arkⅢ

たける

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目を覚ましたジョシュは、眩しい照明に目を細めて呻いた。すると、ワイズの険しい顔が視界に飛び込んできた。

「目が覚めたか、ジョシュ」
「どうなったんだ?」

体を起こそうとしたが、ワイズが寝台へと押し戻した。

「今説明するから、君は横になっているんだ」

ニコリと笑うと、ジョシュは従う事にした。

「バラムは死んだ。マーゴがやったんだよ。そして街の機械人間達は機能を停止させ、現在街のあちこちに転がってる」
「そうか……これでドラモッグは、本当に無人の惑星になる訳だ」
「そうじゃないんだよ、ジョシュ。ドラモッグは、新しい統率者を迎え、再起動するんだ」

ショシュが首を傾げると、ワイズは体を起こすのを手伝ってくれた。

「君は4時間も眠っていたんだ。その間にカールは、マーゴの願いを叶えたんだ」

ジョシュの緩慢な動きにあわせて──肩を貸して、支えてくれながら──ワイズと医務室を出た。そしてリフトに乗り込むと、ジョシュを見遣ってきた。

「マーゴ、いや、もうマーガレットだ。彼女の願いは我々と同じで、平和な世界を作る事なんだ」

そうワイズが言ったところでリフトの扉が開き、機関室に到着した。そこでジョシュ達を出迎えたのは、死んだ筈のドラキアだった。

「デビット艦長、この度は大変ご迷惑をおかけしました」

深く一礼し、ドラキアはジョシュの手を握った。まだ事態の把握が出来ないジョシュは、ぎこちない笑みを浮かべた。

「ジョシュ、彼等はドラモッグに残る道を選んだんだ」

ワイズに促され、更に機関室の奥へ入る。すると、カールがマーガレットと談笑をしていた。その顔は少しだけオイルで汚れてはいるが、清々しさが満ちている。

「艦長、私からもお詫び申し上げます」

ジョシュに気付いたマーガレットも、深々と頭を下げた。

「いや、私は貴方達に何もしてあげられなかった。ディック機関士長が、やってくれたんだ」

薄々事態に気付き始めたジョシュは、そう言ってカールを見遣った。彼は誇らし気に、だがどこか悲し気にしている。

「ありがとうございます……デビット艦長、私達はドラモッグに戻ります。あそこには、私を待つ人達がいますので」

決然とした姿勢で、マーガレットは言った。その隣に、ドラキアも並ぶ。

「彼は機械なのだね?」
「はい。ドラキアには、私の記憶を分け与えました。これでもう、離れる事はないでしょう」

マーガレットが説明すると、ドラキアは愛しそうに彼女を見つめ、手を握った。

「バラムの後継者と言うのは貴女ですか、マーガレット」

そうジョシュが確信を持って尋ねると、マーガレットは答える代わりに微笑して見せた。その笑みは、初めて出会った時に見せたものより優しく、温かい表情をしている。

「もう行かなくては……艦長、またお近くに来られる時がありましたら、是非ドラモッグをお訪ね下さいませ」

夫婦はそう言って会釈した。ジョシュは2人の手を握ると、勿論、と言った。




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