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2章
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それからローランドさんは不正の証拠を少しずつ集めていくうちに、それだけでは賄えないほどの町長の散財ぶりにあきらかな不審なお金の動きだけが突き止められなかったという。
「私の部下を町長の元へ潜りこませたりして探っていくうちに、定期的に教会孤児院のマリウス神父との会合があることわかった。最初に部下が会合の際、その様子を外から聞いていても何もあやしいところはなく、ただ世間話や、町長の骨董品の自慢話をただマリウス神父は聞いているだけだった。それが定期的に。なんのための会合かわからない、しかもその会合のときはお抱えの騎士も同席させない。そこがあやしすぎたんだ。」
不審に思ったローランドさんは、一応その会話を一言一句メモを部下に取らせて調べたそうだ。
定期的に行われる会合の会話の内容をメモを長い間取らせて、そこで町長と近しい人物からの密告があったという。
曰く、「マリウス神父との会話はすべて暗号である。世間話と骨董品に関する自慢話は隠語であり、人身売買の契約についての話だ」と。
会合の会話が何かしらの暗号であることは予想されていたがなんの隠語か苦戦していたため、人身売買のヒントを得たためそこから日時や、金額などを解読することができたという。
「教会孤児院についても調べた。まず魔力量が高く、王都の教会から魔法学園に通うはずの子供達の行方を調べてみることにしたんだ。もちろん秘密主義である教会に素直にたずねるなんてことはできない。だから魔法学園の方をツテを使って調べてもらっていたんだが……教会孤児院にいた名前の子供達はどの子も在籍していなかったんだ」
マリウス神父に対して疑問を持ったローランドさんは直接接触を試みるも、相手はなかなか隙を見せることはなかったという。
教会に自警団の団長として足を運ぶも、最初によその町から来たと隠していたローランドさんのことを警戒したらしいマリウス神父は、子供がおびえると言って門前払いだったそうだ。
町でも挨拶程度で、避けられていたせいでマリウス神父との個人的な関わりも持つことができなかったらしい。
「子供の行方がわからなくなっているのがはっきりしないのはここ三年ほど。父が病に伏せってその間の仕事を部下に任せたのは三年。町長とマリウス神父、そして父の部下がこの三年のあいだに領主である父の目を盗んで何かやっているのは確信した」
そこで何気なく思っていた疑問をぶつける。
「そういえば、町長はハインツ子爵の遠縁でその縁で町長に赴任されたとお聞きしました。ローランドさんは直接関わりはなかったんですの?」
「もしかしたら幼いころに会ってはいるかもしれないが、全然記憶にないんだ。聞けば、あいつは父方の従兄弟の息子に当たるらしい。なんでも家の金を使い込んで勘当されたところを人の良かった父が親戚に押し付けられたらしい。屋敷に置いとこうにも、メイドにちょっかいをかけては父に迷惑かけたりして、追い出すにも何かやらかしては困るから監視しやすいように最初は仮として町長の座に置いておいたらしい」
「それは……なんとも」
町民や、周りの人間からしてたら迷惑な話だ。思わず私の顔が引き攣ったのをみてローランドさんは困ったような表情を見せた。
「下手にプライドが高いから町長という役目をつければ少しでも働くかと思ったらしいが無駄だったな、最初の数年は真面目にやっているフリだけはしていたらしいんだが実質仕事は部下に丸投げだった」
そこでそれまで黙って話を聞いていたヒューズさんがぼそっと「働かないばかりか迷惑をかけるやつなど軟禁しておけば良いものを」と呟いた。
「まったくだ。父はそのへんが甘い」
軟禁という物騒な単語にたじろいでいるとそれに気づいたローランドさんが「女の子に聞かせることじゃなかったな、全部聞きたいからとのことだったけどやめておくかい?」と気遣うように私の目を見た。大丈夫だと告げるとローランドさんは微笑んだ。
「先程の話の続きだが、町長を失脚させるための証拠書類などを集めているときに子供の行方不明の噂が立ち出した。最初は本当にはぐれ精霊の仕業かと思ったんだが、どうもあやしい。だが調査しようにも人手も足りなかったんだ。そこでミルランタの領主と友人の仲だったことを頼りにギルドに依頼を出したんだ」
「俺はここまで駆り出されるとは思いませんでしたよ」
ヒューズさんはため息をついた。
「本当にすまなかった。自警団だけでは対処に動くのも難しく……君にも迷惑をかけてしまった」
そう言ってローランドさんは私の目の前まできてしゃがみ、顔を見上げた。
「私も後から知ったんだが、レイ殿はミルランタのギルドが寄越した冒険者だ」
「それは、だいたいは聞ました……私こそ知らずに引っ掻き回してごめんなさい」
知らなかったとはいえ、自ら首を突っ込んでしまって危ない目にあったりして迷惑をかけてしまった。
最初からレイ様が教えてくれればとも思ったが、子供に対してそれは無茶な話だろう。
こちらもレイ様に対して隠していることだってあるしレイ様やローランドさんを責めることはできない。
「私の部下を町長の元へ潜りこませたりして探っていくうちに、定期的に教会孤児院のマリウス神父との会合があることわかった。最初に部下が会合の際、その様子を外から聞いていても何もあやしいところはなく、ただ世間話や、町長の骨董品の自慢話をただマリウス神父は聞いているだけだった。それが定期的に。なんのための会合かわからない、しかもその会合のときはお抱えの騎士も同席させない。そこがあやしすぎたんだ。」
不審に思ったローランドさんは、一応その会話を一言一句メモを部下に取らせて調べたそうだ。
定期的に行われる会合の会話の内容をメモを長い間取らせて、そこで町長と近しい人物からの密告があったという。
曰く、「マリウス神父との会話はすべて暗号である。世間話と骨董品に関する自慢話は隠語であり、人身売買の契約についての話だ」と。
会合の会話が何かしらの暗号であることは予想されていたがなんの隠語か苦戦していたため、人身売買のヒントを得たためそこから日時や、金額などを解読することができたという。
「教会孤児院についても調べた。まず魔力量が高く、王都の教会から魔法学園に通うはずの子供達の行方を調べてみることにしたんだ。もちろん秘密主義である教会に素直にたずねるなんてことはできない。だから魔法学園の方をツテを使って調べてもらっていたんだが……教会孤児院にいた名前の子供達はどの子も在籍していなかったんだ」
マリウス神父に対して疑問を持ったローランドさんは直接接触を試みるも、相手はなかなか隙を見せることはなかったという。
教会に自警団の団長として足を運ぶも、最初によその町から来たと隠していたローランドさんのことを警戒したらしいマリウス神父は、子供がおびえると言って門前払いだったそうだ。
町でも挨拶程度で、避けられていたせいでマリウス神父との個人的な関わりも持つことができなかったらしい。
「子供の行方がわからなくなっているのがはっきりしないのはここ三年ほど。父が病に伏せってその間の仕事を部下に任せたのは三年。町長とマリウス神父、そして父の部下がこの三年のあいだに領主である父の目を盗んで何かやっているのは確信した」
そこで何気なく思っていた疑問をぶつける。
「そういえば、町長はハインツ子爵の遠縁でその縁で町長に赴任されたとお聞きしました。ローランドさんは直接関わりはなかったんですの?」
「もしかしたら幼いころに会ってはいるかもしれないが、全然記憶にないんだ。聞けば、あいつは父方の従兄弟の息子に当たるらしい。なんでも家の金を使い込んで勘当されたところを人の良かった父が親戚に押し付けられたらしい。屋敷に置いとこうにも、メイドにちょっかいをかけては父に迷惑かけたりして、追い出すにも何かやらかしては困るから監視しやすいように最初は仮として町長の座に置いておいたらしい」
「それは……なんとも」
町民や、周りの人間からしてたら迷惑な話だ。思わず私の顔が引き攣ったのをみてローランドさんは困ったような表情を見せた。
「下手にプライドが高いから町長という役目をつければ少しでも働くかと思ったらしいが無駄だったな、最初の数年は真面目にやっているフリだけはしていたらしいんだが実質仕事は部下に丸投げだった」
そこでそれまで黙って話を聞いていたヒューズさんがぼそっと「働かないばかりか迷惑をかけるやつなど軟禁しておけば良いものを」と呟いた。
「まったくだ。父はそのへんが甘い」
軟禁という物騒な単語にたじろいでいるとそれに気づいたローランドさんが「女の子に聞かせることじゃなかったな、全部聞きたいからとのことだったけどやめておくかい?」と気遣うように私の目を見た。大丈夫だと告げるとローランドさんは微笑んだ。
「先程の話の続きだが、町長を失脚させるための証拠書類などを集めているときに子供の行方不明の噂が立ち出した。最初は本当にはぐれ精霊の仕業かと思ったんだが、どうもあやしい。だが調査しようにも人手も足りなかったんだ。そこでミルランタの領主と友人の仲だったことを頼りにギルドに依頼を出したんだ」
「俺はここまで駆り出されるとは思いませんでしたよ」
ヒューズさんはため息をついた。
「本当にすまなかった。自警団だけでは対処に動くのも難しく……君にも迷惑をかけてしまった」
そう言ってローランドさんは私の目の前まできてしゃがみ、顔を見上げた。
「私も後から知ったんだが、レイ殿はミルランタのギルドが寄越した冒険者だ」
「それは、だいたいは聞ました……私こそ知らずに引っ掻き回してごめんなさい」
知らなかったとはいえ、自ら首を突っ込んでしまって危ない目にあったりして迷惑をかけてしまった。
最初からレイ様が教えてくれればとも思ったが、子供に対してそれは無茶な話だろう。
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