夢追い旅

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松七五三聖子

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 あの頃は、学園紛争が正に大学で百花争鳴の時代で、何が正しいのかよく分からない時代であった。ノンポリであった私と周平は、散々追いつめられて、肌を寄せ合うこととなった。常に、二人はどこかのセクトから勧誘を受け続け、逃げる口実を探しては、友達の中を逃げ回っていた。でも、二人が完全に逃げ切れなかったのは、二人なりの本能だったように思う。
 その集団の中に、松七五三聖子というリーダー格の女がいたからである。変わった名前だったから、私は読み方を尋ねたように思う。
「マツシメ」と区切って発音した。無感動なカラカラした声だったが、いつもそうして説明していたのだろうと思う。周平は、彼らしくノートに黙って名前を書き込んでいたが、私は、心の中に画像として彼女の表情を取り込んだ。決して美人の部類ではない。可愛いのでもない。今目を閉じても、輪郭もおぼつかない。眼の光だけが強く印象に残っている。これが魔女と呼ぶに相応しいのか、確かにこの時まで生きてきて、初めて会った人種だった。
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