精霊に嫌われている転生令嬢の奮闘記

あまみ

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2章

2−34

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 捜索隊の先頭はローランドさん達、そしてあとから私とリク、その後ろをレイ様が歩くことになった。森の中は草木が生い茂っているところを重点的に捜索していく。先頭のローランドさん達は会話をしながらも周囲を気にしながら歩みを進めていく。
 私はというと別の意味で緊張しながら歩を進める。先程の私の動揺がわかったのかリクが小声で私にたずねてきた。

 「お嬢様、先程何かありましたか? 捜索隊の顔を見て何か驚いた様子でしたが」
 「私、そんなにわかりやすかったかしら?」
 「ご安心を。あの場で気づいたのは私とレイ殿ぐらいでしょう」
 
 チラリと後ろを振り返るとレイ様は鼻歌を歌いながら歩いている。捜索しているというよりどこかへ散歩にでも行くような雰囲気だ。
 前方を気にしながら先程ローランドさんが連れてきた二人のうち一人が今朝見かけた男のうちの一人だと気づいたことを話す。

 「単に知り合いで世間話をしていたとかの可能性もあるし、怪しいだなんてやっぱり気にしずぎかしら」
 「いや、案外お嬢様のカンは当たっているかもしれませんよ」

 リクの発言を不思議に思っているとリクは少し低い声音で前方を見つめている。

 「先程からやつは捜索はしているものの、動きが妙です」
 「妙って?」
 「こちらの様子を気にしているのはまだしも……子供を探すにしては嫌な魔道具を身につけています」

 嫌な魔道具?に疑問を持ったところで後ろのレイ様が「なんの話~?」と間に割り込んできた。
 今朝のことを話すべきか迷っていると、リクがレイ様にたずねた。

 「レイ殿、森への捜索隊はいつもあの二人か」
 「うーん……大体はそうだけど後はもう一人着くか着かないかだね。人手が足りないみたい」
 「それは自警団でローランド殿につく者の人数が少ないということか?」
 
 レイ様はリクを感心したように「よくわかったね~」と笑った。どういうことかと思って二人を見るとリクはため息をついた。

 「自警団も一枚岩ではないということでしょう」
 「そうみたい、俺も後から知ったんだけどね」

 レイ様の話によると、自警団の中でローランドさんが団長として取りまとめてはいるものの、どうやら一部団員達は今回の行方不明事件の捜索に積極的ではない者がいるらしい。もともと町内の荒事を治めるぐらいだったのがここ最近町民への聞き取りや、町内の見回りの増加、加えて森への捜索などで一部団員から不満の声が上がっているらしい。レイ様の件と言い、呆れて物も言えなくなり思わずため息をついた。

 「それって自警団としてどうなのかしら?」

 その様子にレイ様は「まあ、町の自警団ってそんなもんだよ」と軽い調子で答えた。

 「それほど平和な町だったということです」

 リクもうなずき、「ですが」と続けた。

 「あの二人はローランド殿の側か?」
 
 低い声でリクがレイ様にたずねるとレイ様はニヤリと笑った。

 「リクはどう思う?」
 「質問に質問で返されるのは好きじゃないんだが……。一人は完全にローランド殿側でもう一人はローランド殿側と見せかけたヤツかな」
 「やっぱりそうだよね~結構怪しい動きをちょこちょこしてて目障りなんだよね。あ! 団長さんには一応忠告しているよ」

 レイ様はレイ様でいろいろあったようだ。リクに目配せをすると、リクはコクリとうなずいた。私はここで思い切ってレイ様にも今朝のことを話してみることにした。
 ローランドさん達とは会話が聞き取れないぐらいの距離を歩いているためこちらの会話は聞こえていないはずだ。
 手短に話し終えるとレイ様は「うーん」と目線をチラリと前方にいるローランドさん達を見る。

 「多分いずれ動き出すとは思うけど~町長派っぽいね~」
 「レイ様は何か知っているのですか? 町長派とは? それに先程の怪しい動きって?」

 思わず矢継ぎ早に質問するも、レイ様は気にした風もなくのんびりとした口調で話し始めた。

 「ここの町長やっぱり褒められた人物じゃなくてさ、町に使われる予算を着服してるかもしれない疑惑とかいろいろあるんだけど~今回の行方不明事件にも関わっているかもしれないんだよね。んで、その片棒を担いでいると思われるヤツが自警団内にいるの」

 町長が行方不明事件に関わっている……新たな疑惑にリクとお互い顔を見合わせた。
 レイ様は「あ、言っちゃってよかったんだっけ? まあ、いっか~」と呑気に笑っている。

 「それでレイ殿、その行方不明事件に町長が関わっているとは?」
 「うーん……町長派の団員が紛れ込んでるのはあるんだけど最近怪しい動きがあるみたい。なーんか町長とこそこそとやっているみたいなんだよね」

 それほど自警団が荒れていると思っていなかった私は唖然としながらもレイ様に質問した。

 「では、今までの行方不明事件は自警団内の団員が町長と共に関わっている可能性があると見ているんですね?」
 「そういうこと。まだ証拠集めに奔走してるっぽいから現行犯で捕まえた方がいいんだけどね」

 そう言ってレイ様は片目を閉じた。行方不明事件に関わっているとはどういうことか詳しく聞きたいと思い口を開こうとすると怒号が響き渡る。
 前方から「魔物だ!」とローランドさんの声が森に響いた。
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