心霊スポットへ連れて行かれただけなのに

おりの まるる

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幽霊の卵5

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 気付くとぽたぽたと熱いものが、ステラの肩に落ちている。小さな嗚咽が耳元で聞こえる。
 ラジエルもステラを抱きしめながら泣いていた。
 
 彼もずっと辛かったんだ。
 義妹としてしか見られないアステルに、異性としての好意を向けられ、その気持ちに応えることがどうしてもできなかったこと。
 それでも大事に思う気持ちがあって。そんな時に事故でアステルが亡くなってしまい、気まずいまま別れることになってしまった。
 
 ステラは、ラジエルの背中をポンポンと手のひらで叩く。

「ラジエル様、一旦お屋敷へ戻りましょう? すごく汗をかいていますし、二人とも風邪を引いてしまいます」
「ステラ、本当にありがとう。君が居なかったら、私はアステルを悪霊として、いずれ祓わなければならなかった」
「良いんです。アステル様は、私にとっても大事な方でしたから」
「そうか……ありがとう、ステラ。やはり、……私はレディのことが好きみたいだ」

 ぴくりと、いまだに自分の中に入ったままのラジエルが反応する。
 ん? また、大きくなって……?
 
「あの……ラジエル様、もう終わったので、……それを一旦抜いてもらってもいいでしょうか?」
「……ステラ」

 名を呼ばれ、「はい?」と返事をしている間に身体をひっくり返えされ、あっという間に四つ這いにされてしまう。
 後ろから腰を掴まれると再び奥までねじ込まれる。
 
「ちょっと……一体……? ああっ……」

 戸惑っていると、再び抽挿が始まる。達したばかりの身体は敏感で、貪欲に彼を感じてしまう。

「ステラ……、ステラ!」

 いつの間にか硬度を取り戻した、熱杭は躊躇いなくステラに打ち付けられる。先ほどよりも激しく、ステラの良い所を的確に突いてくる。
 先程までは意識はあったが、どこか他人事だった行為が、今は自分とラジエルとの二人の行為へ変わる。
 ステラの身体は彼が抜けないように無意識に締め上げてしまう。
 肌と肌がぶつかるパンパンという音が妙にいやらしく、今更ながらこの行為を自分事として実感する。

(私……ラジエル様としちゃって……。いつもコラムや論文で追っていたあのラジエル・クルス様と)
 
 正常位だった時とは違う場所を、彼は余す所なく蹂躙していく。

「はぁっ、ああ……んっ、うぅっ、ああっ……やぁ」

 あまりの刺激におかしくなりそうで、前へ進んで逃げようとする。逃がさないように後ろからラジエルのしなやかな身体が、ステラの小さな身体にのしかかる。
 繋がったまま、完全にうつ伏せになってしまう。
 ラジエルは片手でステラの腰を押さえ、もう片方の手で下生えをかき分け、再び健気に屹立している花芽を挟みコリコリと上下に擦る。
 激しくポルチオを突かれ、花芽を刺激される。両方を責めたてられ、先ほどとは比べ物にならないほどの波が押し寄せてくる気がした。
 彼が与える快感から、逃れられない。

「ど、して、あっん、んぅ……ああっ、ダメまたきちゃ……っ」
「レディと出会えた奇跡が嬉しくて、お礼をしたくて。気持ちよくなって欲しい。ほらもっと……」

 ステラは、気を失いそうになる。かき混ぜられて溢れる愛液が、泡立ちながら内腿を伝う。先程からの激しい攻めに、身体に力が入らない。
 中に出された性液と愛液が混ざり、グチュグチュと淫猥な音を立てる。
 
「ステラ、全然足りないよ、もっと、もっと欲しい。こんな気持ち初めてだ」
「ラジエル様、お、落ち着いて、くださいませっ。ああっん、……いっ、一度、離れっ」
 
 その言葉を聞いてくれたのか、ラジエルはすっと蜜でぬらぬらとしている自身をステラから引き抜く。
 ……よ、良かった。やっと理性を取り戻してくれ……た?
 
 安心したのも束の間、ラジエルは「顔が見たい」とステラを起き上がらせる。今度は向かい合わせにして、自分の上に座らせる。
 ズブズブと淫靡な音を立てて、ラジエルの屹立はステラの中に埋め込まれていく。

「あっ……あっ……。ちがっ、ぅ、んんっ……また繋がっちゃう」

 ラジエルは両手でたゆたゆと揺れている胸に指を沈み込ませる。人差し指で先端をなぞりながら、首筋をつうっと舐める。
 耳タブを甘噛みしながら、はあはあと熱い吐息を耳元で吐く。
 
「私は落ち着いている。今度は君と繋がって、君の中へ出したいんだ」
「え? さっきも、私の中へ出しっ……ああああっ、……急にっ、ダメっ……なのにっ」
 
 妖艶に微笑むとラジエルは、腰を突き上げる。ステラは、振り落とされないように腕をラジエルに回す。されるがままに身体を上下に揺らされる。
 ぱちゅぱちゅと身体と肌のぶつかり合う音が、欲望を煽る。

「ステラ、可愛い……。一生大切にする……」

(何が起こっているの!? ラジエル様は正気を失っているのかしら。まさか何かに憑依されてしまっているとか?)
 
 ラジエルの腰の動きに翻弄され、考えはすぐに霧散してしまう。
 二人の身体が上下に揺れ、その揺れに二人の激しい息遣いがシンクロする。

「あ……ああ、んっ、また来ちゃう……。ラジエル様ぁ……」
「可愛い、ステラ、いいよ。私ので何度も達して」
「んんんっ……ああっ……っ!」 
 
 ステラは、ラジエルの身体にギュッとしがみつくと、激しく痙攣する。ぎゅっと中のものを締め付ける。

「はぁ、すごい締め付け……。私もつられてイキそうになったよ」
「ラジエルさまぁ、もうやめてって言ったのに……。どうしてですか……?」
 
 ふにゃふにゃと力が入らないステラを、ラジエルは自身を繋げたままマントの上に横たえる。
 ラジエルの長い髪は、汗でステラの新雪のような白い肌にピタリと貼り付く。繊細な白金の檻で拘束されているような気分になる。
 彼は余裕のない様子で、ステラを熱っぽく見つめる。ステラの額の汗を指でぬぐうと、顔中にふわふわと優しいキスを落とした。
 ラジエルの胸に、双丘の先端がかすめるたびに、もどかしいような淡い快感が広がり、ステラは小さく喘ぐ。
 ラジエルは身体を起こすとステラの頬に手をそっと添える。

「ステラ、祓い師は、幽霊はただ退治すればいいって思っているものが大半だ。何だかよく分からないもの、人に害をなすものはとにかく消せばいいって思っている。それは祓い師以外も同じだ」
「そうですよね……。そういうお仕事ですし、誰でもよく分からないものは怖いですよね」
「でも君は、霊は気持ちだけが残って純粋な悪意を持っている不憫な存在でもあると言った」
「憑依した霊は、いつでも悲しく純粋で、それが煮詰まって悪意や後悔になっている人たちばかりでしたから……」
「――私は、君のそういう所が、愛おしいと思うみたいだ」

(え……? どういうこと? 本当に好きなの? 今日初めて話をしたのに?)
 
 戸惑っているステラを見て、「まあ、話は後でしよう。私もこの高ぶりを押さえられない。今は私だけを感じて……」と蠱惑的な笑みを浮かべる。
 ラジエルはグッと腰をグラインドさせる。

「っん……っ、ああっ」

 何度も達した身体は、再び始まった抽挿に反応し、再び潤滑油を流し始める。ラジエルの形を覚えた襞はうねり、彼を締め付ける。

「ステラ、堪らないよ。最後の一滴まで搾り取られてしまいそうだ」

 ラジエルはステラの両腕を掴み、身体を固定する。柔らかく自身を包む、媚肉は熱い。
 ブラウスの大きく開いた胸元からのぞく豊かな胸は、律動に合わせ上下に揺れている。スカートはウエストでくしゃりと集まっている。
 下半身は、お互いの下生えがくっついては離れを繰り返している。ぬるりとした愛液は糸を引き、繋がっている部分はしとどに濡れている。

 ステラの蜂蜜色の瞳は潤み、頬は薄闇でも分かるくらいピンクに染まっていた。半分開いたふっくらとした唇からは、喘ぎ声が漏れる。

「ラジエルさ……まぁ、も、ダメぇ、あんっ……また、真っ白になっちゃ……っっん!」
「私も、イクッ……!」

 ステラの目の前に満天の星がチカチカと瞬いている。
 中がきゅっと収縮し、痙攣する。
 ラジエルはあまりの締め付けに、数回ピストンをすると、動きを止め最奥に楔を打ち込む。そして二度目とは思えないほどの大量の白濁を吐き出した。
 二人の荒い呼吸だけが、聞こえる。

「ステラ、無理をさせてしまったね。すまない。身体は大丈夫?」

 ステラはぐったりと力が抜け、反応は無い。
 ラジエルは恐る恐る半勃ちの自身を、蜜壺からずるりと引き抜くと上半身を起こした。

「ステラ! しまった……やり過ぎたか」

 ステラは気を失っていた。ラジエルは慌てて、ステラのブラウスの胸元を合わせると、敷物にしていた白のマントに彼女を恭しく包み、横抱きにする。
 壊れ物を扱うかのように、丁寧に抱きしめながら、屋敷へ戻った。自分は全裸のままで。
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