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【15歳 春】
6、【15歳 春】魔女のもとにやってきた騎士
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「魔女様ぁ~、おはようございます!」
ハツラツとした声がドアの向こうから聞こえ、また朝がやってきたことを悟る。
「魔女様ぁ~!」
毎日毎日、飽きもせずに彼はやってくる。
大変なことになってしまった。
その声が聞こえないように布団をかぶり、彼が諦めてくれるのを待つ。
押しが強いのか弱いのか、ある程度身動きを取らずにじっとしていると彼は諦めて離れていく。
「魔女様~! 朝ご飯はこちらに置いておきますね」
最後にかけられる言葉はこれだ。
毎朝毎朝早朝に外に出て、トレーニングを行い、決まった時間に朝食を作り始める。そして、朝食を作り終えると元気に部屋の前までやってくるのだ。
昼も夜も変わらない。
たまには自室にいることもあるようだが、どちらかといえば外にいて剣を振り回している。まぁ、騎士らしいといえば、騎士らしいのだけど、毎日飽きないものかと驚かされる。
それに、今までの騎士たちは、おびえてそれぞれの部屋にこもっていた印象が強い。
わたしの滞在している小屋の隣に立っているひと回り小さな小屋にいて、わたしが一歩でも外へ出ようとするならば、ぎゃーっと騒いで攻撃してくる勢いだった。
黒猫のリタのおかげで彼らを撃退することばかり考えていたらますます怖がられて、どんどんと距離が開いていった。
しかし、あのジャドールという騎士は違う。
最初からまるで嘘のように好意的に近づいてくるのだ。
どちらかというと怪しく思えてしまうが、好意的に接してくれるだけに攻撃はできなかった。
確かに理想的な存在で……いや、それ以上で、見た目はキラキラと絵本から出てきた王子様のようにきれいで、わたしに嫌な顔をするどころか丁寧に接してくれて、とっても優しい。
確かに心のどこかで願った存在かもしれないけど、思った以上に干渉がすぎる。
ここまでは想定外で戸惑うことが増えた。
だけど、彼が毎日生き生きとした表情で庭に出てくる様子をこっそり見ていて、何がそんなに楽しいのだろうかと覗き見ることがわたしのささやかな日課にもなった。
じっとカーテンの隙間から見ていると、たとえ隠れてみていても彼には気づかれる。
満面の笑みを浮かべて手を振ってくれるのだ。油断も隙もない。
さすがのわたしも、ここまで完璧な存在を求めていない。
それでも新しい毎日が始まった。
リビングから音がしなくなり、彼が自室に戻ったと確認できた頃、慌てて部屋から抜け出し、井戸へ水を汲みに行ったり、食べられそうな樹の実を一気に集めたり。
部屋からも気軽に出られなくなってしまったから部屋に常備しておいた薬草を少しずつ食べられるように作り替えて口に含む日々が続いた。
彼とは極力関わらないようにしたけど、わたしの毎日は少しずつ変わっていくのがわかった。
そして、わたしは徐々に彼が怖くなった。
ハツラツとした声がドアの向こうから聞こえ、また朝がやってきたことを悟る。
「魔女様ぁ~!」
毎日毎日、飽きもせずに彼はやってくる。
大変なことになってしまった。
その声が聞こえないように布団をかぶり、彼が諦めてくれるのを待つ。
押しが強いのか弱いのか、ある程度身動きを取らずにじっとしていると彼は諦めて離れていく。
「魔女様~! 朝ご飯はこちらに置いておきますね」
最後にかけられる言葉はこれだ。
毎朝毎朝早朝に外に出て、トレーニングを行い、決まった時間に朝食を作り始める。そして、朝食を作り終えると元気に部屋の前までやってくるのだ。
昼も夜も変わらない。
たまには自室にいることもあるようだが、どちらかといえば外にいて剣を振り回している。まぁ、騎士らしいといえば、騎士らしいのだけど、毎日飽きないものかと驚かされる。
それに、今までの騎士たちは、おびえてそれぞれの部屋にこもっていた印象が強い。
わたしの滞在している小屋の隣に立っているひと回り小さな小屋にいて、わたしが一歩でも外へ出ようとするならば、ぎゃーっと騒いで攻撃してくる勢いだった。
黒猫のリタのおかげで彼らを撃退することばかり考えていたらますます怖がられて、どんどんと距離が開いていった。
しかし、あのジャドールという騎士は違う。
最初からまるで嘘のように好意的に近づいてくるのだ。
どちらかというと怪しく思えてしまうが、好意的に接してくれるだけに攻撃はできなかった。
確かに理想的な存在で……いや、それ以上で、見た目はキラキラと絵本から出てきた王子様のようにきれいで、わたしに嫌な顔をするどころか丁寧に接してくれて、とっても優しい。
確かに心のどこかで願った存在かもしれないけど、思った以上に干渉がすぎる。
ここまでは想定外で戸惑うことが増えた。
だけど、彼が毎日生き生きとした表情で庭に出てくる様子をこっそり見ていて、何がそんなに楽しいのだろうかと覗き見ることがわたしのささやかな日課にもなった。
じっとカーテンの隙間から見ていると、たとえ隠れてみていても彼には気づかれる。
満面の笑みを浮かべて手を振ってくれるのだ。油断も隙もない。
さすがのわたしも、ここまで完璧な存在を求めていない。
それでも新しい毎日が始まった。
リビングから音がしなくなり、彼が自室に戻ったと確認できた頃、慌てて部屋から抜け出し、井戸へ水を汲みに行ったり、食べられそうな樹の実を一気に集めたり。
部屋からも気軽に出られなくなってしまったから部屋に常備しておいた薬草を少しずつ食べられるように作り替えて口に含む日々が続いた。
彼とは極力関わらないようにしたけど、わたしの毎日は少しずつ変わっていくのがわかった。
そして、わたしは徐々に彼が怖くなった。
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