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2章
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「いや、あいつのことだ。うまく片付けられるようにお嬢さんに黙ってあえて泳がせてことを運んだりしたんだろう」
ヒューズさんは謝る私にそう言うとドアの向こうへ鋭い視線を送った。
不思議に思い、口を開こうとするもローランドさんが話を続けるのでとりあえず集中することにした。
「それからレイ殿にも協力してもらって子供の行方不明事件について調べてもらい、私達は不正の証拠を集めていきマリウス神父が行っている人身売買の証拠を突き止めるだけとなって、それからは……あとは知ってのとおりだ。マリウス神父は亡くなって、売買に関わっていた自警団員の亡くなった者以外は拘束し、町長と父の部下だった男も罪を認めた」
「行方不明の事件についてはローランドさんはどこまでわかっていたんですの?」
「噂の広がりようから精霊が間違いなく絡んでいるのはわかっていた。噂がまるで外部の人間をキヨラに向けさせることがなんのためかがはっきりしなくてこちらとしてもどう動くべきかわかりかねていた。まさか……子供が起こしたこととは……」
カイとヨシュアも聴取を受けたそうなので正直に話したのだろう。
「私が不甲斐ないばかりに子供達に不安な思いをさせてしまった。マリウス神父に売られて行方がわからなくなっている子供達は今あらゆる手段を使って全力で行方を探している」
そう言ったローランドさんは悲痛な表情で視線を伏せた。ローランドさんの前で組まれた手は硬く握りしめたまま少し震えていた。
どうか売られた子供達が無事であることを祈るしかない。
「それについてはミルランタのギルドも全面的に協力しましょう。さすがにこれで引き上げじゃ俺らも寝覚めが悪い」
ヒューズさんが苦虫を噛み潰したような表情で告げるとローランドさんは「感謝する」と言って真剣な表情で頷いた。
「それで、君はサーナイト家の伯爵令嬢というのは聞いたが、どうして冒険者とメイド、精霊だけで旅をしているんだい?」
ローランドさんがそれまでの空気を払拭するかのように私にたずねる。
私は精霊の件はもちろん伏せて他の領地の民の暮らしを学ぶための勉強でハーベストを訪れることを話すとローランドさんは感心したように「さすがサーナイト伯爵だな、こんなに幼い娘にまで伯爵家の人間であることを自覚させようとは」と勝手にいい方に解釈してくれた。それに少しホッとしていると、ヒューズさんはローランドさんと違って苦い表情を見せた。
「それにしたってスパルタすぎません? 引き連れているのが冒険者とメイドと精霊とは……いくらハーベストが治安の良い街だからって何かあったらどうするんだ。しかも護衛の冒険者がアレとは……」
ぶっきらぼうに呟くも、ヒューズさんはどうやら心配してくれているようだ。そう思ったところでドアが勢いよく開かれた。
「だーいじょうぶ! お嬢は俺が守るよ!」
レイ様が部屋に入室するなり高らかに声を上げた。いくら自警団との捜索で関わりがあったとはいえ、仮にもハインツ子爵であるローランドさんがその場にいるのに無作法と言ってもいい入室の仕方に思わず慌てた。するとヒューズさんがおもむろに立ち上がり、スタスタとレイ様の方へいくといきなりレイ様の胸ぐらを掴んだ。
「おーまーえーはー! ちったあ礼儀というものを身につけろ!」
ガクガクとヒューズさんに揺さぶられるもレイ様はニコニコと笑顔のまま私の方を見てひらひらと手を振った。
まったくヒューズさんの話を聞く気のないレイ様に思わず私は「ははは」と渇いた笑いが出る。
その様子を見たヒューズさんは苦笑しながらもレイ様に席をすすめると、レイ様はヒューズさんの手からするりと離れて私の隣に腰掛けた。
「しかもお前、神父を死なせやがってええ! あいつにはまだいろいろ聞かなきやいけねえことあったのによおお!」
ヒューズさんはすぐさまレイ様の元へ行きレイ様の横でなおも言い募るとレイ様は耳を塞いだ。
「俺じゃないもーん。それに不可抗力っしょ、死ぬとこだったし」
脳裏にリクの姿が浮かぶ。この二人にはリクははぐれ精霊ということは伝えてあるので、契約者のいない誰の指示も聞かないはぐれ精霊の仕業と聞けばこれ以上何も言えない。そのことを思い出したのかヒューズさんはぐぬぬと悔しそうに歯軋りをした。
「はぐれ精霊のしたことならばしょうがない。まあ、マリウス神父の聴取が途中だったのは痛いが残っていた書類や、町長への聞き取りで調査していくしかないだろう。レイ殿、アリア嬢には感謝している。俺達だけではこの事件の真相には辿り着かなかった」
ローランドさんがそう言って微笑んだ。レイ様は口の端を上げたままローランドさんの方を見た。
「いいですよ~、俺はギルマスの命で動いただけですし。ちゃんと別で報酬も頂いていますしね」
そう言ってレイ様は私の方を見てにっこりと笑った。
「お前!サーナイト伯爵家の令嬢の護衛任務なんて聞いてないぞ! ちゃんと報告しろ!」
「お嬢の護衛は俺の母親からの依頼でもあるもーん。サーナイト伯爵の依頼は俺の中でつ・い・で」
「なんだそれは……」
同じ護衛依頼でも伯爵家の依頼をついで呼ばわりしたことに呆れたようにヒューズさんは肩を落とした。
最初会ったときはクールそうなイメージだったがレイ様の前だと苦労人のような印象を受ける。
ヒューズさんは謝る私にそう言うとドアの向こうへ鋭い視線を送った。
不思議に思い、口を開こうとするもローランドさんが話を続けるのでとりあえず集中することにした。
「それからレイ殿にも協力してもらって子供の行方不明事件について調べてもらい、私達は不正の証拠を集めていきマリウス神父が行っている人身売買の証拠を突き止めるだけとなって、それからは……あとは知ってのとおりだ。マリウス神父は亡くなって、売買に関わっていた自警団員の亡くなった者以外は拘束し、町長と父の部下だった男も罪を認めた」
「行方不明の事件についてはローランドさんはどこまでわかっていたんですの?」
「噂の広がりようから精霊が間違いなく絡んでいるのはわかっていた。噂がまるで外部の人間をキヨラに向けさせることがなんのためかがはっきりしなくてこちらとしてもどう動くべきかわかりかねていた。まさか……子供が起こしたこととは……」
カイとヨシュアも聴取を受けたそうなので正直に話したのだろう。
「私が不甲斐ないばかりに子供達に不安な思いをさせてしまった。マリウス神父に売られて行方がわからなくなっている子供達は今あらゆる手段を使って全力で行方を探している」
そう言ったローランドさんは悲痛な表情で視線を伏せた。ローランドさんの前で組まれた手は硬く握りしめたまま少し震えていた。
どうか売られた子供達が無事であることを祈るしかない。
「それについてはミルランタのギルドも全面的に協力しましょう。さすがにこれで引き上げじゃ俺らも寝覚めが悪い」
ヒューズさんが苦虫を噛み潰したような表情で告げるとローランドさんは「感謝する」と言って真剣な表情で頷いた。
「それで、君はサーナイト家の伯爵令嬢というのは聞いたが、どうして冒険者とメイド、精霊だけで旅をしているんだい?」
ローランドさんがそれまでの空気を払拭するかのように私にたずねる。
私は精霊の件はもちろん伏せて他の領地の民の暮らしを学ぶための勉強でハーベストを訪れることを話すとローランドさんは感心したように「さすがサーナイト伯爵だな、こんなに幼い娘にまで伯爵家の人間であることを自覚させようとは」と勝手にいい方に解釈してくれた。それに少しホッとしていると、ヒューズさんはローランドさんと違って苦い表情を見せた。
「それにしたってスパルタすぎません? 引き連れているのが冒険者とメイドと精霊とは……いくらハーベストが治安の良い街だからって何かあったらどうするんだ。しかも護衛の冒険者がアレとは……」
ぶっきらぼうに呟くも、ヒューズさんはどうやら心配してくれているようだ。そう思ったところでドアが勢いよく開かれた。
「だーいじょうぶ! お嬢は俺が守るよ!」
レイ様が部屋に入室するなり高らかに声を上げた。いくら自警団との捜索で関わりがあったとはいえ、仮にもハインツ子爵であるローランドさんがその場にいるのに無作法と言ってもいい入室の仕方に思わず慌てた。するとヒューズさんがおもむろに立ち上がり、スタスタとレイ様の方へいくといきなりレイ様の胸ぐらを掴んだ。
「おーまーえーはー! ちったあ礼儀というものを身につけろ!」
ガクガクとヒューズさんに揺さぶられるもレイ様はニコニコと笑顔のまま私の方を見てひらひらと手を振った。
まったくヒューズさんの話を聞く気のないレイ様に思わず私は「ははは」と渇いた笑いが出る。
その様子を見たヒューズさんは苦笑しながらもレイ様に席をすすめると、レイ様はヒューズさんの手からするりと離れて私の隣に腰掛けた。
「しかもお前、神父を死なせやがってええ! あいつにはまだいろいろ聞かなきやいけねえことあったのによおお!」
ヒューズさんはすぐさまレイ様の元へ行きレイ様の横でなおも言い募るとレイ様は耳を塞いだ。
「俺じゃないもーん。それに不可抗力っしょ、死ぬとこだったし」
脳裏にリクの姿が浮かぶ。この二人にはリクははぐれ精霊ということは伝えてあるので、契約者のいない誰の指示も聞かないはぐれ精霊の仕業と聞けばこれ以上何も言えない。そのことを思い出したのかヒューズさんはぐぬぬと悔しそうに歯軋りをした。
「はぐれ精霊のしたことならばしょうがない。まあ、マリウス神父の聴取が途中だったのは痛いが残っていた書類や、町長への聞き取りで調査していくしかないだろう。レイ殿、アリア嬢には感謝している。俺達だけではこの事件の真相には辿り着かなかった」
ローランドさんがそう言って微笑んだ。レイ様は口の端を上げたままローランドさんの方を見た。
「いいですよ~、俺はギルマスの命で動いただけですし。ちゃんと別で報酬も頂いていますしね」
そう言ってレイ様は私の方を見てにっこりと笑った。
「お前!サーナイト伯爵家の令嬢の護衛任務なんて聞いてないぞ! ちゃんと報告しろ!」
「お嬢の護衛は俺の母親からの依頼でもあるもーん。サーナイト伯爵の依頼は俺の中でつ・い・で」
「なんだそれは……」
同じ護衛依頼でも伯爵家の依頼をついで呼ばわりしたことに呆れたようにヒューズさんは肩を落とした。
最初会ったときはクールそうなイメージだったがレイ様の前だと苦労人のような印象を受ける。
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