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第13章
4.
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部屋が真っ暗だ。視力を失ったのでは、と一瞬思わせたが、カーテンの向こうに街の明かりが見える。
腹部が痛んだ。痛み止めが切れたのだろう。
「ドーズ」
「どうしたの?」
呼ぶと、ドーズはすぐに顔を覗かせた。
「痛み止めをくれ」
そう言うとドーズは、手早く薬と水を用意し、飲ませてくれた。
「どのぐらい眠っていた?」
「4時間ほど」
「話しをしよう」
「明日にしようって、言っただろう?」
「もう日付は変わってる」
そう言うと、ドーズは仕方なさそうにベッドの端に腰を下ろした。
「どんな話しをしようか?」
そうドーズが尋ねてくるので、クレイズは頭を働かせた。もう鈍い動きではない。
「リリは、今どうしてる?」
枕元の明かりがつき、ドーズがノートパソコンをクレイズに見せてきた。画面には、ベッドで眠るリリの姿を映っている。どうやらカルロスは、まだ動いていないらしい。それに安堵し、クレイズは次にゲイナーの事を尋ねた。
「君が寝ている間に、少しだけ会ってきたよ。病室にはハリスもいた」
パソコンを閉じると、ドーズはそう言った。
「ハリスが?」
「うん。それでね」
ドーズは、ゲイナーとハリスが第三者の介入を決めた事を話してから、それに自分も賛成した事を付け加えた。
「ハリスの友人で、優秀な刑事らしいよ」
そう言うドーズの言葉には、期待感が含まれている。
「そうか。それで、そいつが何をしてくれるって言うんだ?」
「カルロスの逮捕」
きっぱりとそう言い、ドーズはクレイズを見つめてきた。
「君を刺したのは、カルロスの妻だろう?」
ドーズの言葉に、クレイズは目を丸くした。何故知っている?自分が話したのか?そう思っていると、ドーズは淋しそうに笑った。
「カルロスから聞いたんだ。君が手術室に入っている時、少しだけカルロスと話した」
「なんと、言っていた?」
気になった。嘘をつかない、と自分に言っていたカルロスが、ドーズにどのような話しをしたのか。
「笑ってたよ。まさかダリアが、こんな事をするとは思わなかったって」
「それだけか?」
そう尋ねると、ドーズは小さく頷いた。
「それだけさ。彼はさっさと家に帰ったよ。薄情な男だ」
知っていけどね、と続けると、ドーズは腕を組んだ。
「それでクレイズ。君に聞きたいんだ」
真剣な眼差しがクレイズに向けられる。何か、重大な事を聞こうとしている顔だ。それを見つめ返しながら、クレイズは頷いた。
「君、子供はいつ?」
クレイズの身が強張った。いつか知れてしまう事だと分かっていたが、まさかこんな形で露見するとは思っていなかった。
「あぁ……ドーズ、黙っていてすまない」
そう謝罪すると、ドーズはクレイズの髪を撫でてからそっと抱き寄せた。
「うん。もう、いいから」
ドーズは言った。
腹部が痛んだ。痛み止めが切れたのだろう。
「ドーズ」
「どうしたの?」
呼ぶと、ドーズはすぐに顔を覗かせた。
「痛み止めをくれ」
そう言うとドーズは、手早く薬と水を用意し、飲ませてくれた。
「どのぐらい眠っていた?」
「4時間ほど」
「話しをしよう」
「明日にしようって、言っただろう?」
「もう日付は変わってる」
そう言うと、ドーズは仕方なさそうにベッドの端に腰を下ろした。
「どんな話しをしようか?」
そうドーズが尋ねてくるので、クレイズは頭を働かせた。もう鈍い動きではない。
「リリは、今どうしてる?」
枕元の明かりがつき、ドーズがノートパソコンをクレイズに見せてきた。画面には、ベッドで眠るリリの姿を映っている。どうやらカルロスは、まだ動いていないらしい。それに安堵し、クレイズは次にゲイナーの事を尋ねた。
「君が寝ている間に、少しだけ会ってきたよ。病室にはハリスもいた」
パソコンを閉じると、ドーズはそう言った。
「ハリスが?」
「うん。それでね」
ドーズは、ゲイナーとハリスが第三者の介入を決めた事を話してから、それに自分も賛成した事を付け加えた。
「ハリスの友人で、優秀な刑事らしいよ」
そう言うドーズの言葉には、期待感が含まれている。
「そうか。それで、そいつが何をしてくれるって言うんだ?」
「カルロスの逮捕」
きっぱりとそう言い、ドーズはクレイズを見つめてきた。
「君を刺したのは、カルロスの妻だろう?」
ドーズの言葉に、クレイズは目を丸くした。何故知っている?自分が話したのか?そう思っていると、ドーズは淋しそうに笑った。
「カルロスから聞いたんだ。君が手術室に入っている時、少しだけカルロスと話した」
「なんと、言っていた?」
気になった。嘘をつかない、と自分に言っていたカルロスが、ドーズにどのような話しをしたのか。
「笑ってたよ。まさかダリアが、こんな事をするとは思わなかったって」
「それだけか?」
そう尋ねると、ドーズは小さく頷いた。
「それだけさ。彼はさっさと家に帰ったよ。薄情な男だ」
知っていけどね、と続けると、ドーズは腕を組んだ。
「それでクレイズ。君に聞きたいんだ」
真剣な眼差しがクレイズに向けられる。何か、重大な事を聞こうとしている顔だ。それを見つめ返しながら、クレイズは頷いた。
「君、子供はいつ?」
クレイズの身が強張った。いつか知れてしまう事だと分かっていたが、まさかこんな形で露見するとは思っていなかった。
「あぁ……ドーズ、黙っていてすまない」
そう謝罪すると、ドーズはクレイズの髪を撫でてからそっと抱き寄せた。
「うん。もう、いいから」
ドーズは言った。
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