、今までの奴ならビクともせんかったと思うんだけど、だいぶ弱ってるな
「…ウガガガァア……きぃさまぁぁ!!悪魔界序列四位のこの私が!…この程度でヤレると思う…ナッ!」
先程までは、人間の貴族みたいだった悪魔の体が、どんどん膨らんでいき、顔以外もトゲトゲした真っ黒な怪物のそれに変貌を遂げていく…
刺さっていた槍も全て抜けちゃったよ…
「なんか、ヤバそう…逃げ…いや、ダメージは結構あるはずだろ?!」
俺は、思わず逃げたくなる衝動をなんとか抑え、さらに効果のありそうな物をアイテムボックスから取り出す。
「…魔封じの壺!」
「なっ!それは…太古の昔に、多くの同族を封じたあの壺!?ですか…ナッ!」
…なんだそれは?
アイテムの設定に書いてあった効果が、対悪魔用ってなってたから出してみたんだけど、一回2000円のレア武器ガチャのハズレアイテムだったはず…
しかし、悪魔は俺が出した壺に封印されるのを恐れて、「聖女よ、首を洗って待っているんだ…ナッ!」と叫ぶと、デモンズゲートって言う見た事ない、空間転移出来そうなスキルを使って消えてしまった。
…
「やったぞ!悪魔を退けたんだっ!」
「た、助かった…ありがとう…」
後ろの方で騒ぐ声に、俺もようやく実感が湧いてくる。
両手を握りしめて見つめた。
…初めての戦いに勝てた、俺もやれば出来るんじゃないか!やったぜ俺!
「…あのぉ、勇者様?」
一人で喜びを噛み締めていると、不意に後ろから女の子の声がする…
…ふっ…ふふ
……振り返れまてん!
…もう何年も女の子と喋って無いのに、勢いで助けたけど…無理だ!
無理、無理!上手く喋れる自信が無い!
…
「あっ、あのぉ…ありがとうございますぅ。わたしぃ…私、本当に怖くてぇ…」
少女から涙声が聞こえる…
「勇者様!お名前を御教え下さい!」
騎士が鎧をガシャガシャさせてる…跪いているのだろうか?
…どうしよう、
失礼だし、一応振り向く…か?
ー召喚時間が間もなく終了しますー
「んっ?なんだって!?」
どうするか悩んでいると、頭の中に直接響く声が聞こえた。
…ヤバ!
そうだ!飛龍(ワイバーン)の召喚時間だっ!
一定時間で消えてしまう相棒の飛龍、せっかく召喚したのに街に着けないとか、勿体無さ過ぎるぞ!
俺は結局振り向けず、飛龍に走ると尻尾で担ぎ上げてもらう。
「あっ、勇者様!どうか、どうかお名前を!」
食い下がる少女に、顔を直視できない俺は、上を見ながら言い放つ。
「ユウト…風間悠人だ!…です。」
…カッコ悪いながらも、なんとか名前を言って飛び立った。
どうやら、城塞都市アスペルに着いたようだ。
…あ、どうやって目的地を伝えるんだろ。
取り敢えず、身振り手振りで、
ワイバーンに「あれあれ!」と指示を出すと、
アスペルの街に向かってくれる。
よしよし!城壁までもう少し…
と、思っていると、衛兵が集合し始めて…
カタパルトを用意してやがる!
「ちぃっ、クソが!!」
叫びながら、飛んでくる矢を避けようとするも、ワイバーンの右翼をやられてしまう。
浮力を得られなくなったワイバーンは、呆気なく地面に激突して…
…消滅してしまった。
絶対…ぜーったいに、ハーレム無双するんだい!
俺は心の中で叫ぶと、取り敢えず自分の気持ちを落ち着かせて、アイテムボックスに何か使える物は無いかを探ってみる。
俺は基本的にケチだ…だから、アイテムは山程残ってる。
…筈。
そしてそれは、ゲーム内での課金も一緒で、俺のプレイスタイルは移動補助アイテムとかには、殆ど金を掛けない派なのだ。
移動速度2倍とかの、魔法の絨毯なんか無視して、必死にマラソンしてたしな…
…ふっ。
若干虚しくはなったが、今は、そんな事を言ってる場合じゃない!
暗くなりかけた俺は、ガサゴソとバッグを漁る。
…ん?
おっ!?
これは…
ー防御の宝珠ー
・敵の攻撃を三回まで無効化する
おぉ!役に立つ物あった!
取り敢えず、これは使っておこう。
首輪型のアイテムを着ける。
……リロードオン!(やけくそ
宝石は淡く光ると、落ち着いた。
おぉ!凄い、丁寧なエフェクトだな。
画面越しのゲーム時代には、考えられ無いような進化だ。
このアイテムは回数消化で、効果が消えてしまう筈なので、受けた攻撃の数を管理しないとな。
……よし、次だ。
ー帰還の魔灯ー
・ダンジョン入り口まで瞬時に移動出来る
カンテラ形のアイテムで、灯火の代わりに紫の魔石が淡く光ってる。
…これを使って、ダンジョン入り口に着いたら、
ソッコー敵に会うとか…あり得るな。
俺は、意地の悪い運営対策に攻撃用のアイテムも用意しておく事にする。
…ガサゴソ
……ほじほじ
これかなぁ~
ー炎龍の牙ー
・広範囲の対象に火属性のブレスダメージ
確か、ここのダンジョンでも、入り口のレベル帯なら、こいつで一撃だろう。
範囲アイテムだから、囲まれてても何とかなるしな…
……
ケチ根性で下位互換の、
ー火竜の牙ー
に変えようかと思って、思いとどまる。
ミスは許されないからな…
……よし。
いくか、
ー帰還の魔灯ー リロードオン!
次の瞬間、目の前が一瞬にして切り替わる。
これはまさしく、竜のボールを集める漫画で、
幼い頃に、皆一度は挑戦するであろう……
瞬間移動!
ってやつだな。
ちなみに、敵は居なかった…
用意した攻撃アイテムは無駄になったが、懐にしまっておく。
さて、ここからの移動は、どうするかな…
ダンジョンの周りは大森林に囲まれてて、敵に会うと簡単に逝ける。
そう考えて、一つのアイテムを思いつく。
「…はぁ~、これ高かったんだけどなぁ」
ー召喚笛ー
・モンスターを召喚し使役出来る。一定時間で消滅する
見た目がカッコよかったので購入した、移動系の召喚笛(ワイバーン)を見つめる。
…ええい!ままよ!
リロードオン!
笛が光って爆発するかと思って、めちゃくちゃ焦ったけど、普通に砕けて消え、目の前に中型の飛龍(ワイバーン)が現れた。
「…すげーカッコイイ。」
俺の呟きを聞いてか、早く乗れと言わんばかりに翼を地面に降ろして、乗りやすいようにしてくれる。
カッコ良く、颯爽と騎乗しようと思ったんだけど、身体が小さくて、必死によじ登る…しか無かったのは内緒だ!
……バウン!バスンッ!
ワイバーンは、俺がちゃんと鞍に乗ったのを確認すると、飛び上がった!
「うわー!スゲー!なんかスッゲー!」
「すっげー怖い…」
すげーしか言えない、自分の語彙の無さと、かなりの高所まで飛び上がるワイバーンに、ダブルで恐怖する俺
……旋回とかは絶対にヤメテね?
遠くの方の空に鳥形のモンスターも見えたけど、俺の騎乗するワイバーン相手には襲ってこないだろう。
…向かって来たらブレス吐いちゃる!
最初は怖かったけど、飛ぶのにも少し慣れてきたので、景色を楽しむ余裕が出来て…
今までの自分の人生観なんて、ぶっ飛ぶ位の光景だった。
「俺は、『真人間』になる!」
とか、叫んでみた。
海族の王様じゃないよ?
その後もハイテンションで、10分位は飛んでいただろうか?
子供の体には、風が結構キツくなってきた…
ふと、地面の方に目をやると砂埃が見える。
「あれは…追われてるのか?」
少し小さいので見えにくいが、馬に乗った騎士達に護衛されて、全力疾走する馬車を発見した。
結構、切羽詰まってる感じがするな、と思ったら…後ろから追いかけてるのって悪魔(デーモン)だ!
悪魔は基本的にダンジョンなんかに籠ってて、ボスキャラ扱いなのに…こんな平原で、手下を連れて疾走してるなんてゲームでは見た事無いぞ?
この位置関係なら、俺と同じで終焉の塔から街の方向に向かって逃げてる感じか…
…どうしよう。
助けるべきか?でも、危ないし…
せっかく塔ではモンスターに出会わなかったのに、ここで危ない橋を渡るなんて…
それに、俺なんてレベル1しか無いんだ、わざわざ調子に乗って助けに向かった所で、何かやれる事があるのか?
屈強そうな護衛もいるし大丈夫なんじゃ…
護衛では悪魔に恐らく勝てそうに無いと、心の中では理解していても、俺は自分の弱い心に助けに行く踏ん切りがつかず、そのまま上空で旋回しながら様子を見ていると…悪魔の攻撃で馬車の車輪が破壊された!?
そして…
中から…美少女が出てきた!!
「…今いくぞぅ!」
明確な助ける理由を得た俺は、心に闘志を燃やし飛龍を操る!
「リロードオン!」
ー六創の聖槍ー
・六種の力が込められた、破魔の槍 (悪魔系にダメージアップ)
アイテムを発動させると、俺は周りに展開している光り輝く六本の槍を、今にも騎士を殺そうと迫る、手下っぽい悪魔達に投げつけた。
…
…ザンザンザッ!…グギャァア!!
三匹いたエイリアンみたいな悪魔達は、俺の放った槍に貫かれて消え去る。
「なっ、なんだ?!…あれはっ!」
「味方?…竜騎士だ!」
俺を見て護衛の騎士達が騒ぎ出す。
そのまま騎士達の前に躍り出て、飛龍から羽を使って滑り降りると、モンスターの親玉悪魔の前に立ちはだかった。
「こ…子供?」
俺の後ろ姿を見て、後ろから落胆とも、疑問ともとれる落胆の声が聞こえる。
…俺だって好きで子供のナリしてる訳じゃないやい!
「我が配下達を…あなた、なんなのでしょう…カッ!?」
「…正義の…味方?」
悪魔が邪魔そうに俺を見てくる…顔コエー。
「お呼びでは無いんです…ナッ!」
「せっかくレアアイテム使ったんだし、遊んでいけよ…なっ!」
俺は奴の声真似をしながら、残り三本している槍の内、二本を奴に向かって放つ!
…器用に避けてはいるが、自動追尾の槍からは逃げられんぞ!
…ドス、ドスッ!
「グゥ…ハッ!」
…よしっ、体を貫いた!なのに、あれだけの攻撃を受けても平気そうにしてるやがる
「…このイウェルト様に、傷…ヲッ!」
イウェルトと名乗る悪魔は、槍が体に刺さったまま両手を広げると、広範囲スキルのソニックブラストを放ってくる。
「リロードオン、静寂のベール!…うわっ!?」
俺は、精神にも風属性にも防御効果のあるアイテムを使うが、威力を殺しきれず壊れた馬車に叩きつけられる。
「聖女様ぁぁ!!」
「…きゃあっ!」
俺の周りにいた人達も、スキルの影響を受けて吹き飛ばされるけど、『聖女』と呼ばれた少女は騎士が庇っていて、何とか無事のようだ…良かった。
俺も、防御の宝珠が発動してくれたから無傷で済んだけど、これアイテム無かったら死んでたよな?
…怖っ!
「くそっ!行っけぇぇ!」
俺達を殺せるだけのスキルを放ったのに、誰も殺せていない事に驚いている悪魔へ、慌てて最後の聖槍を放つ!
…グザシュッ!
「グゥオォ…オッ…」
…よしっ!さっきまでより、効いてきてる!
「オマケだ!リロードオン、ゼギスの雷槍!!」
俺はトドメを刺すために、全十位まである内の、第八位相当の魔力が篭った槍を召喚し、動きの鈍くなった悪魔へ投げつけて畳み掛ける。
「ぐっ…」
…槍の重さに体がグラついてる、今までの奴ならビクともせんかったと思うんだけど、だいぶ弱ってるな
「…ウガガガァア……きぃさまぁぁ!!悪魔界序列四位のこの私が!…この程度でヤレると思う…ナッ!」
先程までは、人間の貴族みたいだった悪魔の体が、どんどん膨らんでいき、顔以外もトゲトゲした真っ黒な怪物のそれに変貌を遂げていく…
刺さっていた槍も全て抜けちゃったよ…
「なんか、ヤバそう…逃げ…いや、ダメージは結構あるはずだろ?!」
俺は、思わず逃げたくなる衝動をなんとか抑え、さらに効果のありそうな物をアイテムボックスから取り出す。
「…魔封じの壺!」
「なっ!それは…太古の昔に、多くの同族を封じたあの壺!?ですか…ナッ!」
…なんだそれは?
アイテムの設定に書いてあった効果が、対悪魔用ってなってたから出してみたんだけど、一回2000円のレア武器ガチャのハズレアイテムだったはず…
しかし、悪魔は俺が出した壺に封印されるのを恐れて、「聖女よ、首を洗って待っているんだ…ナッ!」と叫ぶと、デモンズゲートって言う見た事ない、空間転移出来そうなスキルを使って消えてしまった。
…
「やったぞ!悪魔を退けたんだっ!」
「た、助かった…ありがとう…」
後ろの方で騒ぐ声に、俺もようやく実感が湧いてくる。
両手を握りしめて見つめた。
…初めての戦いに勝てた、俺もやれば出来るんじゃないか!やったぜ俺!
「…あのぉ、勇者様?」
一人で喜びを噛み締めていると、不意に後ろから女の子の声がする…
…ふっ…ふふ
……振り返れまてん!
…もう何年も女の子と喋って無いのに、勢いで助けたけど…無理だ!
無理、無理!上手く喋れる自信が無い!
…
「あっ、あのぉ…ありがとうございますぅ。わたしぃ…私、本当に怖くてぇ…」
少女から涙声が聞こえる…
「勇者様!お名前を御教え下さい!」
騎士が鎧をガシャガシャさせてる…跪いているのだろうか?
…どうしよう、
失礼だし、一応振り向く…か?
ー召喚時間が間もなく終了しますー
「んっ?なんだって!?」
どうするか悩んでいると、頭の中に直接響く声が聞こえた。
…ヤバ!
そうだ!飛龍(ワイバーン)の召喚時間だっ!
一定時間で消えてしまう相棒の飛龍、せっかく召喚したのに街に着けないとか、勿体無さ過ぎるぞ!
俺は結局振り向けず、飛龍に走ると尻尾で担ぎ上げてもらう。
「あっ、勇者様!どうか、どうかお名前を!」
食い下がる少女に、顔を直視できない俺は、上を見ながら言い放つ。
「ユウト…風間悠人だ!…です。」
…カッコ悪いながらも、なんとか名前を言って飛び立った。
どうやら、城塞都市アスペルに着いたようだ。
…あ、どうやって目的地を伝えるんだろ。
取り敢えず、身振り手振りで、
ワイバーンに「あれあれ!」と指示を出すと、
アスペルの街に向かってくれる。
よしよし!城壁までもう少し…
と、思っていると、衛兵が集合し始めて…
カタパルトを用意してやがる!
「ちぃっ、クソが!!」
叫びながら、飛んでくる矢を避けようとするも、ワイバーンの右翼をやられてしまう。
浮力を得られなくなったワイバーンは、呆気なく地面に激突して…
…消滅してしまった。
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弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
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