矢追くんの高校聖活

Seabolt

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なんでもない  はず

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 僕たちが溜息をついた途端、チャイムが鳴った。

「純、またね」

 そう言って、若葉は自分のクラスに戻って行った。すると黒島がボソッと

「最近、仲が良いですね。何かありました?」

「何もないよ」

「あら?そう。残念」

 そう言いながらも、完全に妄想モードに入っている。既に授業が始まっているのに

「それより、前、前」

「何よ。前って」

 彼女の前には数学の前田先生がいた。どう見ても、オタクな感じの先生。よく採用試験に通ったなと思える。厨二く、中背のオッサン先生で時々、授業がアニメや漫画に脱線することもあるらしい。

 そんな先生が彼女の目の前に立っている。

「あっ」

「あっ、じゃない。早く答えろ」

「えっ」

 慌てて僕の方を見る黒島なんだが、それを察した先生は、俺と彼女の間に立った。そして、回答期限のアラームが鳴った。

「はい。終了。宿題プリント 10枚追加」

 ええ~!!

 この後、問題に答えられないと宿題が増えていったんだけど、放課後、通信欄で宿題の数量が減らされていた。理由は、よくわからないけど、ストレートのロングヘアだった黒崎さんがなぜか、翌日、男装でやってきたので、何か関係があるのだろう。


 ◯◯◯


 昼休み、若葉と一緒にランチを取っていると、影井先輩が定食を持って現れた。

「よう!お前らもランチか、ここ空いているか?」

「はい。あいてますよ」

 若葉がそう言うと先輩は若葉の横に座った。若葉も楽しそうに先輩と話をしている。何故かモヤモヤしてくる。

「矢追、どうした?」

「純?」

「えっ?あ、なんでもないです。ただ、ぼーっとしていました。ハハハ…」

すると若葉が俺の顔をじっと見て、顔を赤くしている。

「ひょっとして僕のこと見惚れていたのかな、なら僕は嬉しいんだけど」

はにかんだ無邪気な笑顔にどきりとしてしまうんだけど、すぐに横を向いてその笑顔が先輩にも向けられているのを見ていしまうと

なんだろう。

いや、なんでもない。

ふと、我に戻ると女子たちの視線が痛い。影井先輩は、学内でもイケメンで有名なので、当然と言えば、当然なこと。

そこへ美少女?の若葉がいるとなると妬いてくる女子もいるんだと思う。

食堂からの帰り、若葉が腕を組んできたので、思わず硬直していると耳元で

「ここは、僕に合わせて」

そういうと

「じゃあ、先輩、失礼します」

「じゃあな」

二人で一礼をして、教室に向かう。そこで

「純、みた?さっき、2年の赤城さんがいたでしょう。純への睨みかたが異常だったから」

赤城静子。最近、影井先輩に告白したが、俺には好きな人がいると言われた一人。特に影井先輩の彼女を探していると先輩の口から聞いたのは久しい。

多分、そのこともあって、たまたま、一人に立つなった先輩が俺たちに声をかけたのだろう。

あの視線は、僕も気付いていた。

「あの視線、僕を睨んでいたの?」

「そうだよ。絶対に、あれ?気付いていなかった?」

「てっきり若葉に向けられていたと思っていた」

「君、自覚あるの?」

「何の?」

「美少女の」

「えっ?若葉ならわかるけど」

「何言ってんだ。僕と純が女子だと思っている学生がまだいるんだよ」

「うそ。僕も?」

「そうだよ。しっかりしてよ」

すると組んでいる腕にギュッと力が入った。

「それで、この状態?」

「うん。嬉しいでしょう」

こうして、学校が終わると寮でも顔を合わせる。

なんでもない一日が終わる。ベッドに入ると枕を持った若葉立っていた。

「純、今晩、一緒に寝ていい?」

はず…


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