スパンキング短編集

紅臀堂律

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ある女性が利用した機械によるサービスの店(X/F、ゴム製平手と鞭、機械、プライバシー重視)

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街にはスタッフが行うスパンキングサービスの店もあれば、機械によって淡々と行われる店もある。
ここはそんな店のひとつであり掲げられたスローガンは――

『完全個室、プライバシーを守るスパンキングを!』

完全予約制で、利用者同士が決して鉢合わせないように徹底されている。
人には言えないが「誰にも知られずに叩かれて反省したい」「こっそりと自罰として痛みを受けたい」……そんな思いを持つ者たちに、この店は最適な場所となっていた。

 ***

今日も、ひとりの女性がこっそりとその扉を叩いた。
外観は普通のオフィスの一室のようで、初めてなら店だとすぐにはわからない。
ドアノブに予約時のコードを入力すると、鍵が静かに開く。

中に入ると観葉植物とテーブル、ソファにロッカー、自販機が並び、簡素ながらも整った待合室。奥には仕切りのカーテンスペースがある。
扉はすぐ自動で施錠され、利用者がいる間は外からは絶対に入れない仕組みだ。

女性は荷物をロッカーにしまい、仕切りの中でズボンと下着を脱ぐ。
誰に見られてるわけでもないが女性は羞恥で頬を赤らめながらも、決意を固めて奥のスパンキングマシンへと進んだ。

 ***

マシンは、柔らかすぎず固すぎない台座に腰を乗せてうつ伏せになる仕組み。
台の前にはタブレットがあり、画面に入力を促す文字が点滅している。

女性がその台にうつ伏せになると予約時に登録した電話番号を入力すると、すぐに表示が切り替わった。

『Lv4のゴム平手5分間+鞭20回 この内容でお間違いないでしょうか?』

ここで内容の最終確認が行われ、この店では道具などの他にLv5までの力の強さも選べる。
安全のため、極端な回数や危険な設定は不可能だが、彼女が選んだのは「厳しめ」の内容だった。
震える指先で確認ボタンを押す。
すると腰にベルトが回り込み、自動でカチリと固定された。

逃げ場は、もうない。

 ***

『それではスパンキングを開始します。最初は平手5分間です』

無機質な文字が表示された瞬間、機械のアームが動き出す。

 ――バチンッ!

「っ……!」

初撃でお尻全体が大きく揺れた。
すぐさま二撃目、三撃目が続く。

 バチン! バチン! バチン!

ゴム製の平手は、人間の手とは違う、冷たいが正確なリズムでお尻を打ち据える。
更にはこの店で2番目に強いLv4の強さで叩かれて、尻肉に食い込む鋭い痛みが一定間隔で押し寄せ、女性は机の端を必死に握りしめる。

「んっ……あぁ……っ……!」

たった一分も経たないうちに、お尻はじんじんと赤く染まり、熱を帯びてきた。
機械は情け容赦なく、一定の強さで、五分間叩き続ける。
人なら手加減も休憩もあるが、機械にはない。無機質なリズムが容赦なく続く。

 バチン! バチン! バチン!

「やっ……っあ……だめ……っ!」

残り時間を示すカウントが減っていくのを涙に滲む目で見つめながら、女性はただ必死に耐えた。

 ***

五分が経過するとようやく停止。
画面には淡々と表示される。

『次は鞭20回です』

機械が新たなアームを取り出す。ゴム製の鞭が振り上げられたのを見て、女性の肩が大きく震えた。

 ――ビシィッ!!

「きゃああっ!!」

鋭い一撃がお尻を直撃し、平手とは比べ物にならない痛みが走る。
次の瞬間には二撃目、三撃目。

 ビシィッ! ビシィッ!

「いやぁっ……! 痛いっ……! ごめんなさい……っ!」

機械は謝罪など聞かず、ただ正確に鞭を振り下ろし続ける。
赤く腫れ上がったお尻に、20回の鞭が次々と刻まれていく。
彼女は涙をぼろぼろこぼし、声を張り上げて泣き叫んだ。

 ***

『以上で終了です。お疲れ様でした。退出は30分以内にお願いします』

拘束が外れ、ようやく身体が自由になる。
女性は震える手でお尻をさすりながら、よろよろと立ち上がった。
軽くお尻にケア用の薬を塗り下着とズボンを履き直すと、痛みに顔をしかめながらも、どこか清々しい表情を浮かべていた。

最初の部屋に戻り、自販機で冷たい飲み物を買ってひと息。

「はぁ……っ……」

一口飲み込んでから、大きく息を吐く。
そして店を出る頃には、まるで重荷を降ろしたように肩が軽くなっていた。

人間によるスパンキングサービスの店ほど店舗数は多くない。
だが、この“無機質な痛み”を求め、機械の店に通う人も少なくないのだ。
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