Love Trap

たける

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寝台に丸まりながら、ノッドを、ハンクを、そして家族や仲間の事を思う。
みんな、自分が死んだと思っているに違いない。
ストレインの話によると、あの事故から1ヶ月は経過している。しかも告別式まで行われたと言われ、フィックスは帰る場所がない事を知った。

「悲嘆する事はない。これからは、ここが君の家であり、私が家族だ」

寝台に座るストレインは、そう言いながら汗ばんでいる赤毛を撫でた。不快だったが跳ね退ける事も出来ない。
何も残せなかった。
忙しくて両親への電話も怠っていた。
精一杯生きてきたつもりだったが、悔いばかりが募る。それは多分、自分が今生きているからだ。本当に死んでしまっていたのなら、そんな事は思わない。


──まだ生きている。


どうにかしてストレイン達から逃れる方法を考えなければならないが、ノッドが20年もの間隔離されていた事を考えると、研究者達に歯向かえないようにされている自分には、到底無理なように感じられた。
ノッドの場合は力を使えない、と言う思い込ませだったが、自分はそうじゃない。本当に抗えない。

「悲しい顔をするな。近々奴らに会わせてやる」

それは、フィックスの手で始末する日が近い、と言う意味だ。
そんな日なら来なければいい。自分は死んだ事になっていればいい。

「忘れていたがね。彼等だけは君がサイボーグとして生きている事を知っているよ。喜ばしいじゃないか」

そう言いながら白衣を羽織るストレインは、悪人そのものだった。
あぁ、ノッドが言っていたな。彼等は悪人だと。
フィックスは、あの日そう言った彼の言葉を否定した自分が憎かった。

「きっと捜してるだろう」

捜さないで。
忘れて。
そう祈っても、それが彼等に届く事はないだろう。




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