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【15歳 夏】
13、【15歳 夏】操られた騎士を救う方法
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薬草については、リタがいくつか持ってきてくれたものがある。
あの黒猫は、いつか自分のためになると隙あらば彼が知っている魔術を教えようとした。
床の板を外すと一度も触れていない薬草が入った壺がいくつか並んでいる。
絶対に触れることはないと思っていたため、すべてもらったときのままである。
まだ触るのが怖いのか、手を伸ばすだけで動機がするため、深呼吸をしながら整える。
おばあちゃんのレシピを見て煎じれば、思った通りのものが作れるかもしれない。でも……
『魔女様~!』
あの笑顔が見られなくなるのだなぁとぼんやり考え、慌てて頭を振った。
毎日毎日、彼と過ごす日々がいつの間にか日課のようになってしまったため、なくなったときのことを考えるとさみしくなってしまったけど、ただでさえ迷惑をかけているのだ。
早く自由にしてあげる方が先だ。
「魔女様ぁ~! 夕食ができました!」
外の方から声がして、ベルが鳴った。
朝以外にわたしたちのルールはないため、彼は部屋までわざわざ迎えに来ることはなく、ベルを鳴らして用を告げてくる。
知らぬふりをすれば諦めてくれるのだけど、わたしもどうやらこの環境に馴染みすぎてしまったようだ。
扉を開くと、柔らかな瞳と目が合った。
「こんばんは、魔女様。夕食のお時間です」
その美しい笑顔は、まるで甘い毒だ。
すっかりわたしの毒に絆され、逆らえなくなってきている。
どうぞ、と手を差し出されたら、さすがにその手に触れることはないけれど、言われた方向まで導かれるように進んでしまう。
いつの間にか彼が増やした調味料が並んだキッチンを通り、いつも向かい合うテーブルの前までやってきて、定位置に腰掛ける。
ここからもとても良い香りがして、お腹が小さく音を鳴らした。今までは何も食べなくても平気だったのに、不思議なものだ。
「今日はポトフという食べ物を作ってみました。お口に合うといいですが……」
生き生きと調理場に立ち、湯気がほくほく上がった美味しそうな食べ物をお盆の上に乗せて運んできてくれる。
こんなこと、絶対にさせてはいけない人なのに……と、その笑顔を眺めて思う。
「たくさん作りすぎてしまいました。お口に合わなければ残してもらって大丈夫なので」
「………」
あなたもどうぞ、と言いたかったけど、声が出なかった。
彼はいつもわたしにご馳走を振る舞ったあと、残ったものをひとりで食べているようだ。
わたしが一緒に食べたくないと思っているからか、真意はわからない。
手を合わせ、ものをいただく感謝の意を込め、口に運ぶ。
「!!」
一口口に含むと、じゅわっと温かなにんじんと玉ねぎだろうか?しっかり煮込まれた野菜の甘みが凝縮されたスープととろけるようなお肉に思わず頬が緩んだ。
体にゆっくりと染み込んでいく。
(お、おいしい……)
どの料理もとてもおいしかったが、これは格別だった。
何度も何度もスプーンを口に含む。
何が楽しいのか、口元を綻ばせたままで嬉しそうな顔でわたしを眺める彼は、いつものように、
「魔女様、お口に合いますか?」
と尋ねてきた。
この人にできないことなんてあるのかしら?……そう思えてならない。
こんな完璧な人が、好きになる人なんているのだろうかと。
きっときっと、この人の隣に立ってよく似合う、とても素敵な人なのだろう。
彼にかかったであろう術を解いたあとのことを考えながら、もう一口ポトフを口にしてから、小さく頷いた。
説明をするのは、この食事が終わってからにしよう。
いつも言おう言おうと思っていた。
この人の今の状況とわたしがしなくてはならないことを。
でも、言えていなかった。
この毎日が当たり前になっていて、後回しにしようとするずる賢いもうひとりの自分が現れたからだ。
それでも今日こそは、と心に決めたのだ。
今日こそは、と。
あの黒猫は、いつか自分のためになると隙あらば彼が知っている魔術を教えようとした。
床の板を外すと一度も触れていない薬草が入った壺がいくつか並んでいる。
絶対に触れることはないと思っていたため、すべてもらったときのままである。
まだ触るのが怖いのか、手を伸ばすだけで動機がするため、深呼吸をしながら整える。
おばあちゃんのレシピを見て煎じれば、思った通りのものが作れるかもしれない。でも……
『魔女様~!』
あの笑顔が見られなくなるのだなぁとぼんやり考え、慌てて頭を振った。
毎日毎日、彼と過ごす日々がいつの間にか日課のようになってしまったため、なくなったときのことを考えるとさみしくなってしまったけど、ただでさえ迷惑をかけているのだ。
早く自由にしてあげる方が先だ。
「魔女様ぁ~! 夕食ができました!」
外の方から声がして、ベルが鳴った。
朝以外にわたしたちのルールはないため、彼は部屋までわざわざ迎えに来ることはなく、ベルを鳴らして用を告げてくる。
知らぬふりをすれば諦めてくれるのだけど、わたしもどうやらこの環境に馴染みすぎてしまったようだ。
扉を開くと、柔らかな瞳と目が合った。
「こんばんは、魔女様。夕食のお時間です」
その美しい笑顔は、まるで甘い毒だ。
すっかりわたしの毒に絆され、逆らえなくなってきている。
どうぞ、と手を差し出されたら、さすがにその手に触れることはないけれど、言われた方向まで導かれるように進んでしまう。
いつの間にか彼が増やした調味料が並んだキッチンを通り、いつも向かい合うテーブルの前までやってきて、定位置に腰掛ける。
ここからもとても良い香りがして、お腹が小さく音を鳴らした。今までは何も食べなくても平気だったのに、不思議なものだ。
「今日はポトフという食べ物を作ってみました。お口に合うといいですが……」
生き生きと調理場に立ち、湯気がほくほく上がった美味しそうな食べ物をお盆の上に乗せて運んできてくれる。
こんなこと、絶対にさせてはいけない人なのに……と、その笑顔を眺めて思う。
「たくさん作りすぎてしまいました。お口に合わなければ残してもらって大丈夫なので」
「………」
あなたもどうぞ、と言いたかったけど、声が出なかった。
彼はいつもわたしにご馳走を振る舞ったあと、残ったものをひとりで食べているようだ。
わたしが一緒に食べたくないと思っているからか、真意はわからない。
手を合わせ、ものをいただく感謝の意を込め、口に運ぶ。
「!!」
一口口に含むと、じゅわっと温かなにんじんと玉ねぎだろうか?しっかり煮込まれた野菜の甘みが凝縮されたスープととろけるようなお肉に思わず頬が緩んだ。
体にゆっくりと染み込んでいく。
(お、おいしい……)
どの料理もとてもおいしかったが、これは格別だった。
何度も何度もスプーンを口に含む。
何が楽しいのか、口元を綻ばせたままで嬉しそうな顔でわたしを眺める彼は、いつものように、
「魔女様、お口に合いますか?」
と尋ねてきた。
この人にできないことなんてあるのかしら?……そう思えてならない。
こんな完璧な人が、好きになる人なんているのだろうかと。
きっときっと、この人の隣に立ってよく似合う、とても素敵な人なのだろう。
彼にかかったであろう術を解いたあとのことを考えながら、もう一口ポトフを口にしてから、小さく頷いた。
説明をするのは、この食事が終わってからにしよう。
いつも言おう言おうと思っていた。
この人の今の状況とわたしがしなくてはならないことを。
でも、言えていなかった。
この毎日が当たり前になっていて、後回しにしようとするずる賢いもうひとりの自分が現れたからだ。
それでも今日こそは、と心に決めたのだ。
今日こそは、と。
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