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【16】昼のお話
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翌朝。その晩は眠れない夜になり、結局一睡も出来ないまま朝日を迎えてしまった。その日の昼頃、俺達は釈放された。途中スティナと合流し、やはり俺達と同様に投獄されていた事が分かった。昼食をまだとっていなかったので、三人で城から近いカフェで食事する事にした。
「まぁ、その、なんだ…あまり考え過ぎるなよ。ディス」
「そうです。あれは事故です」
「あぁ…」
俺の元気が無い事を察したようで、二人は優しい言葉で慰めようとしてくれる。けれど俺の頭の中には申し訳無いが、既に少年の事は微かにしか無く、別の事で思考の大半を埋め尽くされていた。
昨晩聞いた声。コモンや他の看守、ヒゲの声では無い。知らない男の声だった。城の者なのかも分からない。今分かっているのは「誰かがヤバい」という大雑把にも程があるカス情報のみである。
「なぁ…質問なんだけど。国のお偉いさん達…例えば、お前らの両親とか、その側近とかに会うにはどうすれば良い?」
「どうした?急に」
「いや、なんとなくさ…」
話の途中で頼んだ料理が運ばれて来たので、それを頂きながら話を続けた。
「んー、そうだな…」
レティナはパスタを勢いよく啜りながら俺の問に答える。
汚い。
ソースが飛ぶ。
フォークでクルクルして食べなさい。
「一番単純なやり方は名を広げる事だな」
「名を…広げる?」
「そう。ギルド加入して功績を上げたり、ボランティア活動に勤しんだり、あとは…滅多に無いが、国の危機を救う。とかだな」
「功績を上げると昇格して、国から直々に役職を与えられたり、普通の人だと就かせてもらえない重要な仕事なんかも任せられるのです。お姉ちゃん食べ方汚いです」
「兎にも角にも、ギルド加入が一番の近道だと思うぞ私は。入るのか?」
「う~ん。悩みどころではある。あとお前食べ方汚い」
「入るのなら、戦擊ギルドか防衛ギルドか選ぶんだな」
「なんかどっちもキツそうなんだよな~、軍隊と警察だろ~?もっと俺は楽に!自由に!なんなら遊びながら!上に行きたいんだよな~」
「何を言っているんだお前は」
「ダメ人間の塊ですね。お兄さんは」
「全く、最近の若者は楽する事ばかり考えて」
「そんなんだから女の子がずっと苦手なのですよ」
「そんな言わなくても良いだろ!?」
ボロクソに言われてしまった。俺は正直に欲望のあるがままに話しただけなのに。
二つあるのギルドどっちか。やはりどちらも興味が沸かない。そもそもこんな馬鹿デカイ国なのにギルドが二つしか無いというのも変な話だ。よくこれで今まで国が回ったものだ。
二つしか無い…か。
「なぁ…一つ提案なんだが」
咄嗟に思いついた突拍子も無い考え。この国はどれほど寛容な考え方ができるのだろう。これをやるにしても俺一人では絶対に無理だろう。だからこそ、二人に話してみよう。コイツらとならきっと…
「ギルドを…新しく設立する事は…可能か?」
俺の質問でハッとしたような顔をする二人。場の空気が微かに揺らいだ気がした。
「まぁ、その、なんだ…あまり考え過ぎるなよ。ディス」
「そうです。あれは事故です」
「あぁ…」
俺の元気が無い事を察したようで、二人は優しい言葉で慰めようとしてくれる。けれど俺の頭の中には申し訳無いが、既に少年の事は微かにしか無く、別の事で思考の大半を埋め尽くされていた。
昨晩聞いた声。コモンや他の看守、ヒゲの声では無い。知らない男の声だった。城の者なのかも分からない。今分かっているのは「誰かがヤバい」という大雑把にも程があるカス情報のみである。
「なぁ…質問なんだけど。国のお偉いさん達…例えば、お前らの両親とか、その側近とかに会うにはどうすれば良い?」
「どうした?急に」
「いや、なんとなくさ…」
話の途中で頼んだ料理が運ばれて来たので、それを頂きながら話を続けた。
「んー、そうだな…」
レティナはパスタを勢いよく啜りながら俺の問に答える。
汚い。
ソースが飛ぶ。
フォークでクルクルして食べなさい。
「一番単純なやり方は名を広げる事だな」
「名を…広げる?」
「そう。ギルド加入して功績を上げたり、ボランティア活動に勤しんだり、あとは…滅多に無いが、国の危機を救う。とかだな」
「功績を上げると昇格して、国から直々に役職を与えられたり、普通の人だと就かせてもらえない重要な仕事なんかも任せられるのです。お姉ちゃん食べ方汚いです」
「兎にも角にも、ギルド加入が一番の近道だと思うぞ私は。入るのか?」
「う~ん。悩みどころではある。あとお前食べ方汚い」
「入るのなら、戦擊ギルドか防衛ギルドか選ぶんだな」
「なんかどっちもキツそうなんだよな~、軍隊と警察だろ~?もっと俺は楽に!自由に!なんなら遊びながら!上に行きたいんだよな~」
「何を言っているんだお前は」
「ダメ人間の塊ですね。お兄さんは」
「全く、最近の若者は楽する事ばかり考えて」
「そんなんだから女の子がずっと苦手なのですよ」
「そんな言わなくても良いだろ!?」
ボロクソに言われてしまった。俺は正直に欲望のあるがままに話しただけなのに。
二つあるのギルドどっちか。やはりどちらも興味が沸かない。そもそもこんな馬鹿デカイ国なのにギルドが二つしか無いというのも変な話だ。よくこれで今まで国が回ったものだ。
二つしか無い…か。
「なぁ…一つ提案なんだが」
咄嗟に思いついた突拍子も無い考え。この国はどれほど寛容な考え方ができるのだろう。これをやるにしても俺一人では絶対に無理だろう。だからこそ、二人に話してみよう。コイツらとならきっと…
「ギルドを…新しく設立する事は…可能か?」
俺の質問でハッとしたような顔をする二人。場の空気が微かに揺らいだ気がした。
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