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街での出来事
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「久しぶりに出かけるのもいいな」
城下は貴族街から平民街に分かれており、地区ごとに特色がある。貴族街は閑静な住宅街の方にあり、貴族向けのおしゃれなブティックやカフェがあって平民街は平民向けの市場や飲食店が立ち並んでいる。
平民街を歩いていると市場からは威勢の良い掛け声が飛び交っている様子に天音は心踊らせた。
普段街に王城で過ごしていて、プライベートで出かけることがなかったのでこうして街の様子をみると、目新しいものが目に入るので歩くだけで楽しい。
天音が屋台でジュースを購入して飲みながらなんとなく歩いていると突然後ろから声をかけられた。
「なあ、にいちゃんこの街初めてか」
後ろを振り返ると、いかにもといったガラの悪い三人の男達がこちらを見てニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている。前の世界でも絡まれることが多かったことを思い出した天音は顔を青ざめた。
(ここにきて絡まれるなんてことなかったからすっかりこの感覚忘れてた──!)
すぐさま逃げようとすると周りを囲まれる。辺りはいつの間にか人通りの少ない道になっている。何も考えずにただぶらついていたことを後悔した。
「えっと……なんの……御用でしょう」
「にいちゃん、この国の人間じゃないだろ?俺らが案内してやるよ」
天音の容姿はこちらでいう東の方の国の人間に近いそうだ。加えて童顔なのでそれに目をつけられたのだろう。しかも物珍しさからキョロキョロとあたりを見渡していたのがよくなかった。
「あの、一応この国で働いているんで案内していただかなくて大丈夫です」
そういってそそくさと間をすり抜けようとしたところで腕を掴まれてしまう。
声を上げようとしたところで口を塞がれる。
「ん~~!!」
腕を振りほどこうとするが力が強くてびくともしない。恐怖で足がすくんで動かないのをいいことに男達は天音を引きずって狭い路地裏の方へと移動していく。
「コイツ東の人間の血が入っているのは間違いねえな」
「ああ、奴隷として売れば儲けもんだな」
「それにコイツのこの顔もウケがいいだろうな」
「先に俺たちで予行練習させとくってのもアリだな」
不穏な会話に身の毛が総毛だつ。男の一人が天音の首筋につうっと指を這わせた。
(気持ち悪い!!)
涙がこぼれそうになりながらも天音は必死に首や手足を動かそうと抵抗するも男達の力で押さえつけられていく。
一人が後ろから天音を羽交締めにして仲間達が猿轡を噛ませる。
上の衣服を剥ぎ取り、天音の無防備な肌が晒された。
──誰か、誰か助けて。
「おい、そいつを離せ」
聞き覚えのある声が響いた。
城下は貴族街から平民街に分かれており、地区ごとに特色がある。貴族街は閑静な住宅街の方にあり、貴族向けのおしゃれなブティックやカフェがあって平民街は平民向けの市場や飲食店が立ち並んでいる。
平民街を歩いていると市場からは威勢の良い掛け声が飛び交っている様子に天音は心踊らせた。
普段街に王城で過ごしていて、プライベートで出かけることがなかったのでこうして街の様子をみると、目新しいものが目に入るので歩くだけで楽しい。
天音が屋台でジュースを購入して飲みながらなんとなく歩いていると突然後ろから声をかけられた。
「なあ、にいちゃんこの街初めてか」
後ろを振り返ると、いかにもといったガラの悪い三人の男達がこちらを見てニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている。前の世界でも絡まれることが多かったことを思い出した天音は顔を青ざめた。
(ここにきて絡まれるなんてことなかったからすっかりこの感覚忘れてた──!)
すぐさま逃げようとすると周りを囲まれる。辺りはいつの間にか人通りの少ない道になっている。何も考えずにただぶらついていたことを後悔した。
「えっと……なんの……御用でしょう」
「にいちゃん、この国の人間じゃないだろ?俺らが案内してやるよ」
天音の容姿はこちらでいう東の方の国の人間に近いそうだ。加えて童顔なのでそれに目をつけられたのだろう。しかも物珍しさからキョロキョロとあたりを見渡していたのがよくなかった。
「あの、一応この国で働いているんで案内していただかなくて大丈夫です」
そういってそそくさと間をすり抜けようとしたところで腕を掴まれてしまう。
声を上げようとしたところで口を塞がれる。
「ん~~!!」
腕を振りほどこうとするが力が強くてびくともしない。恐怖で足がすくんで動かないのをいいことに男達は天音を引きずって狭い路地裏の方へと移動していく。
「コイツ東の人間の血が入っているのは間違いねえな」
「ああ、奴隷として売れば儲けもんだな」
「それにコイツのこの顔もウケがいいだろうな」
「先に俺たちで予行練習させとくってのもアリだな」
不穏な会話に身の毛が総毛だつ。男の一人が天音の首筋につうっと指を這わせた。
(気持ち悪い!!)
涙がこぼれそうになりながらも天音は必死に首や手足を動かそうと抵抗するも男達の力で押さえつけられていく。
一人が後ろから天音を羽交締めにして仲間達が猿轡を噛ませる。
上の衣服を剥ぎ取り、天音の無防備な肌が晒された。
──誰か、誰か助けて。
「おい、そいつを離せ」
聞き覚えのある声が響いた。
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