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第6話 たった一つの彼女
たった一つの彼女 その4
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時間は無情に過ぎていきます。伊瀬冬くんの引き取り手は見つからず、また彼を助けるための代替案も浮かびません。もう、打つ手は無いのでしょうか。
『ISY』の破棄が――伊瀬冬くんとのお別れ会が前日に迫った日の昼。私は学生のころによく通っていた、春日という駅のそばにある『2045』という名前の喫茶店に向かいました。
扉を開くと同時に鳴り響く、真鍮製のベルの音。揺らぎうつ硝子窓から差し込む光。動いているところを見たことがないレコードプレーヤー、天井にぶら下がる安い洋燈に、本棚には一週間遅れの週刊誌が一式、若草色の革が張られたソファーと、木目調のテーブル。すべてが以前と変わっていません。この場所はまるで、時間に置き去りにされたタイムカプセルの内部のようです。
窓際の席を選んで座ると、間もなくしてベルの音が鳴り、「お待たせ、あいちゃん」という懐かしい声が背中に聞こえてきました。立ち上がって振り返ると、店に入ってきたのは私と同じジャズサークルに所属していた大学の先輩で、面倒見のいい人で……それで、はじめて恋をした相手、笹塚さんでした。
笹塚さんは、二重のまぶたで大きな瞳を持っています。笹塚さんは、つんと尖った高い鼻を持っています。笹塚さんは、整った歯並びを持っています。笹塚さんは、凛々しい眉を持っています。笹塚さんは、微笑みを常に崩しません。
……笹塚さんは、伊瀬冬くんと同じ顔を、同じ姿をしています。当然です。伊瀬冬くんの身体は笹塚さんをモデルにして作ったものなんですから。
「急にすいません。相談があるなんて言って、突然呼び出してしまって」
頭を下げて謝ると、笹塚さんは「いいっていいって。職場の近くだし」と軽く受けながら私の対面の席に座り、店員の方へホットカフェオレを注文します。間もなくして運ばれてきたそれを一口飲んで息を吐いた彼は、「何かあったんでしょ?」と話を切り出しました。
「その、以前お話したことがあると思うんですが、私、AIの研究をしてまして」
「ああ。たしか、トラウマがどうとか言ってたっけ。すごすぎ。俺なんて、普通の会社員だからさ。勉強してたことなんて全部ムダ。たいして役にも立ってないよ」
「いえ、全然、私なんか。自分の研究も守れなくて」
「そういえば、そういう話もしてたね。なんか、ちょっと危ないって」
「はい。それで、その研究の中止と破棄が正式に決定してしまったんです。有用性が望めないからって」
「ウソ。そりゃ大変だ。それで、どうなったの?」
「色々と話をして回って、その研究の今までの成果と権利を買ってくれる人を探していたのですが、どうにもならなくて」
「そっか……その、がんばってよ。正直、俺ができることなんて応援することくらいだけどさ」
そう言って笹塚さんは微笑みを浮かべました。学生時代からすっかり見慣れた、爽やかな笑顔でした。
……はっきり言ってしまえば、彼と話すことによって事態が好転するのを期待していたわけではないんです。私は昔と同じように、笹塚さんからあの笑顔で「がんばって」と励まされ、背中を押して欲しかっただけなんです。
笹塚さんは私が心で望んでいた通りのことをしてくれました。彼は今も昔も変わりません。私なんかに会ってくれるのですから、面倒見のいいところも変わっていないのでしょう。
だから、今になってようやく気付きました。彼の言葉は誰に対しても使うことのできる、勝手のいいおまじないです。彼の顔に浮かぶのは、安い同情の微笑みです。彼が身に纏うのは、根拠のない優しさです。
笹塚さんは人間です。彼には心があります。でも、それは私には向いていません。そんなことは昔からわかっていたはずなのに、知らないふりをしていました。その方がしあわせだからって。情けないことです。
「御足労頂いてありがとうございます」とお礼を述べた私は、急な連絡が入ったふりをして席を立ちました。笹塚さんは「また今度飲もうね」と軽く言って手を振ります。たぶん、その〝今度〟が来ることは無いでしょう。彼にとってはどうでもいいことだとは思いますが。
今日、笹塚さんに会ってよかったと思えたことがひとつだけあります。それは、わざとあやふやにしていた感情を確信に変えることができたこと……自分の気持ちに向き合う覚悟を決められたことです。
私は『伊瀬冬くん』が好きなんです。この世界の誰よりも。空虚な初恋の思い出を、思い通りになる相手に重ねていたわけではありません。同情から派生した気の迷いでもありません。髪の先からつま先まで、私は彼に恋しているのです。
〇
研究所へ戻ると、みんなが部屋で私物をまとめている最中でした。まるで引っ越しの準備です。揃ってなんだか深刻そうな顔をしていて、声を掛けづらい重苦しい雰囲気でしたが、思い切って「どうされたんですか?」と訊ねてみると、水島さんが私の方を見ながら、「辞めようって決めたの」と言い放ちました。
「や、辞めるって、なにを辞めるんですか?」
「この研究所を。こんなところにいつまでもしがみついたって仕方ないからね」
「ですが、このままでは伊瀬冬くんが――」
「源尾さん。もういいだろう、これくらいで」
大藪さんが私に視線を合わせないようにしながらぽつりとこぼします。
「やれるだけやったよ、僕たちは。そろそろ、歩みを止めてもいいころだ」
「だったら、伊瀬冬くんを諦めるっていうんですか」
思わずむきになって詰め寄ろうとすると、辛そうな顔をした鹿間さんが私の前に立ちはだかります。
「私達だって諦めたいわけじゃありません。でも、ここで踏ん張ったってどうしようもないでしょう」
「どうしようもなくないよ、鹿間さん。まだ時間はあるんだから、出来ることだってあるはずでしょ?」
必死に食い下がると、江村さんが持っていたマグカップをテーブルに叩きつけるように置きました。
「だったら、あたしたちに出来ることを言ってください。やれることならなんでもやる。でも、もう何も無いですよね、そんなこと」
「……まだある。サーバを物理的に持ち出せば――」
「やめとけ、源尾。普通に犯罪だぞ、それ」
ここ数日の間、ずっと耳にしていなかった声が聞こえてきました。伊瀬冬くんです。彼が起きてくれたんです。
「源尾、ありがとな。でも、驚くな。そこまでするか、普通」
「するよ。するに決まってるでしょ。伊瀬冬くんを助けるためなんだよ」
「たしかに、逆の立場だったら俺だってそうするかもしれないけど、お前だって逆の立場だったら言うだろ、やめとけって」
絶対に言わないよ――なんて言えるわけがなく、私は口をつぐんでしまいました。「ほらな」と笑った伊瀬冬くんは、諭すように優しく言葉を紡ぎます。
「源尾。俺さ、ここでの毎日が本当に楽しかったし、まだまだみんなとここにいたいって思ってる。でも、もう無理なんだ。俺の居場所はここじゃないんだよ」
「……そうじゃないよ。もしそうだとしても、伊瀬冬くんが消える必要なんて、どこにも無いんだよ」
「じゃあな、源尾。明日はよろしく。この前言った通り、思いっきり笑ってやってくれ」
「待ってよ、伊瀬冬くん。私は、あなたのことが……」
大好きですという言葉は声にならず、喉の奥でほつれて消えました。自分の思いを伝えることで、彼が抱く死への覚悟を捨てさせることができるかわからず、怖くなってしまったからです。
皮膚がねじれて切れそうになるくらい思い切り手の甲を抓り、瞳からこぼれ出そうになる感情をなんとかせき止めていると、水島さんが言い聞かせるように私へ言いました。
「……あいちゃん。明日の朝は必ずここに来て。彼の言う通り、お別れ会を開かなくちゃ」
『ISY』の破棄が――伊瀬冬くんとのお別れ会が前日に迫った日の昼。私は学生のころによく通っていた、春日という駅のそばにある『2045』という名前の喫茶店に向かいました。
扉を開くと同時に鳴り響く、真鍮製のベルの音。揺らぎうつ硝子窓から差し込む光。動いているところを見たことがないレコードプレーヤー、天井にぶら下がる安い洋燈に、本棚には一週間遅れの週刊誌が一式、若草色の革が張られたソファーと、木目調のテーブル。すべてが以前と変わっていません。この場所はまるで、時間に置き去りにされたタイムカプセルの内部のようです。
窓際の席を選んで座ると、間もなくしてベルの音が鳴り、「お待たせ、あいちゃん」という懐かしい声が背中に聞こえてきました。立ち上がって振り返ると、店に入ってきたのは私と同じジャズサークルに所属していた大学の先輩で、面倒見のいい人で……それで、はじめて恋をした相手、笹塚さんでした。
笹塚さんは、二重のまぶたで大きな瞳を持っています。笹塚さんは、つんと尖った高い鼻を持っています。笹塚さんは、整った歯並びを持っています。笹塚さんは、凛々しい眉を持っています。笹塚さんは、微笑みを常に崩しません。
……笹塚さんは、伊瀬冬くんと同じ顔を、同じ姿をしています。当然です。伊瀬冬くんの身体は笹塚さんをモデルにして作ったものなんですから。
「急にすいません。相談があるなんて言って、突然呼び出してしまって」
頭を下げて謝ると、笹塚さんは「いいっていいって。職場の近くだし」と軽く受けながら私の対面の席に座り、店員の方へホットカフェオレを注文します。間もなくして運ばれてきたそれを一口飲んで息を吐いた彼は、「何かあったんでしょ?」と話を切り出しました。
「その、以前お話したことがあると思うんですが、私、AIの研究をしてまして」
「ああ。たしか、トラウマがどうとか言ってたっけ。すごすぎ。俺なんて、普通の会社員だからさ。勉強してたことなんて全部ムダ。たいして役にも立ってないよ」
「いえ、全然、私なんか。自分の研究も守れなくて」
「そういえば、そういう話もしてたね。なんか、ちょっと危ないって」
「はい。それで、その研究の中止と破棄が正式に決定してしまったんです。有用性が望めないからって」
「ウソ。そりゃ大変だ。それで、どうなったの?」
「色々と話をして回って、その研究の今までの成果と権利を買ってくれる人を探していたのですが、どうにもならなくて」
「そっか……その、がんばってよ。正直、俺ができることなんて応援することくらいだけどさ」
そう言って笹塚さんは微笑みを浮かべました。学生時代からすっかり見慣れた、爽やかな笑顔でした。
……はっきり言ってしまえば、彼と話すことによって事態が好転するのを期待していたわけではないんです。私は昔と同じように、笹塚さんからあの笑顔で「がんばって」と励まされ、背中を押して欲しかっただけなんです。
笹塚さんは私が心で望んでいた通りのことをしてくれました。彼は今も昔も変わりません。私なんかに会ってくれるのですから、面倒見のいいところも変わっていないのでしょう。
だから、今になってようやく気付きました。彼の言葉は誰に対しても使うことのできる、勝手のいいおまじないです。彼の顔に浮かぶのは、安い同情の微笑みです。彼が身に纏うのは、根拠のない優しさです。
笹塚さんは人間です。彼には心があります。でも、それは私には向いていません。そんなことは昔からわかっていたはずなのに、知らないふりをしていました。その方がしあわせだからって。情けないことです。
「御足労頂いてありがとうございます」とお礼を述べた私は、急な連絡が入ったふりをして席を立ちました。笹塚さんは「また今度飲もうね」と軽く言って手を振ります。たぶん、その〝今度〟が来ることは無いでしょう。彼にとってはどうでもいいことだとは思いますが。
今日、笹塚さんに会ってよかったと思えたことがひとつだけあります。それは、わざとあやふやにしていた感情を確信に変えることができたこと……自分の気持ちに向き合う覚悟を決められたことです。
私は『伊瀬冬くん』が好きなんです。この世界の誰よりも。空虚な初恋の思い出を、思い通りになる相手に重ねていたわけではありません。同情から派生した気の迷いでもありません。髪の先からつま先まで、私は彼に恋しているのです。
〇
研究所へ戻ると、みんなが部屋で私物をまとめている最中でした。まるで引っ越しの準備です。揃ってなんだか深刻そうな顔をしていて、声を掛けづらい重苦しい雰囲気でしたが、思い切って「どうされたんですか?」と訊ねてみると、水島さんが私の方を見ながら、「辞めようって決めたの」と言い放ちました。
「や、辞めるって、なにを辞めるんですか?」
「この研究所を。こんなところにいつまでもしがみついたって仕方ないからね」
「ですが、このままでは伊瀬冬くんが――」
「源尾さん。もういいだろう、これくらいで」
大藪さんが私に視線を合わせないようにしながらぽつりとこぼします。
「やれるだけやったよ、僕たちは。そろそろ、歩みを止めてもいいころだ」
「だったら、伊瀬冬くんを諦めるっていうんですか」
思わずむきになって詰め寄ろうとすると、辛そうな顔をした鹿間さんが私の前に立ちはだかります。
「私達だって諦めたいわけじゃありません。でも、ここで踏ん張ったってどうしようもないでしょう」
「どうしようもなくないよ、鹿間さん。まだ時間はあるんだから、出来ることだってあるはずでしょ?」
必死に食い下がると、江村さんが持っていたマグカップをテーブルに叩きつけるように置きました。
「だったら、あたしたちに出来ることを言ってください。やれることならなんでもやる。でも、もう何も無いですよね、そんなこと」
「……まだある。サーバを物理的に持ち出せば――」
「やめとけ、源尾。普通に犯罪だぞ、それ」
ここ数日の間、ずっと耳にしていなかった声が聞こえてきました。伊瀬冬くんです。彼が起きてくれたんです。
「源尾、ありがとな。でも、驚くな。そこまでするか、普通」
「するよ。するに決まってるでしょ。伊瀬冬くんを助けるためなんだよ」
「たしかに、逆の立場だったら俺だってそうするかもしれないけど、お前だって逆の立場だったら言うだろ、やめとけって」
絶対に言わないよ――なんて言えるわけがなく、私は口をつぐんでしまいました。「ほらな」と笑った伊瀬冬くんは、諭すように優しく言葉を紡ぎます。
「源尾。俺さ、ここでの毎日が本当に楽しかったし、まだまだみんなとここにいたいって思ってる。でも、もう無理なんだ。俺の居場所はここじゃないんだよ」
「……そうじゃないよ。もしそうだとしても、伊瀬冬くんが消える必要なんて、どこにも無いんだよ」
「じゃあな、源尾。明日はよろしく。この前言った通り、思いっきり笑ってやってくれ」
「待ってよ、伊瀬冬くん。私は、あなたのことが……」
大好きですという言葉は声にならず、喉の奥でほつれて消えました。自分の思いを伝えることで、彼が抱く死への覚悟を捨てさせることができるかわからず、怖くなってしまったからです。
皮膚がねじれて切れそうになるくらい思い切り手の甲を抓り、瞳からこぼれ出そうになる感情をなんとかせき止めていると、水島さんが言い聞かせるように私へ言いました。
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