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【3】究極の脱獄方法

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「あの~すみませ~ん♪そこの看守さ~ん」
「はい?なんでしょうか」

 コモン達が戻ってくる前に確証を得なければ。俺は取り調べ室の扉の格子越しに、偶然通りかかった看守の人に声をかけた。

「コモン…さんって、この取り調べ室に思い入れみたいなもの…あったりします?」
「思い入れ…?いや、そんな話聞いた事無いな」

 くっ…まさか俺の思い過ごしか…?

「あー…そう言えば…」
「ん?」





☆●◇■△▼*▽▲□◆○★





「戻ったぞ」

 コモンが取り調べ室に戻ってきた。一人だ。

「街の監視カメラを見させてもらった。確かに…信じられないが、お前の話は本当のようだな」

 コモン達が確認したカメラの映像。そこには熟睡中の俺が瞬間移動してきた様子がバッチリ映されていた。布団は一緒では無い。パジャマ姿の俺の体だけが瞬時に街中に現れたらしい。

「そ、それじゃあ!」
「だがしかあああし!」

 俺の証言が確定し、不審者では無い事が明らかになった。これで拘束が解ける、俺は自由の身だ。そう喜んだのもつかの間。俺は忘れていた…

「暴行の容疑は…事実だぁ…」
「はうぁあ!?」

 そうだ。そうだよ。俺殴っちゃったんだ。せっかく不審者では無いと証明できたのに。

「って事で有罪だ。二、三年はそこに入っててもらう。ま、お疲れさん」
「…コモンさん。いや、コモン。良いのか?俺にそんな態度をとって」
「あぁん?」

 俺は懐に忍ばせておいたあるものをコモンにだけ見えるように出した。

「…なっ!?」

 そう、隠し床収納にあった超アイテム。
 大量のエロ本だ。しかもかなり際どいと言うか、お下劣なやつ。

「ききき…貴様…」
「おやおや~?そんなに冷や汗垂らして顔面蒼白でどうしたんすか~?コモンさぁ~ん?」
「そそそそれを…どこで…はっ!まさか貴様!」

 さっきの看守の話を聞いて確証できた。コモンが罪人や不審者の取り調べを行う時は決まってこの部屋を選んでいたそう。そして取り調べが終わった後、相手を看守に預けてコモンは一人取り調べ室に残って何かしている。看守達の間では部屋の掃除か何かだと噂されているようだが。

「ふっ…これがアンタの正体だよな~?」
「貴様…それをどうするつもりだ…!」
「んっふ~♪大したことはしないっさ。ただ~?この事を~?城中に~?あ、いや国中に~?俺が爆走しながら大声で広めるだけですよ~」
「…」
「あっれ~?コモンさんって~?ギルドマスター補佐だっけ~?そんな役職を持ってる人がこんな趣味があるなんて国民に知られたら~…どうなっちゃうんですかね?」
「何が…望みだ…」

 さすがギルドマスター補佐だ。話が分かるし、察しがいいじゃあないか。

「そだな~とりあえず最低条件は俺を無罪放免にする事」
「ぐっ…わ、わかった」

 うっし。これで無事に脱獄…じゃなくて、釈放される事が確定した。あとは…

「おい、おっさん」
「…なんだ」
「財布…出せ」





・紅運命は脱獄に成功した。
・紅運命は35000ソウルを手に入れた。
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