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プロローグ
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いやあ、長かったね。特に今回のは。やっぱり、向こうが普段の倍近くの兵力を投入していただけはあるよ。結構苦しかったね、お互いに。
何人ぐらいだろうね。死んだの。四分の一くらいかな。まあ、皆どっか行っちゃって正確な人数はわかんないや。
ともかく、これでこの戦区の役割は終わったからいいよ。なんせ向こうは兵力をいつもの倍も使って撤退だぜ?もう仕掛けても無駄だと思ってくれるだろう。他の戦区もどうせどんどん終息していくだろうさ。ああ、やっと嫁の飯が食える。
……なんだい?何か言いたいことでも?ん?……話はどうしたって……ああそんなのもあったね。終わった後に話すって言ってたアレか。よく覚えてたねそんなの。死亡フラグだと思ってただって?ははは、でも生きててよかったじゃないか。幸い腕のそれもかすり傷だろ?そんなかっかするなよ。
やっぱり話したくないって言ったら怒る?話したらほんとに死亡フラグが立っちゃうんだけど。どういう意味かって、死亡するのは戦闘中じゃなくて戦闘後だってことだよ。
そういうわけだから、話すのはやめる。……それでも聞きたいって?やだよ。……〝俺ら友達だろ〟?そんなの当たり前じゃないか。そうかそうかそりゃ仕方ないな。本当に仕方ない。じゃあ。
〝あるところに一人の少年がいました。年齢は三から四歳ぐらいの、小さな、小さな男の子です。
彼の家は貧しかったけれども、両親は彼のことが大好きで、おもちゃをたくさん買い与えていました。
しかし戦争のせいで、家はさらに貧しくなり、生活は一転して苦しくなります。果てには、食事も満足にできない程になりました。
そこで、両親は、一つの決断をしました。
翌朝、少年は知らない広場にいました。
その日から少年の生活は一変します。奴隷として過酷な労働を強制され、何度も何度も道具の様に酷使されました。
その結果、その小さな体はその生活に耐えきれず。
彼は二年とたたないうちにこの世を去りました。〟
……ただのお話じゃないか、だって?そうだよ。最近注目されるようになった都市伝説だよ。悪いか。
まあまあちょっと待ってろ。話したいのはここからだよ。
〝少年は息を引き取る直前、一言つぶやきました。
「おもちゃが欲しい」と。
そして静かに泣きました。
その頃からでしょうか、全く別の場所で、ある現象が起こるようになったのは。
戦いの終わった戦地で、多くの兵士たちが死体の山となって発見されているのです。
少年を知る者は口々に言います。これは少年の霊の仕業だと。無念のうちに、若くして死んだ少年の霊の仕業だと。
つまり。
少年は、そこに落ちている武器をおもちゃだと勘違いし、戦地を遊び場だと思って、一人遊んでいるのです。
その少年は、今も戦闘の終わった戦場に現れると言います。〟
……どうした、膝が震えてるぞ。まあ、こういうわけだよ。この話が本当かどうかなんて分かんないけど。
どうした、腰、震えてるぞ。ちなみにこの話、隣の戦区の隊長から聞いたんだ。言うにはそれほど昔の話じゃないらしいぜ。
どうした、頭、震えてるぞ。
――ところで、なんであんなところに小さな子供がいるんだろうね。
なんちゃって。
って言っても遅いや。一瞬であんなところまで行くなんて。聞きたいって言ったのは自分のくせに。
あーあ、俺を置いて逃げるなんて。俺ら友達だろ、なんてよく言ったもんだ。
……なんであんな奴と友達になったんだろう。今思えばあいつ、俺に何にもしてくれなかったし。さっきの戦闘だって、あいつは俺が右腕打たれても気にも留めなかった。あいつはたったかすり傷一つ。俺は骨折。なのに俺を置いて逃げた。これじゃあ当分の間病院食だ。嫁の飯どころじゃない。
そういえばあいつ、今まで一度も助けてくれなかったよな。
……なんか声がするな。あれ?もう逃げたんじゃなかったのか?まだあんな所にいる。もう他の奴らのとこに行ったと思ってたのに。そうそう、他の奴ら、人が骨折してるのに,それをほっといてどっか行ったんだよなあ。話し相手くらいはしろよと思うんだけどなあ。
とにかく、あいつは何を叫んでいるんだろう。よく聞こえない。ええっと、なになに……後ろ?後ろって誰の……ってああ、俺のうし
何人ぐらいだろうね。死んだの。四分の一くらいかな。まあ、皆どっか行っちゃって正確な人数はわかんないや。
ともかく、これでこの戦区の役割は終わったからいいよ。なんせ向こうは兵力をいつもの倍も使って撤退だぜ?もう仕掛けても無駄だと思ってくれるだろう。他の戦区もどうせどんどん終息していくだろうさ。ああ、やっと嫁の飯が食える。
……なんだい?何か言いたいことでも?ん?……話はどうしたって……ああそんなのもあったね。終わった後に話すって言ってたアレか。よく覚えてたねそんなの。死亡フラグだと思ってただって?ははは、でも生きててよかったじゃないか。幸い腕のそれもかすり傷だろ?そんなかっかするなよ。
やっぱり話したくないって言ったら怒る?話したらほんとに死亡フラグが立っちゃうんだけど。どういう意味かって、死亡するのは戦闘中じゃなくて戦闘後だってことだよ。
そういうわけだから、話すのはやめる。……それでも聞きたいって?やだよ。……〝俺ら友達だろ〟?そんなの当たり前じゃないか。そうかそうかそりゃ仕方ないな。本当に仕方ない。じゃあ。
〝あるところに一人の少年がいました。年齢は三から四歳ぐらいの、小さな、小さな男の子です。
彼の家は貧しかったけれども、両親は彼のことが大好きで、おもちゃをたくさん買い与えていました。
しかし戦争のせいで、家はさらに貧しくなり、生活は一転して苦しくなります。果てには、食事も満足にできない程になりました。
そこで、両親は、一つの決断をしました。
翌朝、少年は知らない広場にいました。
その日から少年の生活は一変します。奴隷として過酷な労働を強制され、何度も何度も道具の様に酷使されました。
その結果、その小さな体はその生活に耐えきれず。
彼は二年とたたないうちにこの世を去りました。〟
……ただのお話じゃないか、だって?そうだよ。最近注目されるようになった都市伝説だよ。悪いか。
まあまあちょっと待ってろ。話したいのはここからだよ。
〝少年は息を引き取る直前、一言つぶやきました。
「おもちゃが欲しい」と。
そして静かに泣きました。
その頃からでしょうか、全く別の場所で、ある現象が起こるようになったのは。
戦いの終わった戦地で、多くの兵士たちが死体の山となって発見されているのです。
少年を知る者は口々に言います。これは少年の霊の仕業だと。無念のうちに、若くして死んだ少年の霊の仕業だと。
つまり。
少年は、そこに落ちている武器をおもちゃだと勘違いし、戦地を遊び場だと思って、一人遊んでいるのです。
その少年は、今も戦闘の終わった戦場に現れると言います。〟
……どうした、膝が震えてるぞ。まあ、こういうわけだよ。この話が本当かどうかなんて分かんないけど。
どうした、腰、震えてるぞ。ちなみにこの話、隣の戦区の隊長から聞いたんだ。言うにはそれほど昔の話じゃないらしいぜ。
どうした、頭、震えてるぞ。
――ところで、なんであんなところに小さな子供がいるんだろうね。
なんちゃって。
って言っても遅いや。一瞬であんなところまで行くなんて。聞きたいって言ったのは自分のくせに。
あーあ、俺を置いて逃げるなんて。俺ら友達だろ、なんてよく言ったもんだ。
……なんであんな奴と友達になったんだろう。今思えばあいつ、俺に何にもしてくれなかったし。さっきの戦闘だって、あいつは俺が右腕打たれても気にも留めなかった。あいつはたったかすり傷一つ。俺は骨折。なのに俺を置いて逃げた。これじゃあ当分の間病院食だ。嫁の飯どころじゃない。
そういえばあいつ、今まで一度も助けてくれなかったよな。
……なんか声がするな。あれ?もう逃げたんじゃなかったのか?まだあんな所にいる。もう他の奴らのとこに行ったと思ってたのに。そうそう、他の奴ら、人が骨折してるのに,それをほっといてどっか行ったんだよなあ。話し相手くらいはしろよと思うんだけどなあ。
とにかく、あいつは何を叫んでいるんだろう。よく聞こえない。ええっと、なになに……後ろ?後ろって誰の……ってああ、俺のうし
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