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幽霊の卵4
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意識を共有しているため、先ほどから、自分の身体がラジエルに発情しているのが分かる。
彼女の欲求は、たった一つ。愛するラジエルと一つになることだ。
ラジエルがゆっくりとステラの身体を抱きしめる。ひんやりとした滑らかな乳白色の彼の肌が、頬に触れる。
意識を乗っ取られているからか、ステラは本当にラジエルに恋しているかのように感じる。抱きしめられた胸の中で、胸が幸せに満ちていた。
これが、恋するってことなのかしら。
「どこでも私は幸せです。お義兄様に抱いてもらえる日をどれほど心待ちにしていたことでしょう」
「アステル……、私は、本当にいけないことをしているような罪悪感でいっぱいだ……」
「そんな風に思わないでくださいませ。お義兄様……、大好きです。愛しています」
ラジエルはプラチナブロンドの髪を耳にかけると、ステラを見つめる。
ついばむようなキスから、徐々に舌を絡ませた深いキスへと進んでいく。
「……っ、ふぅ、……ああ」
ステラの口から悩まし気な声が漏れる。
キス、すごい。ラジエル様、お上手です……。
アステルの意識の下で、ステラはあまりの気持ちよさにぼうっとしてしまう。
うっとりと唇の感触に身をゆだねていると、ゆっくりとマントの上に押し倒される。
白のレースが付いた立ち襟のブラウスのボタンが丁寧に外されていく。
(ああ、私の身体なのに、まるで意識が身体を抜け出て、私とラジエル様が抱き合っているのを上から見ているみたい。不思議ね)
「アステル、他のことを考えているの? さっきから妙に静かだね。怖い? もう止めようか?」
「違うのです。私、嬉しくて。でもちょっと緊張していて」
「可愛い。ああ、ここも緊張しているよ」
「ああんっ、やあ……」
神経質そうな骨ばった指は、双丘の先端をコリコリと弄ぶ。ピンクの先端は、きゅっと立ち上がり、赤い実を実らせる。
いつの間にか胸を覆っていた下着ははぎとられ、やわらかな乳房は薄暗い地下でラジエルの眼前に晒されていた。
「いつの間に雄を誘惑する雌になったんだ? 赤い実が淫らにお義兄様を誘っているよ?」
「嫌、意地悪なことを言わないで……、はぁん……ああぁ」
ラジエルは、先端をおいしそうに口に含むと、甘噛みし、舌で転がす。もう一方の赤い実は、指で摘ままれ、弾かれる。
ステラの身体を甘く痺れる初めての感覚が突き抜けていく。
自分で触れてもこんな風には感じないのに。刺激が更に快感を増長させる。
甘い声が止まらない。
「私の教育が間違ったのかな。品の良い、清楚なレディになるように育てたはずなのに、こんなに淫らに喘いで。いけない義妹さんだ」
胸から口を放すと、意地悪そうに笑う。モルガナイトの瞳が、ステラを見下ろす。
潤んだ大きな瞳は、艶かしく媚びるようにラジエルを見上げる。扇情的にフルフルと揺れる双丘の先端はてらてらと濡れ、まるで雨に濡れる野いちごの様だ。
「だって……」
「言い訳は許さないよ。それにしてもさっきから足をもぞもぞさせて、何を隠しているのかな?」
ラジエルは、ステラのくるぶしまであるネイビーのフレアスカートの裾へ手を入れる。柔らかな内腿を優しく撫でながら、足の付け根まで手を進ませる。
クロッチに指先がたどり着く。ラジエルは甘美な微笑みを浮かべる。
「アステル、はしたない子だ。こんなに濡らして」
「お、お義兄様っ、……はぁん、ああ、っ。ごめんなさい、我慢できない悪い子でごめんなさい、っ……」
指の腹で、下着越しに果実の秘裂を指でなぞる。更にとろとろの果汁があふれ出す。
「こんなに濡らして、アステルが淫乱な子だと、皆にばれてしまうよ?」
「いやあ、……ぁんんっ、……恥ずかしいです」
「私だって恥ずかしいよ、義妹がいやらしい子だったなんて。分かった、お義兄様が、義妹の名誉のために全部舐め取ってあげよう」
ラジエルは、スカートをウエストまでたくし上げると、ステラの膝を立てて、脚を開く。
「見ちゃ……だめぇ……」
足を閉じて抵抗しようとするが、すぐに秘密はあらわになる。
濡れて熱くなった秘所は、ひんやりとした外気にあたるがその熱は冷めない。
ラジエルがごくりと喉をならす。薄ピンクの瞳が、凝視している。
視線が、熱い……。
ぴったりと張り付いた下着からは、果実の輪郭が透けており、彼を甘く誘っているようだ。
ラジエルが、手慣れた様子で素早くショーツを脚から引き抜くと、薄い布でかろうじてせき止められていた蜜が、とろとろと流れ始める。
「ああ、いやらしいよ、アステル。なんていうことだ、この私を誘惑するなんて」
大袈裟に驚いた振りをすると、ラジエルは下生えをかき分け、舌で秘裂をなぞる。ピクリと背中が反応し、アステルが切なげな声を上げる。
「だめです……っ、んんっ、お義兄様ぁ、そんなところを舐めたら……あぁぁん、んぅ、……いっ、ああっ」
ラジエルは、もう既に皮が剥けて尖る若芽を口にし、舌で転がし、時折甘く吸い上げる。
「甘い……よ、アステル」
「ああ、だめぇ……なっのに、やぁあ、ラジエルお義兄様ぁ、おかしくなっ……ちゃうっ」
甘く、媚びるような嬌声が薄暗い坑道に響く。
アステルと意識を共有しているステラも、戸惑いながらラジエルの舌遣いに反応し、さっきから意識が何度も飛んでしまいそうになる。
(初めてなのに、こんなに気持ちよくなってしまうなんて、私が本当は淫乱なんじゃないの?)
「全然、綺麗にならないな。舐めても舐めても溢れてくる。指で栓をしてしまおうか」
「あああっ、んっんん、ぅん」
ラジエルが、指を春泥へズブズブと埋め込むと、アステルの喘ぎ声が一層大きくなる。
「ああ、余計に溢れてきちゃった。中はぐずぐずに蕩けていて、熱いな」
くすくすと妖艶に笑いながら、ラジエルは再びサンゴ色の花芽を舌先でネットリと味わう。同時に、指はステラの奥へと進む。
ラジエルの天使のようなアンニュイな表情は、今や堕落を誘う悪魔のような淫靡で官能的なものへ変わっている。
「それだめ……ぇ、両方しちゃっ……、あああ、……っ」
突然目の前が真っ白になった。ステラとアステルは、身体を弛緩させる。ふわふわした感覚とは反対に、血が激しく身体中を巡っている。
これがイクってことなの……?
「アステル、可愛く達したね。これからが本番……だよ?」
ラジエルは、ステラの手を取ると自身を握らせる。
手のひらに包まれ熱く脈をうっている彼は、臨戦態勢を整えているようだ。
お腹の奥に、ムズムズするような感覚を覚える。彼を受け入れたいと本能的に蜜が溢れる。
「硬い……」
「うん。アステルに挿れたくて……ね。脈打っているのが分かるだろう? ほら私の可哀想なこの子を導いてあげて」
コクリと頷く。
ラジエルは、ステラの顔の横に両手をつき、腰を前に進める。蜜口とその切先が、キスするように触れる。
とろりと果汁が滴る。
「そのまま、手を添えていて。わたしが入ってくるのを感じるんだ」
「……っあ、お義兄様ぁ、入ってくる。私の中に、っあああ、おっきぃ……」
ステラの瞳からは、アステルの歓喜の涙が溢れてくる。
彼女の切なる想い。生きている時には報われなかった想い。
ステラは胸が締め付けられる。
人知れずラジエルへ、ほの暗い視線を送るアステルの姿を何度見たことか。
後妻の連れ子だった彼女は、自分を義妹としてしか見てくれない彼に胸を痛めていた。近くて遠い距離に、何度絶望したことか。
ラジエルが、義妹として大切に思えば思うほど、アステルの心は凍えていく。無意識に育ったであろう狂気と執着。
その愛憎を押し流し、圧倒的な多幸感が、アステルの意識を通してステラを包み込んでいく。
「アステル、全部入ったよ。大丈夫?」
「はい……、大丈夫です……。私、幸せです」
ゆっくりとラジエルの抽挿が始まる。
「あ、……あっ、ぁんん……」
ステラの隘路をゆっくりと慎重にラジエルが擦っていく。
先端で最奥にキスをし、ゆっくりと抜けそうになるまで腰を引く。その熱杭の大きさに、ステラの中は徐々に慣らされていく。
ぬるりとした愛液が、ラジエルの剛直を滑らせる。それとともにラジエルは腰の動きを速める。螺旋階段を上っていくように、気持ちが高まっていく。
坑道の最奥にステラの甘い喘ぎ声と腰を打ちつける音が反響している。その官能的な狂想曲で、二人の身体は更に熱くなり、いつの間にか汗が滴っていた。
お互いの名前を呼ぶ余裕もなく、快感、幸福、背徳、罪悪感に包まれ、離れたくないと必死で繋がっている。
(最初で最後の切ない行為、アステル様が死ななければ、私が今日ここにこなければ、決して実現しなかったはずの……)
ステラは、切なくて悲しくて胸がズキズキと痛む。
「お義兄様、……最後にっ、キスを、あっ……んぅんん、はぁ」
「アステル、私の可愛く可哀想な義妹……」
ラジエルは、ステラに唇を重ね舌をねじ込む。
絡まる舌、繋がる身体。ラジエルはステラの背中を両手で抱きしめて、更に二人はぴったりと離れない。それに呼応するように、ステラはラジエルの腰に足を回す。
律動は激しく、膣壁は離れたくないとうねる。
終わりたい、終わりたく無いと言う葛藤に、ステラは当事者ではないのにも関わらず、胸が苦しくなる。
「ああ……ああっ、んんっ、あ、愛して……います」
「くっ……アステル、出すぞっ……。ああっ……イクッ」
どくどくと注がれる熱い液体、痙攣する襞と剛直、快楽の余韻が続く。汗ばむ身体はお互いの肌と肌が触れ合い、心地よい。
荒い呼吸が少しずつ落ち着いてくる。
ステラは、次第に自分の意識が上に登ってくるのを感じる。
しかし未だ身体の主導権を握るアステルが、口を開く。その丸い瞳からは大粒の涙が溢れていた。
「っ、お義兄様、……ステラ、ごめんね。ありがとう」
『アステル様、どうか安らかにお休みなさいませ』とステラは心の中で答える。
「え、ステラが君の名……? アステルと知り合いだったの?」
ラジエルは驚き、不思議そうにステラを見下ろす。肯定の意を込めて、ステラはパチパチと瞬きをする。
「ふふ、ステラ、お義兄様とお義姉様を宜しくね」
アステルが最後の力を振り絞り、ステラの身体でお礼を言うと、ふわりと自分の中にあったアステルの意識が、身体の外へ抜けていく。
「お義兄様、愛しています」
「アステル……、私も愛しているよ。君の魂が安らかであるように祈っている」
そしてアステルは霧のように天へと消えていってしまった。
(良かったですね、アステル様)
彼女の欲求は、たった一つ。愛するラジエルと一つになることだ。
ラジエルがゆっくりとステラの身体を抱きしめる。ひんやりとした滑らかな乳白色の彼の肌が、頬に触れる。
意識を乗っ取られているからか、ステラは本当にラジエルに恋しているかのように感じる。抱きしめられた胸の中で、胸が幸せに満ちていた。
これが、恋するってことなのかしら。
「どこでも私は幸せです。お義兄様に抱いてもらえる日をどれほど心待ちにしていたことでしょう」
「アステル……、私は、本当にいけないことをしているような罪悪感でいっぱいだ……」
「そんな風に思わないでくださいませ。お義兄様……、大好きです。愛しています」
ラジエルはプラチナブロンドの髪を耳にかけると、ステラを見つめる。
ついばむようなキスから、徐々に舌を絡ませた深いキスへと進んでいく。
「……っ、ふぅ、……ああ」
ステラの口から悩まし気な声が漏れる。
キス、すごい。ラジエル様、お上手です……。
アステルの意識の下で、ステラはあまりの気持ちよさにぼうっとしてしまう。
うっとりと唇の感触に身をゆだねていると、ゆっくりとマントの上に押し倒される。
白のレースが付いた立ち襟のブラウスのボタンが丁寧に外されていく。
(ああ、私の身体なのに、まるで意識が身体を抜け出て、私とラジエル様が抱き合っているのを上から見ているみたい。不思議ね)
「アステル、他のことを考えているの? さっきから妙に静かだね。怖い? もう止めようか?」
「違うのです。私、嬉しくて。でもちょっと緊張していて」
「可愛い。ああ、ここも緊張しているよ」
「ああんっ、やあ……」
神経質そうな骨ばった指は、双丘の先端をコリコリと弄ぶ。ピンクの先端は、きゅっと立ち上がり、赤い実を実らせる。
いつの間にか胸を覆っていた下着ははぎとられ、やわらかな乳房は薄暗い地下でラジエルの眼前に晒されていた。
「いつの間に雄を誘惑する雌になったんだ? 赤い実が淫らにお義兄様を誘っているよ?」
「嫌、意地悪なことを言わないで……、はぁん……ああぁ」
ラジエルは、先端をおいしそうに口に含むと、甘噛みし、舌で転がす。もう一方の赤い実は、指で摘ままれ、弾かれる。
ステラの身体を甘く痺れる初めての感覚が突き抜けていく。
自分で触れてもこんな風には感じないのに。刺激が更に快感を増長させる。
甘い声が止まらない。
「私の教育が間違ったのかな。品の良い、清楚なレディになるように育てたはずなのに、こんなに淫らに喘いで。いけない義妹さんだ」
胸から口を放すと、意地悪そうに笑う。モルガナイトの瞳が、ステラを見下ろす。
潤んだ大きな瞳は、艶かしく媚びるようにラジエルを見上げる。扇情的にフルフルと揺れる双丘の先端はてらてらと濡れ、まるで雨に濡れる野いちごの様だ。
「だって……」
「言い訳は許さないよ。それにしてもさっきから足をもぞもぞさせて、何を隠しているのかな?」
ラジエルは、ステラのくるぶしまであるネイビーのフレアスカートの裾へ手を入れる。柔らかな内腿を優しく撫でながら、足の付け根まで手を進ませる。
クロッチに指先がたどり着く。ラジエルは甘美な微笑みを浮かべる。
「アステル、はしたない子だ。こんなに濡らして」
「お、お義兄様っ、……はぁん、ああ、っ。ごめんなさい、我慢できない悪い子でごめんなさい、っ……」
指の腹で、下着越しに果実の秘裂を指でなぞる。更にとろとろの果汁があふれ出す。
「こんなに濡らして、アステルが淫乱な子だと、皆にばれてしまうよ?」
「いやあ、……ぁんんっ、……恥ずかしいです」
「私だって恥ずかしいよ、義妹がいやらしい子だったなんて。分かった、お義兄様が、義妹の名誉のために全部舐め取ってあげよう」
ラジエルは、スカートをウエストまでたくし上げると、ステラの膝を立てて、脚を開く。
「見ちゃ……だめぇ……」
足を閉じて抵抗しようとするが、すぐに秘密はあらわになる。
濡れて熱くなった秘所は、ひんやりとした外気にあたるがその熱は冷めない。
ラジエルがごくりと喉をならす。薄ピンクの瞳が、凝視している。
視線が、熱い……。
ぴったりと張り付いた下着からは、果実の輪郭が透けており、彼を甘く誘っているようだ。
ラジエルが、手慣れた様子で素早くショーツを脚から引き抜くと、薄い布でかろうじてせき止められていた蜜が、とろとろと流れ始める。
「ああ、いやらしいよ、アステル。なんていうことだ、この私を誘惑するなんて」
大袈裟に驚いた振りをすると、ラジエルは下生えをかき分け、舌で秘裂をなぞる。ピクリと背中が反応し、アステルが切なげな声を上げる。
「だめです……っ、んんっ、お義兄様ぁ、そんなところを舐めたら……あぁぁん、んぅ、……いっ、ああっ」
ラジエルは、もう既に皮が剥けて尖る若芽を口にし、舌で転がし、時折甘く吸い上げる。
「甘い……よ、アステル」
「ああ、だめぇ……なっのに、やぁあ、ラジエルお義兄様ぁ、おかしくなっ……ちゃうっ」
甘く、媚びるような嬌声が薄暗い坑道に響く。
アステルと意識を共有しているステラも、戸惑いながらラジエルの舌遣いに反応し、さっきから意識が何度も飛んでしまいそうになる。
(初めてなのに、こんなに気持ちよくなってしまうなんて、私が本当は淫乱なんじゃないの?)
「全然、綺麗にならないな。舐めても舐めても溢れてくる。指で栓をしてしまおうか」
「あああっ、んっんん、ぅん」
ラジエルが、指を春泥へズブズブと埋め込むと、アステルの喘ぎ声が一層大きくなる。
「ああ、余計に溢れてきちゃった。中はぐずぐずに蕩けていて、熱いな」
くすくすと妖艶に笑いながら、ラジエルは再びサンゴ色の花芽を舌先でネットリと味わう。同時に、指はステラの奥へと進む。
ラジエルの天使のようなアンニュイな表情は、今や堕落を誘う悪魔のような淫靡で官能的なものへ変わっている。
「それだめ……ぇ、両方しちゃっ……、あああ、……っ」
突然目の前が真っ白になった。ステラとアステルは、身体を弛緩させる。ふわふわした感覚とは反対に、血が激しく身体中を巡っている。
これがイクってことなの……?
「アステル、可愛く達したね。これからが本番……だよ?」
ラジエルは、ステラの手を取ると自身を握らせる。
手のひらに包まれ熱く脈をうっている彼は、臨戦態勢を整えているようだ。
お腹の奥に、ムズムズするような感覚を覚える。彼を受け入れたいと本能的に蜜が溢れる。
「硬い……」
「うん。アステルに挿れたくて……ね。脈打っているのが分かるだろう? ほら私の可哀想なこの子を導いてあげて」
コクリと頷く。
ラジエルは、ステラの顔の横に両手をつき、腰を前に進める。蜜口とその切先が、キスするように触れる。
とろりと果汁が滴る。
「そのまま、手を添えていて。わたしが入ってくるのを感じるんだ」
「……っあ、お義兄様ぁ、入ってくる。私の中に、っあああ、おっきぃ……」
ステラの瞳からは、アステルの歓喜の涙が溢れてくる。
彼女の切なる想い。生きている時には報われなかった想い。
ステラは胸が締め付けられる。
人知れずラジエルへ、ほの暗い視線を送るアステルの姿を何度見たことか。
後妻の連れ子だった彼女は、自分を義妹としてしか見てくれない彼に胸を痛めていた。近くて遠い距離に、何度絶望したことか。
ラジエルが、義妹として大切に思えば思うほど、アステルの心は凍えていく。無意識に育ったであろう狂気と執着。
その愛憎を押し流し、圧倒的な多幸感が、アステルの意識を通してステラを包み込んでいく。
「アステル、全部入ったよ。大丈夫?」
「はい……、大丈夫です……。私、幸せです」
ゆっくりとラジエルの抽挿が始まる。
「あ、……あっ、ぁんん……」
ステラの隘路をゆっくりと慎重にラジエルが擦っていく。
先端で最奥にキスをし、ゆっくりと抜けそうになるまで腰を引く。その熱杭の大きさに、ステラの中は徐々に慣らされていく。
ぬるりとした愛液が、ラジエルの剛直を滑らせる。それとともにラジエルは腰の動きを速める。螺旋階段を上っていくように、気持ちが高まっていく。
坑道の最奥にステラの甘い喘ぎ声と腰を打ちつける音が反響している。その官能的な狂想曲で、二人の身体は更に熱くなり、いつの間にか汗が滴っていた。
お互いの名前を呼ぶ余裕もなく、快感、幸福、背徳、罪悪感に包まれ、離れたくないと必死で繋がっている。
(最初で最後の切ない行為、アステル様が死ななければ、私が今日ここにこなければ、決して実現しなかったはずの……)
ステラは、切なくて悲しくて胸がズキズキと痛む。
「お義兄様、……最後にっ、キスを、あっ……んぅんん、はぁ」
「アステル、私の可愛く可哀想な義妹……」
ラジエルは、ステラに唇を重ね舌をねじ込む。
絡まる舌、繋がる身体。ラジエルはステラの背中を両手で抱きしめて、更に二人はぴったりと離れない。それに呼応するように、ステラはラジエルの腰に足を回す。
律動は激しく、膣壁は離れたくないとうねる。
終わりたい、終わりたく無いと言う葛藤に、ステラは当事者ではないのにも関わらず、胸が苦しくなる。
「ああ……ああっ、んんっ、あ、愛して……います」
「くっ……アステル、出すぞっ……。ああっ……イクッ」
どくどくと注がれる熱い液体、痙攣する襞と剛直、快楽の余韻が続く。汗ばむ身体はお互いの肌と肌が触れ合い、心地よい。
荒い呼吸が少しずつ落ち着いてくる。
ステラは、次第に自分の意識が上に登ってくるのを感じる。
しかし未だ身体の主導権を握るアステルが、口を開く。その丸い瞳からは大粒の涙が溢れていた。
「っ、お義兄様、……ステラ、ごめんね。ありがとう」
『アステル様、どうか安らかにお休みなさいませ』とステラは心の中で答える。
「え、ステラが君の名……? アステルと知り合いだったの?」
ラジエルは驚き、不思議そうにステラを見下ろす。肯定の意を込めて、ステラはパチパチと瞬きをする。
「ふふ、ステラ、お義兄様とお義姉様を宜しくね」
アステルが最後の力を振り絞り、ステラの身体でお礼を言うと、ふわりと自分の中にあったアステルの意識が、身体の外へ抜けていく。
「お義兄様、愛しています」
「アステル……、私も愛しているよ。君の魂が安らかであるように祈っている」
そしてアステルは霧のように天へと消えていってしまった。
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